人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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短いですが書けました。夏休みの始まりです。


Episode32 夏休暇-サマーバケーション-

夏休みに入ったIS学園。一夏は整備室で悩んでいた。

「うーん…どうしたものかな…」

「さっきからどうした?」

フリーダムの整備をしていた一樹が話しかける。

「いやさ。鈴からプールのチケット貰ったんだよ。最近出来た奴の」

「ほうほう」

「でも、セシリアが何か落ち込んでたからこのチケットあげようと思ったんだけど…」

「その考えは今すぐ捨てろ。学園が血に染まる事になる」

一夏がセシリアにチケットを渡したと判明した瞬間の鈴の反応が容易に想像出来た一樹。

「…でもさ。俺、今喪中だから…」

「……そうだったな」

今の一夏は沙織の件で色恋事とは無縁で行きたいのだ。それを考慮しない鈴も悪い気がする。

「かと言ってなぁ…どうしたもんか…」

「普通に話して来るしか無いだろ。黙って渡す訳にもいかないし」

「…だな。そうするよ」

その後一夏は鈴に事情を説明。最初行けないと言う事に憤慨していた鈴だが、沙織の件を話すと、流石に理解した。が…

「じゃあ、皆で海に行くのはどうよ?」

 

「…一夏」

「なんだよ一樹」

「なんで俺まで参加になってんだ?見ろよ。篠ノ之なんか今にも刀取り出しそうな雰囲気だぞ?」

整備室で寝ていた一樹を一夏が叩き起こし、正門に連れて行ったのだ。

「だって皆で海行くんだぜ?一樹も一緒じゃなきゃ。(なにより1人だけ男は辛い)」

「…」

一樹は諦めた様に頭を抱えた。

「わあったよ。んで?移動手段は?」

「…すみません。車お願いいたします」

「おいてめ。ちょっと面貸せ」

 

2時間後…

「やったー‼︎海だぁ‼︎」

シャルロットのはしゃぎ声が海岸に響く。何より驚くのはこの季節にほぼ貸し切り状態なとこだ。

「それでは私達は着替えてくる。一夏、覗くなよ?」

「箒、俺はそんな事はしない。そして今は喪中だ」

女子陣が着替えに行った中、一夏はマイクロバスの運転席に声をかける。

「一樹、お前も行こうぜ?」

「頼む…寝させてくれ…」

「駄目だ」

「…分かったよ…」

一夏は臨海学校でも来た水着。一樹はトランクスタイプの水着に、上には薄手の青いパーカーを羽織っていた。

「…臨海学校の時はウェットスーツ着てたよな?」

「あん時は飯がかかってたからな。今回下手に潜ると刺されそうだ」

主に箒に。

「…やっぱり“残ってる”のか?」

「そういうこった。ほれ、女子陣が来たぞ」

一夏が振り向くと女子陣が走ってきた。それと同時に一樹はそっと離れる。その手には釣竿とクーラーボックスがあった。

「お待たせ一夏!」

「いや、待ってねえよ。なあかず…一樹?」

「あれ?櫻井君は?」

一夏とシャルロットが首を傾げていたら、他の女子陣も来た。

 

「…やっぱり釣りじゃあまり獲れないな…」

隣の大きな岩越しに一夏達がはしゃいでいるのが聞こえる。

「…平和で良いな。コレがずっと続けば良いんだけど…」

「一樹ぃ!泳ごうぜ‼︎」

一夏がやたら良い笑顔で一樹を呼ぶ。

「嫌だ」

「即答ッ⁉︎」

一樹も良い笑顔で断る。

「そう言わずに泳ごうぜ」

「このパーカー、防水じゃねえから嫌だ」

「だったら脱げば…ごめん」

「やっと分かったか」

一夏が漸く察したと思ったら…

「良いから早く脱ぎなさいよ‼︎」

鈴が一樹のパーカーを取ろうとしていたが、一樹はあっさり避ける。勢い余って海に落ちる鈴。

「キャアァァ‼︎」

ドボンッ‼︎

「冷たッ⁉︎」

「漫画みたいな反応する奴だな…」

瞬間、後ろに殺気を感じた一樹。すぐに逆刃刀を()()受け止めた。

「チッ!」

「おいおい…今のが俺じゃなかったらお前殺人犯になってたぞ…」

箒の日本刀の斬撃を受け止めた一樹は、呆れた口調で言うとまた釣竿とクーラーボックスを持って離れようとした。

「ねえ櫻井君。なんで泳がないの?」

シャルロットが聞いてくる。流石に黙って通り過ぎる訳にもいかず…

「…色々あんだよ。本当ならここに来るつもりも無かった」

無かった、の部分で一夏を睨む一樹。

「…理由はこれだよ」

パーカーを脱いだ一樹。その体を見た全員が驚愕する。一樹の背中は、見るのも吐き気がする程酷い火傷があった…

「…ウェットスーツ無しで泳いだら小さい子は泣くだろ?それに、俺自身がこの傷を見せたく無いのもある」

流石に全員黙っていた。あの鈴でさえ、口を開けようとはしなかった。

「…一夏、帰りは誰か呼ぶから心配すんな。俺は先に帰る」

一夏が頷くと、一樹は一旦ワゴン車に戻り、着替えると携帯で宗介を呼び、ストーンフリューゲルを呼ぼうとブラストショットを取り出そうとするが…

「待て」

箒が、一樹の後ろに現れた。

「…この間の福音戦の時、雪恵の声が聞こえた…雪恵は、生きているのか?」

「……俺が話したところで、お前は信じないだろ?」

「……」

「どうしても知りたいなら…」

一樹はあるカードを箒に投げた。箒がキャッチすると、そこには病院の名前と、住所が書かれていた。

「…一夏とそこに行くんだな」

そう言うと、車から離れ、誰も見ていないとこでストーンフリューゲルを呼び、IS学園に帰って行った。




ではまた次回

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