人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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お待たせしました。

では、どうぞ!


Episode70 誕生日-バースデー-

「せーの!」

「「「「一夏!誕生日おめでとう‼︎」」」」

シャルロットの合図に、ぱぁんぱぁんっとクラッカーが鳴り響く。

「お、おう。ありがとな」

時刻は夕方、午後5時半。それはいいのだが…

「何この人数…?」

いつもの面々である箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、楯無に加えてクラスメイトの本音、何故かその姉の布仏虚に新聞部のエースの黛薫子。そして五反田兄妹と雪恵にセリー。

「…あれ?一樹がいない」

雪恵に聞いてみるも、どこにいるか知らないらしい。どこに行ったのだろうか?

「…ったく、こういう時くらい気にせずに食べてけってんだ」

「…お前、そんなに燃やされたい?」

「あなたは変わりませんねセリーさん!結構です‼︎」

「そ、そうですよ!というかあなた誰ですか⁉︎」

セリーの事を初めて見た蘭が、セリーに詰め寄る。

「…田中セリー。別にコイツに興味はない」

「な、なら何でここに?」

「ユキエと一緒に来たから」

蘭がセリーに詰め寄るのを、鈴が止める。

「あーはいはい。セリーはあんたが思ってるタイプじゃないから安心しなさい。むしろコイツは櫻井派よ」

「…え"」

信じられない、という目でセリーを見る蘭。当然セリーの怒りを買い…

「…そんなに燃やされたい?」

手のひらから火球を出して、蘭を睨むセリー。虚と談笑していた雪恵が慌てて止める。

「ちょっと落ち着いてセリーちゃん!ほら、ここにお菓子あるから!」

「…ん。分かった」

雪恵の膝に、素直に座るセリー。蘭は膝がガクガクしていたが、知ったことではない。

「こ、怖かった…」

「あー、うん。多分学園では色んな人集めた中で、No.2の強さだしね」

普段ぶつかり合っているである鈴ですら、蘭に同情する。ちなみに、鈴の中での強いランキングは…

1位 一樹

2位 セリー

3位 一夏

4位 千冬

5位 麻耶

となっている。参考までに、怒らせたら怖いランキングでは…

1位 一樹

2位 一夏

同率3位 雪恵・セリー

5位 千冬

なのを補足しておく。

「…ほら、早く一夏にそのケーキ渡しなさいよ」

普段なら絶対譲らないが、今日だけは蘭の背中を押してやる鈴。

「は、はい…一夏さん!このケーキどうぞ!」

「お、ありがとな。手作りか?」

「は、はい」

「蘭1人で?」

「は、はい」

「凄えじゃん!」

そして蘭特製のケーキを食べる一夏。

「…うん、美味い!蘭は良い嫁さんになれるぞ」

「そ、そそそそそそんなお嫁さんだなんててて」

イラっと来た鈴はラーメンの丼を一夏に押し付けた。激アツの。

「アッチイィィィィ!!?何しやがんだ鈴!!」

「ほら食べなさいよ一夏。できたてだから美味しいわよ。何せ麺から手作りだからね」

花嫁修業の成果を見せてやることにした。

 

 

一樹が気配を消しながら一夏の家に着くと、一夏へのプレゼント合戦が行われていた。

「……」

見なかったことにして、何か食べられる物を探すも、どれもこれも手間がかかってそうな物だった。

「(流石にこれは食べれないな…)」

なんとか見つけた市販のポテトチップスに手を伸ばすと、雪恵とセリーが一樹に気づいた。

「あ、かーくんやっと来たぁ」

「カズキ、こっちこっち」

「ああ」

雪恵とセリーの間に座ると、雪恵がコップにコーラを入れてくれた。

「(相変わらず、気配り上手だな)」

礼を言いながら受け取り、口をつける。炭酸が、疲れた体に染み渡る。

「カズキ、これなら食べられる」

某おじいさんチェーンの骨つきチキンを差し出すセリー。

「ありがと、セリー。怪我は無いのか?」

「私、整備室で留守番してたから大丈夫」

「それは何より」

ちょこちょこと食べていると、弾の姿が無いのに気づく。

「…あれ?弾は?」

「五反田君ならあっち」

「あん?」

雪恵が指す方向を見ると…

 

「ま、また会えましたね」

「そ、そうね」

「……」

「……」

「「あの」」

「そ、そちらからどうぞ」

「い、いえ。そちらから…」

 

初々しい2人がいた。

「(ああ、布仏姉妹の姉の方か…そういえば学園祭の時、俺が迎えに行くまで生徒会の人が相手してくれてたって言ってたけど、まさかあの人とは…)」

それにしても…

「…何だろう?見てて微笑ましく思うのは俺だけ?」

「「私もそう思う」」

雪恵、セリーも弾と虚の会話を温かい目で見ていた。

「それは多分、櫻井君がアレしか見たことが無いからじゃない?」

ちゃっかり一樹の正面に座った黛が、一夏の方を指差す。一樹達がそちらを向くと…

 

「う、受け取れ!」

「のわぁぁぁぁ⁉︎」

 

一夏に軍用ナイフを突き出すラウラの姿があった。

「…ハァ」

疲れのため息をつく一樹。

「ね?」

「…ええ。そうですね」

「私もね、虚があんな恋する乙女やるとは思ってなかったよ。流石にアレは記事に出来ないなぁ〜」

誕生日会に参加したのも、学園新聞のネタがあるからかと思ったかららしい。

「…平和で良いな」

「それを守ってるのは、絶対に櫻井君だよ」

「…さあ、どうでしょうね」

「謙遜しなくてもいいのに。今日だって凄い数の敵と戦ってたじゃん」

「…仕事ですから」

 

「お?売り切れは無いな」

「何で自販機で買い足すんだよ?もうちょっと歩けば百均あるじゃん」

「あそこ、今改装工事やってるぞ?」

「なん…だと…?」

何故主役が買い出ししてるのかというと、一夏本人が志願したからだ。一夏曰く、『俺は今日何もしてないからな』とのこと。

「えーと、楯無さんが缶コーヒーで箒が緑茶、鈴が烏龍茶でシャルがオレンジジュース、ラウラはスポーツ飲料、セシリアは紅茶、蘭がミルクティー…後は?」

「雪とセリーがカル○ス、黛さんがモ○スターエ○ジー、布仏姉妹がレモンティー…後はお前と弾だ」

「お前は?」

「コーラかサイダーなんだけど…サイダーで良いや」

「ん。面倒だから男はそれで良いな」

計15本のジュースを買い、家に戻ろうとする2人。

「…一夏」

「ああ、分かってる」

街灯の光が当たらない絶妙な位置に、気配を感じる…

「いるのは分かってる。出てこいよ」

「ほお?平和ボケした国に住んでる割には、気配に敏感だな…これでも気配を消してたつもりなんだがな」

その人物はゆっくりと光の中へと入ってくる。

「………」

その人物は少女だった。しかも、見覚えのある顔をしている。

いや、一夏にとっては()()()()()()()()()()()()()()()

「…千冬姉?」

15、6歳ほどの少女。しかし、その顔は昔の千冬に異常に似ていた。

()()

少女が口を開く。その顔には浮かぶのは、闇を感じさせる笑み…

()()()()()()()()()()

「……」

対峙して分かった事がある。目の前の少女は、強い…!

「…今日は世話になったな。フリーダム」

少女は、一夏の隣にいる一樹に殺気を込めた目で睨む。

「あぁ?泣きべそかいて帰ったんじゃねえのかよ」

その目で睨まれるも、一樹は動じない。飄々と少女からの殺気を流していた。

「ほざけ。あのまま続いていれば、私が貴様を殺していたさ」

「負け犬ほどよく吠えやがるな…お前はお呼びじゃねえんだよ。さっさと帰れ」

ここでようやく、一夏は目の前の少女が今日の襲撃者の1人である事に気づいた。

「お前…サイレント・ゼフィルスの…?」

「そうだ」

一樹から一夏へと視線を移し、少女はまた一歩近づく。

「そして私の名は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()

 

そして、すばやく拳銃を撃つ。

 

キィン!

 

しかしそれは、一樹の腕時計に弾かれる。

「いきなりご挨拶だな!」

持っていたジュースを一旦空中に放り投げ、隠し持っていた拳銃でマドカの手を撃つ。

「グッ…」

撃たれた手から、拳銃が落ちる。その隙を逃さず、前蹴りをマドカの腹部に決める一樹。

「ガッ⁉︎」

これ以上の追撃はせず、マドカの拳銃を回収して一夏の隣に戻る。

「貴様が、生身の戦闘も出来るとはな…誤算だった」

「元々そっちが本業なんでね」

でなければ、とっくに溝呂木に殺されていたことだろう。

「んで?どうすんの?」

奪ったマドカの拳銃を、クルクル回して遊ぶ一樹。そこに隙は無い。

「無様に背中を見せて逃げるか、捕まって情報を吐き出されるか、好きな方を選べ」

「…クッ」

マドカはISを展開し、背を向ける。

「覚えていろよ…次に会った時は、必ず殺してやる…!」

「はいはい、やれるもんならどうぞ」

最後まで一樹を睨んだまま、マドカは夜の闇へと消えていった。

 

「…一夏」

「…?なんだ?」

「気をつけろ。俺たちの人間側の敵は、亡国機業だけじゃないらしい」

「…分かった。気をつける」




次から7巻だ!(もう若干入ってる)



あの子の出番が本格的に増えるぞ!


…あれ?つまりは一樹完全に狂っちゃう?

恐ろしや…

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