人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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お待たせしました!


ゲストのご登場です!


この時期だ、あの人しかいねえ!




Episode76 極悪宇宙人-テンペラー-

『______って事があったの』

「一夏にしては、はっきし言ったな…」

簪にペア要請をしたが、その度に他の専用機持ちに邪魔されてるらしいと、一樹は雪恵から聞いていた。

『かーくん、ちゃんとご飯食べてる?ちゃんと寝てる?無茶してない?』

「お前は俺のお袋か…」

『ううん、彼女だよ♪』

いつの間にか、雪恵が変な技を覚えていた。

「…雪、怒らないから言ってみ?誰にそれ教わった?」

『か、かーくん?声が低いよ?』

「いいから」

『楯無さんだけど…』

あのアマ、いつかぶっ飛ばす。

そう心に決めた一樹だった。

『にしても、ミオちゃんか…早く会いたいな』

「ミオもお前と話したがってたぞ。『早く義姉さんと会いたい』ってさ」

『…()()()()?』

「なんでも、俺が兄貴代わりになるらしく、『だったら雪恵さんは将来の義姉さんだね!』だそうだ」

態々録音してた音声データを雪恵の携帯に送る一樹。

『ギャー⁉︎マスター何やってるのぉぉ⁉︎』

脳にミオの抗議の声が響くが、完全にスルーする。

『そっか…そうなんだ…えへへ』

電話越しでも分かる。雪恵がふにゃっと笑ってることが。

「ま、元気でやれてるのが分かって安心したよ。おやすみ」

『かーくんもね。おやすみ』

 

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

翌日も、自身の体を炎で包む一樹。発火と耐火、両方が出来なければこの技は完成しない。

「カズキ…もうやめようよ…」

『このままではマスターの体を壊すだけです!』

「壊すだけにしないためにも…やんなきゃなんねえんだ!!」

 

 

カランカラン

「いらっしゃ…来たか」

「お待たせしました。()()()

一樹が修行を続けていた頃、ダンの店に、 1人の青年が現れた。

「その姿は…確か」

「はい、僕と一体化してた人のを借りてます」

「そうか…早速で悪いんだが、一樹君のところに向かってくれ。今の彼には、お前が必要だ」

「一樹君がどうかしたんですか?」

「お前の技…【ウルトラダイナマイト】を取得しようとしている。そのために、今全身大火傷状態だ」

「なっ!?あの技は僕らウルトラ戦士でもかなり危険な技!変身時のダメージも残る彼に何故教えたのですか!?」

「そんな事は分かってる!だが、お前も分かる筈だ。大切なものを守るために、何としても力をつけなければならない者の気持ちが…」

「それは、そうですが…」

「頼む。一樹君のブレーキ役をやってくれ。彼は、自分が傷つく事を厭わないからな」

「はい!すぐに行きます‼︎」

「頼んだぞ、()()()

 

 

「ハア、ハア、ハア!」

発火と耐火を同時にやるためには、普段からある程度耐火力を上げれば良いのではないか。

そう考えた一樹は、部屋の温度を4000度まで上げ、過酷なトレーニングを続けた。

『一樹、お客様が来たぞ』

部屋のモニターに、和哉の顔が映る。

「ハア、ハア…誰だ?」

『会えば分かる。いや、会ってくれ』

敢えて誰か言わずに、会わせようとする和哉。

「…分かった。どこに行けば良い?」

『第1応接室だ』

「あいよ」

和哉の顔を見て、よほど重大な人と判断した一樹。ヒーターを切り、急いで身だしなみを整えると、第1応接室に向かった。

 

 

「すみません、お待たせしました。櫻井一樹で…」

一樹の言葉は途中で止まる。無理もない、目の前にいる人物から、光の力を感じるのだ…そして、その人物は…

「一樹君、久しぶり!」

「…久しぶり?」

一樹に気さくに笑いかけるのだ。

「(え?ちょっと待って、俺とこの人は会った事無いはず。でも久しぶりってことは、ある程度親しくしてもらってるって事だし…)」

一樹の脳が高速で回転していく。一樹は基本、自分と関わりのあった人物の顔は覚える主義だ。そして、悲しい事に()()()してる人物はそこまで多くない。なので忘れる筈が無いのだが…

「…大変すみません。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」

「え?僕だよ、()()()だよ!」

「……何いいいいいいいい!!?」

「あはは、そこまで驚かれるとは思わなかったよ。けど、僕が敵性宇宙人だったらどうするんだい?早くに見破らないと」

うんうんと頷きながら言うタロウと名乗る青年。

 

ブチッ

 

「…ブチッ?」

青年が一樹の方を向くと…

「安心しろ、敵だったら容赦なく撃ち抜く」

青年に向けてブラストショットを構える一樹がいた。その額には怒りマークが出ていた。

「あ、あれ?怒ってる?」

「勝手に人の本拠地来てんじゃねえあんたそれでも教官かぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

しばらく青年は、怒りの波動弾を必死に避けるのだった。

 

その後、ダンのレストランへと移動した一樹と青年…【東 光太郎】

光太郎の体からぷすぷす煙が出てるのは見なかった事にした。

「…ダンさん、俺の記憶が間違ってなければ、タロウさんは今お宅の星の教官で、一体化していた人物と分離してから、全く人間態にはなってなかったと記憶してますが?」

「あ、ああ。だから地球人に紛れるために青年の姿に…「少なくともゲンさんと同じくらいの年齢じゃないとおかしいだろうがよ!あんたその点をまず指摘するべきだろ!!?」本当にすまなかった」

…怒り心頭の一樹をなだめるのに、ダンは苦労するのだった。

「え、えと…改めて、【東 光太郎】です。呼び方はご自由に…」

「オイ」

「はい」

「まず言う事があるだろうが」

「事前連絡をしなかったことを、心よりお詫びします」

「…はあ、次から気をつけて下さいよ、光太郎さん。人間の感覚だと、ダンさんと親子程離れてる様に見えますから」

「はい、以後気をつけます」

「…で?なんで光太郎さんレベルが地球に?光太郎さんは『マント持ち』でしょ?ダンさんもだけど」

マント持ち、とはウルトラ戦士の中でも、上級者の証とだけ言っておく。

「…そのことなんだけど」

光太郎は、一樹を正面から見据えて言う。

「一樹君、1度光の国に来てくれないか?」

「……」

「君が会得しようとしている技は、我々の中でも一部の戦士しか使えない。更には、会得には膨大なエネルギーを使う。ここで会得するのは…」

「お気遣い、感謝します。けど、俺は地球(ここ)を離れませんよ」

「しかし…!」

「それに、俺が長期間ここを離れたら、ここを守るのは誰ですか?お宅も今は人手不足でしょ?」

「……」

光太郎は黙る。実際、一樹の言う通りなのだ。光の国の人手は、全て何かしらの案件を抱えている。ダンも、近いうちに光の国に戻らなければならないのだ。

「それに…俺が光の国に行っても戸惑うだけだと思いますよ?【宇宙警備隊】の人たちは別として、他の人たちはほとんど知りませんから。ケンさんやマリーさんに迷惑をかけるのは…」

「それは気にしなくて良いんだ。だってこれは大隊長に銀十字軍隊長…父さんと母さんが言い出したことだから」

「……」

 

ドックン

 

「ッ!?」

胸ポケットのエボルトラスターの鼓動を感じると、一樹は店を飛び出した。

「一樹君⁉︎」

「光太郎!行くんだ!恐らく彼は敵を()()()()()‼︎」

「ッ⁉︎分かりました‼︎」

 

 

「ッ⁉︎」

学園でも、雪恵がエボルトラスターの鼓動を感じた。

「田中?どうした」

「千冬さん…かーくんを助けないと!」

「…すまないが、それは出来ない」

「何でですか!!?」

「今、チェスターは整備中なんだ…」

「こんな時に⁉︎」

 

 

『ここにいるウルトラ戦士に告ぐ!我々と戦え!さもなければこの星を破壊する‼︎』

現れたのは2体の極悪宇宙人、テンペラー星人。その力は、1人でウルトラ兄弟と対峙出来る程と言われている…

「…ならお望み通り、俺が遊んでやるよ」

一樹はエボルトラスターを引き抜いた。

 

光の柱からウルトラマンが現れた。

『よく来たな、この星のウルトラマンよ』

『逃げずに来たその勇気、敬意を表するぞ』

「……」

油断せずに構えるウルトラマン。

『では、始めるぞ!!!!』

テンペラーは両手のハサミから稲妻のようなムチを振り回す。

「シュッ!」

それをバック転で避けるウルトラマン。だが、回避先をもう1人のテンペラーに読まれ、ロケット弾を撃ち込まれた。

『フンッ!』

「グアァァァッ⁉︎」

 

 

「テンペラー星人⁉︎奴はあんな卑怯な手は使わないはず…」

テンペラー星人は、正面からウルトラ戦士を倒すことを生き甲斐としている。それが光太郎たちウルトラ戦士の認識だった。だが、目の前のテンペラーは2対1でウルトラマンを攻撃している。

「…個体の性格の違いか!」

 

 

「グアァァァ!!?」

『『ハッハッハッハッハ…』』

 

ピコン、ピコン、ピコン

 

修行のダメージが残っているウルトラマンは、早くもエナジーコアを鳴らしていた。そんなウルトラマンを、テンペラー星人はムチで滅多打ちにしていた。

『『ハッハッハッハッ‼︎』』

「グアァァァ!!?」

 

 

「これ以上は彼が危ない!」

光太郎は、左袖に輝く【ウルトラバッジ】を取り外すと、天に掲げて叫んだ。

「タロォォォォォォォ!!!!」

 

 

「ヤァッ!!」

『グッ⁉︎』

ウルトラマンタロウのスワローキックが、2体のテンペラー星人に命中。その隙に、ウルトラマンは前転して拘束から逃れる。

「トゥオッ‼︎」

2体のテンペラー星人を投げ飛ばすと、ウルトラマンに駆け寄り、右手からエネルギーを出した。

「シュッ‼︎」

タロウからエネルギーを分けられた事により、エナジーコアの点滅が止まった。力強く立ち上がるウルトラマン。

「フッ!シェアッ‼︎」

ジュネッスにチェンジすると、隣のタロウに頷く。2人の戦士はテンペラー星人に向かって側転からのバック転で近づき、後ろ蹴り。

「デェアッ!」

「ヤァッ!」

2対2となった事で、ウルトラマン達が押していく。

『おのれ!』

『調子に乗るな!』

2体のテンペラー星人は両手からロケット弾を連発する。それを、連続バック転で避ける2人。

「ハッ!」

「トゥオッ!」

パーティクルフェザー、レッド手裏剣ビームをそれぞれ撃ち、テンペラーを怯ませる。

「デェヤッ!」

「シュッ!」

突如タロウはウルトラマンに向かって飛び込んでくる。ウルトラマンはタロウの腕を掴むと高速回転、タロウをブーメランの様に投げ飛ばした。

「シェアッ‼︎」

『グッ⁉︎』

『ゴッ⁉︎』

行きと帰り、両方の攻撃を喰らったテンペラー。

「タロウスパウト!」

タロウはそう叫ぶと、今度は立ったまま体を高速回転、竜巻で2体のテンペラー星人を空中に浮かべる。

「フッ!シュウッ!フアァァァァァァ…フンッ!デェアァァ‼︎」

「ストリウム光線‼︎」

空中に浮かんだ星人に、2人のそれぞれの必殺技、オーバーレイ・シュトロームとストリウム光線が決まり、爆散した。

 

 

「…エネルギー、ありがとうございました。本当に助かりました」

「いやいや、気にしないでくれ。たまたま僕が近くにいただけだから」

ウルトラの星へ帰るため、光太郎は一樹とS.M.S本社屋上へと来ていた。

「ケンさんとマリーさんに、よろしくお伝え下さい」

「うん、伝えとくよ」

右手を差し出す光太郎。一樹がその手を握ると…

「…ッ⁉︎」

【ウルトラダイナマイト】のコツが流れ込んだ。

「…光太郎さん」

「僕と君は握手しただけだ。君は何か感じたようだが、僕は知らない」

悪戯っぽい笑顔を浮かべる光太郎。一樹も笑顔を返す。

「それじゃ…またね!」

光太郎は光に包まれ、夕焼けの空へと消えていった。

「…ありがとございました。タロウさん」




…思わず勢いで書いちゃったけど、タロウのアレは分離したと考えて良いですよね?



間違えてたら独自設定ということでオナシャス!!

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