人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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遅くなってしまってごめんなさい!


初のゲストウルトラマン!誰が出るのかはサブタイ通り!!

これが、自分の出来るゲストの出し方だぁぁぁぁぁ!!


Episode59 獅子-レオ-

「かーくん、最近整備室にあまりいないよね」

「姉妹の時間を邪魔する趣味はねえよ…」

食堂でコーヒーをゆっくり飲む一樹。最近の第4整備室は、和解した更識姉妹によるIS制作の空間となっており、一樹にとってとても居心地が悪い所となっていた。

「お、一樹。お前がここにいるのは珍しいな」

コーヒーのお代わりをした一樹達の所に、一夏がやって来た。

「自分でもそう思ってるよ…」

「頼むから否定してくれ。ボケを受け入れられると反応に困る」

相変わらずの一樹に苦笑する一夏。

「で、俺に何の用だ?」

「ああ、()()から手紙が来てさ。今帰ってきてるらしい。俺は顔を出そうと思ってるんだけど、お前もどうだ?」

「マジ⁉︎行く行く!雪はどうする?」

「織斑君の師匠かぁ…会ってみたいし、行こうかな」

「了解。今度の日曜、空けといてくれ」

 

そして日曜。一樹と雪恵、そして一夏は山を登っていた。

「こんな山奥に織斑君の師匠がいるの?」

「ああ」

登り始めてから早1時間、かなり奥まで来たが、全く人の気配が無い。

「ねえかーくん、本当にこの道で良いの?」

「ああ。滝の音が聞こえるだろ?滝の近くに一夏の師匠はいるんだ」

一樹の言葉に、雪恵が耳を済ませると確かに滝がある。

「じゃ一樹、雪恵。俺が先に行くぜ」

「あいよ」

更に道が細く、険しくなるので一夏が先頭で歩き始める。

「雪、一夏の後に続いてくれ。転びそうになったら支えるから」

「分かった」

 

険しい道を抜けた先は広く、右に寺の様な建物、左手に大きな滝があった。

「…急に広くなったなぁ」

「雪、あそこにいる人が一夏に武道を教えた人だ」

一樹の指差す方向には、左手の薬指に獅子の彫刻が施された指輪をつけた僧がいた。

「…久しぶりです。『ゲン』さん」

「お久しぶりです。師匠」

一樹と一夏がそれぞれ挨拶すると、僧…『おおとりゲン』が顔を上げた。

「一樹君に一夏か…よく来たな。茶でも出そう」

「あ、俺がやりますよ」

「そうか?なら頼もうかな。配置は覚えてるか?」

「はい」

厨房へと向かった一夏。一樹は持っていた袋を見せる。

「一応御茶請けは持って来たんですけど…ゲンさん、何か食べられないのありました?」

「いや、大丈夫だ」

ここまでの一樹達との会話を聞き、とても一夏の言っていた『厳しい師匠』の意味が分からない雪恵。

「常に厳しい顔してたらお互い疲れるだろうが」

「ねえかーくん本人の前で言うのはやめてくれないかな!!」

そんな一樹達の会話を笑顔で見るゲン。

「はっはっは。一夏は俺の事が厳しいと言ってたのか?」

「え、ええ…まあ」

「すまん雪恵。普段はめっちゃ優しいおじいちゃんなんだ。それが武道の事となると鬼のような顔をするけど」

「一夏、お前一言多いぞ。誰がおじいちゃんだ」

「ゲンさん、ツッコミどころ違うと思う」

 

一夏と雪恵が近くの川で釣りに行った後、一樹はゲンに聞いた。

()()()()()は、どうですか?」

「…君が命懸けで守っているのがよく分かるよ。俺が()()で戦っていた時より、怪獣が出た形跡が少ない」

一樹の曖昧な言葉の意味を汲み取ったゲンは答える。

「ゲンさんから見てそうなら、体を張ってメタ・フィールドを展開してる甲斐がありますよ」

ゲンに笑顔を向ける一樹。だが、一方で辛い報告もしなければならない。

「ゲンさん…俺、救えなかった命があるんです」

「…話してくれるか?」

一樹は語った。溝呂木に殺され、操り人形とされた斎藤沙織を救えなかったこと、そして…ワロガに利用されたレニを救えなかったことを…

「…俺は、この事をちゃんと背負っていきますよ。あなたが、やっているように」

「…君は、強いな」

「ウルトラマンは、神では無いですから。出来ないことも、ありますよ…それに、ゲンさんが一夏に言ってたでしょ?だから、泣いてなんかいられないですよ」

一樹の脳裏に浮かぶのは、小学5年の一夏の修行風景…

 

『もう無理です師匠、俺には出来ません!!』

泣きながらゲンに言う一夏。この頃の一夏は、篠ノ之道場より厳しいゲンの修行に着いて行けなかった。

『…一夏、お前が俺の門下に入った理由は何だ?『姉や自分の周りの大切な人を守る』では無かったか?』

『…はい』

『ならばその顔は何だ?その目は、その涙は何だ⁉︎お前の涙で大切な人を救えるのか…?』

それを見守っていた一樹。当時、雪恵を脳死に追いやってしまった一樹にとって、その言葉はとても響いた…

 

「修行を見てやった一夏より、君の方が成長しているとは…」

「あはは…アイツも、ゲンさんのおかげで強くはなりましたよ。目標にしてた姉を超えるくらいには。まあ、鍛えたのがゲンさんだからってのもあるでしょうけど」

 

ゲンと話してから早数日。学園は…平和だった。

「一夏!」

「一夏さん!」

「一夏!」

「一夏!」

「一夏!」

「一夏君!」

普通の生徒は…だが。

「…あははは、賑やかだなあ、一夏一夏うるさいなぁ…もう疲れたよ、パトラッシュ」

「かーくんの目が死んでいくぅ⁉︎」

一夏の相変わらずの唐変木を見てる一樹の目が凄まじい速さで濁っていく。というか、お迎えが来かけてる。そんな1組の日常。

「…櫻井君、お菓子食べる?」

「お茶もあるよ?」

「かずやん、お話しよ」

最近、一夏が専用機持ち達を次々と堕としていくのを見て、一樹の長年の苦労が分かったのだろう。1組の生徒とは大分打ち解けた一樹。

「…ああ、もらうよ…」

そんな平和な生活が…

 

ドックン

 

「ッ!?」

空気を読まない輩に潰されようとしていた。

「悪い!やっぱり俺いらない!!」

廊下を駆け出す一樹。一樹が駆け出す理由をもう察せれる1組の生徒達。代表して静寂が一夏に言う。

「織斑君!櫻井君が!!?」

静寂の焦ったような顔を見た一夏達は頷くと、ハンガーに向かって走り出した。

 

『やれ!ブラックギラスにレッドギラス!』

IS学園からほど近い海上に、サーベル暴君、マグマ星人とその配下である双子怪獣、ブラックギラスとレッドギラスが出現。IS学園に向かって進行していく。

 

マグマ星人達を視認した一樹。その脳裏に、ゲンの言葉が走る。

 

『俺が地球で最初に戦った相手は、日本列島を海に沈めようとした奴だった。そいつらから俺は黒潮島の人々を守れなかった…これは俺が決して忘れてはならないことだ』

 

「…この学園は、沈めさせない!」

決意を胸に、エボルトラスターを引き抜いた。

「シェアッ‼︎」

 

ウルトラマンがマグマ星人達と戦い始めるのを、ゲンは離れた場所から見ていた。

「…3対1。しかも足場は水場。一樹君、君はその卑怯者を相手にどう戦うのだ?」

 

『やれ!』

《《ギシャァァァァ‼︎》》

「シェアッ!」

マグマ星人は配下の双子怪獣を突撃させる。

「ハッ!」

ウルトラマンは正面から2体の怪獣の突進を受け止める。

《グルァァァァ‼︎》

《ギャオォォォ‼︎》

「グアッ⁉︎」

双子怪獣は邪魔くさそうにウルトラマンを薙ぎ払う。そして怪光線を学園に向かって放った。

《《ギャオォォォォ‼︎》》

「フッ⁉︎ハッ‼︎」

ウルトラマンはマッハムーブで先回りすると、サークルシールドで怪光線を受け止めた。

『なかなかやる…ならば!』

マグマ星人は右手のサーベルからレーザー光線を放った。レーザー光線はサークルシールドの隙間から入り、ウルトラマンに命中した。

「グアッ⁉︎」

『やれ』

体制が崩れたウルトラマンに、双子怪獣は追撃する。足場が不安定な水場での戦闘に、ウルトラマンは防戦一方となってしまう。

《ギャオォォォォ⁉︎》

《グルァァァァァ⁉︎》

双子怪獣の背中がチェスター隊に攻撃された。意識してなかったところから攻撃された事により、双子怪獣は怯んだ。

「デェアッ!!」

その隙を逃すウルトラマンでは無い。双子怪獣の腹部にパンチを放ち、更に学園から離す為に蹴りを入れる。

「フッ!シェアッ!!」

素早くジュネッスにチェンジすると、双子怪獣をマグマ星人に向かって蹴り飛ばした。

「ハッ!デェアッ!!」

《ギシャァァァァ⁉︎》

《ギャオォォォォ⁉︎》

学園から双子怪獣が十分に離れさせる。ゲンから双子怪獣が津波を起こす能力があると聞かされているため、それを阻止するためにメタ・フィールドを展開しようとする。

「シュ!ファァァァァ…」

だが____

『止まれ、ウルトラマン。コレがどうなってもいいなら別だがな』

____マグマ星人の左手は鎖を持っていた。そしてその鎖は、いつの間にか合体していたハイパーストライクチェスターを捕らえていた。

「フッ⁉︎」

 

「クソッ!離せ離せぇぇ!!」

『ダメだ!振り切れない!?』

エンジン出力を最大にして何とか鎖から逃れようとするが、鎖は余計に絡まるだけだった…

 

『この雑魚共を見捨てられる貴様ではなかろう?安心しろ。貴様が動かなければ命は保証してやる』

「…」

ウルトラマンは悔しそうに固く拳を握る。

『…ブラックギラス、レッドギラス。そいつを殺せ』

《《ギシャァァァァ‼︎》》

命令を受けた双子怪獣が、ウルトラマンに迫る…

 

ゲンは被っていた笠を投げると、左手を突き出して叫んだ。

「レオぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 

「イヤアァッ!!」

『何!?レオだと!?』

ゲンが変身した巨人、『ウルトラマンレオ』はマグマ星人の右手のサーベルを抑える。

「フッ!?ハァッ!!」

それを見たウルトラマンは2体の怪獣を転ばせ、マッハムーブで接近。鎖を引きちぎった。

「シェアァッ!!!!」

 

『今だ!一夏!!』

「言われなくてもぉぉぉぉ!!!!」

鎖が引きちぎれた事によって解放されたハイパーストライクチェスター。すぐさまその場から離脱。ようやく現れたレオを認識出来た。

「別の…ウルトラマン?」

 

「(ゲンさん!こいつらをメタ・フィールドに送ります!!)」

「(分かった!君はその空間を作れ!!その間は俺がこいつらを相手する!!)」

「(お願いします!!)」

テレパシーで会話した2人。ウルトラマンはメタ・フィールドを展開する。

「フッ!ファァァァァ…フンッ!デェアァァァァ!!」

メタ・フィールドの範囲から逃げようとするマグマ星人だが、レオがそれを許さない。

「ダァッ!!」

『おのれ!』

 

メタ・フィールドで激しくぶつかり合うウルトラマンとギラス達。

「シェアッ!!」

《ギャシャアァァ⁉︎》

手前にいたブラックギラスに素早い足払いをかけ、転ばせる。そんなブラックギラスにつまづき転ぶレッドギラス。

《グギャ⁉︎》

「フッ!ハァァァ…デェアァァァァ‼︎」

レッドギラスの尾を掴み、ジャイアントスイング。ブラックギラスにぶつける。

《《グギャァァァァ⁉︎》》

 

『ハッ!』

「ヌッ!」

マグマ星人はレオにサーベルを振るうが、レオはエネルギーを込めた手刀で受け止める。

「ハァァァッ!!」

『グッ⁉︎』

マグマ星人の胴部にレオの突きが入る。拳法の達人であるレオの一撃に、打たれ弱いマグマ星人は大きく怯んだ。

 

ウルトラマンは双子怪獣を一方向にまとめる。

「ハァァァ…デェアッ!!!!」

クロスレイ・シュトロームで纏めて倒すと、マグマ星人と戦うレオに加勢する。レオに向かって振り下ろされたサーベルをアームドネクサスで受け止め、マグマ星人にニーキック。

「シェアッ!」

『ガァッ⁉︎』

怯んで下がったマグマ星人に、レオのハンドスライサーが決まる。

「ファァァァァ!!」

『グヌッ⁉︎』

今度はウルトラマンがマグマ星人を持ち上げ、投げ飛ばした。

「テェアァァ!!」

『ガッ⁉︎』

距離が出来た所で、ウルトラマンは胸に、レオは両腕にエネルギーをそれぞれため、コアインパルスとシューティングビームをマグマ星人に放った。

「シュ!ファァァァァ…デェアァァ‼︎」

「ダァァァ‼︎」

2つの光線が直撃したマグマ星人は、爆散した。

 

「俺の仲間を助けてくれて、ありがとうございます‼︎」

「礼を言われるほどの事でもないさ」

戦闘終了後、ゲンに深く頭を下げる一樹の姿があった。

「あの時、ゲンさんが来てくれなかったら俺は死んでました。だからありがとうございます‼︎」

「…いや、こちらも色々勉強になった。ありがとう」

一樹に向かって微笑むゲン。そして、一樹の肩を軽く叩く。

「またしばらく留守にする。俺がいない間、君に託すぞ。俺の()()を…」

「…はい!!!!」

「頼んだぞ、一樹君」

夕日を背に、一樹とゲンは硬い握手を交わしたのだった。




誰が一夏の武道の師匠がゲンだと予想出来たかな?

同じ篠ノ之流だと思う人がほとんどだと思います。

ただ、一夏はそれを超えるための修行=ウルトラ並みの修行をしてきたのだ!









よく生きてたな、一夏…記憶が正しければ真冬に滝を切れとか言われてると思うけど…

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