私だけの星 ずっと輝いてるよ 作:ヴァイロンオメガファントム
八幡side
俺は、最後の確認のために雪ノ下さんを探していた…はずだったんだけど…
「お前ら…なんでここに…」
「ヒッキーこそ…なんでここに?」
「お、俺は…雪ノ下さんの頼みで……ちょっとな…」
「そう…姉さんが…」
「ていうかー?せんぱいもはるさん先輩のダンス見に来たんですかー?」
ちょっといろはす?あざとい!近い!あざとい!
「にしては、格好がいつもと全然違うのね」
「どうしたのヒッキー…まさか…陽乃さんの頼みって…」
こいつほんと勘だけはいいよな。
「あ…いや…その…」
「比企谷くん。隠さないでいいわ。姉さんの頼みだからどうせろろくでもないことでしょうし」
「あ、あぁ…実は…一緒に踊らないかって誘われたんだよ…」
そして俺は今日あったことを簡潔に説明した。
「はぁ…また姉さんが…全く姉さんったら…その…比企谷くん?ごめんなさい…」
「いや別に雪ノ下が謝ることはないだろ。っていうか時間がない、雪ノ下さんを見なかったか?」
「陽乃さんー?いや見なかったよねー?ゆきのん」
「ええ。私たちは見てないわ。」
「あ、でもー、さっき屋上にはるさん先輩らしき人がいたって言うのはきいてます。」
「そうか…助かる一色!」
「!!なんですか、今日はいつもと違う格好だからって口説こうとしていましたか!?確かに今日のせんぱいは格好良くてさっきからきゅんきゅんしてますが、冷静になると目が腐ってるいるのでごめんなさいやっぱ無理です」
「あ?なんで俺はまた振られてんの?まぁいいやとりあえず俺は屋上に行ってくるわ」
「待ちなさい………私も行くわ…姉さんに話があるし…」
「…あぁわかった」
「ゆきのんわかった!私といろはちゃんはもう体育館にいくね!」
「えぇ、後で合流するわ」
「では先輩!どんなダンスするのか楽しみにしてますね!」
「おう、あまり期待するな」
「では行きましょう」 「あぁ」
こうして陽乃さんがいると思われる屋上へ向かった。
陽乃side
「………あ」
私は…気づいたら屋上に来ていた。今日は天気も晴れでよく星が見える。あと少しで本番だというのに全く緊張しない。今日もたくさんのお偉いさんたちがくる。失敗は許されない。なのにどこか安心感がある。どーしてだろう…
「あ、あの輝いてる星…」
そう、私。昨日勝手にあの星を私にした。だってあんなに輝いているんだもの。こっちの雪ノ下陽乃とは全然逆で…
「羨ましいな…」
あれ?また涙が、でてきちゃった。堅い檻に閉じ込められた私の未来は、いつ動くのだろう…そのことを考えるとやっぱり涙が頬を伝う。
……それにしても今日は楽しかったな〜。比企谷くんと練習出来て。比企谷くんのまえではどーしても私の仮面は外れてしまってるらしい。隼人の様子を見てると何となく勘付く。気をつけてるつもり…なんだけど…比企谷くんが可愛いからいけないんだよ?
っとその時、後ろの扉がガチャっとあいた。そこには息を切らしている比企谷くんと…私の妹雪乃ちゃんがいた。
「雪ノ下さ…!?」
「あれ?比企谷くん?」
「!姉さん…」
あら、私、涙拭うの忘れてた。この2人に…私が泣いているところを見られた……か………早く仮面を被らないとね、…そして私はまた仮面を被る。
「そんな涙流しながら笑顔向けられても…」
「え?」
「俺の勝手な偏見ですが、雪ノ下さんのイメージは、怖かった、です」
「怖かった?」
「ええ、完璧な外面も、見抜かれたら隠そうともしない苛烈な内面も、そして、その瞳の奥底に何か隠していそうな冷たい感じも…」
「…………」
「だからそんな雪ノ下さんが涙を流すなんて到底思いませんでした」
「やだな〜私だって人間だよ?涙くらい流すよ」
「私も比企谷くんと同じ…姉さんが到底泣くとは思えなかったわ、だってあの強い姉さんだもの」
「私は、強くなんてないよ…」
そう…私は強くなんてない……私は私(星)を見つめた。その時…
「えぇそのようですね。なんも強くもない。ただのか弱い女性だった」
!!…初めてだった。か弱い女性と言われたことが。人生で…初めて…
「その…家のこと…とかですか?その…悩んでるとか…そーゆうのなら俺n…いや、奉仕部を頼ってください」
「姉さん…私たちはいつでも…その…例えあの姉さんでも、困っている人がいるのなら私達は助けるわ」
2人とも……ふふっでも私は以外に負けず嫌いだよ?このまま弱いお姉さんを見せるのも癪だしね。私はいつもの仮面でこういった。
「雪乃ちゃん…それに比企谷くん…………比企谷くんが言う『本物』なんてきっとどうあがいたって手に入らないよ」
「なっ!?」
「…っさすが、姉さんだわ…」
…私は手を空に、届かないと分かっていても、伸ばし続けてこう言った。
「本物なんて、あるのかな…」
春の夜空が目いっぱいに広がる。風が心地よい。私のまだ流れている涙は止まることなく、頬をずっと伝っている。
私は誰よりも本物という存在を疑っている。それとは逆に本物という存在を誰よりも1番希求しているのかもしれない。
比企谷八幡…この子は雪乃ちゃんやガハマちゃんには勿体無いくらいだ。いっそ私が…なんて考えたりしてるときもある。私も女の子だし?いっそ雪乃ちゃんから奪っちゃう?
まぁ私を変な感じにしてくれちゃった2人に最初のお願いごとしてみようかな。
「ねぇ雪乃ちゃん、比企谷くん」
「はい?」「なにかしら」
「私から奉仕部に、お願い…」
そう言いながら私は私(星)に指を指す。
「あの星みえる?あの星は…私なの…あの私は…とても綺麗に輝いてる…」
「………」「…………」
「いつかこっちの私も…あっちの私(星)みたいに…輝きたい」
そして私は比企谷くんを見る…
「例えこの人生、ずっと暗い道で1人ぼっちでも、本当の私を見れなくても、ただただ輝いて…」
「それは違いますよ、雪ノ下さん」
「え?」
「俺達がいる、俺達があなたの心を暗闇の底から助けてみせる」
「えぇ…そうね…私達の問題もあるけれど、姉さんのことも必ず助けて見せるわ」
私はもう目の前が見えなくなるまで涙が溜まっていた。どうして気づかなかったのかなぁ……こんな近くにいるじゃん。あぁ良かった。私を助けてくれる人がいて、それがこれほど嬉しいことなんて…そして…私はもう1人ぼっちじゃないと思えた。
涙を拭いながら、私はこう言った。
「…ありがとう」
「……さ、行きましょう、姉さんの普段見れないとこも見れたことだし」
「あ、雪乃ちゃんそれを弱みにしてなにかする気だな〜?」
「当たり前でしょ?こんなめったに隙を見せない姉さんをネタにしてからかえるなんて夢のようだわ」
「雪ノ下ひでーな」
「あ、比企谷くーん?今何時?」
「えっと…今…げ!?8時1分だ!」
「え!?なにそれやばい!ほんとやばーい!!急いで体育館行かないと!!」
「はぁ…最初に屋上に来たのは誰かしら…」
私はこれまでの人生、人を信じたことなんてなかった…信じようともしなかったくせに助けてだなんてほんとに我儘だなと自分でも思った。でも、比企谷くんと雪乃ちゃんは……信じてみようかな。
なーんてね…。
堅く檻に閉じ込められた私の未来は少しずつ動きだしはじめていた。
書いてて思ったのだが、キャラクターを分析しないとほんと書くの難しいや(TT)もっと研究だな( ・∀・)