祝!100話達成!!!!
ここまで続いてるのも、読者の皆さんからの温かい応援のおかげです!
いつも感想を書いていただき、ありがとうございます!
とても励みになります!
これからもよろしくお願いします!
「さて、この学園を狙った目的は何かしら?」
楯無は一樹とは別の方向で、襲撃者と対峙していた。
ほとんどの襲撃者をミステリアス・レイディの水蒸気爆発で気絶させ、残った1人に対して尋問をしているところだ。
「へっ!傭兵は依頼さえ有ればギャラ次第でどこにも着くんだよ。目的なんざ知らねえ」
「…あなた、捨て駒にされてるのに疑問は無いの?」
「捨て駒ぁ?何言ってんだ。上手くやりゃあ一生遊んでいける金が手に入るが失敗すれば死ぬ。そんだけの話だろ?まあ、お前達女に良いようにされてんのが気に食わねえのが1番の理由だけどよぉ」
楯無は目の前の男に嫌悪感を持つ。最近は一夏に恋をし、一樹に憧れた事から忘れがちになっていたが、楯無は本来暗部に身を置く人間。こんな男の情報ばかり見せられていては、男嫌いにもなるであろう。
「それに…」
「?」
「アンタ、俺たちを全滅させた気になってないか?」
「ッ!?」
ダダダダダダダダダダダッ!!!!
楯無を狙って別部隊がマシンガンを一斉射して来た。楯無はミステリアス・レイディのアクア・ナノマシンでその銃弾を受け止める。
両腕を顔を守る様に交差させたのは無意識のうちでやっていた。そのおかげで、残酷なモノ…目の前の男だったモノの最後を認識しないで済んだ…
「更識楯無!そのまま動くな!」
生徒の避難をさせていた一樹がマシンガン部隊を蹴散らし、指示通りじっとしている楯無を小脇に抱えてその場を高速で駆けて離れる。
「悪い遅くなった!怪我は無いか⁉︎」
「え、ええ…ありがとう…けどこの運び方は…」
「一夏以外に抱えられたく無いだろうけどしょうがないだろ!それに、俺に姫様抱っこされたらお前ら吐くだろ!?」
「流石にそれは自虐が酷すぎるわよ櫻井君!!?」
一樹がこういうのを言うのは訳がある。今、楯無がハイパーセンサーを感知に回したら、彼女にとんでもないトラウマを植え付けてしまう事になる…
先程まで目の前にいた男の肉片が飛び散る、地獄絵図を。
「(お前は、そんなの見なくていい。そういうのを、知らなくて良いんだ)」
こんな死に方を、実際にその目で見る必要はない…
「…櫻井君?どうしたの?」
「いや、別に…ッ!揺れるぞ!」
「え?キャア!?」
ドドドドドドドドッ!!!!!!!!
逃げてた先に、また別の部隊がいた。しかも先程の部隊の装備より殺傷力が高そうだ。
それを一樹は、楯無を抱えてたまま壁と天井を走って避けてすれ違いざまに逆刃刀で殴る。
ドカッバキッゴスッ!!!!!!!!
「「「「オゴッ!!?」」」」
逆刃刀なのもあるが、何より一樹の絶妙な手加減によって襲撃者達は死なずに済んでいる。
「目の前の野郎を撃て!!アイツさえいなくなれば後はただの女共だ!簡単に殺せるぞ!!!!」
「そんなこと!絶対にさせるかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そこで楯無を離して身軽になると、ふざけた指示を出した司令官に肉薄し…
ボゴォォォォッ!!!!!!!!
「ガフッ!!?」
逆刃刀を思いっきり薙いだ。
「撃ちまくれ!弾幕を張れば奴と言えど…」
「させないわ!」
一樹を集中放火しようとする傭兵たちに、楯無はアクア・ナノマシンで銃を濡らして使えなくさせる。
「ッ!?このクソアマがぁぁぁ!!」
激昂した傭兵の1人が楯無に斬りかかる…
キィンッ!!
しかしそれは、一樹の逆刃刀に受け止められた。
「お前らの方が、よっぽど屑だ」
逆刃刀を振り上げて傭兵の姿勢を崩すと、一気に踏み込む。
ズドンッ!!!!
「かっ、はっ…」
腹部に強烈な一撃が入り、傭兵は気絶。
「「「「死ねぇぇぇぇ!!!!」」」」
残った傭兵が一斉に一樹に襲いかかるが、一樹は大きく後方に飛んでそれを避け…
「後は任せた」
「お任せあれ♪」
傭兵たちはアクア・ナノマシンの爆発に囲まれ、戦闘不能となった。
「…ナイス援護」
逆刃刀をとりあえず鞘に収める一樹。だが、その眼はまだ戦闘態勢である事を表していた。
「まあ、これくらいはね。さあて次は…」
対する楯無はハイパーセンサーで辺りに敵がいないのを確認して、ミステリアス・レイディを解除した。してしまった。
「…ッ!!?楯無避けろ!!!!」
「え……」
楯無は一樹の左手によって突き飛ばされた。その瞬間…
ズガンッ!!!!!!!!
「……え?」
一樹の左肩が、撃ち抜かれた。
「ッ…!!?」
左肩から血が流れるも、一樹は呆然としている楯無を再び抱えて物陰に隠れる。
ヒュンヒュン!!
2人の頭部を狙って放たれた銃弾を、ギリギリ避ける事が出来た。
「さ、櫻井君…」
漸く脳の処理が追いついてきた楯無が、一樹の左肩に手を伸ばそうとする…
「触るな!毒に感染するぞ!」
しかし、一樹がその手を払った。
「ど、毒?」
「しかもかなりタチの悪いタイプのだ…だろ?サーシェス!!」
「ッ!!?」
一樹の叫んだ名に、楯無は無意識のうちに体を守る様に抱えた。
「ギャハハ!その通りだぜクソガキ!俺らの目的はここのISの強奪…が他の野郎には説明されてたが、実際はテメエにこの弾丸を当てる事だったんだよ!!」
つまり、まんまと罠に掛かってしまったということだ…
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
震えながら謝罪する楯無。彼女にとって、サーシェスの存在はもはやトラウマ級だ。一方的に両腕を折られたのに加え、今回の銃弾…
「気に、すんな…俺のミス、なんだからな…」
左肩を抑えながら、力無い笑顔を楯無に見せる一樹。それが余計に、楯無の心を痛めつける。
「一夏がそろそろ着く…アイツを、オペレーションルームに案内してやってくれ…」
それを知ってか知らずか、一樹は壁に寄りかかりながら立ち上がり、一夏の所に行かせようとする。
「で、でもそれは…」
「良いから」
動こうとしない楯無の腕を引き、左腕をダラリと下げた状態で進もうとする。
「おいおい、行かせるわきゃあねえだろうが」
見てなくても分かる。サーシェスが自らの機体を纏った事を…
「…悪い」
小さく楯無に謝ると、楯無を窓から放り投げた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!?!!?」
窓から放り投げられた楯無の悲鳴が響く。一樹の事で動転していたため、ISを纏う事が出来ない。
地面に落ちる恐怖に目を瞑るが、いつまで経っても落ちる感覚が来ない。
むしろ…心が安らぐ気がした。楯無がゆっくりと目を開けるとそこには________
「ったく、無茶させんなよ一樹」
想い人の、凛々しい顔があった。
一樹は、一夏から左肩が見えないよう注意しながら、サーシェスを警戒する。
「…一夏、楯無の案内に従ってオペレーションルームに行け」
「…お前は?」
「もう少しアイツの相手をする」
一夏の方へ顔を向けないのは、物陰からサーシェスを警戒してるため。
…額に浮かぶ、脂汗を見せないため。
「…だから、行け」
「けど一樹…」
「行け!!!!」
「……」
一夏は悔しそうな顔を見せたあと、楯無の手当のためにもと、オペレーションルームに向かって飛ぶ。
「……行ったか」
一夏が完全に見えなくなったのを確認すると、一樹は物陰から出てサーシェスと対峙する。
サーシェスは、既に己の機体であるシナンジュを展開していた。
「ずっと気になっていたけど、今やっと分かったよ。お前のその装備、EOSを異常な程改造したものだな?」
「ご明察」
賞賛の意を込めて拍手を送るシナンジュ。
「…確かに、ISだったら俺は扱えねえ。だがEOSにはコアを使ってない以上、適性だとかそんなもんは大して関係ないからな」
「だが…」
左肩を抑えながら、一樹はサーシェスから情報を引き出そうとする。
「EOSは関節系が尋常じゃない程遅い上に、稼働時間は30分程しかない…しかも歩行のみと仮定して、な。だからEOSじゃない【何か】だと思ってた」
「あん?じゃあ何で分かったんだよ」
「動力炉に電気信号」
一樹はサーシェスや、その同業達が纏ってきた機体を思い出しながら語る。
「お前らの機体は、特徴として大きなバックパックがあるのが多かった。それが動力炉だと仮定したら、色々繋がったんだよ。まず、EOS最大の弱点である稼働時間がクリア出来る。次に反応速度だけど、イカれたお前らの事だ。
そして、シナンジュはその動力炉の小型化に成功したのだろう。あまりバックパックは大きくない。
「ヒュウー♪正解だぜ。といっても、電極は意識しても分からないくらい超極細タイプだ。でなきゃ戦ってる途中アタマがダメになっちまうからなあ…さて、くっだらないお喋りもここまでだ」
シナンジュはシールドからビームアックスの持ち手を抜くと、一樹に突きつける。
「俺の生き甲斐は【戦い】なんだ。グダグダくっちゃべる事じゃねんだよ」
「……」
一樹は左肩を抑えて黙っている。
いや、神経を集中させている。
シナンジュの攻撃に、いつでも対応出来るように…
「そんじゃぁ…行くぜ!!!!!!!」
シナンジュがスラスターを蒸し、一樹に向かって突進する…
「ミオ!!!!!!!!」
『行くよ!!!!!!!!』
一樹もフリーダムを展開、シナンジュの両腕を何とか抑えると、窓から外に飛び出す。
戦いの場所を、変えるために…
100話なのに!
大して文字数いってない!
ごめんなさい!