人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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ガンダムSEEDの映画楽しみ!


Episode145 反重力宇宙人ーゴドラー

課外授業の日が来た。

楯無を筆頭にIS学園生徒会の面々と一樹は電車とバスを乗り継いで第六中学校に向かっていた。

 

「はぁ…」

「かーくん、まだ行ってもないのに疲れてるね…」

「お前も梓に会えば分かるよ…あのバイタリティは尊敬に値するな」

「かーくんが尊敬!?」

「だってお前、振った相手にずっとアプローチ出来るか?相手が卒業しても」

「…凄いね」

 

 

「……」ソワソワ

「…梓、落ち着いて。ちゃんと一樹さん来るからさ。彼女さん連れてだけど」

「分かってるけどさ!卒業してから会ってないんだもん!髪型大丈夫かな…肌荒れはしてないけど、体型大丈夫かな…お腹のお肉は一応つまめないけど不安だな…」

「いや、水着になる訳じゃないんだからお腹の肉は平気でしょ…」

 

同性の絵麻から見ても…いや、同性の絵麻だからこそ、梓のスタイルは同年代に比べて素晴らしいのが分かる。出るとこは出てて、引っ込むべきところは引っ込んでいる。

現に、都心部を梓と歩いていたら30分に1度はモデルのスカウトと遭遇する程だ。

そんな神様に愛されているような体型の梓だが、想い人と会うとなるとやはり緊張するのだ。

ちなみに絵麻は重度のブラコンなので、兄である和哉以外の評価はあまり気にしてない。凹凸が少し貧相だとしてもそこまで気にしてないのはそういう事である。

 

 

「着いちまったか…」

 

六中の校門前に着いたIS学園組。

卒業してから半年程しか経ってないというのに、どこか懐かしさを感じるのは、それだけこの半年が酷く濃かったためだろう。

正門横にあるインターホンを押して、出てきた教頭に着いた事を伝えると、直ぐに迎えを出してくれるとのこと。

勿論迎えは____

 

「せんぱぁぁぁぁい!!!!」

「突進してくんなこのアホが!!」

 

____梓である。

会ってそうそう一樹の腰の辺りに飛凄まじい勢いで抱きついて来た梓の勢いを回転することでいなす一樹は流石だ。

 

「会いたかったです先輩!先輩先輩先輩!!」

「ええいやかましいこのアホ後輩!さっさと仕事しろよ!」

 

腰に抱きついて来た後輩の脳天にズビシッ!と手刀を放つ一樹。

涙目で頭を抑えて抗議の視線を送ってくる梓をスルーして、楯無に視線を送る一樹。

その意を察して、楯無が前に出る。

 

「あ、IS学園生徒会長の更識楯無です。本日はよろしくお願いしますね」

「あ、すみません。第六中学校生徒会長の双葉梓です。本日は御足労頂きありがとうございます」

 

涙目が瞬時にキリッとした表情に戻れるのは、昔のステータス女子だったころ得た能力だろう。

双方挨拶が終わったところで、一樹は雪恵を抱き寄せた。

 

「梓、前から話してた俺の彼女の田中雪恵だ」

「ど、どうも…」

「ムムッ!ホントに恋人が出来たんですね…メールで聞いてはいましたが…なるほど、美人さんです。ですが!相手にとって不足は無しです!絶対に一樹先輩の心は奪ってみせます!」

「ムムッ!私とかーくんの絆に正面から挑んでくるなんて…この子、出来るねかーくん!」

「いや、お前も梓みたいになるなよ…とにかく梓、そういう訳だから…お前も良い人探しなよ」

「いえ!いざとなったら愛人になってやるです!とりあえずIS学園受験に向かって今は頑張って、卒業後はS.M.Sに就職してやるです!」

「あー、最近のS.M.Sは大卒じゃないと取らないらしいぞ(大嘘)。愛人なんて作る気は無い。そんな俺は器用じゃない」

「ならS.M.Sでバイトしながら通ってやるです!とにかく!私が先輩を諦める事はありません!」

 

何度断られても決して諦めずに慕ってくれる後輩に勿論悪い感情は無いが…無いからこそ、強く引き離す事もしにくく、一樹は梓が苦手だった。

 

「……とりあえず、楯無達を案内してくれ。今日はあくまで一夏たちの護衛って事で来てるだけだから」

 

後ろで苦笑を浮かべてる一夏と弾を指しながら言う一樹。

その言葉に、やっと2人が居ることを認識した梓。

 

「あ、御二方いたんですね」

「「扱いの差が激しすぎね???」」

 

 

講演会と言っても、この年代の子達の耳に入るとは中々無い。

特に女性にしか扱えないISの講演であれば、男子達が興味を持つのもそんなに無い…と思っていたのだが。

 

「(ある意味で、楯無達が講演に来たのは正解かもな…全員真剣に聞いてるし)」

 

女子達は自分が目指すために、男子達は見目麗しい楯無達の講演によるのと、2人(公式上)しかいないとはいえ、男子も扱えた前例があるために、【もしかしたら自分も…】と考えたのだろう。誰1人、ふざけること無く講演を集中して聞いている。

 

「(なあ、ミオ)」

『ん?』

「(実際、他の男子がISを扱える可能性はあるのか?)」

『0では無いと思うよ。ただ…マスターや一夏さん、弾さんみたいに、かなりの実力が無いと私達は選ばないかな』

「(おいおい…みんながみな、S.M.Sクラスでないとダメなのかよ…しかも、高校入学前にとか、基本ダメじゃねえか)」

 

一夏と弾が中学時代に入隊出来たのは、S.M.Sトップである一樹が認めたからだ。

交友関係があまり広くない一樹は、同中の後輩だとしても面識あるのは梓くらいだし、彼女をS.M.Sに入れるというのは現時点で考えていない。そもそも梓なら普通に試験を受けれるので、後は彼女の努力次第だろう。

いくら一樹と言えど、中学生に入隊を認めるのは激レア中の激レアなのだ。

 

『だってマスター?私達にとって、IS搭乗者として認めるのは、自分の服の中に人を入れるようなもんなんだよ?何故かコア人格は女の子ばかりなんだから、そりゃ男性操縦者はいないよ』

「(あーなるほどな)」

『そうそう。だからマスターはいつも私の服の中に…キャッ///』

「……」

『何か反応してよマスター!(泣)』

「……」

『マスター?』

 

いつものようにスルーされてるのかと思っていたミオだが、一樹があまりに真剣な表情をしているので、ふざけるのをやめた。

 

「(…ミオ、レーダーをモードUKに切り替えろ)」

『え?なんで?』

「(早くしろ)」

 

いつに無い一樹の強い口調に、慌ててレーダーを切り替えるミオ。

『ッ!?』

「(それを一夏と弾…ハクとノルンに送れ)」

『了解!』

 

ミオが行動しながら、気を利かせて雪恵のアストレイ・ゼロと個人回線を繋げた。

心の中でミオに感謝して、一樹は雪恵に告げた。

 

____ちょっと仕事増えたみたいだ。

 

 

課外授業の後の放課後、生徒指導担当の合田は生徒会室を訪ねていた。

ガラッと扉を開けると、疲れた表情で左腕を現生徒会長、梓に抱きつかれている卒業生がいた。

 

「まだ帰らなかったの?他の人達はもう帰られたと思うけど」

「やんなきゃいけない仕事が出来ちまったんですよ。それで校内回ろうとしたらコイツに捕まっちまいました」

 

このご時世に梓程の美少女に抱きつかれているというのに、疲れた表情を全く崩さないこの卒業生はある意味大物だと合田は思う。

しかし、卒業生といえど今は部外者。早々に帰ってもらわねばならない。

 

「そう、お仕事大変ね。出来れば早く済ませて帰って欲しいのだけれど。これから生徒会の面々と反省会やらないといけないから」

「お疲れ様です。でも、すぐ終わりますよ。なにせ、相手から来てくれましたから」

 

一瞬だった。卒業生…一樹が空いていた右腕に持っていたブラストショットから波動弾を合田に向けて撃ったのは。

普通の人間なら対応出来ない速さで行われたソレを、合田は横に飛び込む事で回避。しかし、ロッカーに隠れていた弾の放ったゴム弾までは対応出来なかった。

 

「クッ!?」

 

人間なら気絶する程の威力で放たれたゴム弾が腹部に命中したが、合田は呻くだけだった。

殺意を込めた眼で一樹と弾を睨む合田に、梓を背中に庇いながら一樹が対峙する。

 

「何故分かった…!?」

「企業秘密だ。お前を通じて他の奴に伝わる可能性もあるんでな。無駄なリスクを負う必要は無い」

 

ブラストショットの銃口を向けながら、冷たい目で合田を睨む一樹。

そして一樹程ではないにしろ、それでもかなりの覇気を発している弾。

今、合田に勝てる要素は無かった。

そう、合田()()なら。

 

「あ、そうそう。お前のお仲間達だけど、多分今頃ボコボコにされてから焼かれてると思うぜ?」

 

 

「っし!!」

「良いストレス発散…!」

 

IS学園への帰り道、黒服覆面2人に襲われた一夏たち一行…

しかし凄まじい師に鍛えられた一夏と、素でスペックの高いセリー(どうしても雪恵の傍を離れなければならなかった一樹が呼んだ)によって圧倒されていた。

音もなく現れた覆面タッグなのだが、まるで()()()()()様に出された一夏の回し蹴りによって持っていた光線銃を弾かれ、セリーによってタッグを分散された。

2対2だったら襲撃者が強かっただろう。

だが、1対1と1対1に別れたこの戦いでは一夏とセリーが強かった。

 

 

覆面の放つ拳を、一夏は空手の要領で捌くか、カウンターの一撃を入れて対応。

上段に放たれた回し蹴りは一瞬屈んで避けると、がら空きの鳩尾に容赦のない右ストレート。

ストレートにより怯んだ覆面に、一夏の上段回し蹴りが決まる。

一樹との模擬戦だけ見てると忘れてしまいがちだが、一夏は決して弱くない。何せ鍛えた師が師だ。

覆面の放つ攻撃をことごとく捌き、カウンターの重い一撃を喰らわせてく。

そして、覆面が大きく怯んだその瞬間!

 

「はぁあああああ!!」

 

麒麟を部分展開。ビームサーベルで覆面を一刀両断した。

離れた所では、セリーも覆面を火球で焼き尽くしていた。

一夏が斬り伏せた襲撃者は泡となって消えた。

 

「…気持ち悪い」

 

汚い物を雪恵に見せぬよう、セリーは泡を燃やすのだった。

 

 

『カズキ、頼まれてたゴミ掃除終わったよ。言われた通りアレと1体ずつ片付けた』

「ありがとうなセリー。後は気をつけて帰ってくれ」

『ん。カズキもね』

 

合田を睨みつけながら、セリーと個人回線で会話する一樹。

梓を弾に預けると、合田に近付く。

「お前の仲間は泡になったそうだ。今母星に帰るってんなら見逃してやる。これ以上やるってんなら…」

 

容赦はしない。

 

殺気の籠った目で睨む一樹。

合田はその殺気に気圧されるが、気力で振り切る。

 

()()()()()如きが、図に乗るな!!」

 

変装を解き、一樹に殴り掛かる。

だが、合田…ゴドラ星人が触れるより早く、一樹の蹴りが入る。

 

《グハッ!?》

「テメェみたいな汚い連中の動きはそれなりに慣れてる。多少近接戦闘の心得があるみたいだが、その程度の動きでよく地球に来たな」

 

ブラストショットを向けて、トドメを刺すその瞬間。

 

《舐めるなあああああ!!!》

ゴドラ星人の体が光り、巨大化。第6中学校を破壊しようと腕を振り下ろす…が。

 

《!!??》

 

一樹からの連絡に受けて出撃していたチェスター達の攻撃を受けて怯んだゴドラ星人。

その隙に、梓を弾と共に避難させる一樹。

 

「先輩……」

「心配すんな。後で合流するからよ」

 

ニカッと笑って軽く小突く一樹。

そんな彼に安心すると、梓は弾に連れられて避難していく。

梓と弾が生徒会室を出たのを確認すると、一樹はエボルトラスターを引き抜いた。

 

 

「生徒の避難がまだ完了していない。今はとにかく学校からやつを引き離すぞ」

『『『了解!!』』』

 

一夏のいない今、チェスターの指揮を取るのはラウラだ。

挑発するようにゴドラ星人の頭部に攻撃を続ける。

激昂したゴドラ星人が腕を振り上げたその時!

 

《!?》

「シェアッ!」

 

眩い光の柱がゴドラ星人を吹き飛ばした。

光が収まったそこには、いつもの登場ポーズのウルトラマンが。

 

《同族の仇!》

「…シュッ!」

 

もう侵略などどうでもいいとばかりに、ウルトラマンに攻め込むゴドラ星人。

大振りの腕を屈むことであっさり避けると、空いている胴に拳を叩き込む。

 

「ハッ!」

《うぐっ!?》

 

うずくまりながら数歩下がったゴドラ星人に、踏み込みの前蹴り。

下がっていた頭部に喰らった事で、見事な放物線を描いて大地に崩れるゴドラ星人。

 

「シュッ!ヘェアッ!」

 

何とか起き上がったゴドラ星人に、ウルトラマンが駆け寄る。

ヘッドロックから胴体を持ち上げ、大きく弧を描く投げを喰らわす。

 

《ッ!?》

 

大地に叩きつけられ、一瞬動きが止まるが、ゴドラ星人にも意地がある。

ウルトラマンの腰に回し蹴りを放つが、ウルトラマンは咄嗟に右膝を上げる事で受け止める。

素早く姿勢を低くしたゴドラ星人がウルトラマンの左脚にスライディング蹴り。

流石のウルトラマンも左脚だけでそのスライディング蹴りには耐えられず、大地に転がる。

 

《ッ!》

 

自分が有利となった瞬間、ゴドラ星人はウルトラマンを踏みつけようと脚を高く上げるが、ウルトラマンは降ろされた脚に横から蹴りを入れて軌道をずらしてから起き上がる。

 

「ハッ!」

 

《おのれ…!》

 

ゴドラ星人は右手に光線銃を呼び出すと、ウルトラマンに向かって連射。

2発は両手で弾いたが、3発目以降を喰らってしまった。

 

「グッ!?」

《そこだ!》

 

一瞬ウルトラマンの姿勢が崩れたのを見逃さず、もう一丁光線銃を呼び出して連射。

度重なる爆発によって起こった硝煙がウルトラマンの姿を完全に隠した……

 

《やったか……?》

 

注意深く煙が晴れるのを待つゴドラ星人。

そして、煙が晴れた……

 

《いない!?》

 

しかしそこに、ウルトラマンはいない。

慌てて周囲を見渡すゴドラ星人。

その視線が、上に向いた……

 

《なっ!?》

 

そこには、クロスレイ・シュトロームの準備をしているウルトラマンの姿が。

慌てて光線銃を向けるゴドラ星人だが…

 

「シェアッ!!」

 

ウルトラマンがエネルギーを貯め終わる方が早かった。

ゴドラ星人が光線銃を撃つより速く、その光線がゴドラ星人の体を貫き、大地に前のめりに倒れた。

 

ドォォォォォン!!!!

 

ゴドラ星人が爆散したのを確認すると、ウルトラマンは光に包まれ消えていった。

 

 

「先輩!」

「よぉ梓。怪我はしてねえな?」

「はい!先輩は…少ししてますね…」

 

顔に何枚か絆創膏を貼っている一樹の姿を見て、梓は若干悲しげな表情を見せる。

そんな梓の頭にポンッ、と手を置くと、その髪の柔らかさを感じながらそっと撫でる。

 

「ちょっと擦っちゃっただけだから気にすんな。2〜3日もすれば傷跡も残ってないよ」

「……良かった、です」

 

仕事柄、この程度の怪我はしょっちゅうな一樹は全く気にしてないが、梓からしたら見える所に傷があるのは少々こたえる様だ。

 

「…先輩、私、絶対にIS学園に行きます」

「おう、頑張れよ」

「…先輩唯一の【後輩】ポジは、絶対に他の誰にも譲りません」

「俺の後輩って、1人しかなれなかったのか…」

「…雪恵さんの隣にいる先輩は、私が知ってるどの時よりも、明るかったです。でも______」

 

そこで梓は区切ると、一樹を見上げる。

夕焼けに染まるその顔は、儚くて、年齢以上の色気を纏っていた。

 

「______先輩の近くにいたいのは、雪恵さんだけじゃないんですからね」

「……ああ、知ってる」

「どんな形であっても、私は先輩の近くにいたいんです。だから……」

 

 

 

あと半年くらい、待っててくださいね。せ〜んぱい♪




色んな物魅入っちゃうの治したい今日この頃です。

今後ものんびりやっていくので、よろしくお願いいたします

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