【本編完結】影とうたわれるもの~二人の白皇再構成~   作:しとしと

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更新遅れて申し訳ない。
四月から忙しいため、これからも更新頻度は落ちる模様。

次回からライコウとの交渉に臨むため、最後の日常回を。
他は番外編とかで補完できたらいいな。


第十六話 受け入れるもの

 ムネチカ凱旋。

 その報は瞬く間にエンナカムイを巡り、また同じくしてアンジュがトゥスクルの鼻持ちならない皇女を片田舎に送り返したと専らの評判だった。皇女同士のサシの勝負で勝ったことでムネチカを取り返したのだと、皇女さんを称える声も聞こえる。

 流れる噂は事実と異なるとはいえど、もうトゥスクルからの支援自体を受けないことに決めていたので、わざわざ否定することもないかとそのままにしておいている。

 

 まあ、一番いい形に終われたのは、多分クオンへの義理もあるんだろう。

 クオンの友であるからこそ、友好的な態度を示していた。最後の豹変は、友人として相応しいか否かこちらを試していたともとれる。

 

 まあとにもかくにも、噂については訂正の必要なし。そう結論付けた後、オシュトル、マロロと執務室で顔を突き合わせてこれからのことを話す。

 

「しかし、あのような形で終われたことはトゥスクル皇女、如いてはクオン殿によるところが大きい。何らかの返礼はせねばならぬ」

「ふむぅ、どんな思惑があるとしても、納得したからこそ帰ったと見るのが良いと思うでおじゃる」

「マロロの意見に賛成だな。一応金印と戦乱後の人質で話はついている。わざわざ関わる必要もないさ。向こうから異議ありと来るなら話は別だが」

「しかし……トゥスクルへ人質として赴くということ、ハクは納得しているのか」

「ああ、どのみち兄――個人的にもトゥスクルには用があるしな。クオンもいるし、幽閉されるなんてことはないなら、大歓迎だ」

 

 まあ、敵兵のムネチカの待遇が良いという話を聞いたからこその楽観的な推測ではあるが、クオンがトゥスクルの重鎮、もしくはそれに通ずる役職であることは皇女の態度を見ればわかる。それほどひどい扱いは受けない筈だ。

 兄貴、帝が託した思い、トゥスクルには何かがあると見ていいだろう。自分の目で確かめるしかない。

 

「しかし、ネコネはどうするのだ」

「ん? 戦乱が終われば婚約は解消だろ? それに、戦乱が終わってからもお前に扱き使われるつもりはないぞ。稼げるだけ稼いだら旅に出たい」

 

 あくまで戦乱が鎮まるまでの職だ。何を今更。

 自分の返答を聞いたオシュトルはそこで初めて苦虫を噛み潰したような顔をした。その表情のまま声を絞り出す。

 

「……ハクならばそう言うであろうことはわかっていたが……いや、このことについては今審議しても仕方がないであろうな。その話はまた後日するとしよう」

「じゃあ、後は……」

「うむ、ライコウとの交渉の件である」

「人払いは?」

「無論、してある。キウル、オウギ殿、ヤクトワルト殿に見張らせている。何分、相手の行動が読めぬのでな。今この場にいる三人のみで審議する。良いかマロロ」

「わかったでおじゃる。マロは構わぬでおじゃる」

 

 三人は万が一にでも草に話を聞かれぬよう、声を落とす。

 

「今朝方ライコウからの返事が来た。文には交渉の承諾と、日時の指定が書いてある」

「いつだ」

「丁度来週の明朝である」

「……いよいよでおじゃるか」

「うむ……そして、こちらがつけている草から、マロロの親族の居場所もわかっている。マロロのご家族は変わらずマロロの実家にて生活しているようだ。そしてどうやら交渉の場にもマロロの家族を連れてくるつもりはないらしい」

「ど、どういうことでおじゃるか」

「つまり、交渉はあくまでこちらの手を見るためのもので、デコポンポと直接交換の場にするつもりはないということだな」

「で、ではどうするのでおじゃ!」

「奪うしかないだろ」

「うむ……」

 

 オシュトルと前々から進めていた計画について話す。

 マロロはその全貌を知る内に驚愕に眼を見開き、やがて信頼の輝きを放っていく。

 

「なるほど……それであれば、あのライコウ殿の裏をかけるかもしれぬでおじゃ」

「しかし、ムネチカが凱旋したことは既にライコウにも伝わっている筈だ。前よりも警戒してくるだろう。だが、警戒してくるのは、あくまで交渉の場であり人物の方だ。もし交渉の場であるルモイの関にマロロの家族を連れてこないのならば良し、もし連れてきたとしても、その場で奪うことに変わりはない」

 

 まあ、どちらにしても、行きはよいよい帰りは怖い作戦であることは間違いない。

 それに、前もってマロロの家族がどこにいるか常に知っておかねばならない。ま、そのために、草を潜り込ませ入念な準備を繰り返してきたのだ。必ず成功させる。

 デコポンポの人質は朝廷にとって盾とはならないが、マロロの家族はこちらに対しての盾の機能を果たす可能性がある。これから勢力を広げるために大胆な行動を起こすには、いち早く取り戻す必要がある。

 

「すまぬでおじゃる……」

「? 何がだ?」

「マロの家族のため、ハク殿らに危険を強いてしまうことなど本来あってはならぬことでおじゃ……だから」

 

 めそめそ泣きだすマロロ。

 全く、照れくさいので余り言いたくないのだが。

 

「友達だろ、当然だ」

「マロロよ、気にしてはならぬ」

「う、ううっ、ハク殿~、オシュトル殿~! あ、ありがとうでおじゃる!!」

 

 一筋縄ではいかないだろう。机上の空論でもあり、作戦自体は臨機応変さにかける部分もある。だが、こいつらがいれば大丈夫、そう思わせてくれる仲間がいるのだ。きっと成功する。

 マロロが鼻水を撒き散らして迫ってくるのを避けながら、ライコウとの知恵比べに想いを馳せるのであった。

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

「ハク殿」

 

 オシュトルとの日課でもある打ち合い稽古のため調練場に向かっていたところ、何者かに呼び止められたので振り返る。

 そこには、どこか焦りの表情を浮かべたムネチカがいた。

 

「ん? なんだ、ムネチカじゃないか、どうかしたのか?」

「急ぎのところすまないが、聖上の居場所を知らぬだろうか」

「皇女さん? 今日は見てないが」

 

 トリコリさんのところに行こう、といつもいつも早朝駆け込んでくる皇女さんにしては珍しく、今日は一度も見ていない。

 ムネチカが戻ったことで、皇女さんの教育係もとい御側付としての任にムネチカが再びついたため、少しはお転婆が治まるかと思えば、相変わらず皇女さんに振り回されているようだな。

 

「ハク殿のところにおられるかと思ったのだが……そうか。呼び止めてすまない」

「いや、別に構わんが……皇女さんまた無断で出歩いてるのか?」

「うむ……ハク殿も聖上にお会いした際にはお戻りするよう伝えてくれぬか」

「ああ、わかった」

 

 ムネチカが足早に廊下を歩いて行くのを見送ったあと、自分は調練場の方へと足を運ぶ。サボると明日倍の時間になるから行くしかないのだ。

 しかし最近はシスも自分と打ちあい稽古をしたがり、そのため筋肉痛と打撲痕が絶えない。そのため最近はシスに出会わないように、シスによる新兵調練の時間にオシュトルと打ちあうことにしている。しかし、少しの遅れがシスと調練場で出くわすことに繋がるため、さっさと行って終わらせなければならない。

 自然足早に調練場へと向かっていたのだが、遠目で見えてくる待ち合わせ場所にいる人物に気付き、嫌な予感が走った。

 黒々とした鉄塊を自慢げに振り回す、小柄な少女。

 

「……なにやってるんだ、皇女さん」

「おおハクではないか。見よ、この剣を! いくら振ろうとも刃こぼれ一つない代物なのじゃ。御父上が授けてくださったものに間違いなかろう!」

「……そう、か?」

 

 多分違うだろうなと思いもするが、兄貴のことだ。皇女さんの呼応に備えて何かしらの機能を天に与えていた可能性もある。しかし、いくらなんでもそこまでしないか、とその考えを振り払った。

 だが誰が投げ込んだか、考えれば考える程謎は深まるばかりだ。こんな鉄塊を誰にも気づかれることのない距離から正確に投げ込める存在などいるはずもない。

 

「ハク、聞いておるのか?」

「ん、悪い、なんだ?」

 

 思考の波から抜け出し、聞き流していた自分に対してぷりぷり怒る皇女さんの話を聞く。

 

「じゃからな、この剣があれば、どんな輩でも討ち滅ぼせるに違いないのじゃ。余裕の表情を見せていたトゥスクル皇女もこれで送り返したところじゃしな!」

「そうか? 自分が止めなければ皇女さんも危うかったがな」

「なんじゃと~?」

 

 機嫌よく話していたところに水を差されたのが気に喰わないのか、ぶおんと剣を振り自分の眼前につきつけてきた。

 

「そうじゃハク、丁度相手を探しておったところじゃ、そなたが余の相手をせい」

「自分が? 皇女さんのか?」

「そうじゃ。忠臣なら相手をせい。この剣ならば余は誰にも負けぬことを証明してやるのじゃ」

「おいおい、冗談じゃないぞ。そんな剣受けたら木っ端みじんになるわ!」

 

 本当に冗談じゃない。

 最近は手合せの回数も増え、鉄扇の消耗が激しい。これ以上無理に扱って壊してしまえばクオンから何て言われるかわかったもんじゃない。

 それに鉄扇だけで済めばいいが、絶対に体も同じようにばらばらになる。

 

「何をいう。最近オシュトルとの手合せでめきめきと武を伸ばしておると専らの評判じゃぞ。ハクの主人として余も誇らしいのじゃ!」

「どこでそんな評判があるんだ? 聞いたことないが」

「オウギとヤクトワルトが言っておったのじゃ」

「……あいつらの言うことを信用しないでくれ」

 

 したり顔で皇女さんに話す二人の像が目に浮かぶ。

 後で文句を言わないとな。

 

「まあよい。それも余が直々に確かめればわかること。構えるのじゃハク!」

「いや、もうすぐオシュトル来るし……」

「わかっとらんのぉ、だからやるんじゃろうが……っ!」

「うぉっ!?」

 

 突然上段から振り下ろされた剣を、寸でのところで避ける。

 剣は先ほどまで自分のいた場所を粉々に砕き、粉砕された土塊が砂塵となって舞う。

 

「あ、あぶねえ!」

「なんじゃ、避けられるではないか。オシュトルによい恰好を見せるためじゃ、協力せいハク!」

「ふむ、某に良いところをと……」

「なるほど。聖上は御自身の成長を見せるための相手をご所望でしたか。これは小生気づきませんでした」

「む、むむむむむむムネチカ!!? オシュトル!?」

 

 いつの間にか背後に立つ、ムネチカとオシュトル。

 多分、オシュトルの部屋じゃないかとムネチカが訪問して、オシュトルに皇女さんはここにいるんじゃないかと連れられて、一緒に来た、というところだろうか。

 

「さて、では聖上。お相手ならば小生が致しますので、存分に力を発揮してくださいますれば」

「お、怒っておるのかムネチカ」

「怒ってなどおりませぬ」

 

 そういうムネチカの眉間には力が籠っており、尋常ではない威圧感を放っていた。

 

「お、怒っておるではないか! ま、待つのじゃ、ムネチカ!」

「このムネチカ、これまで待てと言われて待った敵を見たことはありませぬ」

 

 悲鳴を上げながらムネチカの打撃を受ける皇女さん。

 暫くすると、助けよハク、助けよオシュトルとこちらに懇願し始めた。

 

「どうするオシュトル? 自分たちもやるか?」

「さて……」

 

 自分は耳を貸さずにその場から目を逸らしてオシュトルと稽古をしようかと提案したのだが、なんとオシュトルが裏切った。

 

「ムネチカ殿、そのくらいにしてはいかがか。聖上はお疲れの様子。聖上よりも、このハクの相手をしてはくれぬか」

「ふむ? オシュトル殿の頼みとあれば、否やはありませぬが」

「ちょ、ちょっと待て。自分は何も言ってないぞ」

 

 勝手に話を進めないでくれ。

 手加減できるオシュトルと違って、ムネチカはぼこぼこにしてきそうなんだが。

 

「ハクにもそろそろ某以外の武人との経験を積ませたいと考えていたところ。仮面の者であるハクが強くなれば、自然聖上を護る盾が増えることとなり、聖上はより安全な身となることは確実でしょう」

「そう! そうじゃ、それを言いたかったのじゃオシュトル! 流石はオシュトルじゃ!」

「ふむ、オシュトル殿の言も一理ある」

「――えええええ?」

 

 こっちに矛先を向けてきて、しかも前後を挟まれただと!?

 

「聞けば、ハク殿はその仮面を外せなくなったとか。その仮面を付ける者は即ちこのヤマトの守護を任されるということ。つまり仮面の者であるならば、聖上を御守りするだけの力を備えておかねばなりませぬ」

「ムネチカ程の武人が相手であれば、ハクも立派な武士となれるであろう」

「む……」

 

 オシュトル程の漢に褒められたからか、ムネチカの表情は若干の喜色を帯びたものとなる。

 

「……オシュトル殿にそうまで言われては、小生もやるしかありませぬ。覚悟していただきたい、ハク殿」

「な、なにぃ!? ちょっと待て! 乗せられているぞ、ムネチカ!」

「問答無用!!」

 

 大振りの拳が自らを捉えようと寸前に迫るのを見て、思わず鉄扇で受け止めた。鈍い激突音が響き、自分の体が僅かに後退する。

 

「……我が一撃を受け止めるか。ハク殿も戦士として立派に精進しておられる様子」

「……」

 

 やはり、おかしい。

 自分にこれほどまでの力がある筈がない。本来ならば、自分の体は易々と吹っ飛んでいた筈だ。

 それに、鉄扇が壊れぬように自然と体全体に力を分散させていた。

 

 ――強くなっている。

 

 こちらの力に合わせて実力を出してくるオシュトルとの稽古ではわからない感覚。足手まといであった自分から既に脱し始めていることに恐怖する。

 

 自分の両腕をじっと見つめると、ちらりと一瞬黒々とした巨大な腕に見えた。

 やはり、仮面の力は恐ろしい。この力を使いすぎれば――戦働きまで求められちまって休む暇がなくなっちまうぞ。

 

「では……この八柱将ムネチカが、ハク殿をさらに鍛えて進ぜよう」

「なに?」

 

 そんなことも知らないムネチカが、良心でもって再び構えを取る。

 

「ちょ、ちょっと待て! 今日はもう疲れたし、これ以上は……!」

「これまで待てと言われて待った敵を見たことはありませぬ」

 

 皇女さんに言った言葉を今度はこちらに向けて言うムネチカ。

 

 ――冗談じゃない。

 

 後ろに全速力で逃げようと振り返ったとき、見覚えのある女性が目に入った。

 

「あら? 楽しそうですわね、ハク様。私も参加してよろしいでしょう?」

「し、シス!?」

 

 そこに、丁度調練を終えたシスが来て、あら偶然とでも言う体で刀を構えてきた。

 その顔には楽しみというよりは、なにか鬱憤を晴らすためのような暗い笑みが浮かんでおり、恐怖に体が竦む。

 

「いや、御免被るぞ! これ以上相手が増えても捌ききれないって!」

「ほう、では小生一人であれば捌ききれると仰るか。ならば、参る!」

 

 おいおいおい! なんでここの女性陣はこう話を聞かない奴ばかりなんだ!

 二人の攻撃から逃げ回りながら、横目に騒ぎを聞きつけてきたノスリとアトゥイの姿が映る。

 

「おお? 皆で寄って集ってハクを攻撃して何をしているのだ?」

「ノスリ殿か、これはハクを鍛えるため四方八方を囲まれた際にどう脱出するか学ばせる調練である。ノスリ殿も参加されてはいかがか」

「なんと、そのような訓練法が……ならば良し、いい女として私も参戦しようではないか! 総大将の妹を娶るのであれば、それなりの武を収めておかねばならんしな!」

「あや~楽しそうやねぇ~。ウチも参加していい? というか、参加するぇ! おにーさん、ネコやんと婚約だの弛んでるみたいやからなぁ……ウチが鍛え直してあげるぇ!」

 

 ――自分は今日、死んだな。

 

 調練場を駆けまわりながらあらゆる攻撃から逃げるが、いつの間にか皇女さんも混ざって攻撃してくる始末。

 逃げきれずに情け無用の攻撃が四方八方から迫ってくる瞬間。自分にできた最後の抵抗が、せめて痛みを感じぬよう力を抜くことだった。

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 自室にて、キウルを呼び出し二人して向き直る。

 

「よし、じゃあキウルによるネコネ奪還作戦を説明する」

「は、はははははい!」

 

 まさかアトゥイがキウルにやったキューピット作戦を自分も行うことになるとはな、と震え声で返事をするキウルを見ながら思う。

 

「そんなに緊張するな。恋愛は何事も意識してもらうところから始まるもんだ」

「……ハクさんには経験が?」

「ま、まあな」

 

 憧れの人は、兄貴に奪われちまったがな。

 幸せそうな顔を見たら、想いを告げることもできやしない。恋愛は、意識させる機会の数がものをいうのだ。そして、その機会の中でもより強く相手の印象に残るような出来事が必要だ。

 

「それで、どうすればいいんですか?」

「告白だ」

 

 兄貴より先に告白してれば成功したかと言われると自信はないが、キウルを勇気づけるために、その辺を伏せながら告白のメリットを伝える。

 

「こ、こここ、告白……ですか」

「ああ。アトゥイの言い分も間違っちゃいない。だが、告白できる機会っていうのは入念な準備をした後だとキウルは考えているわけだ」

「そ、そうですね……」

「自分としては、これまでの関わりが既に準備期間としては十分だと思うが、キウルがそう言うなら、今日の最後、ネコネと別れる前に告白するんだ。今日のネコネの仕事はオシュトルに頼んで自分が肩代わりしているから、今日一日ネコネは部屋で休んでいる筈。キウルもこの日の為に仕事を調整したんだろ?」

「は、はい! 今日は何もありません!」

「早速外出に誘って、ネコネと一日過ごせ。告白は最後の最後だ。告白ができるとキウルが思えるまで、ネコネと過ごし続けろ」

「……で、でも、告白、できるでしょうか」

「今日を逃せば告白できないと思って頑張れ。なあに、告白して振られても、ネコネを意識させるという点では大成功だ。ネコネはこれからキウルを意識せざるをえないし、やがてネコネ自身としても健気に自分を想うキウルを見て、キウルへの恋心が芽生える可能性も高くなるだろう。自分を好きだという相手を無下にはできないもんだ」

 

 少なくとも、自分との婚姻は不義理とみて破棄してくれる可能性が高い。

 しかし、これだけ提示しても、キウルの返事は生返事で表情は青いまま。でも、だけど、しかしですね、と反論してくるので、ここらでびしっと言っておかなければならないと、口調を強くする。

 ネコネとキウル(あと自分)のためだからな。

 

「キウル、ネコネは何も知らないんだ」

「え? ど、どういうことですか?」

「……例えば、キウルのことを好きだと公言するやつはいるか?」

 

 キウルは暫く考え込み、はっとした様子で一人の名前を挙げた。

 

「あ、し、シノノンちゃん、です」

「そうだな。それをなぜ知ってる?」

「えーと、言われたからです」

「つまり、言われなきゃ、シノノンがキウルのことを好きだってことに気付かなかったわけだ」

「は、はあ、まあ……シノノンちゃんは子どもだから好きを勘違いしているだけかと思いますが……」

「だとしても、だ。言わなきゃ、相手はわからないんだよ。たとえ、もしかしたら自分のことが好きなのかなと思うこともあるかもしれないが、あくまで可能性だ。事実じゃない」

 

 とにかく、キウルには好きだろうが嫌いだろうが少なからず意識してもらえる関係になってもらわなければ、婚約の儀は避けられないだろう。

 

「……確かに、そうですね」

「だから、ネコネは何も知らない。考えない。ただの可能性の一つだから、キウルが自分に対して抱いている感情はただの友情だろうと見ているわけだ。だが、違うんだろう?」

「……はい」

「なら、伝えろ。伝えなきゃ、一生相手は考えないし、キウルが苦しいだけだぞ」

「でも、それで関係が終わってしまったら……嫌いだと言われてしまったら」

 

 またうじうじと悩むキウル。

 傍から見てれば、ネコネがキウルのことは嫌いだとはとてもじゃないが思わない。ただただ無意識なだけだ。少し傾ければすぐにでも関係性は変わるだろうに。もっと自信をもってほしいんだがな。

 

「……じゃあ、もしシノノンが大人で、告白されたら何て答えるんだ」

「え、そ、それは……」

「ネコネがいるから、って断るか? 好きだと伝えたこともない相手なのにか?」

「……っ」

「シノノンの気持ちが大人になっても変わらなければ、いつか本当の告白が待っているぞ。その時までに、ネコネと恋仲になるか、ネコネをすっぱり諦めてなけりゃ、また苦しむことになるな」

「そう……ですね」

「だから、今なんだ。まあ……別にキウルは皇子だから二人とも娶る甲斐性を示せるっていうなら、自分は何も言わんが」

「そ、そんなこと、できるわけがないじゃないですか! 心労で倒れます!」

 

 こういう真面目で潔白なところはキウルのいいところだよな。目指す兄貴分がもっと真面目で潔白で眩しすぎるから自信を持てないだけで、キウルも十分好漢なんだが。

 

「でも、告白するにしても、なんて言えば……」

「お前はなんで好きになったんだ」

「え、そ、それは……」

「ずっと、ネコネを見てきたんだろう? それを全部言え。そしたら成功する。胸の内に秘めている今のままじゃ、何も変わらないぞ。ネコネはずっと可能性だけを抱えて、キウルの本心を知らないままだ」

「ハクさん……はい、わかりました……」

「頼むぞ。ネコネのためにも婚姻破棄はするべきなんだ。ネコネを救えるのはお前だけだ。お前にかかっている」

「……はい、頑張ります!」

 

 そこには、先ほどまでの怯えは鳴りを潜め、ついに決心したという面持ちだった。

 

 そして、早速キウルにネコネのところへ行かせて、自分は自室にて隠れていたウルゥルサラァナを呼び出す。

 

「じゃ、キウルの後を追うぞ。周囲から見えないようにできるか?」

「できる」

「大丈夫です、任せてください。主様が私たちを押し倒しても誰にも見えません」

「そんなことはしないから安心しろ」

 

 廊下を三人で歩きながら、キウルの後を追う。

 キウルの後を追うということは、必然的に肩代わりした筈のネコネの仕事をさぼることにもなるが、まあ、二人を眺めながらでもできる仕事だと思い直す。

 手元にあるのは、兵糧と記帳の計算程度の仕事だ。ずっと歩いているなんてことはないだろうから、二人がどこかに腰を下ろしたときにでもやればいい。

 

 唐突に先導する二人が振り向き、話しかけてきた。

 

「さっきの話」

「主様にお聞きしたいことが」

「? なんだ」

「私たちは普段から好意を示していますが、主様の態度が変わった覚えがないのですが」

「矛盾」

 

 そういえば、この双子も好意を示してはくるな。

 だが主と奴隷という特殊な立場だったり、言動が狂信的だと逆に信じられなくなるんだよな。

 しかし、正直に言う訳にもいかないだろう。

 

「そ、それはだな……」

「それは?」

「気になります」

「ま、まあ、ほんのちょっとずつ変わっているから、心配するな」

「……」

「……」

 

 二人の疑いの眼から逃れるように、キウルを目線で追う。

 どうやら、ネコネを誘うことができたみたいだ。随分調子がいいな。

 

「ずるい」

「気づいてもらえるまでご奉仕します。主様」

 

 こいつらの好意がどこから来ているのか、態度を変えるとそういう本心を引き出せぬままずるずるいってしまいそうで、そういうところが怖くて踏みとどまっているんだがなあ。

 やっぱり、恋愛って難しいなあ。無責任に煽っちまったが、頑張れキウル。告白の現場まで見られるほど暇じゃないので、途中で切り上げなきゃいけないが、自分の助けがなくとも、やればできる男だって信じているぞ。

 

 並んで歩くキウルとネコネ、そして手元の記帳を交互に眺めながら、心の中で応援するのだった。

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 緊張していた。

 いつもそうだ。ネコネさんを前にするといつも体が震える。

 嫌なところを見せたくなくて、結局自分自身が出せないまま終わってしまう。

 

「キウルとですか?」

「は、はい。ネコネさんさえよろしければ……」

「いいのですよ。丁度ハクさんが非常に珍しく仕事を肩代わりしてくれたので、暇になったところなのです」

「ほ、ほほほ本当ですか!」

 

 ま、まずはここまでは成功。

 

「それで、どこに行くのです?」

「え、えっと、ネコネさんが行きたいところとかありますか?」

「私の行きたいところですか? ……あ、それなら丁度墨を切らしていたのです」

「な、なら、裏通りの墨屋に行きましょうか」

「いいのですか?」

「は、はい。私も暇、ですから」

 

 二人並んで、エンナカムイの大通りを歩く。

 私たちの姿を見て、商人たちは頭を下げ、昔からの町の人達はにこやかに手を振ってくる。

 その応対に応え乍ら、ネコネさんの様子を窺うが、随分と機嫌がいいみたいだった。

 

「キウルとこうして歩くのは久々な感じがするのです」

「そ……そそ、そうですね」

「あの頃は、兄様もまだ右近衛大将の任についていなかったのです。三人でよくこの通りを歩いたのです」

「そう……でしたね」

 

 菓子や料理をほおばりながら、兄上に二人でついていった覚えがある。

 そういえば、最近は三人とも忙しく、こんなふうにしてエンナカムイを一緒に歩く時間も作れなかった。

 

「なんだか懐かしいのです」

「そ、そういえば、ネコネさんはこの通りにあった飴屋さんが好きでしたね。見つけたら食べましょうか」

「……そんなこともあったのです。でも、もう子どもじゃないですから、別にいらないのですよ」

「そうですか? あ、で、でもありましたよ! 飴屋さん!」

「わ、私はいらないのですよ」

 

 飴屋に駆け寄り、二つの飴を買う。

 ネコネが後ろで色々言っているが、多分ネコネさんのことだから欲しいのだろう。

 

「は、はい、どうぞ、ネコネさん」

「……まあ、買ってしまったものはしょうがないのです。あ、ありがとうなのです」

 

 舐める前までは文句を言っていたが、いざ口に入れると、顔を綻ばせる。

 兄上に対して素直になれないネコネさんに、こうして飴を買い与えて機嫌をとっていた兄上を思い出して、つい真似してしまったが、結果的に良かったのだろう。

 でも、少し怒らせてしまったかと恐る恐る聞いてみる。

 

「お、美味しいですね」

「……昔と変わらない味なのです」

 

 ってことは、美味しいってことなんだろう。

 安心して飴を頬張って歩きながら、墨屋へと足を運ぶ。

 

 飴に集中するネコネさんに、そういえばと気になっていたことを聞く。

 

「そういえば、なぜ墨が必要なんですか? 城に買い置きは沢山ありますけど……」

 

 そう、なぜネコネさんが買いにくる必要があるのだろうかという点である。

 よくよく考えれば、円滑な執務遂行のため、墨は定期的に供給されている。

 

「これは、個人的に使うものなのです」

「えっと……ネコネさんが個人的に、ですか?」

「私が、というよりは、ハクさん用なのです。ハクさんには城にある高い墨より、安い墨で十分ですから」

 

 ――ハクさん、用?

 なら、なおさらネコネさんが買いにくる必要はないような気もしたが、確かにハクさんは自分で買うような人じゃない。

 ハクさんのお金は酒かご飯か賭け事に消える人なので、ネコネさんが代わりに買ってあげているのだろう。

 

 ――やっぱり優しいなあ、ネコネさん。

 

「そういえば、ハクさん用の筆もぼろぼろだったのです。ついでに隣の筆屋にも寄っていいですか」

「え、ええ。いいですけど……どうしてハクさんの筆と墨を?」

「あ……それは、ハクさんに勉強を教えているですから。ハクさんは字が汚いので、持ちやすい子ども用の筆じゃないと書けないのです」

 

 くすくすと柔らかく笑いながらそう話すネコネさん。

 

「そうだったんですね。確かにハクさんの字はたまに読めないです」

「全く、姉様に字を教えてもらったくせにへたくそすぎるのです。ほんと、ダメダメな人です」

 

 実に楽しそうだった。

 そこには、言葉通りの意味の罵倒は込められてはいない。まるで、親し気な人を自慢するような声色だった。

 

 墨屋と筆屋での買い物を終わらせると、太陽が真上に来ていた。もう昼だ。

 

「キウル、ごはんはどうするですか? ルルティエ様のご飯を食べるならまた城に戻った方が……」

「実は、ハクさんから紹介してもらった美味しいご飯屋があるんですが」

「ハクさんの? 酒屋の間違いじゃないのです?」

「いえ、昼は定食屋だそうです。ど、どうでしょうか」

「そうですか。なら行ってみるのです」

 

 そういって、新しくできたらしい定食屋へと足を運ぶ。

 出迎えてくれた女将さんは、なんでも帝都より連れてきたオシュトル近衛兵衆の一人のお嫁さんだそうだ。そういえば、顔にも名前にも覚えがある。こちらの顔を見て、恩人ですからお代は結構ですと言われたのだが、兄上に顔向けできませんので、と丁重にお断りした。

 恐縮されながらも、奥にある完全個室部屋に案内され、席についた。

 

「キウルが助けた人のお店ですか」

「いえ、私だけではないですよ。兄上やハクさんがいなければ無事ではなかったですから」

「……キウルは謙遜できて偉いですね。ハクさんとは大違いなのです」

「え、ええ!? そ、そうですか!?」

 

 ネコネさんに褒められて、顔に血が巡った。

 あわあわと少し混乱しかけたが、運ばれてくる明らかに気合の入った料理の数々に助けられる。

 

「す、すごいのです」

「こ、これ本当に食べていいんですか?」

「はい。これが通常ですので、ご遠慮なさらず」

 

 多分、気をつかってくれているんだろうが、つき返すわけにもいかず、遠慮なく舌鼓をうつ。ルルティエさんやエントゥアさんの料理も絶品だが、やはり料理は十人十色、おかみさんの料理も大変おいしかった。

 ネコネさんも喜色を浮かべて口に次々と料理を運んでいる。

 

「ハクさんに感謝ですね」

「料理に関してだけ、あの人はしっかりしているです」

 

 二人で雑談しながら箸を進めていると、ネコネさんが一つの料理に視線を向けた。

 

「この料理を見て思いだしたのですが、最近私も料理を始めたのです」

「ね、ネコネさんの手料理ですか!?」

「? そうなのです。母さまに手伝ってもらって、ハクさんに試作を食べてもらいながら、なんとか美味しく作れるようになったのです。今度キウルにも食べさせてあげるですよ」

「ぜ、ぜひ食べたいです!」

 

 舞い上がるような気持ちだったが、ふと感じる違和感。

 ネコネさんの話には、必ずと言っていいほど、ハクさんが出てくる。

 最初に選んだ外出先もハクさんのためだし、手料理を最初に食べたのもハクさんだ。

 そんな違和感を抱きながらも、その時はネコネさんの手料理が食べられるという期待に胸を膨らませすぎて、深くは考えなかった。

 

「でも、ここほど美味しくはないのです。それでもいいのです?」

「も、勿論です! ネコネさんの料理が食べられるなんて嬉しいです!」

「そ、そうですか」

 

 少し頬を染めるネコネさん。

 今日は、一貫してとても雰囲気がいい。自分自身、だんだんと緊張が取れてきた。

 昔々の、まだネコネさんも兄上も、ここに住んでいた頃に戻ったかのようだった。ひとつだけ違うのは、私たちの話題にハクさんという存在が増えたことだろうか。

 

 料理を楽しみ、店を出た後も、エンナカムイをぶらぶらと歩く。

 何軒目かの店を出たとき、太陽が陰っていることに気付く。

 

「そろそろ帰りましょうか、ネコネさん」

「そうするのです。そろそろ、母様のところにも顔を出さないといけないですから」

 

 そして、二人で言葉数少なく一緒の道を帰る。しかし、驚くほど自分は落ち着いていた。勿論、そろそろ告白しなければならないと思ってはいたため心臓が早鐘のようになっていたが、それでも今日告白できると確信していたからだ。

 

 帰路の分かれ道。

 自分にとっても運命の分かれ道。

 

 ――告白するなら、今しかない。

 

「あの――」

「――そういえば、ハクさんは私の仕事終わらせてくれたのですかね」

「え? ええ、ハクさんのことですから、言ったからには終わらせてくれたと思いますよ」

「……心配なのです。もし終わってなかったら、手伝わなきゃいけないのです」

「え、でも、任せろとハクさん仰ったんですよね」

「そうですが……なんだか心配になってきたのです。何が普段休みを取らないネコネのためだ~、ですか。多分裏があるに決まっているです」

「そ、そんなことないと思いますけど」

 

 告白しようとした矢先に、ネコネさんがハクさんに愚痴り始めた。

 だが、心底心配している様子ではない。二人して無言だったからか、話題を探してくれたのだろうか。それとも――。

 

 ――聞いてみようかな。

 

 それは、ほんの僅かに頭の中に擡げた疑問。

 もしかして、と感じた違和感。

 

 ハクさんの言葉が蘇る。

 

 ――ネコネは何も知らないんだ。

 ――言わなきゃ、相手はわからないんだよ。たとえ、もしかしたら自分のことが好きなのかなと思うこともあるかもしれないが、あくまで可能性だ。事実じゃない。

 

 そういえば、ネコネさんが私の気持ちを知らないように、私もネコネさんのことを知らなかった。

 ただ、憧れていただけだった。

 だから、知りたかった。これが告白するための最後の準備だと思って、聞いた。

 

「……ネコネさんは、ハクさんのことをどう思っているんですか?」

「? 突然どうしたのですか?」

「いえ、ネコネさん、ハクさんへの当たりが強いから……」

「べ、別に嫌っているからではないです……でも、ぐうたらな人ですから、ついつい言ってしまうのです」

「そ、そうですか」

「まあ、私にとってダメ人間であることに変わりはないのです」

 

 ぴしゃりと言いきるネコネさん。

 ほっとしたのもつかの間、暫くもごもごと何か言い渋る様子を見せたあと、ぽつりと言葉を漏らした。

 

「でも……」

「でも……?」

「……兄様が危険な時――私が危険な時だけは……少し、少しだけですが、頼りになるのです」

「ネコネ、さん……?」

 

 知って、しまった。わかってしまった。ネコネさんの、気持ちを。

 

 なぜなら、頬を染めて俯いた横顔が、あんまりにあんまりだったから。

 恋い焦がれて、内に秘め続けた自分の姿と重なってしまったから。

 

「……そう、ですか」

「あ、そ、そうなのです。陽ももうすぐ落ちそうなのです。今日は楽しかったです、キウル。もうそろそろ母さまのところに行かなくては心配されてしまうので、また、時間がある時に誘ってほしいのです」

「はい、ネコネさん。また、誘います。今度は――」

 

 ――友人として。

 

 分かれ道で別れの挨拶をして、別の道を歩く。

 

 考えてみれば、いくら兄上の頼みだからと言って、心底嫌っている相手と婚姻など結ばない。ネコネさんの中で、ハクさんの存在はいつの間にか大きくなっていたんだろう。

 

 打ち明けることなく恋が終わったことを受け入れた結果、重い足取りのまま自室に戻った。

 

 横戸を開けて入るとシノノンちゃんが人形を抱きかかえて座っていた。

 

「あれ、シノノンちゃん?」

「おかえりなさいだぞ、キウル。まったく、きょうはひまだときいてあそびにきたのに、こんなじかんにかえってくるなんて、とおちゃんうそついたな」

「あ……」

 

 ずっと、遊んでいた? 一人で?

 暇だって聞いて、それからずっと? 待っていてくれたの?

 

「よし、シノノンがまったぶん、キウルはこれからたくさんシノノンとすごすんだぞ」

「うん……いいよ。なにして遊ぼうか」

「そのまえに、いってないぞ」

「え?」

「おかえりなさいだぞ、キウル」

「あ……ただいま。シノノンちゃん」

「おふろにするか、ごはんにするか、それとも……」

「シノノンちゃん!? そんなのどこで覚えたの!?」

「げんきがでるおまじないだ。おとこはこれをきくとげんきになるんだぞ。だからげんきだせキウル」

「あ、ありがとう、シノノンちゃん。で、でも、それはやめようね?」

 

 シノノンちゃんなりの慰めの言葉だったのだろうが、随分悪影響を及ぼす言葉だ。ヤクトワルトさんに追求しないと。

 それに明日、ハクさんには失敗報告と恨み言を呟かないといけない。でも今日はそのことは忘れよう。

 

 きっと一人でいたら、苦しみで押しつぶされていただろうから。シノノンちゃんに感謝しなければ。

 夕刻まで待ってくれた、慰めてくれたシノノンちゃんが満足するまで、おままごとに付き合うことに決めたのだった。

 




キウル失恋回。少女漫画のような、秒速○○㎝のような、な話になっちゃいました。

訓練風景は活動報告でのコメントをアレンジさせていただきました。

次回はお待たせしたライコウとの交渉話。
原作とは大きく違う展開になるので不安ですが、頑張って書き溜めますのでよろしくお願いします。
キリが良くなるよう三回分くらい書き溜めてから投稿するつもりなんで、暫く空きます。

原作のムネチカ人形好き話とか、皇女さんのオシュトル座椅子とかは、番外編で書けたらいいですね。

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