【本編完結】影とうたわれるもの~二人の白皇再構成~   作:しとしと

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第五十四話 共に闘うもの

 敵は尽く異形の姿と化し、狂気の戦場を前に恐れ戦く暇はない。

 

 鉄扇を眼前に構え、皆に決意の言葉を送る。

 

「オシュトル、ミカヅチ、ムネチカ、それにウルゥルとサラァナは自分と一緒にミルージュの相手をする! 他の者はそれ以外の兵をこちらに近づけないようにしてくれ! 皆で──生き残るぞッ!!」

「「「「「応ッ!!」」」」」

 

 戦場に皆の呼応と抜刀音が響き、力の奔流が頬を撫でる。

 

 大いなる父の墓場、トゥスクルの最も地下深い空洞の中で、壮大な戦嵐が吹いた──

 

「──こっちだッ! ミルージュ!」

 

 仮面(アクルカ)の力によって生み出した渾身の炎弾をミルージュへと放ち、注意をこちらに向ける。

 

 これは、奴を社や仲間たちから離れるよう誘導するためだ。

 意を汲み取ったオシュトルとミカヅチ、ウルゥルとサラァナがミルージュの背より追い立ててくれた。

 

「ガアアアアッ!!」

「よしよし、こっちに来たな……ムネチカ! 盾だッ!」

「あいわかった、ハク殿! 小生にお任せあれ!!」

 

 ムネチカはそれだけで己の意図を察してくれたのだろう。

 社や仲間の皆に危害を及ぼさぬよう、後方に誘導したミルージュと我ら仮面の者(アクルトゥルカ)だけで戦える場を盾によって整えた。

 

「ハク!」

「心配すんな、クオン! 仮面(アクルカ)の力は最小限に抑える! そっちを一刻も早く片付けて、こっちに来てくれ!」

「っ……わかった、無理はしないでね! ハク!」

「ああ!」

 

 ムネチカの作りし光の盾を境にクオンの泣きそうな瞳を受け決意が揺らぐ。

 しかし、仮面の者による闘いの余波によって思わぬ被害を及ぼさぬためにも、二手に別れて闘うしかない。

 

「こいつら……何度心臓を射っても立ちあがってくるぞ!」

「姉上! 単独で動かぬよう!」

「こいつは、中々時間がかかりそうじゃない……! エントゥアの嬢ちゃん、連携するぞッ!」

「はい、誘導します! アンジュさま!」

「応ッ! 余の眼前に立った者は全員ぶっ飛ばしてやるのじゃッ!」

「ネコネさん! 私の後ろに!」

「はいです! キウルの矢と共に法術をお見舞いしてあげるのです!」

「ルルティエ、ココポ! 私と連携しますわよ!」

「はい、お姉さま! ココポ、行くよ!」

 

 透明な盾の向こう側では、何度斬っても立ちあがる恐ろしい耐久性を誇る敵に手古摺っているようである。

 そして、ムネチカの盾である程度分断できたとは言え、その敵はこちらにも多くいた。であれば取り得る策は──

 

「──ムネチカはそのまま盾の維持に努めてくれッ、余裕があれば補助を頼む!」

「あいわかったッ!」

「ウルゥルとサラァナは、ミルージュの力を抑える呪術を頼む」

「「主様」」

「自分は大丈夫だ。頼んだぞ!」

「「……御心のままに」」

「ミカヅチは敵兵からウルゥルとサラァナを守ってやってくれ!」

「了解だ。後ろは気にするなッ! 貴様は前だけ向いていろッ!」

「ぅがアあアアアアああアアッ!!!」

 

 我らを見て耳を劈く咆哮を上げるミルージュ。

 己の服がばたばたとはためくほどの恐ろしい圧ではあるが、不思議と怖くは無い。何故ならば──

 

「──ヘッ、アンちゃんと肩を並べて戦うのも、ずいぶんと久しぶりだ」

 

 自分の隣に肩を並べるように進み出るオシュトル。言わずとも、己の役目を理解してくれていた。

 

「……そういや、そうだな」

 

 オシュトルとの共闘はウコン時代の時か。いや、戦乱前にデコポンポの営んでいた闇市船で一緒にボロギギリから逃げだすように戦って以来か。

 戦乱の際は何だかんだ影武者やら使者やらで別行動が多くて、こうしてオシュトルと二人共闘することが無かった。

 その久々の戦いがこんな規模になるとはね。こんな戦いをする程に、遠くへ来ちまったもんだと思う。

 

 己の不甲斐なさと、ウォシスの誤解から生まれた悲しい決戦。しかし戦わねば皆を助けられない。

 

「一緒に戦ってくれるか、オシュトル」

「ああ、勿論だ」

 

 何を当然のことをと返すオシュトル。

 しかし、このような状況で、仮面の力を使い自分と共に命を賭けてくれと言えるものか──

 

「アンちゃんよ──俺の命を使うかどうか、悩んでるんだろう?」

「……!」

「大丈夫だ、アンちゃん……俺達が共にあれば、きっと未来に届く」

 

 にっと不敵な笑みを向けるオシュトル。

 そうだ、きっと勝てる。オシュトルと自分であれば、勝てない者はいない、そう確かに思わせてくれる笑みであった。

 

「そうだな……共に、命を賭けてくれるか、オシュトル」

「ああ。生きるも死ぬも……一緒だぜ! アンちゃん!」

 

 互いの持つ剣と鉄扇を我らの決意を示すが如く打ち鳴らし、異形の兵に囲まれた黒き獣と化した仮面の者(アクルトゥルカ)と相対する。

 

 ウルゥルとサラァナがミルージュを呪法で弱体化している今こそ、自ら近づいて討滅する好機。

 示し合わせたわけでもない。だが、その足が前へと進むは全くの同時であった。

 

「「──オオオオオッ!!」」

 

 炎と雷撃を周囲に撒き散らすミルージュ、そしてそれを囲むように守る異形の姿と化した敵へと決死の覚悟で挑む。

 

「ォォォォォオ……!」

「奴さんが来たぞ、オシュトルッ!」

「応さ、アンちゃん! 協撃するぞッ!」

 

 その進路を阻むか如く襲い掛かる異形と化した敵兵の攻撃を躱し、尚向かってくる敵を我ら二人で討ち滅ぼす。

 

「ァァァァアッ……!」

 

 自分へと鋭い爪を突きたてようとした敵兵に対して、オシュトルが目に見えぬ斬撃を繰り出せば、容易く敵の手足が千切れ落ち、跳ね飛ばされた体が宙を舞う。

 そのオシュトルの攻撃の隙を討とうと向かってくる敵を、己の鉄扇で力のままに叩き潰し、操る炎で再生させぬまま焦土と化す。

 

「ギィィィィ……ァァァッ!?」

「我ら二人に敵う者無しッ! このまま突破するぞッ!!」

「応ッ!」

 

 互いの姿を見るまでもない。己を守る必要も無い。しかし、その連携は久しく共闘したものとは思えぬ練度を誇った。

 敵兵の攻撃は届かず、ただ我ら二人が齎す暴風のような攻撃が敵の命を刈り取っていく。

 

「──オシュトル!」

「──アンちゃん!」

 

 きっと、互いを守りながら前へ前へと剣を振るっている筈──これまで何度も剣を合わせて来た経験が、相手に命すら預けて一騎打ちした信念が、己の心を震わせる。

 

「ァァァアアッ……!!?」

「オシュトル! 生きてるか!」

「ああ、アンちゃんこそ! 死んでねえな!」

「何とか生きてるよォッ!! せぇやァッ!」

 

 眼前の敵を次から次へと遠方へと吹き飛ばし、撫で斬り、燃やし尽くす。

 ただただ向かっていたものを尽く消滅させられる姿を見て、我ら二人には勝てぬと考えたのか、その牙は後方にいるミカヅチへと向けられる。

 

「ミカヅチ、後は頼んだぞ……!」

 

 しかし、それを防ぐことはない。ミカヅチであれば漏れた敵も必ず対応してくれる。ミカヅチの言う通り、我ら二人は前だけ向いていれば良いのだ。

 ウルゥルとサラァナの体力もそう持たない。ミルージュを倒すは今──

 

「ゥォォォォン……!」

 

 それでも尚、敵の中でも思考力の劣った雑兵なのだろう。次から次へと湧き出る敵兵をオシュトルとの協撃で塩と霧散させながら、ミルージュとの距離を縮めていく。

 そして──

 

「──ンギャアアアアッ!!! ヴオジズザマアアアッッ!!」

 

 ついに眼前へと立った我らに、ミルージュの絶大なる咆哮。

 肉薄する距離においてその咆哮はびりびりと耳の奥を穿ち、腹にずんとくる衝撃に思わず足を踏ん張った。

 

「くっ……」

 

 ウルゥルとサラァナの呪法に最初は戸惑い動きも鈍かったのだろうが、それにミルージュも対応し始めたのだろう。

 

 ミルージュの手によって遥か彼方に吹き飛ばされる敵兵もあった。

 暴走した強大すぎる力はもはや敵味方関係ないのだろう。眼前に映る全てを破壊しようとしていた。

 

 そして、その破壊の瞳はこちらへと──

 

「バアあああアアアッ!」

「! ちょっ……!」

 

 寸でのところで敵の殴打を避けるも、掠めた風圧だけで己の体は容易く飛ばされる。

 ウルゥルとサラァナの呪法で弱体化され、尚この威力──

 

「熱ッ……!」

 

 威力だけではない。両の腕から放たれる黒炎と黒雷が周囲を無造作に襲い、己の肌を焼いていく。

 しかし、オシュトルがその攻撃の隙を縫うように己の剣戟をミルージュへと放った。

 

「む!? 堅いッ……!」

 

 オシュトルの剣は肌を削ることなく早々に弾かれ、飛ばされたオシュトルも自分の隣へと着地する。

 

「どうだ、オシュトル」

「……仮面の力をある程度引き出した渾身の一撃で無ければ、両断とまではいかねえな……!」

「そうか……なら、隙を作る!」

「ああ!」

 

 短く言葉を交わすも早々に、再びミルージュへと接敵する。

 動き自体は単純である。力に呑まれ思考が衰えているためか、数多の殴打を避ければ僅かに隙が生まれる。

 しかし、それを守るように動く炎と雷撃が邪魔であった。

 

「いつつ……! ったく、反則だぜ……! でぇりゃあアッ!」

「はッ! せやァッ!」

 

 二人の連携の取れた斬撃を、ミルージュの攻撃後の僅かな隙に何度も打ちこみ、ミルージュに浅い傷を作っていく。

 

「ガァッ!? グウアアアッ、小癪ナアアアッ!」

 

 ミルージュもその剛腕で捕えようと我らを追うも、ミルージュの眼前からすぐさま飛び立ち側面を削り取っていく。

 ミルージュは、己の目ではもはや捕捉しきれぬ我らの速度に戸惑い右往左往するばかり、一つの反撃も受けぬまま数多の攻撃を重ね続けた。しかし──

 

「痛つつ……切れば切る程こっちの腕が痺れるとはな……!」

 

 しかし、連撃と協撃を何度浴びせても、致命傷にまでは至らない。

 こちらは切ったり殴ったりするたびにその堅さに弾かれ筋肉が痙攣しているというのに、ミルージュに疲労や痛みの様子はない。

 

 やはり、己の体で以って明確な隙を作らねばならんだろう──

 

「グギャアアアアッ!!」

「──ッ! はああッ!」

 

 嵐のような乱舞を見せていたオシュトルが、自分と呼吸を合わせたかのようにミルージュの後背を穿つ。

 その突貫はこれまでにない威力だったのだろう。背後を気にするようにミルージュの視界から自分が消え、ミルージュに僅かな隙ができる。その一瞬の隙を逃すことはない。

 

「やれッ、ハク!!」

「応ッ! ヴライ直伝の一撃を喰らわせてやるッ──」

 

 すぐさまミルージュの死地へと潜り込み、その空いた土手っ腹に炎を纏った渾身の右ストレート。

 実を言うと傍から見ただけで直伝ではないが、こういうのは気分で言うもんだ。

 

「ッ──はアッ!!」

「ガッ……ァアアッ!!?」

 

 仮面の力を引き出した炎の一撃。

 

 ドゴォォォンと打撃音とは思えぬ爆発音が遠方に響き渡り、その衝撃に流石のミルージュも血を吐くように息を漏らし衝撃を受け止める。尚漏れた威力はミルージュの背を越え炎風となって後方へと伸びた。

 

「ッ……まだか……!」

 

 しかし、これでも足りない。

 ミルージュの目は消えてはいない。それどころか、すぐさま体勢を立て直し、己の懐に潜りこんだ自分の姿を見つけたのだろう。

 

「ギザマッ! ガアアアアアッ!」

 

 黒炎と黒雷を纏った巨大な両腕を振り上げ、一片の慈悲無く振り下ろした。だが、狙い通り──

 

「──ぐううッ! があッ……あああッ!」

 

 ガアアアンと巨大な槌を受け止めたかの如く衝撃が己の体を走る。

 仮面の力の一端を引き出し、己の体を一本の棒と化してミルージュの打撃を両の手甲で受け止めたのだ。

 

 その威力は考えたくもない。大地を踏みしめる地盤は割れ、受け止めた筋肉はぶしゅりと裂け血を生む。

 恐ろしい力であるが、このヴライの仮面も負けてはいない。食いしばる歯はぎしりと嫌な音を立て、全身の骨という骨が衝撃に悲鳴をあげているが、隙を作るはこの一瞬で良い。

 

「隙だらけだぜ……いけ、オシュトル……ッ!!」

 

 この世で最も信頼する友の名を呼ぶ。

 隙さえ作れば必ずオシュトルは動く──その一瞬、視界の端に煌く刃が映った。

 

「──はあああああッ!!」

 

 オシュトルは横合いより飛び立ち、上段より振り被った渾身の一撃を放つ。

 仮面の力を引き出した一撃は、ミルージュの丸太のような両腕を意図も容易く寸断した。

 

「ガッ!? ギイイァあアアアアッ!!!」

 

 落ちた腕は塩と化し、寸断された部位より血のような炎が漏れる。ミルージュは初めて受けた重症に戸惑うよう悲鳴を上げ、無くなった腕先を見つめている。

 

「ふぅ……やったな、オシュトル」

「応、次でとどめといこうじゃねぇか──ん?」

 

 剣を携え、再び共に前へと踏み出そうとした時である。ミルージュの周囲に集まる無数の力の奔流を感じた。そして──

 

「ヴお、ヴオシスザマのためニッ……コノ……ダマジイ……ヲッ!!」

「な……!? さ……再生、だと!?」

 

 寸断された腕の先端から、無くなった筈の腕が炎と雷を纏って再び生えだしてきた。

 思い至るは、あれが四つの仮面の元となったものであること。

 

「そうか! あれは四つの仮面の元となった原初の仮面……!」

「アンちゃんよ! 俺の仮面も治癒の力を持っている! つまり──」

「──ってことは、ムネチカのような防御の術もあるってことか!」

 

 そう嫌な予感がすれば、案の上である。

 ミルージュの体を覆うようにうっすらと膜のようなものが生まれ始める。

 

「おいおい……!」

 

 もはや我らの刃すら通さぬ硬度である事は予想がつく。

 デコイではあり得ないほどの力。ウルゥルとサラァナの妨害呪術を受け、尚これだけの力を発揮しているのだ。

 

 兄貴は仮面についての研究は終わらせている。故にウォシスがその一端を継いだのであろう。

 つまり、あれは兄貴すらも意図せぬ力。ウォシスが独自に研究した結果、仮面だけでなくミルージュ自身にも改造を施していたのかもしれない。

 

 己の体も奴の攻撃を受け止め傷だらけである。どうここから巻き返すか考えていれば──

 

「──どうした、俺の手も必要か? ハク、オシュトルよ」

「ミカヅチ!? 敵兵は……」

「無論、既に我が雷刃で灰と化した」

 

 にいと笑みを浮かべるミカヅチの言を確かめるように、ウルゥルとサラァナの周囲を見る。

 そこには崩れ落ちた多くの死体があり、確かに我らの後方に逃れた敵兵はミカヅチの手によって尽く塩と化したようだ。

 

 ミルージュによる余波の影響もあったのだろうが、全く頼りになる奴だ。

 

「こっちの体もギリギリだった。助かる」

「ああ、もはや雑兵の露払いでは満足できん。ミルージュはかつての部下でもある……俺にやらせろ」

「ふ、ここで我らが揃うか──」

 

 三人の間で交わされる信頼の笑み。

 しかし、三人が揃ったとて、あれはもはや突き抜けられる壁ではない。

 ミルージュの力はムネチカの盾すら震わせその一端に亀裂を入れる程となっている。塩と化すまで放置していても、その前にここ全てが焦土と化すであろう。止めねばならないのだ。

 

「あれだけの力だ……仮面を解放するぞ」

「しかし、アンちゃんよ……」

「長くあの姿で留まれば、お前達の魂を尽く食い尽くす……そうではないか?」

「……一瞬だけだ。自分達三人で……奴を三方より囲み、同時に討つ」

 

 仮面を使わぬまま勝ちたかったが、それが一番生き残る確率が高い。後少しであれば、自分達の体は持つ筈だ。

 オシュトルは何か言いたげであったが、唇を噛んで納得したように頷いてくれた。

 

「無理は……するなよ、アンちゃん」

「ああ、お互いな──ウルゥル、サラァナ! 呪術を一時停止、合図を待って一瞬だけ奴の動きを止めてくれ!」

 

 遠くでウルゥルとサラァナの頷く姿が見える。

 遠くから見ても判る程に憔悴している。次が最後の機会であろう。

 

 さて、後はその機会を確実にするため、そしてウルゥルとサラァナへと合図を下すために、もう一度奴の隙を作るしかない。

 もう一人の要に声をかける。

 

「ムネチカ、合図と共に自分の目の前に壁を張ってくれ!」

「ッ……心得た!」

 

 これだけの壁の維持、仮面を以ってしても辛いのだろう。その頬には汗が滲み出ていた。

 しかし、ここが皆の踏ん張りどころである。

 

「さあて、こっちだミルージュちゃんよぉ!」

「ガァアアアアッ!!」

 

 意図を察したオシュトルとミカヅチがその場を離れるように散開する。

 走るだけでも辛いが、仕方があるまい。双子の呪術を止めたせいか先ほどよりも遥かに膨大な気を纏うミルージュより背を向けて逃走する。

 

「ほらよ!!」

 

 振り向きざまに炎弾を顔面にぶちこみながら、ミルージュの瞳に己しか映らぬ場所へと誘導していく。

 

 傍を見れば、オシュトルとミカヅチは既に仮面を解放するために仮面へと手を当てていた。

 

「──仮面(アクルカ)よ! 我が魂の震えに応えよ! 我は武神也! 無極たる力以って、敵を穿ち貫く矛を与えたまえッ!!」

「──仮面(アクルカ)よ! 我が魂の叫びに応えよ! 我は鳴神也! 無窮なる力以って、敵を滅ぼす雷刃を震わせたまえッ!!」

 

 仮面を、根源を伝って響く友の声。そして、感じる巨大な力の波動。

 ミルージュはもうそこまで来ている。己の目の前に──

 

「ムネチカッ! ウルゥル、サラァナ!!」

 

 絶好の機会に、その名を力の限り叫ぶ。

 ミルージュと自分を挟んで瞬時に展開される光の壁。そして、双子による渾身の拘束呪法。

 

「ガッ……!!??」

 

 それは、ミルージュの一瞬の隙を作るものではあるが、自分には──いや、自分たちには十分過ぎる時間である。

 

「──仮面(アクルカ)よ! 扉となりて、根源への道を開け放てッ! 皆の命を守る、灯の炎を与えたまえッ!!」

「「「オオオオオオオオオオオッッ!!!」」」

 

 三者の裂帛の叫びが共鳴する。

 ミルージュを三方より囲んで行われる仮面の解放──三つの光の柱が高々と打ち上がった。

 

「ッ!! くっ……割れる──ッ!」

 

 その力の爆発と奔流は今までにない衝撃であったのだろう。限界を迎えたムネチカの盾が煌く破片となって宙に散らばっていく。

 

 欠片となった壁に反射する光の奔流に現れるは、仮面の力を解放し化身となった我らの姿。そして──

 

「──行クゾッ!! オシュトルッ!! ミカヅチッ!!」

「「応ッ!!!」」

 

 中心に位置するミルージュに各々が決死の一撃で以って突撃する。

 踏み出す度に地は割れ、振りかぶった拳には赤炎が、雷光が、青光が、我らの手へと集っていく。

 

「「「コレデ──最後ダアアアアアアアッ!!!!」」」

 

 三方より同時に放たれた一撃は、ミルージュの体を纏う盾を易々と貫き尚、体を焼き尽くしていった。

 

「……ッァ! ア……あァ……ウォシスさマ……!」

 

 その威力は想定したよりもずっと強大であり、ミルージュは切ない吐露の声をあげ、その体が崩れるように粒子となって散っていく。

 やがて、恐ろしいほどの力の奔流と閃光が己の目を焼き、力の反動に耐え切れず三人とも後方へ──

 

「──ガッ……!!」

 

 力の余波と衝撃によって弾きだされるように吹き飛ばされ、背をしたたかに打つ。

 口から痛みの声を漏らしながらも、あれだけの威力ならば滅ぼしきれた筈と、ミルージュにとどめを刺せたに違いないと確信する。

 

 これ以上魂の浪費はしていられないと己の姿を元の人の形へと変え、未だ濛々と上がる土煙に目を凝らした。

 

「ハク!」

「ああ……クオン。すまん、ちょっと無理をした……」

 

 クオンは、謝罪する自分の背を抱えると心配そうに瞳を合わせる。

 自分の命に別状はないと判断したのだろう。クオンは安心したと大きく息をついた。

 

「もう……もう! 本当に、心配したんだから……っ!」

「すまん……皆は?」

「……大丈夫、皆無事かな」

 

 周囲を見れば、劣化仮面を被った敵兵達も、異形の姿となった敵兵も、仲間によって全て討たれていたようである。

 こちらにやれやれと笑みを向ける面々。皆の姿に所々傷や血は見えるが、全員無事だったのだ。

 

「ふ……互いに生き残れたな、ハク」

「ああ……そうだな、オシュトル」

 

 オシュトルやミカヅチも言伝通り既に元の姿に戻っており、反動による痛みに眉を顰めながらも笑みを浮かべていた。

 

「すまぬ、ハク殿。最後まで盾を保てず……」

「おいおい、何を言っているんだ。ムネチカがいなければ勝てなかった。助かったよ」

 

 ムネチカも力を使いすぎたのだろうか痛みに頭を抑えていたが、自分の言葉に安心したのだろう。

 疲労は隠せぬまでも、穏やかな笑みを浮かべている。

 

 勝ったのだ。自分達の勝利によって──

 

「「主様」」

「おお、随分無茶させたな。二人とも大丈夫か?」

 

 違和感。ウルゥルとサラァナの視線は未だ濃く上がる土煙の向こうへ。

 

「まだ」

「終わっていません。彼の者は、まだ──」

「──う……ヴォ、ヴおしずさま……私ハ、マダ……!」

「な……!!」

 

 土煙の中から現れるは、もはや上半身は穴だらけとなり所々塩と化した筈のミルージュが、未だ禍々しき姿のまま片膝をついてその姿勢を保たせていた。

 もはや奴も瀕死である。しかし、手負いの獅子は何をするかわからない。

 

 体に纏う雷と炎は未だミルージュの周囲を覆っており、その瞳には一人でも多く道連れとするための狂気が宿っていた。

 そして、その視界は倒れ伏した己へと向けられる。

 

 今の自分では、もう動ける気力もない。今の自分では、戦えない。であれば──

 

「く……仮面(アクルカ)よ──」

 

 皆がミルージュの姿に驚愕し、その視線を向けている。

 今であれば、誰にも気づかれない。仮面に手を当て、再び己の魂を代償にとどめを刺そうとした時である。

 

 一人だけ、自分の行為に気付いた者が──自分の口をその自らの口で塞いだ。

 

「ん……っ」

「!? んむ……!」

 

 その思わぬ行為に、自分の目は見開き、思考は光が刺したように真っ白になる。

 どれだけの時間がたったろうか。すっと、その唇が離れ、赤く染まった頬と潤んだ瞳。その行為の意味がわからず、戸惑うようにその名を呼んだ。

 

「……お、おい……クオン……?」

「それ以上は、駄目だよ、ハク……もう無茶をしないで……」

「……」

「私を置いて、死んだりしないで……! 私を、一人にしないで……!」

 

 涙を堪えてそう言うクオンの瞳には、ただただ孤独に怯える少女の不安が浮かんでいた。

 クオンの飾らない等身大の表情を見て、思わず自分の行為が皆を信じていない行為であったと知った。しかし、他にどうするというのだ。

 

「だが……」

「後は……私に任せて」

 

 そう言ってクオンは立ちあがる。

 唖然と見やる自分を尻目に、クオンはただ一人ミルージュの元へと歩いて行く。

 

「あ、姉さま!?」

「クオン殿、皆でかからねば危険だ!」

 

 皆傷だらけで消耗しきっている。

 しかし、仲間であるクオン一人行かせまいと抜刀しその背を追おうと──

 

「──大丈夫! 皆、私に任せてほしいかな!」

 

 クオンがそう言うと、内から沸き上がったかのような神々しい光が身を包み始めた。

 

「クーちゃん……あれを使うのですね……」

「そんな……クオン……!」

 

 フミルィルの意味深な呟きと、クオンの姿を見たエルルゥが悲壮に満ちた表情をしたことが気になる。

 

 しかしそれ以上に気になるのは、ミルージュはクオンの発する光を見て、殊更に怯え始めた事。

 

「オォ……わカル……オ、オマエハ……オ前ガ……!」

「貴方が悪い訳ではないことは知っているかな……でも、手加減できなくて。だから──ごめんね」

 

 怯えたまま動かぬミルージュへと、クオンは右拳をどんと突き出した。

 

「!?」

 

 ただの打撃であったはずのそれは、仮面の者の誰よりも豪胆な音を響かせ、ミルージュの体を容易く破壊し尽くした。

 その衝撃に掻き消される、仮面を通じて響く声──

 

「──さま……おやくに、たて……もうし……わけ……」

 

 声はそこで途切れた。

 ミルージュの体と魂は弾け飛ぶように霧散し、尚吹き飛ばされた残りの体は宙で塩と化し、その粒子を煌かせながら大いなる父の墓場──深き谷底へと落ちていった。

 

 皆が、クオンの姿を唖然と見やる。アトゥイは思わぬ強者を前に興奮しているが、他の者にとってはクオンに何が起こったのかわからない。

 皇女さんと真っ向から殴り合えるだけの強さを持っているのは知っていたが、それ以上の力だぞ、あれは。

 

「勝った……?」

 

 しかし、ミルージュは瀕死であったとは言え、クオンのお蔭で勝てたのだ。

 痛む体を引き起こし、礼を言おうと近づけば、ぱたりと力無くクオンが地へと倒れた。

 

「──クオン!?」

「だ、大丈夫。ハク……ただの力の反動、かな」

「大丈夫って、お前尻尾一本動かせてないじゃないか!」

 

 いつもは己の頭を締めるうねうね動く尻尾も、今は力無くへにゃりと垂れている。

 自分に無理するなと言っておいて、こんな無茶をするとは──その自らの怒りに、気付いた。

 

 皆も、クオンも、こういう気持ちだったのかと。

 それ以上何も言えなくなり、ただただ無力感が口をついて出た。

 

「心配、かけるなよ……!」

「ふふ……ハクもね、お互い様かな」

「……大丈夫、なんだな?」

「うん」

「クーちゃんのそれは、全身筋肉痛ですから。大丈夫ですよ、ね、クーちゃん」

 

 フミルィルがその現象に名前をつけるが、これが筋肉痛だっていうのか。

 あれだけの力を解放した代償が筋肉痛なら、確かに心配するだけ損であるが。

 

「……」

 

 しかし、社の前で見守っていたエルルゥは険しい顔をしている。

 やはり、何らかの反動はあるのだろう。クオンの元に集った仲間が口々に心配する声をかけている。

 

「本当に大丈夫なのですか、姉さま」

「某らを超え得る力であった。本来であれば、それ相応の代償が求められよう」

「本当に、大丈夫だから。それより、皆ウォシスを追って! 私はちょっと休憩したら後を追うから!」

「しかし……」

「ハク、嫌な予感がするの。だから、お願い……」

 

 クオンの言う通り、今は一刻も早くウォシスを追わねばならん時だろう。

 皇女さんが疑問を持つかのようにその名を呼ぶ。

 

「ウォシスか……確かに意味のわからんことばかり述べておったのぉ……」

「そうですね。ただ、虚言癖という訳でもなく、私達の知らない技術も用いるようです」

「フン……ミルージュ含め雑兵らの散り様が一様にして塩と化したこと……仮面の者の成り損ないとは言え同じ現象だ。奴は元来ある仮面を弄るに飽き足らず、本物よりやや劣る程度の仮面を作り出せるといったところか」

 

 まだウォシスは自分の兵を隠し持っている可能性もある。

 しかし、ミルージュは既に亡く、その最強の仮面もまた地の底へと落ちていった。戦力としては減じた筈である。しかし──

 

「周りにいた方達はどれほど深手を負っても平然としていたのです。まるで、痛みも、死すら恐れていないように……」

「確かに、底が知れぬな。あの者達といい、さっきの死に損ないの化物といい、ミルージュといい……」

「……ハクよ、他にもあると見た方がよいかもしれぬな」

 

 ネコネがその恐怖に体を震わせるように己の肩を抱き、ノスリが真剣な表情でネコネの言葉に頷くよう続けた。

 オシュトルの言う通り、確かにまだ見ぬ技術の一端を隠し持っている可能性もある。

 

「思い返せば、あの化物を寄越したんはトゥスクルの時からやぇ」

「そうですね……僕たちの戦乱以前より布石を打っていたということになります……ハクさんの仮面に細工を施し、同士討ちを狙い、そしてここでも……確かに、姿を見せた今であるからこそ、早々に追わなければ危険かもしれません」

 

 アトゥイやオウギがウォシスの向かった通路の先を眺めて呟く。

 ヤクトワルトもまた、既に塩となった死体を見ながら、気味悪げに舌打ちした。

 

「ちっ……それに、死体を弄んであの平然とした素振り、まともな神経じゃないねえ。放置していては犠牲が増えるだけじゃない」

「そうですね……マスターキーなるものが何かは僕にはわかりませんが……ハクさん、敵がトゥスクルにいる間に、僕たちも早く後を追った方がいいかもしれません」

 

 随分時間がかかったとは言え、キウルのいう通り奴はまだトゥスクルのどこかにいる。

 しかし、一刻も早く追わねば取り逃してしまう。そうなれば、碌なことにならないのは必然である。

 

「……そうだな」

「そうとなれば、早速出発じゃ! ヤマトに災いを持ち込む前に討つのじゃ。クオンは余らに任せて大人しく寝ておれ!」

 

 皆傷だらけで疲労しているが、ウォシスの危険性について皆の意見は一致している。

 早く追えばいいとはいうものの、もはや動けない様を見せるクオンを抱えていくこともできないことは明白だ。

 

 それに、もし早々に追いついてウォシスと戦闘となった際にも、動けぬクオンはここに居た方が安全だろう。母であるエルルゥやウルトリィ達もいるしな。

 

「……クオン、自分たちに任せて、無理はするなよ」

「うん」

「──お待ちください」

 

 エルルゥが、いつの間にか皆の傍に来ていたのだろう。

 エルルゥは、自分の元へと近づくと、袱紗に包まれたあるものを自分に見せた。

 

「これを……」

「? これは……仮面?」

「貴方にこれを渡すようにと……御守り代わり、とでも思ってください」

「む? 余も知らぬ仮面だ……トゥスクルにも仮面があったのか……?」

 

 見覚えなき白き仮面。

 ミカヅチやオシュトルも帝以外が造りし新たな仮面の存在に驚愕していた。ムネチカは、納得するように言葉を紡ぐ。

 

「! そういえば、トゥスクルの方々は、仮面を封ずる術を用いていた……」

「だが、仮面を兄──帝以外に……っ、まさか」

「これをどうするかは、貴方次第……もしかしたら、必要とする時が来るかもしれません」

 

 エルルゥの表情から真意は読み取れない。

 しかし、社の向こうにおわすは、解放者そのものである。その仮面の正体に半ば確信を持ちながらも、御守変わりだという。

 

 ウォシスに対するためならば使えるものは使いたい。仲間の為にも貰えるんなら貰っとこうかと考え、それを受け取ろうと手を伸ばした時であった。

 

「……っ」

 

 触れる前から指先に感じる、己の身に余る神聖な力。

 

 これを受け取るか否か、その選択は己の今後を決定する大事な場面なのではないかと感じ始めた。故に──

 

「──これは……根源の力、いや神様の力……その象徴ってやつか?」

「っ! ……はい」

「なら、受け取らん」

 

 受け取ろうとした手を引っ込め、エルルゥにそう告げる。

 

「え……?」

 

 エルルゥはその思わぬ返答に戸惑い、自分の瞳を見た。

 だが、これまでの色々な経験や記憶、語られた歴史、そしてあの社の中にいた者との問答で己の答えが出たのだ。

 

「いらない、と言うのですか?」

「ああ。こちとら色々仮面に細工されたり戦ったり魂を削られたりして、もう仮面にはうんざりしてるんだ」

「しかし……これが無ければ貴方は」

「自分は自分のまま、ウォシスを説得して自分と兄貴の願いを叶える……神様には頼らんと言った筈だぞ」

「……本当に、良いのですか?」

「ああ。社の向こうにいる奴に言っといてくれ。神様らしく何もせずに──ただ影から見守っていてくれってな」

「……」

 

 そこまで言いきると、エルルゥは戸惑いながらも確かめるように社の方へと顔を向けた。

 やがて社から何の答えも帰って来ないことに気付き、その表情を諦めへと変えた。

 

「わかりました。では……お気をつけて」

「ああ、クオンを頼む」

「勿論です。私の……私達の娘ですから」

 

 エルルゥと別れを告げると、ウルトリィが一歩前に出て皆に道を示した。

 

「こちらへ」

「? ウルトリィさんは、ウォシスが逃げた場所を知っているのか?」

「はい……彼は、大いなる父の遺産。その一端を用いて遠く離れた場所へと瞬時に移動しました」

「瞬時に? っ、まさか……」

 

 嫌な予感がある物を想起させた。

 大いなる父の遺産の一つ、転移装置であるゲートをマスターキーで開いたのか。

 確かに兄貴から伝え聞いたウォシスであれば、その存在も知っている筈だ。

 

 ゲートを用いれば、ヤマトへ瞬時に移動できる。拗れてなければいいが、ウォシスのあの様子じゃ、拗れそうな予感もする。

 まだトゥスクルにいる筈だなんてとんでもない。兄貴が危ない、一刻も早く向かわねばならなかったのだ。

 

「行こう」

「わかりました。こちらへ……」

「じゃあ、クオン。行ってくる」

「……気をつけてね、ハク。私も動けるようになったら直ぐに後を追うから……」

「クーちゃん、無理は駄目ですよ。ハクさまは、私が御守りしますから」

「……うん、お願いね、フミルィル」

 

 クオンと一時の別れを交わし、ウルトリィの案内によって簡易治療を終えた仲間たちがぞろぞろと後をついていく。

 

 ウルゥルとサラァナは少し疲労もあるのだろう。ふらついていたので、自分の腕を取って歩くよう伝えた。

 

「至福」

「両の手で抱えて頂くのが一番ですが、仕方がありません」

「おいおい、そこまでの状態ならクオンと一緒にいてもらうぞ」

 

 自分もお姫様抱っこで抱えるほどの体力は残っていないのだ。

 

「……ここです」

 

 暫く奥まった場所へと赴くと、かつての記憶にうっすらと残る造形。

 そこには確かにゲートと呼ばれる亜空間転送装置があった。

 

 未だ起動したままなのか、円の中には眩い閃光が集っている。ウォシスの罠の可能性もあるが、道はここしかないのだ。

 ネコネが未知なるものを前に身を竦ませる。

 

「こ……ここに、飛び込むのですか?」

「はい。そうすれば、目的の場所へと行けるでしょう」

「罠の可能性もあるが……致し方ない! いい女はこう言う時は先陣を切るものだ!」

 

 ノスリが己の勇気を示し、皆を鼓舞するかのように眼前のゲートへと飛び込んでいく。

 仲間も覚悟を決めたのか、次々とゲートの光へとその身を投げていった。そして自分もゲートの輪へと飛び込もうとした時──

 

「大いなる意志が、貴方を待っています……いくら違う道を歩もうと……貴方は、その時を──」

 

 ゲートを潜る際の去り際、悲し気にそう呟くウルトリィの声が、己の耳に残って離れなかったのだった。

 

 




 二人の白皇クリア後の夢幻演武にて、ウコンがハクに対して言った台詞が使えて良かったです。
 オシュトル好きの方には、ここまでハクとの共闘無しに引っ張ってしまってごめんね。

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