人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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発音間違ってるかもしれません。


Episode16 和解-レコンシリエーション-

「やっぱり、ボーデヴィッヒのISには《ヴァルキリー・トレースシステム》が積まれてたのか?」

戦闘終了後、一樹は千冬から話を聞いていた。そこには一夏もいた。

「ああ…ヴァルキリー・トレースシステムはIS条約で使用、開発、研究の全てが禁止されているんだが…」

「まあ、今回のことで近い内に委員会から強制調査が入るだろうな。後、強襲者からは?」

「ただ『上からの指示を受けた』としか言っていない」

「そうか…悪いな。面倒ごと押し付けて」

「気にするな。流石に尋問までお前に任せる気は無い。既に3回、お前は学園を命懸けで守ってくれているからな…櫻井、お前に聞きたいことがある」

「…コレのことか?」

一樹は写真でウルトラマンを見せると、千冬は頷いた。

「…このことを一夏が報告したのは千冬だけか?」

「いや、山田先生も聞いていた」

「そうか…悪いが、今は話せない」

「…分かった。何か協力出来ることがあったら遠慮なく言ってくれ」

「…悪い、助かる」

 

「負けた…か」

ラウラは保健室のベットで横になっていた。先ほど千冬が来て自分の現状を説明してくれた。そして、今回自分を止めてくれた存在を…

『今回、お前の暴走を止めたのは誰だと思う?』

『え?教師の方々ではないのですか?』

『不完全とはいえ仮にも私の複製だぞ?並みのIS乗りに止められると思うか?』

『いえ…では、誰なのでしょうか?』

『織斑と櫻井だ。アイツらがやったのでなければ、今頃お前の四肢はくっついたままではなかっただろうな』

これを見ろ、と千冬に渡されたUSB。言われた通り録画された映像を見てラウラは驚いた。

『手加減、されている?』

『気づいたようだな。私の複製を相手に、アイツらは中のお前を傷つけぬよう手加減をしていたんだ。櫻井の剣速を見てみろ。あんな速さだったら簡単に一刀両断出来たものを、お前を救出するために腹部を少し切り裂いた他は雪片を受け止めるだけ。織斑もそうだ。零落白夜の間合いを把握しなければ、お前の顔に傷がないはずがない』

実際、ラウラの体のダメージは本人の意思の外で激しい動きをしたのが原因である。一樹、一夏の攻撃は全く関係ないのだ。

『さて、どちらが素人なのか、よく考えてみる事だ。何、時間は山のようにあるぞ。なにせ3年間はこの学園に在籍しなければならんしな。その後も、まあ死ぬまで時間はある。たっぷり悩めよ、小娘』

「ふふっ、ははっ…」

相変わらず狡い人だ。言いたいことだけ言って言い逃げとは。

「自分で考えて行動する…か」

今まで自分が『強さ』を求めたのは1年前、千冬がいなくなってからが大きな理由だ。無論、()()理由もあるのだが…それで確かに1年前よりは強くなった。しかし、それでもあの2人には敵わなかった。

「完敗、だな。ははっ」

笑う度に身体中が痛むが、それすらも心地よく思えた。

「織斑一夏、か…」

ラウラの中で一夏の株が上がっていく。自分が憧れた人の弟で、更に強い…一夏の事を考えてると頬が赤くなっていくが、すぐに起き上がって身だしなみを整える。彼女には、まずやらなければならないことがあった。

 

「またトーナメント中止か…まあ、仕方ないけど」

ラーメンをすすりながらぼやく一夏。目の前ではシャルルがマカロニグラタンを食べている。

「でも、データを取りたいから1回戦だけはやるみたいだね。僕達は終わっちゃったから関係無いけど」

「そうなんだよな…」

一夏の視線にふと箒が映る。そう言えば前に約束していたなと思い出し、声をかける。

「そう言えば箒。約束の件だけど…」

「な、なんだ?」

「付き合っても良いぞ」

瞬間、食堂が揺れた。

「り、理由を聞こうか⁉︎」

「幼馴染みの頼みだしな。買い物くらい付き合うさ」

瞬間、一夏はボコボコにされた様に生徒達には見えた。実際はタイミング良く攻撃を受ける箇所に力を入れた為、大したダメージは無い。

「そんなことだろうと思ったわ‼︎」

最後にひと蹴り入れて、箒は自分の部屋へ戻った。一応ダメージを負った様に見せる為に少し腹部を抑えていると

「一夏ってたまにわざとやってるんじゃないかって思えてくるよ」

シャルルのありがた〜い言葉?を頂戴したのだった。

 

一樹が整備室で寛いでいると、扉をノックする音が聞こえた。

「?どうぞ」

一夏ならノックしないで入ってくる為、疑問に思いながらも入室を促すとそこにはラウラがいた。

「ん?ボーデヴィッヒか。怪我は大丈夫なのか?」

「ああ。打撲と打ち身程度だったからな。この程度の痛みには軍で慣れている。それより…」

ラウラはいきなり土下座をしてきた。もちろん一樹は戸惑う。

「お、おい。いきなりどうした?」

「すまなかった…」

「へ?」

「お前の背中にレールカノンを撃った件だ。本当にすまなかった」

ラウラとってやらなければならないこと。それは戦闘中のウルトラマンを攻撃した事への謝罪、つまりは一樹への謝罪だった。

「…それは俺に謝んないで、あのウルトラマンとやらに謝れよ」

「…そうだな。だが、お前に謝りたかったのも事実だ。本当、すまなかった…」

「…俺は気にしてない。ただ…次からは協力出来るかな?」

一樹は立ち上がってラウラに近づき、右手を差し出す。ラウラはそれを迷わずに握り返した。

「改めて…櫻井一樹だ。あんま接点は無いだろうが、よろしく頼む」

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。呼び方はラウラで良い。こちらこそよろしく頼む。それと、昼間はありがとう」

「…聞いたのか。ま、それが俺の仕事なんだ。俺のことは気にしなくて良いぜ」

その時、一樹の胸元でエボルトラスターの鼓動が鳴ると共に、地面が揺れる。

「この振動は⁉︎」

ラウラは近くのISに掴まり、振動にたえる。

「ラウラ!悪いが生徒の避難誘導を頼む!俺は行く‼︎」

「了解だ!こっちは任せろ‼︎」

 

「山田先生!状況は⁉︎」

千冬が急いで管制室に入ると、既に麻耶が待機していた。

「相手は前回逃したあの怪獣です。現在、教師陣がISを装備して対応しています…ですが、陣頭指揮は教頭です」

「クソッ!よりによって1番使えない奴か‼︎」

千冬の言った通り、教頭はただ年功序列で決まった形だけの教頭だ。しかし、教頭の権利を鼻にかけ、町を歩けば男に自分の食事代や交通費を出させると言う、まさに女尊男卑の典型とも言える人物だった。同じ女性からも疎まれる教頭の指示は誰一人聞かず、各々が攻撃すると言う状況だった。バクバズンはその教頭を口から伸ばした触手で捉えると捕食しようと口に近付ける。

「イヤ!来ないで‼︎誰か助けなさい‼︎」

しかし、他の教員も、触手に狙われており、下手に動けない状況だった。教頭の眼前にバクバズンの口がせまる。

「イヤァァァァ‼︎」

 

「今度こそ仕留める‼︎」

学園の屋上に着いた一樹。すぐさまエボルトラスターを鞘から引き抜き、天空へ掲げた。

「ハッ!」

光が一樹を包み、一樹をウルトラマンに変身させた。

 

教頭は目の前に口が迫り、死を覚悟した瞬間。

「ヘェアァッ‼︎」

光の鞭『セービングビュート』が教頭を救い出し、教頭をIS学園屋上へと移動させた。教頭は腰が抜け、動けなくなった。

 

「シェアッ!」

《グルルル…》

バクバズンはウルトラマンを見つけると、未だ治って無い翼の恨みとばかりに腕を振って攻撃してくる。ウルトラマンはバック転で回避し、右ストレートキックを放つ。バクバズンの腹部から火花が散り、バクバズンが2歩下がった。ウルトラマンはさらに飛び回し蹴り、回転右ストレートパンチ、左回し蹴りを喰らわし、少しずつバクバズンを学園から離していく。バクバズンはウルトラマンの連続攻撃に、されるがまま地面に転がってしまう。ウルトラマンはバクバズンを掴み、自らの頭上へ持ち上げると、更に遠く投げ飛ばす。

「シェア!」

《ギャシャアァァ⁉︎》

バクバズンが地面に転がっている間に、左のアームドネクサスをエナジーコアへくっ付け、アンファンスからジュネッスにチェンジする。

「フッ!シェア‼︎」

そこへ一夏、シャルルが到着する。一夏は既にシャルルからスナイパーライフルを借りている。

「ウルトラマン!先生達は救出した!あの空間を頼む‼︎」

「僕たちが援護するよ‼︎」

ウルトラマンは2人に頷くと右手を左のアームドネクサスへくっ付け、大きく円を描き、構えた後、天空へ掲げた。

「フッ!フアァァァァ…シュ!ヘアァ‼︎」

メタ・フィールドを展開し、バクバズンを隔離する。一夏とシャルルもそのドームの中へ入った途端、管制室からはウルトラマンもバクバズンも消えた。

「メタ・フィールドの展開を確認しました」

「よし、織斑達が戻るまではレベルDの警戒態勢を維持する」

「了解です」

 

メタ・フィールド内ではウルトラマンとバクバズンが睨み合い、円を描く様に回っていた。

「フッ!」

《グァァァァ!》

先にウルトラマンが仕掛け、バクバズンに向かって走る。バクバズンもウルトラマンに向かって走ってくる。

「デェアァァ!」

ウルトラマンは両者の勢いを利用し、バクバズンへラリアット。素早く起き上がり、バクバズンの方を向く。しかし、バクバズンは見えない。辺りに不気味な風が吹いた…次の瞬間!

《グシャァァァ‼︎」

「グオッ⁉︎」

地面からバクバズンが現れ、そのパワーでウルトラマンを放り投げた。 ウルトラマンが倒れると、バクバズンは爪を振り下ろそうとする。ウルトラマンの脳裏に左足を攻撃された場面が蘇るが…

「させるか‼︎」

「やらせないよ‼︎」

一夏がスナイパーライフル、シャルルがガトリングガンで爪を攻撃し、爪を折った。

「やれ!一樹‼︎」

「今だよ!櫻井君‼︎」

「シュ!」

爪が折られ、怯んだバクバズンの腹部へ容赦無く蹴りを入れると素早く起き上がり、右腕のエルボーカッターでバクバズンを攻撃。バクバズンから火花が散った。

「デェアッ!」

更に飛び込みチョップで前屈みにさせると。その頭を両手でつかんでニーキックを2連発。怯んだバクバズンを更に掴み、再び頭上へ上げる。

「フォォォ…ヘェアァ‼︎」

遠くへ投げ飛ばすとバクバズンと距離を取ると、両腕にエネルギーを貯める。

「フッ!シュ!フアァァァァ…フッ!ヘェアァ‼︎」

必殺、オーバーレイ・シュトロームをバクバズンへ向かって撃つ。

バクバズンはそれを受けると、青白い粒子となって消えていった。

「「やったぁ‼︎」」

一夏とシャルルがハイタッチしている姿を、ウルトラマンは優しい雰囲気で見ると、メタ・フィールドを解除しながら消えていった。

 

『こちら織斑、怪獣の消滅を確認しました。これより帰還します』

一夏からの報告を受け、千冬は警戒態勢解除の命令を出す。

「よし、警戒態勢解除。各自、部屋に戻って就寝の準備。今夜は特例として消灯時間を1時間伸ばすが、早めに就寝するように」

 

変身を解き、元の姿に戻った一樹。上を見上げると、寮に帰る2つのスラスター光が見えた。

「…ありがとな。2人とも」

 

翌日、

()()()()()()・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

「「「「えぇぇぇぇぇぇ⁉︎」」」」

「デュノア君は、デュノアさんでした…また部屋割りを考え直さないと…」

シャルル…いや、シャルロットが自らの本当の名前と性別で自己紹介をして、周りの生徒が大声をあげていた。

「(本当に気づいてなかったんだ…)」

呆然としている一樹。それとは別にクラスの女子が騒ぎ出す。

「え⁉︎デュノア君って女の子だったの⁉︎」

「おかしいと思った!だって男の子にしては声が高いもん!」

何故それを教師に言わなかったのか、小一時間ほど問いただしたい一樹。ちなみに一樹が言わなかったのは言ったところで千冬以外信じてくれないからだ。あまりの扱いに泣ける。

「って、織斑君、同室だから知らない筈は…」

軽く1週間騙されてたけどな。

「ちょっと待って!確か昨日って男子が大浴場使ってたよね⁉︎」

一樹の近くの生徒は一樹の方を向く。

「らしいな」

「らしいなって、櫻井君も入ったでしょ⁉︎」

「補足しよう。『ISを使える男子』に許可されたんだ。でなきゃ4月から俺が一夏と同室だ」

「あ、そっか…」

「だから昨日大浴場で何があったのか、俺は関知してない」

ちなみに整備室にはガスが無いので、一樹は昨日も蛇口にシャワーノズル付きのホースをつないで水浴びしたのみだ。そろそろ風邪を引いてもおかしくない。と、色々考えていると目の前で地獄絵図が始まろうとしていた。何故って?だってラウラが一夏に『お前を嫁にする、異論は認めん』って言ってるから。

「…嫁?婿じゃなくて?」

一夏よ、ツッコミどころが違うぞ。そして始まる専用機持ち+箒の一夏リンチ。

「ね、ねえ櫻井君。アレ、止めなくて良いの?」

おどおどしながら話しかけてくる鷹月静寂(たかつきしずね)、確か箒のルームメイトだったか。

「えぇ…しばらくほっといて一夏に灸を据えてやろうぜ?あの唐変木は」

「で、でも専用機持ちIS展開しちゃってるよ⁉︎危ないよ⁉︎」

「大丈夫だ。生身でもISを止める事は出来る」

「「「「それは櫻井君だけ‼︎」」」」

断言されてしまった。だが、一夏は生身でありながら攻撃のことごとくを避けている。せめてISを解除してやるか。

「はーい観戦者たち、伏せないとビームで綺麗な髪が吹っ飛ぶぞ〜」

ストライクをバックパック無しで展開。ビームライフルを構える。一樹の声を聞いてすぐさま伏せる観戦者たち。

「乱れ撃つぜ♪」

ビームライフルを乱射。それだけで全てのシールドエネルギーがなくなり、一夏への制裁は目に優しいものになった。

「はぁ…平和っていいなぁ…」

「「「「和○総本家か⁉︎」」」」




2巻ようやく終わったぜ!

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