俺は今浦女の前に来ていたが大変困っていた。浦女に着いたはいいが、男の俺が勝手に女子高の中をウロウロするわけにもいかず、しかも部室の場所が分からないので、ちゃんとした許可を貰いつつ案内してもらい為にマリーを呼んだのだが、かれこれ30分近く経つのに何故かマリーが現れない。その間俺はJKの変なものを見る目に晒され俺の精神ライフをガツガツ削られていた。2年前にも似たような事があったかもしれないが今よりはマシだった気がする。
まぁ、物騒な世の中らだから危機感が無いよりはいいのかもしれないが・・・。
「それにしても遅すぎる。これじゃ、あっさりダイヤにばれちゃうじゃないか・・・。」
「ハァイ☆」
「あ、マリー!!遅いじゃないか!!」
「仕方ないでしょ。ユウの為に先生方と事務所に説明と許可を貰って、許可書を作ってたんだから。はい、これが許可書ね。ここに入るときは必ず首から下げておいてね。」
「あ・あぁ。サンキュウ。・・・じゃなくて!!遅くなるならなるでそう言ってくれよ!滅茶苦茶不審者扱いされてたんだぞ!?」
「それはユウが挙動不審だからでしょ?そもそもワタシに連絡してこなくても直接事務所に行って入館手続きすれば入れるわよ?」
「え?そんな簡単な事でいいの??」
「当たり前でしょ?でないと男の人の出入り業者の人が困るじゃない。」
「だけど、文化祭は厳重じゃん?」
「それは文化祭だからでしょ?あんな不特定多数の人が出入りしたら目が届かないから、招待客だけしか入れないのよ。でも普段は別よ。」
なんてこった。女子高だから物凄く厳しいと思っていたのにまったくそんな事がないとは・・・。
「そうだったのか・・・。」
「ユウ、アナタもしかしてダイヤのポンコツうつったんじゃない?」
「失礼な!!」
「そうかしら?ほらよく言うじゃない?飼い主と犬はよく似るって☆」
「この場合『夫婦は』じゃないのか?・・・因みに一つ聞きたいんだけど、どっちがどってち?」
「もちろん、ダイヤが飼い主でユウが犬よ☆」
「な・何故に??」
「だって、昔からユウはダイヤに尻に敷かれていたじゃない☆」
俺は膝から崩れ落ちてしまった。確かに最近自分でもダイヤに尻に敷かれてるなぁ、とはなんとなく思ってたけど、こうもはっきり言われるなんて・・・。しかも昔からって・・・。
「まぁそんな事よりも、毎回手続きしてたんじゃ手間だろうから、とりあえず今年度は手続きをスルー出来るようにしてあげたわよ☆」
「マジですか!?」
「Yes☆」
「サンキュー、マリー♪」
「いえいえ☆ユウには色々期待してるからこれくらいはね☆」
「それじゃ、ダイヤに見つかる前に行くわ♪」
「あの子達の事ヨロシクネ☆」
「おう!」
俺はマリーにお礼を言って部室に向かった・・・んだが、場所が分からない事を忘れていた。
「・・・すまんマリー。部室ってどこだ??」
「え?まさか知らないで行こうとしていたの??」
「はい・・・。」
「はぁ・・・。」
マリーは溜め息をついた後『本当にポンコツがうつったんじゃない?』と呆れながら高海達がいる部室の場所を教えてくれた。場所は体育館の一角にある部屋と言う事だったから、一度行った事ある場所だったからなんとか迷わず行く事が出来た。
「悪い、遅くなった・・・ってあれ?」
「え?」
「ルビィにマルちゃん!!」
「「お兄ちゃん(さん)!?」」
俺が部室に入るとそこにはルビィとマルちゃんがいた。
「え?蒼谷さん、2人の事知ってるんですか??」
「え?あぁ、ルビィは「ちょっと待った!!」」
「??」
俺が渡辺の質問にルビィは幼馴染で妹みたいなもんだと言おうとしたら、高海から何故か待ったがかかった。そして高海は渡辺と桜内を連れて部屋の隅に行き、なにやらコソコソ話しだした。
「曜ちゃん、いきなりその辺りに踏み込むのは・・・もっと慎重に聞かないと。」
「え、なんで?」
「だって、ルビィちゃん達に『お兄ちゃん』って呼ばせてるんだよ?」
「・・・あぁ~。」
「絶対に妹属性?ってやつだよ!」
「そうなのかなぁ?なら、私が言ったら喜んでくれるかな?」
「梨子ちゃん、それは危険だよ!!暴走したら何をされるか・・・・。」
「それはそれで///」
「「え?」」
と言うような話をしているが、全部聞こえているぞ!!この三人の俺に対するイメージは一体どうなってるんだ?何でこの三人は俺を変態さんに仕立て上げようとするのだろうか?そりゃ、健全な一般男子?ですから人並みにそう言ったことへの興味も知識もありますよ?彼女だっているしね♪
だがしか~し!!いくらなんでも節度と理性と言う物くらい持ってますよ?流石に警察に御用になるのは勘弁なのですよ!!
「おいこら!全部聞こえてるからな!!俺はそんな変態さんじゃないぞ~??」
「え~でも~・・・」
「ねぇ?」
「私なら大丈夫ですよ♪」
ダメだ、話にならない・・・。ほら見ろ、ルビィもマルちゃんもポカーンとしてるじゃん。
「馬鹿なこと言ってんな。ルビィは俺の幼馴染だ。で、マルちゃんはルビィの友達だから面識があるだけだ。」
「なぁんだ、つまんない。」
つまらないって・・・。そんなに俺に特殊性癖持ちにしたいのか?・・・とりあえず無視しておこう。このままツッコミを続けていたら話が進まなそうだ。
「で、ルビィ達はこんな所でどうしたんだ??昨日言ってた入部の件か?」
「う・うん。とりあえず仮入部をしようと思って・・・・。」
「そんな事よりも、なんでお兄さんがここに居るんですか?」
「へ?あぁ、そういえば言ってなかったな。たまたまなんだけど、俺が桜内と知り合いで、この間のライブの時の曲から編曲をお願いされて手伝ってたんだよ。」
「あの曲をお兄ちゃんが作ったんだ!凄い!!」
「未来ずら~♪」
「ありがとう♪そんで、マリー事、理事長様から直々に手伝いようにと言われて手伝いに来てるってわけ。」
「さすがお兄ちゃん!!頼りになる♪」
「ずら~♪」
2人は目を輝かせて尊敬の眼差しで俺を見ていた。うんうん、お兄さんは素直で純粋な子が好きですよ♪
「で、そこでずっとヒソヒソしてる3人。そろそろ戻ってきてもらっていいかな?」
「「「へ?」」」」
「へ?じゃなくて!!お前達遊ぶ為に部を立ち上げたんじゃないだろ?練習しなくていいのか?」
「そうでした・・・。」
「すみません・・・。」
「よし、それなら練習をしよう!!」
リーダーがこんなでこの部は本当に大丈夫なのだろうか?少し・・・いや、かなり不安になってきたんだけど・・・。
「それじゃ、とりあえず練習をやってもらうのが一番ね。」
そう言うと桜内はホワイトボードにレッスンスケジュールと書かれた大きめの紙を貼りだした。
「「「おぉ~♪」」」
「いろいろなスクールアイドルのブログとかを参考にして作ってみたの♪」
「へ~、よく出来てるなぁ。」
紙には円グラフで大まかな時間と何をするのかがしっかりと書かれていた。もっとやらなければいけない事はあるんだろうけど、始動したばかりのグループがやるなら丁度いい感じだ。ここから少しづつレベルアップすればいいんだしね。
「本物のスクールアイドルの練習・・・♪」
俺が桜内の作ってきたレッスンスケジュールに感心していると、横でルビィが目を輝かせていた。まぁ、ダイヤと同じくらいスクールアイドルに憧れを抱いていたんだから当然か。
俺がルビィを微笑ましく見守っていると、高海達が着替えると言う事で俺はいったん外で待機をした。その際にお約束だがニヤニヤしながら『覗かないでくださいね♪』と言われた。俺一度もやましいことしてないのに何でこんないじられ方をしてるんだろう??そう言えば、果南とマリーにもガッツリいじられてたっけ・・・。あれ?俺、もしかして年下の女の子にいじられやすい体質なのか!?なんてこった!!俺べつにいじられて喜ぶような趣味は持ってないんだけど・・・。
「さて、準備も出来たし・・・どこで練習しようか?」
「「「へ?」」」
衝撃的な事実に気付いてしまった俺がうな垂れていると、着替えを終えた高海達が部室から出てきた。だが、出てきた途端とんでもない事を高海達は言いだした。今までは学校に承認されてないから外でやっていたと思ったが、どうやらそんな事ではなかったようだ。
「いやぁ、昨日はつい今まで通り浜辺で練習したけど、まだちゃんとした練習場所が決まってないんだよね~。」
「そうなんだよねぇ~。それなりの広さがあって、音を出しても迷惑にならない場所となるとなかなかねぇ・・・。」
「とは言え、移動時間を考えると毎回砂浜での練習ってのは・・・。できれば校内で確保したいわ。」
「とは言え中庭もグラウンドもいっぱいだろうし・・・。」
「部室もそこまで広くないしねぇ・・・。」
「そうなのよねぇ・・・。」
そう言って2年生組の3人は唸っていた。
おいおい本当に大丈夫か!?始まってすぐに練習場所がなくて練習できませんって、笑い話にもなんないぞ?
「あ・あの!!」
「ん?どうしたルビィ?」
「屋上なんてどうですか?μ’sも屋上で練習していたみたいですし!!」
「それ本当!?」
「はい。本で読んだことあるので間違いないと思います。」
「よ~し、そうと決まれば、屋上へレッツゴー♪」
そう言って高海は走っていってしまった。それを追うように渡辺達が走り去るのを見ながら俺は、皆元気だなぁ、なんて考えながら後追った。
屋上に着くとそこには練習するには申し分のない広さがあり、そこそこの音を出しても迷惑にはならなそうでとてもいい感じだった。その証拠にさっきから高海は子供みたいに駆け回っている。
「うわ~、すご~い♪」
「富士山くっきり見えててる♪」
「でも日差しが凄いずら。」
「それがいいんだよ♪太陽の光をいっぱい浴びて、海の匂いを胸一杯に吸い込んで・・・。」
「確かに気持ちいいわね♪」
5人は屋上の真ん中で座り、日の光を気持ちよさそうに浴びていた。マルちゃんに至っては気持ちよさそうに寝そべっていた。てか、あれ本当に寝てない?
しかし、本当に気持ちがいい♪マルちゃんじゃないけど、俺もこのまま寝てしましそうだ・・・。って、それはいかん!この空気はいかんぞ!これはこのままだらけてしまう空気だ!
「さ、そろそろ練習をしよう。このままじゃ何もしないまま日が暮れちゃうぞ?」
「おっと、そうだった!」
「あはは。気持ちいからのんびりしちゃったねぇ。」
「はっ!!少し寝てたずら!!」
「もぉ、マルちゃんったら~♪」
本当に寝てたんかい!!・・・まぁ気持ちは凄く分かるけど、あの短時間で寝れるとはなかなか・・・。
「ははは♪で?今日はどうするんだ?」
「そうですね・・・・。とりあえず基礎練習は明日からしてもらうとして、今日は簡単な振り付けを覚えてもらって実際に踊ってもらうと言うのはどうですか?折角の体験入部ですし。」
「いいんじゃないかな?」
「いいねぇ!!」
「それじゃ折角だし円陣する?」
「「「さんせーい♪」」」
「それじゃいくよ?Aqours!サーンシャイーン!!」
5人は気合を入れて練習がスタートした。高海達3人がルビィとマルちゃんに振り付けを教えている間、俺は物凄く暇をしていた。あれ?もしかして俺要らない子??
「さて、こんな感じね。そしたら、間違えてもいいから順番に練習してみましょう♪」
「なら、わたしがリズムをとるね?」
お、これはチャンス!!練習に関しては俺は何もできそうにないが、リズムをとるくらいは出来るし、これをやらないと本当に要らない子になってしまう!!
「渡辺、それは俺がやるよ。」
「え?そうですか?」
「うん。てか、これくらいしか俺に手伝えることなさそうだし、やらせてくれ。」
「わっかりました♪ではお願いするであります♪」
「任された!」
と言う訳で俺がリズムをとることになった訳だが、フォームチェックなんかは出来ないので渡辺にそこはお願いして、無理そうならスマホで動画撮影をして確認してもらうという流れにした。
「1・2・3・4・1・2・3・4・1・2・3・4、よ~しそこまで。」
「できた・・・出来たよお兄ちゃん♪」
「流石ルビィちゃんずら♪」
「うんうん。よくやったな♪よく真似してだけあって流石だな♪・・・それに引き換え、高海は何してんだ?」
俺がルビィの頭を撫でて労ってやってるんだけど、一緒に踊っていた高海に視線をやるとなんか変な決めポーズをとっていた。
「え?」
「千歌ちゃんはもう一度ね!」
「えぇ~!?」
「なら、次はルビィは休憩で、桜内と渡辺、マルちゃんに高海の4人でやってみようか。」
「「「は~い♪」」」
「えぇ!?本当にわたしもう一回やるの!?」
「当然だろ?練習なんだから真剣にやらないと。」
「うぅ~、真面目にやってたのに・・・。」
真面目にやってアレだったら尚ダメだろ・・・。
なんいせよ、こうして体験入部の2人を含めた新生Aqoursの練習がスタートしたのだった。
リアルが忙し過ぎる・・・。
まぁ、そんな事は置いておいて、人数が増えると掛け合いが難しいですね。
誰がしゃべってるんだか区別をつけるのも難しい・・・。
その辺りは精進していくので生温かく見守っていただけると幸いですw