「なぁ、いい加減機嫌直せって。」
「なぁ悠よ・・・なぜ俺は殴られたのかな?」
「いやぁ、それはだな・・・・何というかぁ・・・海よりもふかぁいわけがあってだなぁ・・・。」
「おう、それはさっきから聞いてる。だからそれは何なんだと聞いてるんだけど?」
俺は今まさにある意味修羅場に突入しようとしていた。先ほどダイヤを怒らせてしまい打ちひしがれているところに、なんともまぁタイミング悪く智也が来たのでついついぶん殴ってしまったのだ。頬を赤く腫らした智也は氷で冷やしながらブスゥっとしながら俺に事情説明を求めてきた。まぁ、確かに何の理由もなくいきなり殴られたら誰だってそうなるよな。流石の俺も智也にだって今までこんな理不尽なことはしたことがないから智也も余計気になっているんだろう。
しかし、何と答えたらいいのやら・・・。以前、智也からダイヤを好きになったと宣言された時には俺はダイヤのことを妹としてしか見ていないと言ってからまだ一週間ほどしか経ってないからなぁ・・・。今さら俺も実はダイヤのことが好きで、今までそれに気付いてなかったんだ、とはいいにくいよなぁ・・・。
「まぁ、お前のことだからなんとなくは察しはつくけどな。」
「は?」
「どうぜ、『実は俺ダイヤのことが好きだったみたいだ』とかだろ?殴られた時ダイヤちゃんがどうの言ってたし。」
なっ!?こいつエスパーか!?俺だって気付いたのは最近でしかもそれ以降智也とは一度も会ってないのになぜわかった?!
「は、はぁ?な、ななな、なぁにいってんの?」
「悠・・・分かりやすく動揺しすぎ。てかお前俺を何だと思ってんの?」
「え?ただの変態。」
「なぁ、いい加減俺だって本気で怒るよ?」
「すまん・・・。」
「はぁ・・・。あのさ、お前との付き合いはかなり長いんだぜ?お前がダイヤちゃんを見るときの表情を見ればなんとなくわかるさ。」
「いやしかし、あの時はまだ自覚してなかったんだぞ?そんなの表情に出るはずが・・・」
「あるんだよ。まぁ、どうやって自覚できたのかは分からないけど、今までお前のあんなに優しげな表情俺は初めてみたぞ。あれを見て、こいつはダイヤちゃんのことが好きなんだなぁ、って一発でわかったよ。」
なんてことだ、俺そんなわかりやすかったのか!?てことは何か?俺ダイヤの前ではデレデレになってたのか?だから初対面の果南達にもあれだけ突っ込んでこられたのか?やばい、そう思うと凄い恥ずかしいんですけど!?それと、男にお前を見てれば分かる的な発言を言われるのはかなりキモイな・・・。
「だから、あんとき鎌かけてみたんだがお前自覚してないし、どうしたもんかと思ったね。」
「まさかお前にそんなにを使われるとは思わなかった・・・少しショックだ・・・。」
「悠お前本当に酷いな・・・・」
「あ、いやぁすまん!!本音が・・・」
「あの全然フォローになってませんけど!?」
しかし、そうなると一つ気になることができてしまった。
「てことは、智也がダイヤに一目ぼれしたってのは?あれはウソか?」
「ん?いや、あれは本当だぞ。でもなぁ、脈なしなのがすぐに分かったしなぁ・・・。」
「そうなのか?」
すると途端に智也の顔が信じられないようなものを見るような表情をして溜息をつかれてしまった。
「お前本当に鈍いのな・・・自分のことにしても他人のことにしても。」
「な!?失礼な!!自分のことはともかく周りのことはそれなりに見えてるつもりだぞ?」
「いいや、見えてないね。ならなんで俺がダイヤちゃんに脈なしと思ったんだと思う?」
むむぅ・・・なんてこったさっぱりわからん。智也には分かって俺には分からないとな?それは悔しいぞ!!考えろ俺・・・智也が変態だから?いや、あの場でこいつはその片鱗は出してなかったし・・・ん~・・・
「分からないだろ?」
「う、うむ・・・」
「はぁ・・・これは少しルール違反だとは思うけどこのままじゃあまりにもダイヤちゃんがかわいそうだから教えてやるよ。」
「お、おう?」
智也はため息をついた後、真剣な表情で俺の方に向き直った。
「俺が無理だと思ったのはダイヤちゃんに好きな男がいるのが分かったからだよ。」
「はぁ!?」
なんだと!?ダイヤに好きな男がいるだとっ!?一体どこのどいつだ!?てかなんで初対面の智也に分かるんだそんなこと?てか何?え?これって俺も失恋確定ってこと?
「悠・・・・」
てかなんでそんな憐れんだ目で俺を見る!?止めてくれ死にたくなるから・・・。
「な・なんだよ?」
「お前、本当に分からないのか?」
「なにが?」
「本当に鈍いな悠・・・。ほっといたら永遠に気付かないんじゃないか?」
「一体なんなんだよ?」
「だから、ダイヤちゃんの好きな男ってのは悠、お前だって言ってんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・は?マジ?」
「マジ。」
え?ダイヤが俺を好き!?マジで?いやいや、そんなまさか?でも、マジでか!?もしそうならすげー嬉しんだけど!!ヤバッ!!どうしよ~!?
「でもなんでそんなことが分かるんだよ?」
「んなもん、ダイヤちゃん見てれば分かるだろ?お前ら二人とも分かりやす過ぎるんだもんよ。ダイヤちゃんもお前の話にはすげー食いついてたし、ずーっとお前の方見てるし。」
「全然気がつかなかった・・・」
「でも本人に確認したわけじゃないからあくまで俺の見た感じだから絶対にとは言えないけど、ダイヤちゃんはお前が好きだと思うよ。」
今の智也の言い分が正しいんだとしたら、俺は今さっき物凄い失態を犯したんじゃないだろうか?・・・これってもしかして物凄いチャンスを棒に振った?
「おい、悠?どうしたんだ、急に青い顔して?」
「俺今とんでもない事しでかしたかもしんない・・・」
「は?」
「どうしよう智也!!俺さっきダイヤにお前は妹だ宣言しちゃった!!」
「はぁ!?何やってんのお前!?」
俺はさっきのやり取りをかいつまんで智也に説明をした。そして話を聞き終えた智也にスリッパで思いっきり頭をどつかれてしまった。
「いった!!なにすんだよ!?」
「なにすんだ!?じゃないだろ!!!これ普段と立場が逆だろ!!なんで俺が突っ込んでんだよ!!いや、今はそんなことより早くダイヤちゃんに連絡して今すぐ謝れ!!そんでちゃんと事情を話して許してもらえ!!」
「いや、それじゃ告白するようなもんだろ?」
「だから、告白しろって言ってんのっ!!」
「いや、告白するならもっとこう・・・いい雰囲気でだなぁ・・・(バコンッ!)いって~!!」
「悠お前何言ってんの!?この状況でなにロマンチックなこと考えてんの?このままだと告白どころか口も利いてもらえなくなるかもしれないぞ?」
それは困る・・・てか、こいつは本当に智也か?あの変態ダメ人間で通っている智也か?別人ではなかろうか?さっきからずいぶん的確なアドバイスとキレのある突っ込みをしてくれる。これじゃ本当に普段と立場が逆だなぁ・・・。
「なら、どうしたらいい?」
「だから、今すぐ電話でも何でもいいかられんらくしてきちんとお前の気持ちを伝えろ!!
「わ、分かった!!」
俺はスマホを取り出すとダイヤに電話をした。
「・・・・・・・・・・・・・ダメだ、出てくれない・・・」
「こりゃ相当怒ってるかもしれないなぁ。」
「こうなりゃ、直接乗り込むしかないか!!」
「それしかないかもな。行ってこい!!」
「おうよ!!」
「うまくいったら、ダイヤちゃんの友達紹介してくれよ♪」
何でこいつはこうも残念なんだろう・・・さっきまで見直していたのに智也はやっぱり智也だった。とりあえず一発殴ってから智也を追い出し、俺は財布やらを準備をしてからダイヤの家へと向かったのだった。
~~ダイヤSido~~
まったく信じられませんわ!!なんであんなことを言うのでしょうか?仮に本当に妹と思っていたとしてもデリカシーがないにもほどがありますわ!!・・・・・しかも追いかけてきてくれませんし。もうすぐ家に着いてしまうのですが・・・。
私は悠さんの、お前は妹だ、宣言につい頭に血が上って嫌味を言って出てきてしまい、今はもうすぐ家に着くと言うところまで帰ってきましたが、未だに悠さんが追ってくる気配もなければ連絡をしてくる気配すらなくこれで何度目かと思うほど振り向きながらここまで来てしまいました。
「少しアパートのの前で追いかけて来てくれるのを待ってましたのに・・・。」
「誰を待ってたのかしらん?☆」
「え?」
「シャイニー☆どうしたのダイヤ?浮かない顔して?」
独り言を言っていると突然後ろから声をかけられ驚いて振り向いて見ると、そこにはどこかでお買い物でもしていたのかレジ袋を持った鞠莉さんがいました。
「い、いえ別に大した事ではありませんわ・・・。」
「もぉ、相変わらず嘘が下手なんだから。大丈夫なヒトはそんなさびしそうな顔しません。何があったの?ワタシでよければ話くらい聞くよ?」
鞠莉さんはそう言うとにっこり笑って近くの公園へと私を促しました。普段はアッケラカンとしている方ですが私や果南さんが困っているときはいち早く気付いてくれていつも真剣に相談にのてくれるのです。普段とのギャップもありなぜか素直に話してしまう不思議な空気を作るのでそれに逆らうことができず公園のベンチで先ほどあったことを鞠莉さんに話しました。
「そっか~。やっぱりダイヤはユウのことが好きだったのね~☆」
「気付いていたんですの?」
「なんとなくだけどね♪ダイヤったら昔から近所のお兄さんがやれどうした、こうしたって嬉しそうに話してたから子供のころからその人のことが好きなんだなぁって思ってたんだけど、ユウが曲作りを手伝ってくれるってなったときに、ダイヤがまさにあの頃のように嬉しそうに話すからすぐに分かったわ♪」
私ったらそんなに分かりやすかったのでしょうか?鞠莉さんが気付いているのですからおそらく果南さんも気付いてますわよね・・・?なんだかそう思うととても恥ずかしくなってきましたわ/////
「それにしてもユウったら許せないわねぇ・・・・。」
「でも、仕方のない事かもしれませんよね・・・。悠さんから見たら私なんて子供みたいにしか見えないでしょうし、妹以外に思えないのも分かるんですが・・・これでも再開してからは意識してもらおうと頑張ったのですが、やはりああもはっきり言われたらショックですわね・・・。」
(あの奥手のダイヤがアピールしてたですって?それに気づけないなんてなにやってるのよユウは!!挙句の果てには頑張りなさいと言ったのになんで妹扱いしてるのよ!!これはそんなおバカさんにはお仕置きが必要ですね~☆)
「よし!!こうなったらワタシ達に任せなさいっ!!」
「任せるって・・・何をするつもりですの?それに達って?」
勢いよく鞠莉さんは立ち上がると私の肩をガシッと掴んで何やら不敵な笑みを浮かべていました。なんだか急に不安になってきたのですが大丈夫でしょうか?
「いいからいいから♪ダイヤは気にしないで待っていて♪悪いようにはしないから☆」
「え・えぇ!?あの本当にどうするつもりですの!?」
「ダイヤにとっていい事☆あ、もしユウから連絡があっても絶対に出ないでね♪」
「なんでですか?」
「ダイヤはユウとコイビトになりたくないの?」
「え//////そ・それはそうなれるのなら嬉しいですが・・・。」
「なら、ワタシの言う通りにしなさい☆」
「わ・分かりましたわ。鞠莉さんがそこまで言うのなら鞠莉さんに従いますわ。」
「よろしい☆なら後は家に帰ってゆっくりしてて♪くれぐれもユウの連絡に出たらダメだからね?」
鞠莉さんはそう言うと私の背中を押して家に帰るよう促してきました。不安は残るものの、普段はともかく真面目なことを話した時にふざけるような方ではないので鞠莉さんを信じて帰ることにしました。帰宅途中悠さんから着信がありましたが、鞠莉さんに言われた通り出ないでいると何度か着信がありましたがすべて出ないでいると、私のスマホが震えることはなくなりました。・・・本当にこれでよかったのでしょうか?
そしてスマホの画面とにらめっこをしていると家に着いてしまいました。流石に今日はもう何もやる気が起こらなかったので今日はもうお風呂に入って休むことにしました。後日まさかあんなことが起こるとはこの時の私は夢のも思わなかったのです・・・。
そして私の知らないところですでに事は動き出していました。
「あ、もしもし果南?今ちょっといいかしら?実は面白くなりそうなことがあるんだけど果南も一口乗ってみない☆?」
~~ダイヤSido END~~
さぁ、ネタフリをしたはいいものの、いい案が思いつかない・・・
ネタフリの内容がしょぼくてもおおめに見てください・・・。
ではまた次回に♪