「…キツイ」
どうも、世界で始めてISを動かした男子、織斑一夏っす!…なんてハイテンションにはなれねえ…なにせ__
「俺以外みんな女子…しかも最前列、中央の席だからな…さっきから視線が辛い…俺は動物園のパンダですかっての」
せめて幼なじみの篠ノ之箒がいるだけマシ…って目をそらしやがった!裏切り者‼︎
「…りむら君、織斑君!」
「あ、はい!」
しまった!現実逃避してて先生の話聞いてなかった!
「あ、ごめんね!今自己紹介してて今“お”なの。だから自己紹介してくれませんか?」
今、俺の前で涙目になっているのは、副担任の山田真耶先生だ。しかし、先生。生徒にそんな態度で良いんですか?威厳が…
「します、しますから!」
「ほ、本当ですか?約束ですよ⁉︎」
いや、約束も何もすぐにしますから…
「織斑一夏です。よろしくお願いします」
…え?待って、何その“まだ終わりじゃないよね?”って視線。無理無理!そうだ!箒に助けを…ってまた目をそらしやがった‼︎薄情者‼︎こうなったら…
「以上です!」
ガタガタッ!
最終手段を取ったら全員ずっこけた。何故だ?
「自己紹介もろくに出来ないのか?馬鹿者が」
そこに俺にとって馴染み深い気配…いや、最後に会ったのいつだっけ?まあ良いや。ここはいつものノリで返そう。
「ゲッ⁉︎関羽‼︎」
スパンッ!
「イッテェェェェ‼︎」
「誰が三国志の英雄だ馬鹿者が」
今俺を殴ったのは出席簿か⁉︎これが『普通の人』だったらめちゃくちゃ痛いぞ‼︎ついでに親父にもぶたれたこと無いのに‼︎
「そのセリフはサ○ライズに謝っておけ。あと早く席につけ」
「はい、すみません」
頭が痛む
「諸君、私が織斑千冬だ。ここでは私の命令は絶対だ。良いな?良くなくても返事をしろ」
いや、そんな独裁者みたいなセリフだと皆がこわが…
『キャァァァァァァ‼︎』
りませんでした。我が姉の知名度を舐めていた様です。黄色い声で鼓膜破けそうです。マジ助けて。
「静かにせんか馬鹿ども‼︎」
千冬姉の一喝で教室がシーンとなる。おぉすげえ‼︎『あそこ』並の統率度だ‼︎
「さて!諸君にもう1人紹介せねばならない者がいる!」
「「「「え?」」」」
…え?誰?そしてなんでみんなとは別に?
「そこでマヌケ面を晒してる奴の護衛としてIS委員会が送って来た精鋭だ。皆、コイツの手を煩わせるなよ。では入ってくれ」
ガラガラッ
教室に入って来たのは…
「…今、織斑教諭に紹介された櫻井一樹です。ISを扱うことは出来ませんが、とあるバカのせいでここにいます。面倒だとは思いますが、どうかよろしくお願いします」
俺の、幼なじみの1人であり、
「では、HRを終わる。休み時間にして良し!」
千冬が教室を出るとほぼ同時にIS学園の8割方の生徒が1年1組の教室に押し寄せてきた。ほとんどは一夏への好意的な視線だったが…
『ちょっと、あの男子…』
『織斑君の護衛としてIS学園に来たみたいだけど…』
『えぇ⁉︎
『ISを使えないくせになんで護衛役なんて出来るのかしら』
『織斑君の方が強そう』
『ちょwwwwそれはwwww言ったら駄目なヤツwwwwww』
『だって事実じゃない』
一樹に対しては碌な話が無かった…「(ま、いつもの事だけどな)」
苦笑する一樹。彼は以前からこの手の噂には慣れっこなのだ。
「よ、一樹。卒業式以来だな(何で護衛の件教えてくれなかったんだ?)」
「そうだな。春休みはお前が忙しかったしな。(昨日の晩、急に依頼が来たんだよくそったれ)」
「…まあな。おかげでのびのび遊べなかったよ。(…よく受けたな。いや、俺以外の男子、しかも知り合いが来てくれたのは嬉しいけどよ)」
「…苦労してるな(あまりに急だったから料金は月に100億で交渉した)」
「これからの生活が怖いです。(高ッ⁉︎それ政府相手の定価の100倍じゃねえか‼︎)」
「大丈夫だろ、お前なら。(ま、結果は月に80億だけどな)」
「他人事だと思いやがって…(それでも充分高いと思うぞ)」
()の中は2人のアイコンタクトでの会話だ。アイコンタクトでこれだけの会話が出来る必要がある所に2人はいるのだ。
「ちょっと良いか?」
「ん?なんだ箒」
目の前にいる女の子、篠ノ之箒が話しかけてきた。“一夏”に。
「…行ってこいよ、一夏」
「あ、ああ」
護衛役とは言っても、一夏と常に一緒にいる必要はない。本来ならそうするべきなのだろうが…
数分後…
キーンコーンカーンコーン
「あ、危ねえ!」
箒と屋上へ行っていた一夏が戻って来た。全力疾走で。
「(もっと余裕持つ様にしろや…)んじゃ、一夏授業頑張れ」
「へ?一樹も授業受けるんじゃないのか?
「は?扱えないのに?」
「…」
「…」
「…そりゃねえぞ‼︎結局俺教室に1人かよ‼︎」
「…煩い。意味も無い授業を受ける気はさらさら無い。じゃあな」
一樹はそう言って教室を出ようとする。丁度タイミング良く千冬が教室に入ってくる。
「なんだ櫻井。授業が始まるぞ。まさかサボる気ではあるまい」
「サボるって言いかたが悪いな。俺は受ける必要の無い授業は教室を出て、周りの生徒に迷惑が掛からない様にしてるだ。むしろ感謝してほしいぜ」
平然と千冬の横を通り過ぎようとする一樹。当然千冬の出席簿が降りてくるが…
パシッ!←一樹が出席簿を受け止めた音。
ガッ!←そのまま千冬の右腕を掴んだ音。
ブンッ!←一樹が千冬を投げ飛ばした音。
ガッシャーン!←千冬が掃除用具入れにぶつかった音。
「…IS委員会経由で伝わってないのか?俺は知り合いからでも、敵意を感じれば容赦しないってな…」
言葉の後半あたりでは千冬だけでなく、教室全体に殺気を放出していた。殺気と言っても脅し程度のものなので殺気に慣れている?一夏と千冬は冷や汗程度で済むが、生徒達はそうでは無い様だ。ガタガタ震えている。先ほど一樹を見下していた女生徒達も…
『『『『(さ、櫻井君は怒らせちゃ駄目!絶対‼︎)』』』』
「…おら千冬。いつまで倒れてる。手加減したんだからすぐに起きれるだろうが。それとも鈍ったのか?」
「…少しなまっていた様だ。トレーニングを少し増やすことにしよう」
「そうしとけ」
それだけ言うと、一樹は教室を出て行った。
「ちょっとよろしくて?」
授業終わりの休み時間、一夏と一樹が話していると2人…いや、一夏に話しかける女子。金髪ブロンドの縦ロール、蒼い瞳、日本人離れした容姿に毅然とした態度。急に話しかけられたため一夏は「は?」と間抜けな声を出した。
「まあ何ですのそのお返事は?本来なら私と同じクラスになれただけで大喜びするべきですのよ?」
ピキッ、と一樹と一夏の眉間に一瞬シワが出来るが、本当に一瞬の事なので目の前の女子は分からなかったようだ。
「まあ、私は優しいですし?同じクラスになったからには相応の態度であれば話しかけるのを許してあげても良いですわよ?」
「「(貴様…優しさの意味を履き違えてはおらんか?)」」
「聞いておりますの?」
「…ああ、聞いてるよ」
「まあなんと気品に欠けた言葉だこと。ISを扱えると言うから少し期待してみれば、期待ハズレでしたわ」
「「(何様だコイツ…)」」
「悪い。俺、君が誰か知らねえんだ」
「知らないですって?このイギリス代表候補生にして入試主席のセシリア・オルコットを⁉︎」
「「(前半はともかく後半ぶっちゃけどうでも良い)」」
「おう、知らん」
「…」
一夏のあっけらかんとした言いかたに、セシリアと名乗る少女の顔が面白く変わる。一樹は先ほどから笑うのを堪えるのに必死だ。
「他の生徒は知っていましてよ⁉︎入試で唯一教官を倒したこの私を‼︎」
「へぇ…俺も倒したけど?」
「へ⁉︎私だけだと聞きましたが⁉︎」
「
「な、な…」
セシリアという女子が何か言おうとするが…
キーンコーンカーンコーン
授業開始のチャイムが鳴った。
「ッ⁉︎また後で来ますわ。逃げないで下さいよ!よくって⁉︎」
「逃げれるなら逃げたいんですが…悲しいけど俺、あまり身動き取れないのよね」
一夏はそう呟き、自分の席に座る。一樹は逆に教室を出ようとするが、教室に入ってきた千冬に話しかけられ、一夏の隣に椅子を置いて座り直した。
「さて、先ほどは普通に授業をしたが、この時間はクラス代表を決める」
これが、騒動の始まりだった…
一応書き置きはあるのですが、誤字脱字が酷すぎるので、次がいつ更新出来るかは分かりませんが、なるべく早く更新します。