人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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新年明けましておめでとうございます(遅すぎる)


では、新年1発目どうぞ!


Episode123 運命–デスティニー–

「(うーむ…やっぱり無茶だったか?)」

装甲の下で苦笑を浮かべる弾。

彼は今右手にビームブレード、左手にビームライフルショーティの遠近両方に対応出来る状態でバンシィと渡り合っている。

しかし、想像以上のバンシィの強さに軽く後悔していた。

「(かっこつけた手前、助けを求めるのは俺が自分を許せないし、やれるだけやるか。時間稼ぎくらいのつもりで)」

そう、先程一樹がブーストを蒸しながら弾に言っていた。

 

雪たちを送ったらすぐに戻ってくる!だからそれまで耐えててくれ!いや耐えろ!

 

「(ったく、最高にカッコいいじゃねえかよ…()()()のボスは!俺が女だったら惚れてたね!)」

「いい加減諦めたらどうだ!!!?」

その左腕のクローを振り下ろしてくるバンシィ。

対してノワールは右手のビームブレードで器用に受け流す。

「悪いが、俺たち男にも譲れないものがあるんでね!男として託された以上、引くわけにはいかねえんだよ!!」

バンシィに向かってビームブレードを薙ぐ様に振るうが、バンシィは90度上昇してそれを避ける。

「くだらん友情のために、命を捨てるのか?愚かすぎて笑えるな!」

放たれた蹴りは、ノワールの腹部に決まってしまう。

「ガハッ!!!?」

ノワール自体はPS装甲に守られているため損傷は無い。

しかし、衝撃は捌けないために、モロに弾に衝撃が来た。

「まだ行くぞ!」

左の裏拳が、ノワールを大地に叩きつけるために放たれる。

かろうじて身体の向きを変える事で避けると、バンシィのビームサーベルの持ち手から上を切断するノワール。

「チッ…だが無意味だ!」

左手のクローでノワールを殴りつけようとするバンシィ。

「ただやられる訳ねえだろっと!」

ビームブレードをクローに突き刺し、クローを使い物にならなくするノワール。

「この雑魚がぁ!」

破壊力を失ったクローだが、叩きつけることくらいは出来る。

「アガッ!!!?」

ノワールを殴って距離を取ると、バンシィはゴールドフレームに向かって瞬時加速。

「それを返せ!」

「くっ…!」

ゴールドフレームが持っていたビームサーベルを取り返すと、ゴールドフレームを踏み台に再度瞬時加速。

「死ねぇぇぇぇ!!!!」

狙うは、ノワールただ1機!

だが、この場にいるのはノワールだけではない…!

 

ドンッッッ!!!!

 

「なっ!!!?」

下から放たれた衝撃に、バンシィの攻撃がずれる。

その隙にバンシィのクローからビームブレードを回収、ついでに蹴り飛ばして距離をとるノワール。

「…サンキュー鈴、おかげで助かった」

「アンタも、なのね…?」

隣に来た甲龍に礼を言うノワール。

「アンタも、S.M.Sの人間なのね?」

「ああ…そうだよ。でなきゃコレ使えねえよ」

「……いつから?」

「流石にそこまでは話せねえよ…」

「あ、そう。まあ良いわ。コレが終わったらじっくり聞かせてもらうから」

「ねえ俺今話せないって言ったよね?スルーするのはやめてもらえます?」

「いつまで話しているつもりだ!!!!」

中学時代と変わらない会話をする2人に、痺れを切らしたバンシィが突進してくる。

「ッ!!!!」

最初に反応したのはノワールだ。

咄嗟にバンシィの右手首を掴んでビームサーベルの斬撃を阻止し、続けて振り下ろされたクローも受け止める。

次の瞬間。

 

ビリッ!!!!

 

「ッ!?」

バンシィを駆るエムの頭に、強い衝撃が一瞬走った。

急ぎノワールから距離を取るバンシィ。

「…あ?」

バンシィの行動が理解出来ないノワール。

何か来るのかと、警戒レベルを跳ねあげた。

 

 

「(何だ今のは…?)」

今も若干痛む頭に、エムは疑問を持つ。

しかし、バンシィ自体にはクロー以外特に損傷は無い。

「(気にしても仕方ないか…)」

ビームサーベルを構え、バンシィは再び突進する。

 

 

「あら?もう終わりかしら?」

「ッ…」

「ユキ、エ…」

ゴールデン・ドーンの前には、シールドエネルギーが枯渇寸前のアストレイ・ゼロと、ボロボロのセリーがいた。

「じゃあ、さよなら…彼には、よろしく言っとくわ…」

右手を高く上げ、巨大な火球を作り出すスコール。

 

 

「人の家族に手ぇ出すんじゃねえ!!!!」

 

 

「ッ!!!?」

猛スピードで飛んで来たフリーダムに蹴られ、ゴールデン・ドーンの姿勢が崩れる。

「ハアァァァァァァァァァァァァ!!!!」

両手のビームサーベルを巧みに使い、ゴールデン・ドーンを次々と斬り刻む。

「アンタと言えど!コイツらに手を出す事は許さねえ!!」

「は、速い…!?」

スコールが以前戦った時とは比べ物にならない速さでフリーダムが舞う。

「これが…フリーダムの全力…」

「甘いな!ミオの全力はこんなもんじゃねえ!」

ゴールデン・ドーンを蹴飛ばし、雪恵とセリーから距離を取ると、容赦なくフルバーストを放った。

それを、シールドエネルギーの大半を消費しながらも受け切ったスコール。

いや、それすら一樹の計算通りなのだろう。

「…飛べる程度に損傷を抑えてくれたのは、慈悲かしら?」

「…俺は人殺しはやらない」

「それは道徳的な意味かしら?それとも…過去のトラウマから来る言葉かしら?」

「……さっさと行け」

スコールにはもう、フリーダムを攻撃するための武装は残されていない。それが分かっている一樹は、雪恵とセリーの元へと向かう。

「…あなたも分かっている筈よ。自分が今、どうなりつつあるのか」

それだけ呟くと、スコールはアジトに向かって飛んで行った。

 

 

麒麟の雪片弐型の斬撃に、装甲脚が2本切断されるアラクネ。

「こなくそ!」

残った全ての装甲脚からビームサーベルを発現、麒麟へと突進してくる。

「ッ!」

ギリギリまで引きつけると、麒麟の反応速度を最大限活かした動きでアラクネの背後に回り、更に雪片を振るう。

「チッ!?」

装甲脚を1本を失いながらも、致命傷は避けるオータム。

「ハァッ!」

横薙ぎに振るわれた雪片を、全てのビームサーベルを収束させて受け止める。

「クソッ…」

オータムはイラつきが収まらない。

何故なら、一夏はまだ全力を出してないのが目に見えて分かるからだ。

麒麟はデストロイモードになっていなし、雪片もその能力を発動していない。

「(遊んでやがるのか!?)」

「遊んでなんかいないさ、この状態で出せる全力を出してるだけだ!」

オータムの表情から思考を読んだ一夏の声が、余計にオータムをイラつかせる。

「それが遊んでるってんだよ!」

「あ、そう。じゃあ…」

アラクネを蹴飛ばして距離を取ると、麒麟の全身が金色に光り、雪片の刀身が開く。

『【零落白夜】、発動します!』

ハクの声と同時に現れる白く光る刀身。

対IS最終兵器が現れる。

「コレでトドメだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

暗くなりつつある京都の空で、残像を残しながら飛ぶ麒麟。

その白光の刃が、アラクネに振り下ろされる。

「ガッ!?」

装甲脚は全て切断され、シールドエネルギーもほぼ消滅した。

だが、かろうじて機体は残っている。

麒麟が更に攻撃しようと追撃してくる前に、出せる限界スピードでアラクネが向かった先には…

「ッ!?危ない簪ちゃん!!」

更識姉妹が…

「来い!!!!」

簪を庇った楯無を拘束するオータム。

「お姉ちゃん!」

「それ以上近づいたら、どうなるか分かるだろ?」

「…やる事がいちいち小者くさいぜ?」

「っせえなクソガキ。だが、お前も動けねえだろ?」

「テメエ…」

「クソガキを捕まえれば良かったんだが、この際この女でも良いか。スコールも行ったみたいだし、さっさとずらかるか」

楯無を睡眠ガスで眠らせて、オータムは飛び去った。

 

 

「大丈夫でござるか?雪…」

「何とか…大丈夫だよ…」

「セリー殿は…?」

「私も…何とか…」

ボロボロの雪恵とセリーを抱えて歩く一樹。

機体を解除して和装なため、今はござる口調だ。

「…遅くなってしまい、申し訳ないでござるよ」

「もう…かーくん心配し過ぎだよ…」

「普段のカズキの方が…無茶してる…」

疲労の色を見せながらも、笑顔を浮かべる2人にホッとする一樹。

「…良かった」

思わず口に出たのか、口調もいつも通りの、本当に小さな声で呟いた一樹。

心なしか、2人を強く抱きしめていた。

「…ふふ」

「…えへへ」

それを感じられた2人は、嬉しそうな声を出す。

『マスター…後で私も甘えさせて…』

「分かってるでござるよ…」

穏やかな笑みを浮かべて応える一樹。だが、その表情が一瞬で険しくなると…

「揺れるでござるよ!!!!」

2人を抱えたまま、全速力で走り出す。

その瞬間…

 

ドォォォォンッ!!!!!!!!

 

極太ビームが、京都の大地を震わせた。

『オイオイ、何逃げてんだよフリーダム。オレと遊ぼうぜ?』

新たな機体、デスティニーに()()()レインの声が解放回線に響く。

「…お主と遊んでいる暇は無いでござるよ」

『釣れないねえ…まあ、そんなのは無視すんだけどさ!』

バックパックに搭載されている【高出力インパルス砲】を一樹達に向かって撃ちまくるデスティニー。本気で一樹達を消すつもりだ。

「セリー殿!頼めるでござるか!!!?」

「うん…!ユキエは、任せて…!」

駆けながらセリーに雪恵を頼むと、2人が傷つかない絶妙な角度でスライディング。

『消し飛べ!』

デスティニーのインパルス砲が、放たれる…!

 

ドォォォォンッ!!!!!!!!

 

大きな爆発が起きた。

「ったく、さっき『あばよ』って言っただろうが。空気読めよクソアマ!」

爆発の中から、その蒼翼を広げてフリーダムが舞い上がる。

『それならオレも『覚えてろ』って言っただろうが。忘れてるオメェが悪いんだよ!』

ビームライフルを撃ち合いながら、徐々に浮上していく2機。

「そこだ!」

デスティニーの翼を狙い、ビームライフルを撃つフリーダム。だが、デスティニーはそれを僅かに降下しただけで避ける。

「…ん?」

何かが引っかかる一樹。

しかし、今は気にしてる暇は無い。

更にビームライフルを連射するも、デスティニーは最小の動きでフリーダムの射撃を避け続ける。

「俺の攻撃パターンを把握してやがるのか…!?」

『テメエは、絶対に人体に影響を与えない場所しか攻撃しねえ!ISでそんな場所は意外と少ない…となれば、自ずと武装に焦点が来るんだよ!』

武装に攻撃が来ると分かっているのなら、その武装を守れば良い。

フリーダムの戦いを、第三者の視点で見続けていたレインだからこそ、これに気付けた。

『いつもいつもテメエの思い通りに…やれると思うな!!!!』

背部ウイングブースターに装備されているビーム大剣、【アロンダイト】を抜刀。正眼に構えると同時にウイングブースターから眩い翼状の光が現れる。

残像を残しながらフリーダムに急接近するデスティニーに、フリーダムもビームサーベルを構えて迎え撃つ。

2機がすれ違う度に激しくスパークが起こる。

『テメエはオレが討つんだ…今日!ここでな!!』

「チッ…」

縦横無尽に飛び回るデスティニーの斬撃を、華麗に舞って避けるフリーダム。

突進してきたデスティニーを回し蹴りで蹴飛ばすと、二丁のビームライフルを連結させて【ロングライフル】を放つ。

『クッ…』

デスティニーの機動性を以ってしても、回避は間に合わない。止むを得ずビームシールドで受け止めるレイン。

だが、その威力に後方に弾かれる。

姿勢の崩れたデスティニーに追撃しようと、スラスターを蒸すフリーダム。

『っざけんな!!!!』

姿勢が崩れている状態で、正確にフリーダム目掛けてインパルス砲を撃ってくるデスティニー。

「……」

しかし、フリーダムもスキュラを撃ってインパルス砲を相殺した。

 

 

『エム、レイン、お遊びはそこまで。一時撤退よ』

 

激闘を繰り広げるレインの耳に、スコールの淡々とした声が聞こえた。

『何でだよおばさん!オレはまだやれる!』

『レインに同意だな。私もまだやれる』

『命令よ。心配しなくてもすぐに暴れさせてあげるから、今は戻りなさい』

スコールは通信を切った。

レインは舌打ちすると、フリーダムに背を向けてアジトに向かって飛び去る。

「……退くのか?」

『そうみたいだね。私達も戻ろ?雪恵さん達が心配だし』

「ああ」

 

 

無事旅館にたどり着いた一樹。

「今戻ったでござるよ。女将、すまぬが水を一杯いただきたいでござる」

「かしこまりました」

激戦の連続で思った以上に乾いていたのか、冷たい水が心地いい。

女将に礼を言ってから、一夏から聞かされていた部屋に入る一樹。

「あ、かーくん来た。こっちこっち」

手招きする雪恵の隣に逆刃刀を抱えながら座る。

「…現状を説明してくれぬか?」

「櫻井君…座り方もこだわってるね…」

簪の目がキラキラ光っている様に見えるが、スルーした。

右隣に座る雪恵が頬を膨らまして腕を組んで来たのとは関係無い。無いったら無い。

「…更識姉が拐われた」

千冬の言葉に、一樹の表情が険しくなる。

「…拐ったのは、誰でござるか?」

「…亡国機業の、オータムだよ。一瞬の隙を突かれてやられた」

左隣に座る一夏の言葉に、逆刃刀を握る手に力が入る。

「…ところで、ダリル先輩とフォルテ先輩はどうなったんですか?」

2人が裏切った事を知らない簪が千冬に聞く。

「…その2人は、亡国機業についたでござるよ」

俯きながら言う一樹の表情は読めない。

淡々と告げる声に、簪は愕然とする。

「そ、そんな…だって2人は、IS学園の最強コンビだって…」

「ダリルは元々亡国機業側の人間だったそうよ。それにフォルテはついていった形ね」

面倒そうに言う鈴。

「それに…2人の裏切りと同じかそれ以上に厄介な事があるぜ」

「…あの事でござるな?」

「ああ」

一樹の正面に座る弾が、エムの機体について報告する。

「どうやって手に入れたか知らんが、亡国機業も一夏と同じようなシステムを搭載した機体を使ってやがる」

「な!?」

それに驚いたのは、その機体を扱っている一夏だ。

「(…確か、前にイタリアの整備士から自慢げに電話が来たな『これで君たちを超えられる』という内容のが。奪われたら世話ないけどな)」

呆れて物も言えない一樹。

そして、そのシステムはS.M.Sでとっくに作られていたという…

「厄介には変わりねえけどな…」

「ああ…」

小声で呟いた一樹に同意する一夏。

「…んで、ソイツの狙いは一夏、お前だったぜ」

「まあ、そうだろうな…」

「気をつけろ。奴の速さは尋常じゃない。幾ら()()()でも、油断したら大怪我じゃ済まない。死ぬぞ」

「…分かった。気をつけておく」

「それも気になるでござるが…」

一呼吸置いて、一樹が話し始める。

「何より気になるのは、楯無殿の安否でござるよ」

「「「「……」」」」

「楯無殿は優秀なIS乗り、亡国機業側からしたら喉から手が出るほど欲しい人材でござろう。ただ…連中が楯無殿をまともに扱うとは思えないでござるよ」

「確かにな…恐らく、今晩にでも攻めてくる。皆、準備を怠るなよ」

「あの…織斑先生」

控えめに手を上げるシャルロット。

その表情は、何か聞きたげだ。

「…何だ?デュノア」

「その…そこにいる男の人と、織斑先生の隣にいるアリーシャさんは、何故ここに?」

「2人とも協力者だ。他に何かあるか?」

「アリーシャさんはともかく、男性がいる理由が分かりません」

「…だ、そうだ。すまないが自己紹介してくれるか?」

申し訳なさそうに弾を見る千冬。

戸惑いの表情で弾が一樹を見ると、肩をすくめられた。

面倒だが仕方ない、という意味で。

それを理解した弾は身なりを整え、改めて自己紹介した。

「…今回の作戦で共闘させていただきます。S.M.S防衛科所属の五反田弾少尉です。よろしくおねがいします」

きっちり直角に腰を折る弾。その姿を見て驚いたのは、普段のおちゃらけた状態しか知らない鈴だった。

 

パチンッ!!!!

 

どこかから指を鳴らす音が聞こえ、一瞬部屋が強く光った。

全員がその方向を向くと、いつのまにかS.M.Sスタイルに着替えた一樹の姿があった。

「…話す内容が内容だからな。この姿に戻させてもらった」

あの女将には内緒にしてくれよ?

と、苦笑を見せる一樹。

「さて…今言った通り、弾はS.M.Sの人間だ。実力は保証する。これは他言無用で頼むぜ?」

全員が頷いたのを確認すると、話しを続ける。

「後、対IS装備も持ってる。前俺が使ってた機体の改良型で、その名も【ストライクノワール】なんだが…言っちゃ悪いけど、お前らよりは強いぞ?」

「やめて一樹!?俺を過大評価しないで!」

 

 

「話を戻して…アーリィ、機体の損傷は大丈夫なのか?」

「問題無いのサ」

「んじゃ、ブリュンヒルデクラスが1人増えた事になって、国家代表クラスがマイナスと…」

キツイな、と一樹が珍しく弱音を吐いた。

「…1人あたりの分担が大きくなるな」

「じゃあ、俺はさっきの話の新型を相手するか」

一夏は、自分からバンシィの相手をすると言い出した。

「…いや、下手に役割分担しない方が良い。今回の奴らの機体のスペックを考えたらな」

「確かにな。更識姉の救助が最優先とだけ決めておけば良いだろう」

臨機応変に対応するのが一番と判断する一樹に同意する千冬。

「…けど、チーム分けはした方が良いと思う」

弾の発言に、全員が顔を向ける。

「チーム分けって言っても…俺とお前が単騎で良いじゃねえか」

「あ、俺もそれで」

一樹、一夏がそれぞれ単騎を望むのに呆れる弾。

「いや、お前ら…少しは連携を考えようぜ?」

「「じゃあ一夏(一樹)とで」」

「そこは俺も入れろ!じゃなかった!!学園の仲間と!!」

「だって一夏」

「いや待て一樹。お前も雪恵やセリーと組めよ」

「雪とセリーを危ない目に合わせる気か貴様!」

「雪恵は専用機持ってるしセリーは俺より強いっての!!」

「生身ではな!IS相手って無茶にも程があるだろうが!!!!」

「えこひいきすんな!」

「お前みたいな八方美人よりマシだろうが!!!!」

「誰が八方美人じゃゴラァ!!!!決着つけてやるから表出ろ!!!!!」

「上等だ!ハクには悪いが、ボコボコにしてやるから覚悟しやがれ!!!!」

いつのまにか喧嘩腰で部屋から出る2人。

「お、おい2人とも!」

それを慌てて追う弾。

雪恵とセリー以外の女子が呆れていると、千冬がため息をつきながら言う。

「…お前ら、行かなくて良いのか?アイツらは今ので出撃したぞ?」

「「「「…あ!!!?」」」」

 

 

「オラ、さっさと歩け」

「ッ…」

縛られた楯無が、レインに薄暗い部屋へと蹴飛ばされる。

「ご気分はいかがかしら?更識楯無さん」

優雅に微笑みながら話しかけてくるスコールに、楯無も笑みを浮かべながら答える。

「最悪♪」

「あらあら。レイン、お客様は丁重におもてなしをしなさいと教えたでしょう?」

「コイツはお客様とは言わねえよ。学園にいる間は【学園最強】とやらで煩かったんだ。これくらいはしないと割に合わねえ。そんなことよりおばさん、フォルテのアレは終わったのか?」

「もちろんよ。デスティニーをデチューンしながらも高性能を維持した機体、【インパルス】を彼女に託すことにしたわ」

「そうか、なら良い。オレはもう行くぜ」

「ええ、お疲れ様」

レインが部屋から出ると、楯無とスコールの2人だけとなった。

「…何を企んでいるのか知らないけど、無駄に終わるわよ?今のIS学園には、()()がいるもの」

「あら?あなたも認めてるの?櫻井一樹の実力を」

「当たり前よ。何せ共に戦ってる仲間ですもの。彼と一夏くんがいれば、あなた達を相手することくらい簡単よ」

「へえ、随分信頼してるのね…でも、それも万全な状態での話。今回はそう簡単にはいかないわよ」

そう言うと、スコールは照明のスイッチを入れた。

そこにあったモノを見た楯無の顔が、驚愕に染まる。

それは、黒く光る巨大なIS。

普通のISの2倍以上の大きさのソレに、楯無の体が震える。

「あなたにはこの機体の()()()になってもらうわ。そして、京都の街を破壊してもらう」

「そんなこと…だれがするもんですか」

「言ったでしょ?『パーツになってもらう』って。そこにあなたの意思は関係ないわ」

無表情で話すスコールに、楯無は恐怖する。

「あなたの言う【仲間】とやらは、あなたを討つ事が出来るかしら?」

果たして、その黒いISとは…




ドンドン派手になっていく京都編。


最後の機体は…皆さん、もうお分りですよね?

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