人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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駄目だ…原作の甘さを超えられない!


Episode98 女中-メイド-

「全く!酷い目に合いましたわ!」

【世界】から抜け出して、すぐの言葉がコレだった。

「あはは…頭痛は収まったか?」

「え、ええ。おかげさまで…」

「良かった。それなら、現実(あっち)に戻って待機しててくれるか?一樹が外の奴相手してるけど、アイツもその内あの扉進まなきゃいけないし」

雪恵が入ったと説明を受けた扉を指しながら、一夏は苦笑する。

「…そうですわね。やはり、雪恵さんの騎士は櫻井さんでないといけませんわ」

そう言って微笑むと、セシリアは現実世界へと戻っていく。

…ダジャレのつもりは無いよな、きっと。

「…簪、次は?」

『待って…今衣装データをインストールするから』

 

 

僕の名前はシャルロット・デュノア。

IS学園に通う____

 

『ワールド・パージ、完了』

 

____豪商、織斑家に仕えるメイド。

でも、それもあと1週間で終わり。何でかと言うと…

「…シャルロット♪」

「ひにゃあ⁉︎」

耳元で囁かれて、思わず大きな声が出てしまう。

「ご、ご主人様!イタズラはやめてください!」

落としそうになった掃除用具を慌てて掴み直し、ご主人様を睨む。

「はは、良いじゃないか少しくらい。それに、ご主人様はそろそろやめてくれないか?」

「で、でも…まだメイドですし」

お母さんが死んで、孤児となった僕を雇ってくれた先代党首は昨年引退、今年はご主人様____織斑一夏が党首の座に就いている。

その一夏が党首になってすぐに宣言したのが『メイドのシャルロットを妻として迎える』だった。

幼い頃からずっと一緒にいた一夏とは本来、結ばれない立場…そんな僕を、一夏は妻にすると言ってくれたのはとても嬉しかった。

1週間後の結婚式で、僕と一夏は結ばれる。

「ふうん…なら、ご主人様の命令は絶対なんだ?」

「そ、それは…もちろん」

「なら命令だ。シャルロット、今から俺の部屋に行くぞ」

「…えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?!!?」

ただ、一夏は…スイッチが入ったら凄いです。ナニが、とは言えないけど。

「さあ行くぞ!善は急げだ!」

「それ使い所間違ってますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」

 

 

「…うん、これを私達が見てるって知った時の反応が楽しみだね」

悪い笑顔を見せる束とは反対に、セリーは退屈そうだ。

「…アホらし」

「おっとセリーちゃん。なら今度かずくんとこういうのが出来るメカ作ってあげようか?」

「何それ最高早く作れ」

「い、いっそ清々しい反応だね」

予想以上に早いセリーの反応に、流石の束もドン引きだ。

 

 

「と〜うちゃく♪」

僕を抱えたまま、一夏は嬉しそうに扉を開けた。

ああ…また明日の朝までナニするのか…

べ、別に嫌では無いけど。

「シャルロット…」

ベッドに寝かされた僕の上に乗る一夏。

その顔がだんだん近付いてくる…

 

「だから!お前は何やってんだよ‼︎」

 

ドアを蹴り飛ばして、奇妙な格好の人物が入ってきた。

入ってくるなり、見事なハイキックを一夏に決めた。

格好はというと、なんというか…変な仮面にマント、ブーツ、手袋と【怪盗】だった。

「何だお前は!?」

「お前こそ何だ!?」

「い、一夏!」

押さえ込まれてる一夏を助けようと、僕は部屋にあったサーベルを怪盗風の人物に向けて振り下ろす。

「うおっ!?危ねえ!」

紙一重でその斬撃を躱す怪盗に、僕は更に踏み込む。

「逃げるな!」

「無茶言うなよシャル!正気に戻れ!」

「気安く呼ぶなぁ!」

____あれ?

「助かったよ、シャルロット」

____あれれ?

「(僕、ぼくは…シャルロット…でも、……誰かにだけ、特別に……シャルって呼ばれて……)」

 

『ワールド・パージ、強制介入』

 

「ああっ!!?」

急激な頭痛に襲われる。

「シャル!ちょっと待ってろよ!」

怪盗は仮面を剥ぎ取って、素顔を見せる。

そうだ…僕が好きなのは…

「シャルって呼ばれる事!!」

持っていたサーベルを、ニセ一夏に向かって振り下ろそうとする。

けど、頭痛が激しくて途中で止まってしまった。

「シャル!借りるぞ!」

本物の一夏が僕からサーベルを受け取ると、見事な太刀捌きでニセ一夏を両断した。

『ワールド・パージ…強制、かいにゅ…』

そんな音声と共に、ニセ一夏は消えた。

それと同時に、【世界】が崩れ始める。

「逃げるぞシャル!」

「うん!」

手を引かれた僕は、一夏と一緒にその空間を脱出した。

 

 

「おー。ここまでは順調だね〜」

「…はい、ここまでは」

束と簪が画面に張り付いている中、セリーはとうとう面倒になったのか寝転がっていた。

「あーあ、つまんない」

ゴロゴロ転がっていたセリー。

だが、急にガバッと起き上がると扉に向かって駆け出した。

「「「?」」」

既に現実世界に戻っていた鈴とセシリア、そして楯無が不思議そうな顔をしていると、扉が開いた。

「…今、どういう状況ってうおッ!?」

「カズキ!お帰り!」

入って来たのは一樹たちだった。セリーは入ってきた一樹に飛び込む。何とかセリーを受け止めた一樹だが…

 

ズキッ!!!!

 

「ッ…」

その衝撃が左肩に走り、苦悶の表情を浮かべる。

『あの、セリーちゃん。離れてあげて?』

ミオがセリーに離れる様に促す。

「…何で?」

『…マスター、撃たれてるから』

「「「「!!?」」」」

楯無以外の顔に、驚愕が走る。

「…本当?カズキ」

「ああ…束さん、痛み止めください」

「…うん、分かった。怪我の度合いは?」

一樹はここで、フリーダムを完全に解除。

白かった制服が、もはや赤黒くなっていた…

「カズキ、また無茶を…」

「それは違うわセリーちゃん」

制服を破り、消毒をするセリーに、楯無が話しかける。

「櫻井君は、私を庇って…」

「狙われてたのは俺だ。楯無が気に病むことじゃない」

「でも!」

「はいストップ」

尚も自分が悪いと主張しようとする楯無を、セリーが止めた。

「カズキはそういう人だから、あなたはあまり気にしなくて大丈夫。ただ、その命は大切にしてね」

「…ええ、分かったわ」

セリーの言葉に、楯無は素直に頷く。それを、ホッとした様子で見る一樹。

「その、櫻井君…」

簪が遠慮気味に一樹に話しかけて来た。

「ん?どうした?」

「その…肩に怪我してるところ悪いけど、電脳世界に行ってもらえないかな?」

「…電脳世界?」

キョトンとする一樹に、束が説明する…

「…でもそれはIS操縦者、しかも専用機持ちの話でしょ?俺はそもそもISを扱えないんですよ?」

「ちょいちょいかずくん。君が今扱ってる機体は「黙れ」はいすみません」

束がツッコミを入れようとするが、一樹の殺気を受けて止まる。

「…でも、雪恵を助けに行けるのは櫻井君だけだよ?」

天災を圧倒している一樹に驚きながら、簪が告げる。

「…別に行かないとは言ってない。おい天災、デバイス作れ」

「イエッサー」

一樹の睨みにビクビクしながら、束はデバイスを作り始めた。

 




雪恵の話をキリ良い数字、100にしたいので、ラウラと箒はミックスさせます!


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