…とうとう、彼が
シャドウ・デビルにパンドンという強敵に、未だダメージが抜けていないウルトラマン。
戦力の差は、歴然だった…
『ハァッ!』
「グゥッ!?」
《ギャオッ!》
「グオッ!?」
シャドウのハイキックにパンドンの嘴の刺突攻撃を受け、ウルトラマンの体から火花が散る…
『ハァァァァァ…フンッ!デュアッ!!』
《ギャオォォォォ!》
「グアァァァァ!!?」
シャドウのダークレイ・ジャビロームとパンドンの火球を喰らったウルトラマンが、大地に倒れる…
学園に繋がるモノレールに着いたダン。
「…やはり動いていないか。ならば」
誰も見ていないのは幸いだった。なんとダンはモノレールの線路の上を走り出した。良い子は決して真似をしてはならないぞ。
「グゥッ…アアッ…」
ピコン、ピコン、ピコン…
ボロボロのウルトラマン。それでも必死に立ち上がってシャドウとパンドンを止めようとする…
「もう良い櫻井!もう充分だ!!」
「もうやめてかーくん!!」
その姿を見ていられず、千冬と雪恵が叫ぶ…だが、ウルトラマンはそれでも立ち上がる。
『いい加減消えろ!』
ウルトラマンの首を掴んで持ち上げるシャドウ。そして、シャドウの右手が…
ズンッ!!!!!!!!
ウルトラマンの…左胸を貫いた。
「グゥッ…」
その瞳から、光が消える…
「「『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』」」
雪恵、セリー、ミオの悲痛な叫びがIS学園に響く…
『ハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!とうとうやったぞ!6年もかかったが、やっとこのゴミ屑をやれた!!!!』
手足をぶらんと下げているウルトラマンから右手を引き抜くと、学園前に放り投げるシャドウ。
『だがまだ足りない!このゴミ屑が存在していたという証拠を全て消さなければ、ゴミ屑を消した事にはならない!』
もう動けないウルトラマンに向けて、シャドウとパンドンはそれぞれ力を貯める。
「……て……」
シャドウのエネルギー球が、パンドンの口の炎が大きくなるのを見ながら、弱々しく呟く雪恵。
「…め……て……」
専用機持ち達が懸命に攻撃するが、ISではシャドウにかすり傷一つ作る事が出来ない。
「やめて……」
専用機持ちの攻撃を全く意に介せず、シャドウはエネルギー球を完成させた。
『これで最後だ!!!!』
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
線路の上を走っていたダンの目に、倒れているウルトラマンと、トドメを刺そうとするシャドウとパンドンが入った。
「させるか!」
懐から赤いメガネ状のアイテム…【ウルトラアイ】を取り出し、変身する。
「ジュアッ!」
『ハァァァァァァァァァ!!!!』
《ギュアァァァァァァァ!!!!》
シャドウとパンドンの攻撃が、倒れているウルトラマンに迫る…
「ジュアッ!!」
しかし、赤い戦士が攻撃とウルトラマンの間に入り、光の壁でシャドウとパンドンの攻撃を受け止めた。
『何!?』
驚くシャドウを他所に、赤い戦士…【ウルトラセブン】はウルトラマンを軽く揺する。しかし、ウルトラマンの反応は無い…それを見たセブンは、拳を固く握りしめる。
『お前、その屑の仲間か?』
シャドウの声かけに、セブンは…
「屑とは、誰のことだ?」
抑揚のないそれは、シャドウを苛立たせた。
『決まってるだろ!?そこで転がってるゴミのこと…』
シャドウの言葉を、セブンは最後まで聞かなかった。振り向きざまに、頭の宇宙ブーメラン【アイスラッガー】を投げる。
シャドウは横に飛び込んでそれを回避。だが、戻ってきたアイスラッガーによって、パンドンの頭から胸の辺りまでバッサリ切られ、パンドンは倒れた。
『何!?パンドンを一撃でだと!?』
頭部にアイスラッガーを戻すと、シャドウに向かって構えるセブン。
「デュッ!」
『…ハッ!』
シャドウもまた、セブンに向かって構える。
シャドウの連続攻撃を、見事に捌くセブン。
「デュアッ!」
『グッ!?』
カウンターのパンチが決まり、
『グオッ!?』
アイスラッガーを右手に持ち、起き上がったシャドウを連続で斬りつける。
「ジュアッ!!」
『グッ⁉︎グゥッ!?グオッ!!?』
残像が見える程の斬撃に、シャドウは手も足も出ない。
セブンは後方に飛んで距離を取る。両腕をL字に組み、必殺の【ワイドショット】を放った。
「デュアッッッ!!!!!!!!」
『グアァァァァァァァァ!!?』
ワイドショットを喰らっても、まだ健在のシャドウ。だが、ダメージはやはり大きいらしく、立ち上がれない。
『やるな…だが、目的のひとつは果たした。今日はここで退いてやる』
パンドンの死体とともに、シャドウは闇に包まれ消えていった…
シャドウが完全に消えたところで、セブンはウルトラマンに再び触れる。
しかし、やはり反応は無い。
「……」
悲しげにウルトラマンを見るセブン。ウルトラマンに駆け寄る雪恵達。
《セブンよ…》
そんなセブンの耳に、声が聞こえた。
「…大隊長、ですか?」
《ああ》
セブンの後ろに現れる緑色の光球。眩しそうに手を顔の前に出す雪恵達。
光が晴れたそこには、真紅のマントを羽織ったケンの姿が…
「彼は、私が光の国へ連れて行く。その間、君がこの星を守るのだ…」
「彼を…光の国へ?」
「そうだ。元々この戦いが終われば光の国へ連れて行くつもりだったが、こんな形になってしまうとは…」
「…分かりました。彼を、お願いします」
ケンは頷くと、今度は雪恵達にテレパシーを送る。
《君が、田中雪恵さんだね?》
「…はい」
涙でぐしゃぐしゃの顔で頷く雪恵。
《大丈夫、彼は助かるよ。1週間、光の国で療養すればね》
「本当ですか!!?」
《ああ》
優しく告げるケン。雪恵はその言葉を聞き、嬉し涙を流す。
「ありがとうございます…ありがとうございます!」
《待ってやってくれ。彼の、帰りを》
「はい!!!!」
今度は笑顔で頷く雪恵。
ケンも頷き返すと、緑色の光球になり、ウルトラマンを取り込んで飛んで行った。
まさかの、一樹出番無し!(いやあるにはあったが)
次話は、光の国でも療養生活を書く(予定)ぞ!!!!
…つまりゲストだらけってことになるので、よろしくお願いします。