人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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トラウマ回。苦手は人は注意。


Episode26 人形-マリオネット-

彼女のあどけない笑顔、何気無い仕草、全てが愛おしかった。彼女と続く時間は永遠に続くと信じ、俺は2人の未来に…ただ光だけを見つめていた。by一夏

「もしもしお母さん?昨日はお見舞いに来てくれてありがとう。お父さんや隆も一緒で嬉しかった。でね、今度家に呼びたい人がいるんだ。そう、前にも話した織斑君。彼に私の家族を紹介するって約束したから…うん、お願いね」

東武病院の公衆電話で沙織は話していた。しかし、その公衆電話はどこにも繋がっていなかった…

 

IS学園の射撃訓練場で、ラウラが訓練をしていた。いつものラウラなら常にポイントの中心部に命中するのを、今回は今ひとつ精度が低い。

 

『ラウラ、次に会った時に交換だ。良いな?』

そう言って、ラウラに自分の名前が彫られたドッグタグを差し出す溝呂木。

『了解しました』

ラウラも自らの名前が彫られたドッグタグを溝呂木に渡した…

 

「動揺しているな…お前も」

その後ろに千冬が現れた。

「…はい。見苦しいとこをお見せしました…」

「気にするな。死んだと思ってた男が自分の目の前に現れようとしているんだ。動揺するなとは流石に言わん」

「…奴が、敵だと思われますか?」

「…今の段階では、その線がかなり濃厚だ。しかし、櫻井達を持ってしても、奴の居所は掴めん。かなり警戒してると見て間違い無いだろう」

「…昨日の戦闘を見たんですが、櫻井の動きがいつもより鈍く見えました」

かつてラウラはウルトラマンを自分のISで攻撃したことがある。それでもウルトラマンは俊敏な動きでビーストを追い詰めていた。しかし、昨夜の戦闘では、体に重しが乗っかってる様な動きだった。

「織斑にも同じ事を聞いた。恐らく、あの空間は櫻井にとって毒と同義なのだろう。あの黒い巨人に関しては、名を“ファウスト”と言うこと以外知らないらしい。現在、学園の外から調査をしてると聞いた」

「良い情報があると良いのですが…」

「…そうだな」

 

一夏は自分に割り振られた部屋で、沙織にもらったお守りを見ていた。

 

『はいこれ』

『ん?何コレ』

『私が作ったお守り、“ガンバルクイナ君”って言うんだ。今度の春からIS学園に入学でしょ?お守りに持ってて』

『ありがとう』

 

「…そんなこともあったな。あれからなんだかんだ言って3ヶ月経つんだな…」

ガンバルクイナ君を受け取った時の事を思い出し、思わず笑顔になる一夏。そこに、白式があるメッセージを受信した。

オ前ハ、大切ナ者ヲ失ウ

「大切な者を…失う⁉︎」

 

東武病院の病室で、沙織は寝ていた。しかし、視線を感じて起き上がると、窓のブラインドを開けた。そこに、若い男の声が響く。

《お前は…人形》

「誰⁉︎」

《俺が作った…美しい人形だ》

「誰⁉︎」

沙織がそこで窓を見ると、沙織の後ろにファウストが写っていた…

 

「ッ!」

一夏は謎のメッセージを見ると、慌てて飛び出そうとする。扉を開けた所には、箒がいた。

「一夏、一緒に昼食を…どうした?そんなに慌てて」

「箒!悪いが俺、行ってくる‼︎」

「お、おい一夏⁉︎」

 

「そんな…沙織が…いない⁉︎」

東武病院に一夏が駆けつけると、受付で沙織が病室から消えていると聞かされた。

「え、ええ…朝確認したら、いなくなってて」

看護師の言葉を最後まで聞かず、一夏は病院を飛び出した。

 

「ハァ、ハァ、ハァ…クソッ!ここのところ連戦で休んでらんねえ…」

一樹はあるビル街にいた。ここのところIS学園に顔を出していない。

ドックン

「…また来たか…今度こそ仕留める」

エボルトラスターの鼓動を感じると、一樹は再び動き出した。

 

「ただいま…」

沙織は自分の家にいた。奥の扉が開き、弟の隆が出迎えてくれた。

「姉ちゃん、お帰り!」

「ただいま、隆」

「父さん、母さん、姉ちゃんが帰ってきたよ!」

隆の言葉に、両親が出て来た。

「お帰り、沙織」

「思ったより早く退院出来たな」

優しい両親の顔を見て、沙織は何故か涙が出て来た。

「うん…うん」

 

シャルロットはここ数年起きた不可解な事件を調べていた。そこに、気になる事件を見つける。

「“家族4人が行方不明”?」

その記事をタップし、詳しい内容を読む。

「ッ⁉︎これは⁉︎」

そこには、斎藤沙織の名と写真があった。

 

「ところで沙織、彼氏とはどうなの?」

「最近あまり会えてないけど、元気だと思うよ」

「確か、IS学園に通ってる…織斑一夏だっけ?」

「うん、そう。今度私の家族を紹介するって言ったの」

家族と幸せそうに話す沙織。しかし、急に表情を暗くすると、とんでもない事を言う。

「織斑君って…誰だっけ?」

気づくと沙織の周りには誰もおらず、沙織は部屋に1人となっていた。

「私って…誰?」

1人の部屋に、沙織の声が響く。

「どうして一人ぼっちなの?ママは?パパは?どうして私を置いて行っちゃったの?怖い…怖いよ…」

沙織が後ろを振り向くと、鏡があり、近づくと、ファウストが写る。

「化け物⁉︎」

鏡から出て来て、沙織に近づくファウスト。後ろに下がる沙織。

「来ないで…イヤァァァァ‼︎」

 

沙織の家にバイクを走らせる一夏の前にファウストが現れる。

「…そこをどけ!」

麒麟のビームマグナムを展開し、ファウストに銃口を向ける。

『人間よ。貴様らに選択する資格は無い』

「何⁉︎」

『全て無駄なのだ。運命を受け入れ、我らに従え』

「黙れ‼︎貴様が…沙織を何処かへやったんだな⁉︎沙織を返せ‼︎」

マグナムを撃つが、ファウストは手で弾く。

『さ、お、り?その女は…もうじき消える…』

「…一体、どういう意味だ?」

『貴様も…一緒に消える‼︎』

ファウストの波動弾が一夏に迫る。一夏は思わず、腕で顔を覆う。

「止めろ‼︎」

そこに一樹が到着、一夏の頭上に向けてブラストショットを撃つ。ブラストショットから撃たれた弾丸は一夏の頭上でバリアに変わり、ファウストの波動弾を受け止めた。

「一樹!」

 

「織斑が飛び出したのは…この脅迫文が原因か…何処から出したか特定出来るか?」

「やってみます…」

一夏が飛び出したと、箒に聞いた後、千冬、麻耶は場所の特定をしていた。

「…あれ?この学園の近くに、同じ様な電波があります」

「何?」

そのポイントを見て、今まで黙っていたラウラが話す。

「教官、私が調べてみます」

「…頼んだ」

麻耶が特定した場所には、季節外れの黒いコートを羽織った青年がいた…

 

『現れたな。ウルトラマン』

一樹はファウストには答えず、一夏の方を見る。

「…行け」

「一樹⁉︎でも!」

「早くしろ。ファウストは俺が倒すべき相手だ。お前は…俺の様になるな」

そう言うと、エボルトラスターを引き抜き、ウルトラマンに変身する一樹。

『…砕け散れ』

ファウストはウルトラマンに向け破壊光弾を撃つが、ウルトラマンはアームドネクサスでそれを受け止める。

「ハッ!」

そしてジュネッスにチェンジ。

「シュウッ!」

メタ・フィールドを展開した。

「フッ!ファァァァァ…フッ!デェアァ‼︎」

一夏を巻き込まないように…

 

メタ・フィールドに入ったウルトラマン。ファウストは近くにおらず、周りを警戒する。突如、上空で爆発音が起きた。

「フッ⁉︎」

ウルトラマンが上空を見ると、最初にファウストと戦った際にファウストが使った光弾の雨が大量に降ってきた。ウルトラマンはバック転でそれを回避していくが、爆風に吹き飛ばされ、空中で動きが止まってしまう。そこにファウストの飛び蹴りがウルトラマンに直撃する。ファウストはそのままウルトラマンを掴み、地面に叩きつける。

『フンッ!』

「グァ⁉︎」

ウルトラマンを叩きつけた後、ファウストは余裕からか、ウルトラマンを離す。

『私は影…お前が存在する限り…私が消えることは無い‼︎』

 

ウルトラマンがファウストをメタ・フィールドに送ったことにより、道が開いたので、一夏は沙織の家に急ぐ。

「沙織…」

 

「グォ⁉︎」

『フハハハハ…フンッ!』

「グゥッ⁉︎」

ダメージの大きさに立ち上がれず、両手両膝をついているウルトラマンを、ファウストは容赦なく蹴り飛ばす。

『ここなら勝てると思ったか⁉︎』

そう、メタ・フィールドというウルトラマンに有利な空間の筈なのに、ウルトラマンは手も足も出ない。ファウストはそんなウルトラマンの両肩を掴み、強引に立たせると、フックパンチ。

「グッ⁉︎」

さらにウルトラマンを投げ飛ばす。

「グォッ⁉︎」

投げ飛ばされたウルトラマン。なかなか立ち上がれない様子を見たファウストは、止めを刺そうとする。

『そろそろ楽にしてやる。フンッ!デュァァァ‼︎』

ファウストは両手を突き出し、破壊光弾を撃つ。破壊光弾はウルトラマンに命中、大爆発を起こす。

『たわいない』

そのままメタ・フィールドから去ろうとするファウスト。しかし、ウルトラマンはまだ倒れてはいなかった。

「フォォォォ…ヘェア‼︎」

『何⁉︎』

なんとか立ち上がるウルトラマン。止めを刺したと思っていたファウストが驚愕の声を上げる。ウルトラマンはその隙にクロスレイ・シュトロームを撃つ。

「フッ!シェアッ‼︎」

『グゥッ⁉︎』

ファウストの左肩に命中するが、まだ倒れてはいなかった。

「フッ、フッ…」

ピコン、ピコン、ピコン

コアゲージが鳴り響く中、ファウストは消え始める。ウルトラマンは右手を伸ばすが何も出来ず、ファウストは完全に消えた。

 

「ハァ、ハァ、また…逃げられたか…ウグッ」

変身を解いた一樹。しかしダメージの大きさにしばらく立ち上がれないでいた…

 

「沙織!」

沙織の家に着いた一夏。インターホンを鳴らすが一向に出て来ず、ノブを回したらあっさり開いた。一夏はすぐさま部屋に入る。そこで見た物に一夏は驚愕する。

「これが…沙織の、絵?」

沙織が得意とする、動物達の愛らしい絵では無く、暗い、光を感じない生物。そう、まるでビーストの様な物が描かれていた。中には、頭を潰された状態の人の顔、恐怖に歪む顔が描かれた物もあった…

「嘘だ…これが沙織の絵だなんて…嘘だァァァァァァ‼︎」

一夏の絶叫が部屋に響いた。

 

「教えて…私は…誰?」

左肩を抑えながら森をさまよう沙織。

「誰なの⁉︎」

そこに声が響く。

《お前は、誰でも無い》

「え?」

《そう…お前は人形だ。何故なら、お前という存在は、とっくの昔に死んでるからな》

「…私が…死んでる…」

沙織の頭に、ある映像が流れる。巨大な爪に襲われ、体を引き裂かれる両親と弟。そして、自分に振り下ろされるその爪…

「キャァァァァァァ‼︎」

 

全ての歯車が狂い出していた。まるで、どす黒い霧に包まれたみたいに、完全に光を見失い、俺はこれから、どこへ行くべきかも分からずにいた…by一夏

 

白式に脅迫文を送ったと思われる場所へラウラが着くと、そこにある男性がいた。その男性に銃を突きつけながらラウラが言う。

「…やっぱり生きていたか…溝呂木、慎也…」

その男性は銃を突きつけられているにも関わらず、平然としていた。

「ただいま…ラウラ」




トラウマ回なのに、作者の文才が無いせいでそこまで怖くないってオチ。

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