人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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彼は…どうなるのか?


Episode46 宿命-サティスファクション-

一樹がIS学園で変身する少し前。

「かぁぁ!かったるいなおい」

「本当だな。パイプの点検たって見る所無いっての」

とある工場では、作業員2人が深夜の点検を気怠げにしていた。そんな2人の背後に近づく影…

「ん?何か変な音しないか?」

「言われてみれば…」

その瞬間、影が2人に襲いかかる。

「「うわあぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」

 

『○○工場にビースト反応!デュノアとボーデヴィッヒはすぐに織斑と合流してISで向かえ‼︎()()はもう行った‼︎‼︎急げ‼︎‼︎‼︎‼︎』

「「⁉︎」」

千冬の焦った声にシャルロット、ラウラは驚愕する。

「櫻井君、あの体で行ったの⁉︎」

「馬鹿な‼︎歩くことすら出来ない筈だぞ‼︎」

『現に行っちゃってるんだよ‼︎急いで第4整備室に来てくれ‼︎通常のままで行っても間に合わない‼︎』

一夏の個人回線からの叫びを聞いた2人は急ぎ第4整備室に向かう。

 

「「「「うわあぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」」」

工場では作業員達が全力で何かから逃げていた。

「何だよアレ⁉︎」

「知るか!とにかく捕まったら最後、生きてられないって事以外はな‼︎」

作業員達が逃げているのは触手だ。しかし、その触手がどこから伸びているのかは分からない。何故なら…空間に突如発生した黒い穴から伸びているからだ。その触手が、第一発見者の2人を捕らえた。

「や、やめてくれぇぇぇぇ‼︎‼︎」

「だ、誰か助けてぇぇぇぇ‼︎‼︎」

必死にもがく2人だが、触手の力から逃れられない。触手はまるで2人の恐怖を楽しんでいるかの様にゆっくり黒い穴へと引き込んでいく…そして、とうとう黒い穴に到達するというその瞬間。

「シェアッ‼︎」

ウルトラマンのセービングビュートで2人は救出された。更にウルトラマンは作業員に迫ろうとする触手をパーティクルフェザーで切断していく…

 

「「一夏‼︎‼︎」」

「来たか‼︎細かい説明は後だ。急いでコレをISに装備させてくれ‼︎」

一夏が指差すのは一樹が量産型IS用に新しく開発した『スーパーパック』だ。一夏の入学以来、急増した敵襲に対応するための装備で、エネルギー問題を解決するために小型熱核動力炉を搭載。武装としてマイクロミサイルを搭載し、重くなった機体重量をカバーするための大型バーニアで機動性も確保した、攻守共に大幅アップさせるための装備だ。量産型へ装備するのを前提として開発されているが、専用機への装備も可能。その場合、若干の不具合があるが、マイクロミサイルで気にならない程度…なのだが、現在マイクロミサイルは搭載されていない。ただの加速ブースターとしてしか運用出来ない。だが、今はそれで十分だ。急ぎスーパーパックを装備するシャルロットとラウラ。

「装備したよ一夏‼︎」

「よし!急ぐぞ‼︎ちゃんと俺について来いよ‼︎」

「ああ‼︎」

一夏は麒麟に何も装備させてないが、その必要は無い。スーパーパックが2つしか無いというのもそうだが、一夏にはコレがある。

「(急ぐぞハク!最大出力だ‼︎)」

『はい、マスター‼︎』

麒麟はデストロイモードに変身。デストロイモードとなった事で小型核動力炉と接続。ほぼ無限と化したエネルギーに物を言わせた連続瞬時加速で飛び出す。シャルロットにラウラもスーパーパックに搭載されている熱核動力炉から得られるエネルギーを使った連続瞬時加速で一夏の後に続く。夜が少しずつ明けてきた…

 

「グッ!グアァ⁉︎」

ピコン、ピコン、ピコン

ウルトラマンは作業員達を触手から守る為に懸命に戦う。しかし今までに蓄積したダメージに加え、昼間受けたダメージが動きを鈍くする。それでも何とか作業員達を守りきったウルトラマン。だが、獲物を取られた触手が縦横無尽にウルトラマンに襲いかかる。必死に迎撃するウルトラマンだが、本体がどこか分からないので、攻めようにも攻められない状態が続いていた。とうとうウルトラマンの両腕に触手が巻きつけられた。

「グアァァァァ⁉︎」

 

「「「…」」」

箒、セシリア、鈴の3人はISを没収され、懲罰房へと入れられていた。その為スクランブルの時に名前が呼ばれなかったのだ。

「私達は…」

箒の言葉に、残りの2人が首をかしげる。

「一夏のためにアイツを倒したのに、それが間違いだというのか…」

もう何度も繰り返した自問。2人も同じ事を何度も繰り返していた。

「さあ、私達には分かりません。ただ、護衛の仕事を全てサボっていた訳ではないのは…確かですわね」

「アタシ達より、箒の方がそれは分かってるんじゃない?」

そう、箒はIS学園で2度、一樹に命を助けられている。クラス代表戦と福音戦の時だ…

「アレは!…一夏に助けられただけだ」

「認めたくない気持ちは分かりますが…実際、クラス代表戦の時一夏さんごと箒さんを運んだのはあの人ですのよ」

「福音戦の時だってアンタは動揺してたからそう思ってるんだろうけどさ。最初の高出力ビーム、その直後のビームの嵐からアンタと一夏を守ったのはアイツよ」

自らも確認する様に箒に言うセシリアに鈴。箒もそれは理解出来たが、どうしても許せない事がひとつある。

「…確かに、IS関係ではアイツは仕事をしている。だが…」

「ええ、その先は分かります」

「ビーストとの戦いでは、1度もアイツを見た事が無いわね」

そう、箒達が一樹を攻撃したそもそもの理由は一樹がビーストとの戦いに参加していないと思ったからだ。

「一夏が言いかけた言葉が鍵となると思うんだが…」

「確かその言葉ってアレよね」

 

『何言ってやがる‼︎本当の前線で戦ってるのは…』

 

「この言葉が本当だとして、今までの現場にそれらしきものがありましたか?」

考える3人だが、答えが見つからない。そこに_____

「そんなに知りたいなら教えてやろうか?」

「「「⁉︎」」」

____溝呂木が空間に生まれた黒い穴から出てきた。

「アンタ、何者?」

3人を代表して鈴が問う。放たれる圧は中々のものだ。だが、溝呂木はその圧を鼻で笑う。

「なんだ?ラウラ達が言ってなかったか?溝呂木慎也だ」

溝呂木が名乗った瞬間、3人は可能な限り距離を取ろうとする…しかし所詮此処は処罰房。すぐに壁に退路を塞がれた。

「おいおい、何をそんなにビビってる」

「貴様が、斎藤沙織を殺したのか?」

箒が震える声で溝呂木に聞く。溝呂木は楽しそうにその質問に答える。

「ああ。感謝してほしいぜ。お前達の邪魔者を消してやったんだから」

「貴様あぁぁぁぁ‼︎」

激昂した3人は溝呂木に襲いかかる。だが、溝呂木はダークエボルバーから衝撃波を出し3人を気絶させると、黒い穴に3人を連れて行った…

 

『黙示録の始まりだ。ラウラ』

「ッ⁉︎」

現場に急ぐラウラのISに流れる匿名のメッセージ。だが、ラウラは相手が誰か察していた。

「(今度は何をするつもりだ⁉︎溝呂木‼︎)」

 

「さあ始めようか…地獄の饗宴を…」

溝呂木の眼前に、闇の雲が広がっていく…

 

「グアァァァァ⁉︎」

どんどん締め付ける力が強くなる触手。両腕を封じられているので引きちぎる事も出来ないウルトラマン。そこに、一夏達が到着した。

「離しやがれェェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎」

ビームマグナムを乱射し、触手を攻撃する一夏。一夏に比べたら圧倒的火力不足のシャルロット、ラウラはウルトラマンの両腕を封じている触手一本を集中的に狙い、それぞれの射撃攻撃をする。集中攻撃とビームマグナムが効いたのか、触手がウルトラマンから離れる。

「ファッ、ハァ、ハァ…」

膝をつくウルトラマン。震えながらも立ち上がり、パーティクルフェザーを触手の大群に向かって放つ。

「シュウ!シェアァ‼︎」

ウルトラマンの攻撃が効いたのか、触手は黒い穴と共に消えていった。

「ファッ…ハア、ハア、ハア…」

しかしウルトラマンはそれを確認する前に消えてしまった…

「一樹‼︎‼︎」

「櫻井君‼︎‼︎」

「櫻井‼︎‼︎」

 

「ガハッ⁉︎ハア、ハア、ハア…」

体中に激痛が走り続けるのを感じながら一樹は歩く。辺りは、既に明るくなっていた…

『かーくん』

「この声は…」

『かーくん』

声が聞こえる方へ一樹は進む。そして…

『かーくん』

「雪…」

光を得た時と同じ様に、雪恵が一樹の前にいた。

「俺は…もう、ダメかもしれない」

幻だと分かっていても、目の前の雪恵に話しかけてしまう一樹。

「…もう、終わるんだよ。俺は…」

『かーくん、まだ終わってないよ』

「…え?」

光が一樹を包み、一樹にある映像を見せる。

「ここは…」

異形の地の映像を見せられている一樹。一樹の記憶が正しければ地球上にこんな地形の島は無い。つまり…

「ビーストが作り出した『変異空間』ってとこか…」

異形の地を見回した一樹の顔が驚愕に包まれる。

「なんでアイツらがここに⁉︎」

そう、一樹の正面の崖には箒、セシリア、鈴が気絶していた。その背後に…

《クシャァァァ‼︎》

新たなビースト、クトゥーラが現れた。クトゥーラの触手を見た一樹は工場を襲ったビーストだと気付いた。

「(クソッ!)」

クトゥーラは一樹に向かって黒い霧を吹き出した。

「う、うわぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

「…き、一樹‼︎」

「…?」

体を揺さぶられる感覚に、一樹はゆっくり目を開ける。どうやら森の中で気絶していたらしい。

「…一夏か」

「はぁ良かった。ったく、こんなとこで寝てんじゃねえよ。今救急車呼ぶから「呼ばなくていい」はぁ⁉︎」

「俺にはまだ、やらなきゃいけない事が…ある」

そう言うとブラストショットを天空に向けて撃つ一樹。

「何でだよ…何でそんなになってまで戦いつづけるんだよ⁉︎一体何のために⁉︎」

「それは…俺にも分からない。けど、光は…こんな俺にこの力を与えた。だから、やれる事を、やるだけだ…」

「でも!そんな体で戦えばお前は死んじまうんだぞ‼︎俺達だって戦える‼︎だから!」

必死に一樹を止めようとする一夏。だが…

「行かせてやれ…」

「ラウラ⁉︎」

ラウラが悲痛な面持ちで一夏を止める。

「そいつの望む様にさせてやるべきだ…行くなら早く行った方が良い。すぐにシャルロットも来る…」

一樹はそんなラウラと一夏に力なく笑う。

「…ありがとう」

漸く来たストーンフリューゲルに吸い込まれる一樹。ストーンフリューゲルは一樹を乗せると、その場を超高速で離れていった…

 

IS学園に着いた途端、溝呂木が箒、セシリア、鈴を攫った事を聞かされた一夏達。

「あの野郎…今度こそ潰す」

「ああ」

怒りのあまり拳を握る一夏。その一夏に同意するラウラ。シャルロットも言葉にしないが、顔を怒りに歪めていた…

『…その溝呂木からのメッセージがあるよ』

「「「⁉︎」」」

束の言葉に3人は直ぐに席に着く。束もすぐに説明を始めた。

『今回襲われたビーストの件なんだけど…まったく同じパターンで数ヶ所やられてるんだ。けど、それは決して無作為ではなくて、あるメッセージが込められていたんだ』

「メッセージ?」

『暗号だよ』

束がそう言うと、地図上に襲撃されたポイントがマーカーで表される。

『襲撃されたのは6ヶ所、その全てのポイントを示す数値をゲマトリア解釈法で解釈した結果、ある一文が導き出されたんだ』

束の言葉に合わせて、モニターにある一文が表示される。

7つ目の封印が解かれし時、

深夜0時、

闇の扉は開き

終焉の地へと通じる

「終焉の地?それって何?」

シャルロットが質問する。そして、それに一夏が答える。

「黙示録に記された、最終決戦の場所だ」

「黙示録…」

『そう。眼帯の子に送られたメッセージは、ただの脅し文句ではなく、重要なヒントだったんだよ。奴は大胆にも、ビーストが潜む特殊異層への扉が開く正確な場所と時間を私達に教えてきたんだよ』

「そんな事のために…大勢の人を犠牲に…ふざけやがって…」

「それで束。7つ目の封印が解かれる場所は何処なんだ?」

千冬も険しい顔で束に聞く。

『今までの6ヶ所の襲撃ポイントは、全て黙示録に登場する7つの教会の位置と一致するんだ。つまり…残る最後の1ヶ所は…』

モニターの地図に新しく光る光点、そこは…

「新宿中央公園か⁉︎」

 

午後6時、新宿中央公園には既に一樹がいた。悪いと思いつつも、IS学園での束のデータをハッキングで入手したのだ。束も気付かない程の鮮やかな技術は相変わらずだ。

「終焉の地へと通じる…か。その終焉の意味は、どういう意味なのかね…」

 

「う、ううん…」

「ここ、どこですの?」

「何この気持ち悪い石…」

気絶させられていた3人が起きた様だ。3人とも異形の地を見て恐怖に震える。

「これは夢じゃないぜ。馬鹿ども」

怯える3人の前には、岩に腰掛ける溝呂木がいた…

 

「何かここ最近きな臭いのよね…私の噂好きの血がここを怪しいって言ってる気がする‼︎」

午後23時50分、新宿中央公園に入る一つの影…黛薫子。

 

『ゲートが開くまで、後10分だよ!』

「了解、クロムチェスター隊、出る‼︎」

箒達がいなくなったために、急遽千冬がβ号に搭乗する。α号にはラウラだ。α、β、γの3機は異相を超える為にストライクチェスターに合体し、新宿中央公園に急ぐ。

 

「きゃあああああ‼︎‼︎」

新宿中央公園の地下では黛がクトゥーラの触手に捕らえられ、黒い穴へ引き寄せられる所だった。そこに、ギリギリ一樹が間に合い、ブラストショットで触手を攻撃。怯んだ触手は黛を解放した。

「…あなたはこの前の…ここは危ない。地上に戻って下さい」

「さ、櫻井君…助けてくれたのはありがたいけど、これは私が追う事件よ。そう簡単に引き下がれ」

黛の言葉を、一樹は足元にブラストショットを撃つ事で黙らせる。

「戻ってくれ!この先には“死”しか無い‼︎もう…誰も死んでほしくない…」

一樹の奥にある悲しみを垣間見た黛は、一樹に問いかける。

「櫻井君…あなたを、そこまで駆り立てるのは何?あなたは一体、何と戦ってるの⁉︎」

「俺が戦っているもの…それは」

答えようとする一樹。だが、クトゥーラの触手が再度現れる。『こっちに来い』と誘う様に…一樹はそれを見て、覚悟を決めた…

「…宿命です」

エボルトラスターを取り出すと、触手に向かって走り出す。黛の視線を背に、エボルトラスターを引き抜いた。

「ウオォォォォォォォぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

一樹の体が光に包まれ、一樹をウルトラマンに変身させる。

「シェアッ‼︎」

黛に迫ろうとする触手をひたすら迎撃するが、触手の一本がウルトラマンを打ち付ける。

「グアァァァ⁉︎」

ほんの少しのダメージでも、激痛に変わる中、ウルトラマンは触手に攻撃を続ける。少しずつ下がる触手をマッハムーブで追い、ウルトラマンは触手と共に黒い穴へ消えた…

 

「シュウウッ‼︎」

触手を追い終焉の地へと着いたウルトラマン。それを見て、箒達の目が希望に染まる。

「「「ウルトラマン‼︎‼︎」」」

だが、溝呂木の言葉がそれを塗りつぶす。

「見ろ、アレが櫻井一樹だ」

「「「__________え?」」」

 

《クシャァァァァ‼︎》

「シュウウッ!」

ウルトラマンはクトゥーラの口から伸ばされる触手を右手で迎撃すると、飛び上がり、回転かかと落としを放つ。

「シェアァッ‼︎」

《クシャァァァァ⁉︎》

クトゥーラの背後に着地するウルトラマン。

「シュッ!」

クトゥーラに駆け寄るとクトゥーラの腕を掴み、ジャイアントスイングを決める。

「フオォォォ…シェアァッ‼︎‼︎」

《クシャァァァァ⁉︎》

ここまで有利に戦闘を進めるウルトラマンだが、既に膝をつき始めていた…

「フゥ、フゥ、フゥ…」

 

「はるか宇宙から飛来した光…奴はその光に選ばれ銀色の巨人になった。だが奴はその力の価値を分かっちゃいない…ん?俺が思った以上にダメージがあるだと?俺は動くだけで激痛が走るほどは与えさせてないんだが…」

「「「⁉︎」」」

悪魔の言葉に、3人の顔がどんどん青ざめていく。溝呂木の言葉が本当なら、あの時既に一樹の体は限界を迎えてた事になる。確かに、言われてみればあの時の一樹の左腕の抑え方はウルトラマンと同じだった…

「お前らの顔から判断するに、どうやら人間の時にISでタコ殴りしたってとこか…ははは!これは傑作だ。命の恩人でありながら、その命の恩人が敵に殺されるのを手伝ったなんてな‼︎‼︎」

「あ、ああ…」

「嘘、ですわ…」

「いや、いや…」

頭を抱えて膝から崩れ落ちる3人。溝呂木は、更に3人を絶望へと落とす。

「ほら、見ろよ!お前らが憎んでも憎んでも憎みきれない男が死にそうなんだ!泣いて喜べよ‼︎‼︎」

 

《クシャァァァァ!》

「フッ⁉︎」

クトゥーラの各部から伸ばされた3つの触手がウルトラマンの両腕、腰に巻きつけられた。

「グッ!グアァ⁉︎」

そして引き寄せられ、黒い霧を喰らった。体の各部で火花を散らすウルトラマン。

「グウゥッ⁉︎グアァァァァァァァァ‼︎‼︎⁇⁇」

ピコン、ピコン、ピコン

 

深夜0時になった。

「開け、闇の扉」

束の言葉が合図かの様に、公園の中央に巨大な黒い穴が発生した。

「開いた⁉︎」

『突入するぞ‼︎‼︎』

千冬の号令の元、ストライクチェスターとδ機は黒い穴へと突っ込んだ。

 

「グアァァァ⁉︎」

触手に身体を巻きつかれ、地面に何度も、何度も、何度も叩きつけられるウルトラマン。

「グアァァァァァァァ⁉︎」

 

「奴の戦いは終わる、櫻井一樹はその役目を終わらせたのさ。フフ、あははははは‼︎‼︎」

溝呂木が高笑いをあげる。3人はウルトラマンが何度も大地に叩きつけらるのを見せられ、心が潰れていく…

「もうやめてくれ…」

「いや…です…」

「やめてよ…もうやめてよぉ!」

「何故だ?お前達にとってあれは邪魔なんだろ?感謝してほしいな!!お前達の代わりに俺があれを殺してやるんだから!!!!いや、逆に俺が感謝したいな!おかげで余計な手間をかけることなく、あれを殺せる!!!!」

 

「ハァ、ハァ、ハァ」

ドクン、ドクン、ドクン

エナジーコアの鼓動が鳴り止むと、ウルトラマンは力なく大地に倒れ、瞳の光も消えた…

 

「突入、成功‼︎」

クロムチェスター隊の面々が終焉の地へと到着。すぐにビーストを探す面々。最初に異変に気付いたのは、シャルロットだった。

『う、嘘…』

「シャル?どうした⁉︎」

『い、一夏。中央のアレ見てよ…』

その言葉に、一夏だけでなく全員が中央を見る。その瞳に映ったのは…

「嘘、だ」

『そんな…』

『まさか…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで死刑囚の様に、磔にされたウルトラマンだった…

「嘘だァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

一夏の絶叫が終焉の地に響いた…




死ぬな一樹!こんなところで死ぬような奴じゃないだろ!立ち上がってくれ…立って『未来』を切り開いてくれ!!!!櫻井一樹!!!!

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