人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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お待たせしました。ではご覧ください。


Episode3 遭遇-エンカウンター-

「うし、こんな感じでとりあえず良いだろ」

片付け開始から2時間後、整備室の片付けがようやく終了した。

「一夏に写真撮って送るか…アイツ、一応心配してくれてるし」

携帯で整備室の写真を撮り、一夏に送る。

「『一応綺麗になったぞ』と…」

メールを送ったその瞬間。

ドックン

「ッ⁉︎」

懐にしまっているエボルトラスターの鼓動を感じると、表情を険しくさせて整備室から飛び出した。

 

「すげえ…あんだけゴチャゴチャしてたのに、生活スペースを確保出来たのか」

一樹から送られた画像を見て、一夏は呟く。生徒は勿論、教師ですらガラクタ扱いしていたISパーツが詰め込まれた部屋が、僅か数時間で生活スペースを確保出来たのだ。明日は使える部品を得る為にISの解体をするのだろう。

「明日は俺も手伝おうかねえ…」

「何を手伝うのだ?」

思わず出た独り言に、ルームメイトの箒が反応した。

「いや、何でもない。悪いな」

「そうか…もう時間も時間だ。私は寝るぞ」

「おう、おやすみ」

寝ようとする箒の邪魔をしないためにベランダに出る一夏。星空を見て思い出すのは、一樹といつも一緒にいた、一夏も長い付き合いの幼馴染…()()()()()()()()()が…

「一樹は…いつまで背負うつもりなんだろうな…」

一夏と一樹、そして箒は小学生時代からの顔見知りだ。小4で箒が転校するまで、同じクラスだった。しかし、『小4の夏』に起こったある事件で、箒は一樹を拒絶、また、箒がクラスメイトに話したことで、学校の皆も一樹を拒絶。箒が転校した後もそれは続き、小学校を卒業するまで一樹はずっと孤独…唯一、一樹に話しかけ続けた生徒は一夏のみだった。それでも転校などはせず、卒業までその学校に通い続けた。

「何とかしてやりたいけど…一樹の『傷』を癒せる人は、いくら考えても1人しかいないんだよな…」

一樹の『傷』を癒せるのは…

「なあ、()()。アイツを救ってやってくれよ…」

雪恵が大好きだった星空を見上げながら、一夏が呟いた。

 

「アイツに救われる資格なんて無い」

 

突如、一夏の背後で声が聞こえた。声の主は、寝た筈の箒だった…

「箒…『6年前』聞けなかった事を聞くぞ。お前がそこまで一樹を恨む理由は何だ?」

「決まっているだろう‼︎雪恵は、私の初めて出来た親友は、あんな奴が原因で()()()んだ!恨まない筈が無いだろう‼︎」

「箒…」

箒の言葉を聞き、悲痛な面持ちになる一夏。だが、()()を知らない箒に、何を言っても無駄な事は分かりきっている…

「そうか…俺は少し外を散歩してくる。窓の鍵は開けておいてくれよ」

「なに?ここは3階だぞ?」

「大丈夫だ」

そう言うと、一夏はベランダから静かに飛び降りた。

「ッ⁉︎」

慌てて下を覗き込む箒。下では一夏が呑気に手を振っていた。

「…全く。心配させるな」

 

学園の近くの森に、一樹はいた。

ドックン、ドックン

「…鼓動が早くなってる。近くにいるのか?」

エボルトラスターを見ながら、森の中を進む一樹。何かを探してる様だ。

「誰かを襲う前に、見つけないと」

 

「やっぱり、森は良いな。風が気持ち良い…」

自室を出た一夏もまた、学園の近くの森にいた。目的は一樹とは違ったが…

シュルルル…

何かが、一夏の背後に近付いていた。

「ん?」

一夏は振り向く。そこには…

キシャァァ

「ば、バケモノ⁉︎」

ナメクジの様な人間大の怪物が触手で一夏を捉えていた。

「グッ…殺られてたまるか!」

近くのガードレールに掴まって、必死で抵抗するが、怪物の力は凄まじく、徐々に引っ張られていく。その怪物は一夏を食おうとしてるのか、口らしきものを開けている。

「クソォ…もう終わりなのか…」

怪物の大口が眼前に迫り、一夏は死を覚悟する。しかし…

諦めるな‼︎

「…え?」

背後が眩く光ったと思ったら、凄まじい衝撃が来て、一夏は触手から解放された。後ろを見てみるとそこには巨大な手が怪物のいたところを潰していた。一夏は顔を上げ、巨大な手の元を見る。そこには…

「銀色の…巨人?」

一夏を救ったのは、銀色の巨人だった。

「もしかして…()()()の…」

どうやら一夏は銀色の巨人に見覚えがあるようだ。巨人はそこで一夏の方を見る。一夏はその瞳を、何故かよく知っている気がした。記憶通りなら、見たのは2回目な筈なのに…巨人は一夏を見た後、静かに消えていった…




最後の銀色の巨人って、何でしょうね?←すっとぼけ

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