人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

62 / 150
勢いで書き上げたぜ!

ウルトラマンに、新たな敵が…


Episode57 影-シャドウ-

「さ〜て()()()♪放課後、お姉さんとデートしようか♪」

「ちょ、楯無さん!?」

「「「「一夏!覚悟!!」」」」

楯無と和解してから1週間が経った。自分の恋心を自覚した楯無の猛アピールにタジタジになる一夏と、それに激昂する一年専用機持ちたち。そして____

ドンッ!!

「「「「ひっ!?」」」」

「オマエラ、イイカゲンニシロヨ?」

それを止める?半狂乱気味の一樹。この1週間の1組の光景だ。

「お、おい一樹!落ち着けって!」

「誰が原因だと思ってんだごらぁ!!」

一樹は一夏と取っ組み合いになるが…

 

ドックン

 

「「ッ!?」」

エボルトラスターが鼓動を打った。それを感じた一樹と雪恵の顔が厳しくなる。一樹は一夏を突き飛ばして教室から出て行った。

「おい一樹!?まさか…」

一夏達専用機持ちも急いで一樹の後を追う。

「おい織斑たち。これから授業だぞ「今一樹が飛び出したんだ!」何!?」

 

エボルトラスターの示すポイントに駆け込んだ一樹。そこにいたのは…

「…あんたは誰だ?」

フードを深く被った()だった。

『溝呂木を倒した程度で良い気になるなよ。ウルトラマン』

「その声…ファウストか!?」

ファウストと同じ暗くて低い男の声で話しかけてくるフードの人物。ファウスト…斎藤沙織を救えなかった記憶が、右手のブラストショットを強く握らせる。

『残念だったな。私はファウストではない。斎藤沙織を救えるなどとは思わない事だ』

「斎藤沙織さんは死んだ…俺の目の前で一夏を庇ってな。だから救えるなんて思ってない」

『…つまらん。少しは動揺するかと思ったんだがな』

「背負うと俺らは決めたからな…それでも!」

ブラストショットからエボルトラスターに持ち替え、目の前のフードに突きつける。

「お前を雪や一夏の前に出す訳にはいかない!」

『それはお前次第だ』

フードが取り出したのは…黒いエボルトラスターだった。

「ッ!?」

『“継承者”がいるのが『光』だけだと思うな。無論、『闇』にも受け継ぐ者はいるさ』

そして、フードは黒いエボルトラスターを引き抜き、変身した。黒いウルトラマンに…アンファンスの銀の部分が黒に染まり、黒の部分は白。瞳は赤黒かった…つまり、アンファンスとは対になる色だった。

『我が名は“シャドウ”…さあ、なれ!光の継承者よ!』

「…ッ!」

一樹もエボルトラスターを引き抜き、ウルトラマンに変身する。

「シェアッ!」

『ハッ!』

 

『学園のすぐ裏にビースト振動波確認!チェスター早く出撃して!また闇の巨人が出てる!』

「「「「ッ!?」」」」

『急げ!闇の巨人はビーストとは比較にならん強さだ!またアイツがボロボロになる前に倒すぞ!!』

「了解!チェスターδ、出るぞ!!」

「箒ちゃん!操縦貰うよ!チェスターα、行きます!!」

一夏の操るδ機、雪恵の操るα機が先行出撃した。

 

「シュアァァァァ!!」

『ハァァァァァァ!!』

ウルトラマンとシャドウの高速蹴りが空中でぶつかり合う。

「ハッ!」

『フンッ!』

両者離れ、構える。

「フッ!」

『デュアッ!』

先に動いたのはシャドウだ。ウルトラマンに駆け寄り、勢いを乗せた前蹴りを放つ。

『フンッ!』

右に飛び込んで避けるウルトラマン。起き上がりと同時にパーティクルフェザーを放った。

「シェアッ!」

『デュ!」

シャドウは腕輪でパーティクルフェザーを受け止めると、ダークフラッシャーを放った。

『ハッ!』

「グアァァァ!?」

ダークフラッシャーをまともにくらったウルトラマンの体から火花が散り、吹き飛ぶ。

「グッ!?」

背中を強打するウルトラマン。そんなウルトラマンに、シャドウはダークフェザーを降らした。

『フンッ!デュアァァァァ!!』

「フッ!?」

かろうじてダークフェザーを避けるウルトラマンだが、起き上がりに、首を掴まれた。

「グッ!?グァッ!?」

『良い事を教えてやろう…私は確かにお前と対を成す存在だ。故に私の能力を考えて動いていたのだろうが、私はファウストやメフィストの技も使える。つまり、お前より使える技は豊富だと言う事だ!!』

「グッ!?」

そこに、クロムチェスター隊が到着した。

「かーくんが捕まってる!?」

「すぐに離させる!クアドラブラスター!ファイア!!」

シャドウの背中にクアドラブラスターを撃つ一夏。だが…

『フンッ』

シャドウは鼻で笑うと…クアドラブラスターをウルトラマンを盾にして受け止めた。

「グアァァァ!?」

「ッ!?」

今までの闇の巨人より卑劣な行動に、一夏達の動きを止める。

『フンッ。貴様ら人間がこの戦いに関与出来る訳が無いだろう。身の程を知れ愚か者供』

空いている左手からダークフラッシャーを放つシャドウ。

『フンッ!』

「「「「ッ!?」」」」

かろうじてダークフラッシャーを避けるチェスター隊。

「シュアッ!」

『グッ!?』

シャドウの意識がチェスター隊に向いた隙に、ウルトラマンはシャドウの腹部に前蹴りを放つ。腹部の痛みに、シャドウはウルトラマンを解放する。ウルトラマンはシャドウの腕と頭を掴み、投げ飛ばした。

「ハッ!」

『ガッ!?』

更にマッハムーブで近づく。空中に蹴り上げ、連続で蹴りを放つ。

「ハァァァァァァ!」

『ガアァァァァァ!?』

最後に両脚蹴りで蹴り上げた。

「シェアッ!」

『グゥッ!?』

充分に距離が離れた所で、クロスレイ・シュトロームを放つ。

「フッ!デェアッ!!」

シャドウも逆十字に構えてダーククロスレイ・シュトロームを撃つ。両者の光線がぶつかり、激しい爆発を起こす。

ピコン、ピコン、ピコン

両者のエナジーコアが鳴り響く。

「ハア、ハア、ハア…」

『グッ…これほどとはな…だが!』

シャドウはウルトラマンへ急降下。右腕と首を掴むと、地面に叩きつけた。

『デュアッ!』

「グゥッ!?」

更にダークセービングビュートでウルトラマンを拘束し、対面の地面に叩きつけた。

『ダァァァッ!!』

「グァッ!?」

『確かにお前は思ったよりやる…だが!』

ウルトラマンを寄せて、防御ができないウルトラマンにフックパンチ。

『フンッ!』

「グッ!?」

ダークセービングビュートを解き、回転の威力を加えたストレートキックでウルトラマンを吹き飛ばした。

『デュアァッ!』

「グアァァァッ!?」

フラフラのウルトラマンに、ダークレイ・ジャビロームを叩き込むシャドウ。

『フンッ!デュアァァァァ!!』

「グアァァァァァァァ!?」

『ハア、ハア…どうだ!?』

爆煙でウルトラマンの姿は見えない。一夏達も激しすぎる攻防に援護が出来ない。

『終わったようだな…』

立ち去ろうとするシャドウの背中に、クロスレイ・シュトロームが命中した。

『グォォォォ!?』

「ハア、ハア、ハア…」

爆煙が晴れると、腕を十字に組んだウルトラマンがいた。

『おのれ…』

両者ともフラフラ…次の一撃で決まる。

「フゥゥゥ…シェアッ!!」

『ハァァァ…デュアッ!!』

両者の光線が再びぶつかる。そして接近…

「ハアッ!」

『グオッ!?』

ウルトラマンが一瞬早く光線の威力を上げ、シャドウを吹き飛ばした。すぐにトドメの一撃を撃つウルトラマン。

「ハァァァ…シェアッ!!」

だが、シャドウは闇に包まれ消えた。

『ハッ!』

「フッ!?」

そして、ウルトラマンの背後に回り、ダークレイ・ジャビロームを放った

『デュアァァァァ!!』

「グアァァァァァァァ!?」

ウルトラマンは吹き飛ばされ、消えてしまった…

『グッ…今回はこれで終いにしてやる。だが、次は必ず殺しやる…』

シャドウも闇に包まれ、消えていった。

 

「ハア、ハア…シャドウとか言いやがったなアイツ。メフィストなんか目じゃない強さだった…」

しかし疑問もある。自分はダメージの大きさに何度も動きが止まった。何故その隙に『変わる』事をしなかったのだろう。

「それを考える前に…休むか」

意識を集中して、適能者(デュナミスト)案内人(ナビゲーター)の繋がりを利用する。

「…雪、聞こえるか?」

『かーくん!?大丈夫なの!?』

「あまり…だから少し俺は休む。千冬への報告は頼んだ」

『…分かった。ゆっくり休んでて』

「悪いな…」

雪との念話を終わらせ、ブラストショットを天空に向けて撃つ。現れたストーンフリューゲルは一樹を乗せると、その場を超高速で離れていった。

 

「“シャドウ”…奴はそう名乗ったんだな?」

学園に戻った雪恵は、一樹が休む事と、シャドウについて千冬に報告した。

「はい…自分はウルトラマンとは対になる存在だと…」

「対になる存在、か…確かに見た目もウルトラマンとは真逆だしな」

「…かーくんは休みながらその点を考えるそうです。だから…」

「分かっている。ゆっくり休むように伝えといてくれ」

「…ありがとうございます、千冬さん」

報告を終えた雪恵は、続いて束の部屋へと向かった。

コンコン

『…誰?』

「田中雪恵です」

『雪ちゃん!?今開けるよ!』

雪恵と分かると嬉しそうに部屋に入れる束。

「そういえばまだ挨拶がまだだったね。退院、おめでとう!」

「ありがとうございます。かーくんのおかげで何とかなりました」

「うんうん。雪ちゃんが起きて嬉しかったのはご両親を除いたらかずくんが一番じゃないかな。ところで…束さんに何か用かな?」

「…実はお願いがあって。それは____」

「____?それは今の世界的に難しいし、かずくんもあまり賛成はしないんじゃないかな?」

「そうだと思います。けど、かずくんを守るためなんです。本当は私が守りたいけど…私には、力が無いから」

「…この間、かずくんがあの生徒会長に言ってた言葉があるんだけど、聞く?」

「かーくんが会長に?」

束からヘッドホンを受け取った雪恵は、一樹が楯無に叫んだ言葉を聞く。それを聞いた雪恵は、無意識のうちに涙を流していた。

「気付いた?かずくんはね、『誰かのために頑張る人はみんなその誰かのヒーローだ』って言ってるの。それは戦うだけじゃない。誰かを支えたいと思うことが出来る人も、誰かのヒーローなんだってこと。だから、雪ちゃんはかずくんのヒーローなんだよ?」

「ヒーローですか…出来ればヒロインでいたかったなあ…」

なんて言うものの、雪恵の顔はとても嬉しそうだ。

「…でも、雪ちゃんの想いは分かった。頼まれた件は全力で何とかするよ!」

「ありがとうございます、束さん」




雪恵が束に頼んだこととは、一体…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。