僕です(土下座)
何故ご主人様の言うことが聞けないの?
やだよ…意味も無く殺すなんて
能力があるのに、それを使う個体がこれじゃねぇ
私は別に
何アンタ、ご主人様が用意してくれた【アロン】を倒せなかったですって?テストに出てくる最弱怪獣すら倒せないなんて、私たちゼットンの恥よ。
あのアロン、【生きたい】って泣いてたんだよ。だから助けたのに…それがいけないことなの?
アッハッハ!!アンタ捨てられるんですって!そりゃあそうよね!!殺戮こそがゼットンの生きがいなのに、それをしないなんてもはやゼットンじゃないわ!!アンタみたいのをね、出来損ないって言うのよ!!
まあ、あの世で見てなさい…この私が、ゼラが全宇宙に恐怖と絶望を与える時代を!!!!
私は、捨てられる…
そうか…私は…
イキテルイミガナインダ…
「起きろセリー!!」
「ッハ!?え?え!?ここ…」
「俺が分かるか?とりあえず分かんなくても深呼吸しろ。良いな?」
「わ、私…出来損ないって…いらないって…」
「セリー…深呼吸を、しろ」
徐々に寒さを感じる様になってきたある日の真夜中、いつものように夜通しの警戒をしていたら突然セリーが苦しみ出した。
慌てて起こすも、自分が今どこにいるかも理解していない様子を見て、相当な悪夢を見ていたのだと察すると、
この圧によって、セリーは一樹の存在を認識。
賢明に深呼吸をしようとするが、悪夢の影響がまだ残っているのか、どうしても過呼吸気味になってしまう。
最終手段として、エボルトラスターを取り出した一樹。
エボルトラスターから光を発すると、セリーの前に掲げる。
数秒後、光の効果でセリーが落ち着いていく。ホッとひと息つくと、背中をさする一樹。
「…大丈夫だ。俺はここにいる。セリーもここにいる」
「カズ、キ…?」
「そう、一樹だよ。んで、そこで呑気に爆睡してんのが雪」
そこそこの声量で話しているというのに、雪恵は幸せそうに眠っている。
ここまで眠りが深い事に、最初は気が気でなかった一樹だが、目覚まし時計の音には反応するので、最近はその謎の方が気になっているのは完全な余談だ。
「昔の夢、見てた…」
「そうか」
「内容、聞かないの…?」
「聞いてほしいのか?」
「…ごめん」
「いや、気にすんな」
一樹だって聞かれたくない事は山ほど…いや、星の数ほどあるのだ。
なのに人には話せなどと無責任な事は言えない。自分も話さなければならなくなるから。
本人が話したいと言うなら、話は別だが。
トクン、トクン…
「…」
セリーを落ち着かせていると、懐のエボルトラスターが鼓動を打つ。
それに導かれるままに、窓際に寄ると…
「(この感じ…
夜空にウルトラサインが浮かび上がっていた。
一樹が一体化しているウルトラマンは
【宇宙に不穏な動き有り。注意されたし】
「(ゾフィーさんが俺宛にウルトラサインを出すって事は…かなりやべえ奴が動いてるみたいだな)」
「カズキ…?どうしたの?」
「…ん?
「隊長?隊長…ってことは!」
「多分合ってる。今宇宙がきな臭いから用心しろってさ」
「そうなんだ…」
「ホットミルクでも飲むか?落ち着くぞ」
「…ん。欲しい」
セリーにホットミルクを、自分にホットコーヒーを用意しながら、今後の動きを考える一樹。
「(とりあえずしばらく様子見か…明日さっそく雪と一夏、千冬と束に声を掛けたらちょっと出歩いてみるかな)」
彼の行動は早かった。
朝のトレーニングをしている織斑姉弟を皮切りに、不健康な引きこもりをしてる兎、そして幼なじみと妹分にしばらく留守にすることを伝えると、S.M.S本社に行って仮眠を取ってから動きだした。
一方の雪恵&セリー。
以前から予定していたセリーの冬物の服を買いにレゾナントに来ていた。
ちなみに、他の人(特にシャルロット)が来たがっていたのをセリーが火球を出しながら断っていたのは完全な余談である。
「セリーちゃんはどんなのが欲しい?」
「安くて動きやすいの」
「…かーくんに似てきたなぁ」
雪恵の問いに即答するセリー。その内容に頭を抱える雪恵を余所に、セリーは真っ直ぐに量販店に向かおうとする。
「ちょ、ちょっとセリーちゃん!この間ほどじっくり見なくて良いから、お店は全部見ようよ!」
「えぇ…」
心底嫌だというのを隠しもせずに、ジトッとした目を向けてくるセリーを、雪恵は必死に説得したのだった。
「ん、結構良いのあった」
「良かったねセリーちゃん。可愛いのいっぱいあって」
「でも、雪恵のお古で良かったのに…良いの?」
「キチンとかーくんから許可は貰ってるよ。安心して」
そんな楽しい日常を過ごしている時こそ、無粋な連中は現れてしまうのだ。
「ッ!?」
先にソレに気付いたのはセリーだ。
何故なら…昨晩の悪夢でもソレを感じたから。
この肌に纏わり付く様な、粘着質な殺気を放つ生物を、セリーは1体だけ知っている。
「光の波動を辿ってみればまさかアンタがいるなんてね…出来損ない」
その声に、セリーはゆっくり後ろを向く。そこにいたのは、黒いパンツスーツに身を包んだ長身の女性。一見出来るOLだが、その鋭い眼光と全身から発せられている覇気がそれを否定する。彼女は、かつてセリーと同じところにいた。当時のセリーは名を与えられず、数あるゼットンの一体に過ぎなかったが、彼女は違う。バット星人から直々に名を与えられていた。その名を…
「ゼラ…なんで…あなたが…」
雪恵を守るために、前に出るセリー。バット星にいた頃の実力は、セリーが本気を出せば拮抗していたが、恐らく今はゼラの方が強いだろう。それでも、引く訳にはいかなかった。
「愚問ね。私がこんな辺境の星に来る理由なんてひとつよ」
_____ウルトラマンの、抹殺
「「ッ!?」」
「ここのウルトラマン、相当出来るみたいね。この私が観光がてらとはいえ、情報を集めてもあんまり有力な情報が入ってこないなんて。だからやっと感じた_____といってもかなり集中しないと分からないけど_____光の波動を辿っていたらアンタ達がいた。ウルトラマンの正体を知ってそうなね…丁度良いわ。出来損ない、アンタウルトラマンを呼ぶ餌になりなさい。抵抗したら…分かってるわよね?」
そこでゼラは、セリーが庇っている雪恵を見る。その意味を察したセリーは、ゆっくりと雪恵に荷物を渡す。
「ごめんユキエ。私行くね」
「セリーちゃん!?でも」
「大丈夫」
「大丈夫な訳…!」
「お願い」
セリーはそっと雪恵から離れると、ゼラの方へしっかりと歩きだした。
「行くなら早くして。人がいないところへ」
「アンタが命令するな…まあ、そうでないとウルトラマンとタイマン出来ないし…良いだろう。そこの人間。コイツに死んで欲しくなければウルトラマンを宇宙座標SCD501に来させろ」
一方的に告げると、ゼラはセリーの肩を掴んでテレポートしていった。
ゼラの姿が消えた途端、崩れるように座り込んだ雪恵。泣きながら、一樹へと電話する。
2コール程で一樹は出た。
『おう雪。どした?セリーの服の金足りなかったか?』
「かーくん…あのね_____」
「宇宙座標SCD501…確かにそいつはそう言ったんだな?」
『うん…』
電話口の雪恵に聞こえぬよう、小さく舌打ちする一樹。思ったより相手の動きが早い。しかしながら雪恵の話しによれば、相手はこちらとの1対1を望んでいるらしい。それがまだ救いだ。
『ねえかーくん…宇宙座標SCD501ってどこ?』
「まだ確認してねえけど、確か国内の無人島のひとつだった筈だ」
『わ、私も「ダメだ」でも!』
「セリーを助けたいのは分かる。そんで俺の心配をしてくれてる事も分かる。けどな、今回は相手が悪過ぎる。雪も知ってると思うけど、ゼットンってのはテレポートを得意とする種族なんだ。しかも特に体力的負担が無い感じでな。あんな厄介な奴を相手するのに、正直チェスター達が来られるとむしろ怖くて戦いにくい。だから、今回は来ないでくれ…」
『…分かった』
「ごめん、ありがとな…」
雪恵の返事が聞けた所で、一樹は人気の無い所でストーンフリューゲルを呼び、指定されたポイントへ急ぎ向かった。
「まさかこんな辺境の星にいるなんてね。出来損ないのアンタらしくて笑いが止まらないわ」
「…勝手に笑ってれば?」
ゼラのアジトの洞窟で、特に拘束もされず放置されているセリー。
セリーに逃げるつもりが無いことを理解しているからだろうか。
「そう言うゼラこそ、仕事だからって地球に来るなんてね」
「アンタは知らないのよ。あのウルトラマンの首が裏でどんな価値を持っているのかね…分かりやすく言うなら、あの六兄弟に匹敵しつつあるわよ。アイツを仕留めれば、私の名は宇宙全域に広まる。その後でじっくりと、ウザイ宇宙警備隊を料理してやる」
ゼラの言葉に吐き気を催しかけたが、ふと洞窟の入り口に気配を感じた。ゼラもそうなのか、ただでさえ鋭い眼光がより凶悪さを増していた。
「なるほどな。要するに俺を踏み台にしてあの人たちに宣戦布告するつもりだったのか」
洞窟に響くその声に、セリーは安堵を覚え、ゼラは警戒を強くする。
「よお、お望み通り来てやったぜ?」
「…テメエが噂のウルトラマンか?まだガキじゃねえか」
「まあ、宇宙の感覚的にはガキどころか下手したら赤ん坊なのは間違いないな」
宇宙の高校生て6800歳くらいらしいし、と飄々としている青年…櫻井一樹。
「…違うな。お前はガキじゃねえ。ガキにしては隙がなさ過ぎるし、何よりそんな
「…ただの狂人じゃねえんだな。流石、今宇宙警備隊に警戒されてる殺し屋なだけある」
「当たり前だろ。相手の力量を測るのは初歩中の初歩だ。それが出来ない奴はさっさと死ぬ。お前みたいな奴にやられてな」
ゼラは凶悪ではあるが、馬鹿ではない。相手の力量を読み、不意打ちが
ゼラとしては、通用しない者の方が面白い。そういう強者こそ、戦って勝つ事に意味がある。対して不意打ちが通用してしまう者は面白みが無いので一瞬で消す。そこそこ長く暗殺者をしてきているが、ほとんどが不意打ちで倒せてしまっている…だから、ゼラにとって一樹は久方ぶりに見る強者なのだ。
少し、
愛用の鎌を取り出して一樹に突っ込む。首を狙って振るわれた鎌は、エボルトラスターの鞘で受け止められた。
「…お宅の挨拶は別れの挨拶も兼ねてるのか?」
「良いねえ…お前、やっぱアタリだよ!!」
凶悪な笑みを浮かべて次々と鎌を振り回すゼラ。対する一樹は、あくまで鞘で受け止めるか避けるだけだ。
「何だよノリ悪いな!もっと遊ぼうぜぇ!」
「あいにく、あまり友人がいないから遊びとやらを知らないんだよ」
防御に徹する一樹につまらなそうに文句を言うゼラ。
それに一樹は無表情で返す。
「こんにゃろ!」
今まで首を狙っていたゼラ。そこで軌道を変えて、鎌を振り下ろしてした。
「……」
対する一樹は半歩下がって鎌の軌道から逃れる。間合いを完全に把握しているから出来る動きに、ゼラは激昂する。
「テメエぶっ殺す!!」
鎌をもう一振り取り出し、本気で一樹の首を切ろうと襲い掛かる。
「チッ…」
初めて一樹の表情が動いた。
極力エボルトラスターの鞘で受け流すようにしていたが、ここにきて大きく回避行動を取るようになった。
「(知能のある戦闘狂はやっぱ面倒だな…!)」
「お?良い動きするようになったじゃねえか!後は攻撃してくれば完璧だな!」
あまりゼラに手札を見せたくない一樹。しかし、やむを得ない。
「それは邪魔だ」
ゼラの左手にある鎌を、ブラストショットで撃って持ち手から破壊する。
「あ?」
「隙だらけ」
鎌が破壊された事で動きが止まったゼラの腹部に拳を喰らわす。
「ガハッ!?」
「もう一丁!」
蹲ったゼラの側頭部に、渾身の回し蹴り。
「グハッ!?」
一樹の攻撃は、見た目以上に重い。ゼラの意識が、一瞬飛びかける程には。
「(暗殺に慣れすぎて、戦闘術を忘れてるのか?なら、今のうちに!)」
ブラストショットをゼラに連発。
「ッ…ちくしょう!」
数発喰らったが、その後はバリアを貼って耐えたゼラ。
バリアを貼られては、生身の一樹に攻撃を当てるのは難しい。舌打ちをすると、この狭い洞窟から出る事を決断する。
ブラストショットでゼラを牽制、何とかセリーの隣へと移動した。
「セリー、とりあえず洞窟から出るぞ」
「分かった」
セリーの手を取り、外に出ようとした瞬間。ゼラの火球が一樹に向かって放たれた。
「ッ!?」
咄嗟にセリーを突き飛ばしてから反対に飛び込む事でその脅威から回避する。
続けて連続で放たれた火球の内、自分達に向かってくる火球をブラストショットを撃って消滅させるが…
「カズキ!洞窟が崩れる!!」
2人から逸れた火球の影響で、洞窟が崩れ始めた。セリーならともかく、一樹は生身のままで耐えられる筈がない。
「…脱出するぞ」
「うん!」
「させると思うか?」
己の周りにバリアを張り、一樹に近づくゼラ。この崩落で一樹を潰すつもりらしい。
セリーのテレポートで逃げるためには、一樹かセリーのどちらかが触れなければならない。
そしてゼラ程の実力者であれば、それに合わせて攻撃する事も可能だろう。
となれば…
「…それしか無いよな?」
エボルトラスターを引き抜く体制に入る一樹。もう少しゼラの攻撃性を確認したかったが、そうも言ってられない。既に、この洞窟がいつまで保つか分からないのだ。
「そんじゃ…
パチン!
ゼラが指を鳴らすと巨大化、一樹は岩に潰される前にエボルトラスターを引き抜いた。
《ゼェットォン…》
ゼラが変身したゼットン・デスサイズは、セリーが変身するゼットンよりも、細長い印象を受けた。
そして、最も目に着くのはその両腕の鎌だ。
相手を斬殺するために研ぎ澄まされた両腕が、鈍く光る…
その対面、光の柱から現れたウルトラマン。崩落から救い出したセリーをそっと地面に降ろす。
「カズキ…もう分かってると思うけど、ゼラは多分私よりも強い。だけど…勝って!」
セリーに頷くと、立ち上がってゼラのゼットンと対峙する。
「シェアッ!」
《ゼェットォン…(その出来損ないに何を見出してるのか知らないけど、私の格上げの踏み台になるのに変わりは無い!)》
両者、互いに向かって同時に走り出す。
ある程度近づくと同時に飛び上がった。
「シュアッ!」
《ゼェッ!》
ウルトラマンのエルボーカッターとゼットン・デスサイズの鎌が一瞬すれ違う。
両者共に軟着陸し、再び対峙。
「フッ、シェアッ!!」
牽制のパーティクルフェザーを放つも、ゼットン・デスサイズはその鎌でパーティクルフェザーを弾き消す。
《ゼェットォン…》
お返しとばかりに火球を吐いてくる。ウルトラマンは左のアームドネクサスで受け止めようとする。
「シュッ!フアァァァァ…」
その威力に、ウルトラマンは大分後ろに下げられたが、何とかスピルレイ・ジェネレードで光球に変換、返す事に成功。
《!?》
流石に返される事は予想出来なかったのか、ゼットン・デスサイズはその光球をまともに喰らい、大きく吹き飛ぶ…かに見えた。
「フッ!?」
空中で突如消えたゼットン・デスサイズ。今までの経験を活かし、ウルトラマンは素早く後ろを振り向いた。
《ゼェッ!》
「シェアッ!」
やはり、ゼットン・デスサイズは背後に現れた。首を狙って放たれた鎌を、アームドネクサスで受け止めて前蹴りを返す。
《(コレに対応するのか!伊達にあの宇宙警備隊とほぼ同格視されてる訳じゃねえな!)》
蹴られた衝撃を利用して下がると、再び姿を消したゼットン・デスサイズ。
「シュッ!グアッ!?」
背後に現れたゼットン・デスサイズに裏拳を放とうとしたウルトラマン。だが、それを一瞬消える事で避け、空振りしたウルトラマンの正面に再度現れドロップキックを放つ。
ドロップキックをまともに喰らったウルトラマンの体から火花が散り、大きく吹き飛ぶ。
《ゼェットォン》
ウルトラマンが立ち上がっている間に、連続でテレポートを発動。ウルトラマンを中心に円を描くように、そして近づく毎にテレポートの
「……」
徐々に接近してくるゼットン・デスサイズを警戒するウルトラマン。
《ゼェットォン》
「ハッ!」
ウルトラマンの左側に現れ、火球を放つゼットン・デスサイズ。
火球をアームドネクサスで弾き落とし、動揺するゼットン・デスサイズにマッハムーブで接近。
テレポートをさせないために、怒涛の連続攻撃。左右のストレートパンチに続き、右回し蹴り。蹴られた衝撃を利用して離れようとするゼットン・デスサイズには飛びかかる事でそれを許さない。
だが、ゼットン・デスサイズもやられっぱなしではない。
連続攻撃が途切れないと分かるや、ウルトラマンの攻撃を受けながら火球を零距離で連続して放った。
「グアァァァァ!?」
火球を喰らって吹き飛ばさるウルトラマン。一際大きな火球を喰らって爆発が起きる。
「シェアッ!」
その爆風の中で水色の光が見えた瞬間、ジュネッスにチェンジしたウルトラマンが。
右足を金色に光らせたシュトローム・ストライクをマッハムーブを併用して放つ。
《!?》
結果、マッハムーブの速さに対応しきれなかったゼットン・デスサイズの左腕に命中。左腕が吹き飛んだ。
「フッ!フアァァァァ…デェアッ!!」
左腕を抑えているゼットン・デスサイズに、コアインパルスを放つ。
コアインパルスをまともに喰らい、ゼットン・デスサイズは大きなダメージを負った。
《チィ!お前を相手に片腕じゃ勝ち目がねえ…ここは退くか…》
させる訳にはいかないと、ウルトラマンはゼットン・デスサイズに駆け寄る。
だが…
【面白そうだ。ここは見逃してもらおうか】
そんな声が聞こえた瞬間、ウルトラマンを強力なレーザー光線が襲った。
「グアァァァァ!?」
ピコン、ピコン、ピコン
その威力に、ウルトラマンは大地に倒れる。
レーザー光線を撃ったのは…
【まだ不意打ちしかお前にはしてないのは謝ろう。だが、俺はお前の面白い戦いをこれからも見たいんでな。邪魔させてもらった】
前原の正体であり、M78系ウルトラマンの宿敵とも言える、メフィラス星人だった。
《なんだテメエは…?》
【仮にも命の恩人に対する言葉じゃないな。まあ良い。お前を治療して、更なる力をくれてやる。事強化に関しては、俺たちはバット星人よりも優れているぞ】
まだウルトラマンが動けないのを良い事に、メフィラスはゼットン・デスサイズに話しかけていた。
《何が目的だ》
【今言っただろう?コイツの戦いをもっと見たいんだ。だから、強敵となりうる者はなるべく残しておきたい】
何とか起きあがったウルトラマン。マッハムーブを使い、せめてゼットン・デスサイズだけでも倒そうとする。
【そのダメージ量の動きでは、幾らお前でも遅いな】
それをさせまいと、メフィラスがグリップビームを放つ。
「シュウッ!ハッ!」
それをスピルレイ・ジェネレードで倍にして返す。
【なっ!?グワッ!?】
まさか返されると思ってなかったのかメフィラスはそれをまともに喰らってしまい、大きく吹き飛んだ。
《ゼェットォン》
「フッ!シェアッ!」
メフィラスに集中してると思ったのか、ゼットン・デスサイズがウルトラマンの背後にテレポート。残った右腕の鎌をウルトラマンの首目掛けて振るうが、アームドネクサスでそれを受け止めるウルトラマン。
受け止められたならばと、火球を連続射出するゼットン・デスサイズだが、ウルトラダイナマイトの技術を応用し、全身に火球の炎を纏わせる事で受け流す。
《!?》
驚くゼットン・デスサイズに前蹴りを喰らわして距離を取ると、全身の炎を右手に集中。光球状にした後、大きく後ろに引いてからゼットン・デスサイズに向かって突き出した。光球はウルトラマンの力が込められた熱線となり、ゼットン・デスサイズに直撃。大爆発を起こした。
【チッ…】
ゼットン・デスサイズが爆散したのを見ると、舌打ちしながらメフィラス星人は消えた。
「カズキ、帰ろ?」
ずっと一樹の指示で隠れていたセリーが、念動力でウルトラマンの肩に近付いてきた。
ウルトラマンは頷くと、そっと掌をセリーに向ける。
セリーが掌に収まると、IS学園に向かって飛び出した。
「セリーちゃん!」
「ただいまユキエ!」
「無事で良かったよ!かーくんもおかえり」
「ああ…ただいま。一夏、久しぶりにお前のおでん食いたいんだけど…頼める?」
「まかせとけ。んじゃ買い出し行くか。弾荷物持ちよろしく」
「了解」
「まさかあの状態からコイツを倒すとは…流石だな」
ウルトラマンが飛び去った後、前原はゼットン・デスサイズが倒された所にいた。
辺りを手持ちの機械で調べた後、おもむろに指を鳴らした。
パチンッ!!
すると、前原の側に禍々しく光る穴が現れた。その穴に、ウルトラマンの力で消滅仕掛けているゼットン・デスサイズの破片が吸い込まれていく。全ての破片が穴に吸収された後、前原は満足気に笑う。
「さて、これをどう強化していくかな。まだまだ楽しめそうだ。あのウルトラマンには頑張ってもらわないとな」
約一年、お待たせしました。
どんなに時間がかかっても失踪はしませんので、どうかお付き合いください