「…腹減った…」
とある会社の一室で、高校生くらいの青年が空腹を訴えていた。
「2週間…前に…チュッパチャプス舐めたっきりだっけ?」
訂正、餓死寸前である。
「一樹!テレビつけ…ってお前も大丈夫かぁぁぁ⁉︎」
青年が床で転がってる中、青年と同年代のイケメン青年が入って来たと同時に絶叫した。
「そ、宗介…何か食べる物を…」
「ほい、パンとコーラで良ければ」
「ガツガツガツ‼︎」
「早えなオイ‼︎何週間食って無いんだよ⁉︎」
宗介と呼ばれた青年の言う単位もおかしい。
「に、2週間」
「よし、舞さんと柚希に報告だ」
「やめろ馬鹿‼︎舞は仕送り額の半分を俺なんかに使うし柚希はここに乗り込んでくる!2人に迷惑だろ‼︎」
この漫才をしてる2人、餓死寸前だった青年がこの部屋の主、櫻井一樹。そしてイケメン青年が櫻井宗介だ。2人の関係は従兄弟らしい。ちなみに舞とは一樹の義妹で、柚希は宗介の実妹だ。
「そういえば宗介。なんか話があったんじゃあ…」
「そうだったぁぁぁ!」
2人ともバカ疑惑急浮上である。
「一樹!テレビつけろ!」
「ん?ああ」
一樹が宗介に言われた通り、テレビのニュースをつける。そこでは一樹にとって見慣れた顔が主題に出されていた。
「…は?」
『速報です。今日の朝、世界で始めてISを扱える男子が現れました。名を…』
一樹と違い、今日高校受験を受けに行った筈の幼馴染、その名は…
『織斑一夏君です』
「…マジ?」
自分の見た内容が信じられなくて隣の宗介に聞く一樹。
「非常に残念ながら、現実だ」
「って事はアイツはIS学園に送られる事になるのか…かぁぁぁめんどくせえ!」
「え?何で?俺ら関係ないじゃん」
「…え?お前マジで言ってる?世界に今のとこ1人しかいないISを扱える男が現れたんだよ?ソイツに関する全てのデータを取ろうとするのが今の世界情勢だろ?」
「…ハッ!となると」
「アイツのバイト先から何まで全部調査が入るでしょうな」
「ヤバッ!」
「だからめんどくせえって言ってんだろ‼︎とにかく、総理大臣と電話だな。後、いつものメンツで世界各国のお偉いさんに電話。IS学園の校則にある『データの世界への通達』をしなくて良いように交渉してくれ」
「了解。直ぐに手配するよ」
宗介が部屋を急いで出た後、一樹は携帯を取り出し、ある番号にかけた。相手はワンコールで出た。
『もすもすひねもす〜。天才束さんです』
「…櫻井一樹です。もう要件は分かっているでしょう?」
『もちろん!いっくんの専用機でしょう?心配しなくてもこの束さんが作ってあげるよ〜』
「…いえ、コアだけ下さい。アイツの機体は『俺たち』で作る」
『うーん、他の猿達だったら断ってたんだけど他でもないかずくんの頼みだしね!分かったよ、コアだけそっちに送るね』
「ありがとうございます。では」
束との通話を終えた一樹。今度社内用電話を使う。
「…あ、マードックさん。近いうちにISコアが届くんで、今から送るデータの機体を作って下さい。お願いします」
『あいよ!任せとけ‼︎』
その数十分後、お偉いさんから出された条件に頭を抱える事になるのを、一樹はまだ知らない…
ハーメルンのシステムをちゃんと理解するまでかなり時間がかかると思いますがどうかよろしくお願いします。