みなさん、いかがお過ごしでしょうか?俺?俺は楽しいはずのGWという大型連休なのにもかかわらず、物凄く気分が落ち込んでおります。何故ならば智也に無理やり約束させられたダイヤを紹介するという約束を果たさなければならないからである。ダイヤから一応了承は得たものの、俺が乗り気ではなかったので、なかったことにしようと思っていたのだが会うたびに、いつ会える?としつこかったのでまたしても俺が折れてしまった。で、ダイヤに予定を確認したところ今度の祝日なら空いていると返答が来た為ここで会う運びとなったのである。それが今日・・・。正直智也の暴走が確定しているので気が重たいったらありゃしない・・・。そして今沼津の駅前で二人と待ち合わせをしている。
「はぁ・・・。」
もう何度目にかなるか分からない溜息をつく。溜息をついた分だけ幸せが逃げていくと、どこかの偉いお方が言っていたようだが、溜息をつく状況になっている時点で幸せは傍にいないような気がする・・・・。
「おはよう悠♪なんだなんだそのしけた面は?せっかくいい天気なんだからもっとシャキッとしろよ?」
智也は今日の天気のように晴れ渡ったような爽やかな笑顔を見せている・・・。正直キモイ・・・。だいたい誰のせいで沈んでると思ってるんだ?
「なんだその無駄に爽やかな笑顔は?似合わないぞ?」
「酷いなぁ・・・俺だってこんな顔するぞ?悠の中で俺はどんな扱いなわけ?」
「もっとこう・・・ゲスイ笑顔で女の尻を追い回してる変態。」
「俺の扱い酷過ぎませんか?!それじゃ、俺物凄い変態みたいじゃないか!!」
「えっ!!違うの?大学であんなに有名人なのに?」
「うぅ・・違うけど、違わない・・・。」
落ち込む智也を横目に少しストレスを少し発散できた俺は気を取り直すことにした。まぁ、いくらこいつが節操無く女に飛びつく変態でも、俺の知り合いにいきなり飛びつくほど馬鹿じゃないだろ・・・・たぶん・・・おそらくは・・・きっと・・・。ま、まぁもし暴走するようならどっかのダメ神さんが使う必殺のゴットブローをお見舞いすればいいか。
「まぁそう落ち込むな。本当のことなんだから諦めろ。」
「あの、誰のせいで落ち込んでいると?てか、慰めるのかさらに蹴落とすのかどっちかにしてくれません?」
「なら、蹴落とす方でw」
「ごめんんさい、嘘です止めてください。」
などといつも通り智也をいじっていると丁度バスから降りてくるダイヤを見つけた。今日のダイヤは白色のワンピースに赤色のカーデガンといかにもお嬢様らしい服装でいい意味で周りから浮いていた。輝いてるって言うかそんな感じ?俺を見つけたダイヤは小走りで駆け寄ってきた。
「すみません遅れてしましましたか?」
「いや、時間ぴったりだよ。」
「ならよかったのですが・・・。出かけるギリギリまで何を着て行こうか悩んでしまいまして・・・。」
「そんなに気にしなくていいのに♪でも悩んだかいあって似合ってると思うぞ?」
「ほ、本当ですか?ありがとうございます///」
「あ、あぁ!!お前もそう思うだろ?」
まただ・・またドキドキする・・・なんでだろうか・・・?俺はなぜかダイヤを直視できなくなり誤魔化すように智也のほうを見た。というか、こいついつになく大人しいな?
「・・・・・・・」
「おい智也?」
「・・・・・・・・・・・・」
「お~い?」
「はっ!?俺はいったい何をしていた?」
声をかけても反応しない智也の前で手をひらひらさせてみると智也は我に返ってくれた。どうやらダイヤの綺麗さに意識がどっか飛んでったみたいだ。まぁ、気持ちはわからんでもないがな。俺も久々に再会した時ダイヤと分かるまでメッチャドキドキしてたし。
「大丈夫か?」
「お、おう。大丈夫だ。」
「そうか?ならいいが。で、智也。この子がお前が会わせろとしつこいくらい頼んできた俺の幼馴染の黒澤ダイヤだ。で、この挙動不審の男が一応俺の友人の進藤智也だ。少し馬鹿だが根はいい奴だから許してやってくれ。」
「ねぇそれどんな紹介!?それに一応友人ってなに!?俺ら親友だろ!?」
「お前の紹介はこんなもんでいいんだよ。」
「ひっど~!!」
「ふふふ、仲がよろしんですのね?始めまして黒澤ダイヤと申します。今日はよろしくお願いしますね。」
「あ、あぁご丁寧にどうも。進藤智也です。悠とは中学からの腐れ縁で今も同じ大学に通ってます。」
「さて紹介も終わったし、またな智也!」
「おう、またな!!・・・じゃないだろ!!なにそんなに俺邪魔?いらない子?」
「冗談だよ。若干ウザいからまとわりつくな!」
俺はまとわりつく智也を引きはがし、どこか落ち着いた場所で話でもしてのんびりしようと近場のファミレスへと向かった。店の中はGW初日の午前中とあってそこそこ結構混んでいたが幸いにもあまり待たずに席に着くことができた。席に着いた俺たちはとりあえず飲み物を頼んで一息つくと改めて自己紹介することになった。
「てなわけで、改めてさっきも言ったけど一応もう一度自己紹介しとくね。悠の親友の進藤智也です。趣味は一応カラオケです。これでも高校のときはバンド組んでボーカルだったんだよ♪すごいでしょ♪」
「まぁ、それじゃ歌がお上手なんですね?」
「いや違うぞダイヤ。確かに下手ではないが こいつどの楽器も全然ダメだったんだよ。そんでまぁ、下手じゃないしとりあえず歌わせとくかってのが真相だ。」
「悠~それは言ったらダメなやつ・・・」
「いいじゃん本当のことなんだしw」
「仕方ないじゃん俺不器用だし・・・でも音楽やりたかったんだもんよ~。」
「あら、どうしてですの?」
「俺たちあの伝説の第二回ラブライブの決勝を見に行ってさぁ!!その時のμ'sパフォーマンス見てものすごく感動して無性に音楽活動をしたくなって始めてんだよ。」
「俺たち、というと・・・」
するとダイヤは俺のほうを見てきた。そういやぁ、俺が高校のときバンドをやってたこと言ってなかったような・・・。
「そう言えばダイヤには言ってなかったな?俺これでもギター弾けるんだよ。一応μ'sを習ってオリジナル曲を作って演奏してたんだ。まぁ、そうは言っても楽器を弾けるようになるところからだったから実際作った曲なんて3曲だけだけどなw作曲自体ずっとギターやってた奴が作ってくれてたし・・・」
「それでもすごいですわ!!それにあの第二回ラブライブを生で見たなんて羨まし過ぎますわっ!!」
そう言ったダイヤはテーブルから身を乗り出したずいっと顔を近づけてきた。そういやぁダイヤはμ'sの大ファンだったなぁ・・・。確かにあの伝説のライブを生で見ることができたのは幸せなことかもしてないなぁ。なんていうの?人生観変わったもんなぁ・・・。今までそれなりにいろいろやってきてたけどコレってのが見つからなくて長続きしなかったし・・・。でも、あのライブを見てスクールアイドルとして限られた時間を精一杯輝こうとする彼女たちを見て、こんなにも普通の女の子たち人の心を動かせる事ができるんだと感動をしたことを今でもはっきり覚えている。
「でも、なんでバンド活動だったのです?μ'sに憧れたならアイドル活動とかではなかったのですか?」
「いや、ダイヤちゃんさすがに男のスクールアイドルってのは見たことないでしょ?」
「確かに・・・。だからバンドだったのですか?」
「まぁ、それもあるけど、今までなんとなくいろんな事やってたけど、あのライブ以降俺には夢ができたからさ♪」
「夢ですか・・・?」
「そ。俺さ、作曲とかやってみたいなぁって。まぁ、実際すごく難しいし、音大に行こうと思ったけど落ちちゃったしね・・・。浪人とか専門学校も考えたけど、さっき言ってた作曲してる友達とかにも相談して今の俺だと入るのはやっぱり難しいみたいでさぁ。だから普通の大学に通いながら紹介してもらったプロの方に時間あるときに教わってるんだ。」
「そうなんだぜ。悠のやつさ作曲は全然ダメなんだけど、編曲の才能あるみたいでさぁ、普通だったら音大いけないようなやつなんかプロに相手されないだろうけど、高校のときの友達が編曲はうまいから一度見てやってくれって、頼んだら本当に見てくれてさぁ、そしたら『確かにいいものを持っているね。まだまだ荒削りだけど磨けばきっと光ると思うから、時間あるときにいろいろ教えてあげるよ。』て。な?」
「まぁな。」
実際には結構手厳しいこといわれたけど、才能としては悪くないとは言ってもらえてるけど、こういう風に言われるとなんか照れるなぁ・・・。確かに作曲は苦手だったけどベースのあるものを弄くるのが得意みたいなんだよねw
「そうなんですか?すごいですね!!尊敬してしまいますわ!!でも、そのお友達もすごいですわね?プロの方にお知り合いがいるなんて。」
「あぁ、そいつの叔父さんさんだよ。叔父さんの影響でそいつもギターを子供のころからやってたみたいだし、ホントそいつには感謝しかないよ。」
「てか、俺から振った話題だけどいつの間には悠の話になってるな。」
そういえば・・・。智也の自己紹介のはずが俺の紹介になってしまったw
「まぁ、いいか。盛り上がる事は盛り上がったし。ダイヤちゃんは何か趣味みたいなのあるの?」
「え?私ですか?そうですね・・・あえて言うならお琴と日本舞踊でしょうか?」
「ずいぶん古風な趣味だね?」
「えぇ、お母様の進めもあって幼少よりお琴にお花、お茶に日舞など色々習い事をしていまして特にお琴と日舞は好きなんです。」
「へぇ♪」
確かにダイヤは子供のころから色々習い事してたなぁ。お琴とか聞かせてもらった事あったけど、よくわからないながらも上手だったような気がする。今でもちゃんと続けていたんだなぁ・・・。
「あ、でもスクールアイドルも好きで最近友人たちとスクールアイドルをはじめたんです!!」
「そうなんだ!?すごいね!!俺も応援しちゃおうかなぁ!!ライブとかいつやるの?今度見に行くよ♪」
「それなんですけど、まだ曲ができてなくて・・・・。」
ダイヤはふぅ、とため息を付いた。初めて作曲してるって言ってたけどやはり相当苦労しているみたいだった。経験があったってかなり苦労するような代物だ、経験がないならなおのことだろう。
「相当苦労してるみたいだな?」
「えぇ。果南さんと鞠莉さんが頑張っていい歌詞を書いてくださったのでそれに見合ういい曲を作りたいんですけど、そう思えば思うほどうまくいかなくて・・・。」
なるほど、どんなものでも初めて何かを作るときには誰もが感じるやつのドツボにはまちゃったか・・・。もっといいものができるはず、こんなものではダメ、ってやつ・・・。俺も編曲とか始めた時はそうだったなぁ・・・。こういうのは言い方は悪いけどある程度いい意味で妥協は必要になってくるよなぁ・・・。会心の出来でもない限り終わりが見えないんだよな・・・。
「なぁダイヤ。今出来てるとこまででいいから、一度聞かせてくれないか?アドバイスなんて偉そうなこと言えないけど、他の人の意見を聴くことで何か突破口が見えてくるかもよ?」
「それいいな!!一人より二人、二人より三人ってね♪」
智也の奴さりげなく加わる気満々だな・・・。まぁいいけど。
「いいんですか?ご迷惑ではないでしょうか?」
「迷惑なんて!!俺とダイヤちゃんの仲じゃないか♪」
「智也はともかく、俺のことは気にしなくていいぞ?色々世話になってるし、ダイヤの力になれるんなら喜んで手伝うさ♪」
「ありがとうございますっ!!なら、いきなりで恐縮ですが明日お時間ありますか?もし大丈夫なようでしたらさっそく聞いていただきたいのですが・・・。」
「ごめん俺は無理・・・・明日ばあちゃんとこに行かなきゃならないんだ・・・。」
「智也はいても何もできないだろうが・・・。俺は構わないよ。もともと予定ないからだらだら過ごすつもりだったし。」
「智也さんそんなにお気になさらずに。是非またの機会によろしくお願いします。」
「ごめんね・・・。今度は絶対手伝うから!!」
「はい。では悠さんは明日ご都合のいいお時間に家までいらしてください。私は明日作曲するのに一日家にいるつもりでしたのでいつでも大丈夫ですので♪」
というわけで、明日はダイヤの家に行くことになった。詳しい時間などは帰ったからメールすることにして、話しこんでいたら丁度いい時間になったのでこのまま昼飯を食べて、午後は智也の案でカラオケに行きお開きとなった。ちなみにダイヤはアイドルソングを熱唱しまくっていた。もともと凛としたよく通るいい声をしているのもあって、かなり上手だったと思う。俺と智也ははやりの曲など中心に楽しく歌ってきた。
そしてダイヤと別れた後いつになくまじめな顔をした智也がいた。
「なぁ悠。正直に答えてほしいんだけど、正直なところお前ダイヤちゃんのことどう思ってんの?」
「どうって?」
「そのまんまの意味だよ。俺さダイヤちゃんのこと本気で好きになったかもしんない・・・。一目惚れってやつ?この前見たときは周りは暗かったしほとんど後ろ姿しか見てなかったからよくわからなかったけど、今日見たときに衝撃が走ったよ・・・俺はきっとこの人を探してたんだって・・・。お前はどうなんだ?」
「俺は・・・・」
俺はどう思っているんだろ?・・・・もちろん嫌いではないし、むしろ好きだ。でもそれは妹として好きなのであって、一人の女性としてはどうなんだろう?ダイヤのことはかわいいと思うし、凄く美人に成長したとは思うけど、やっぱり妹みたいな気もするし・・・・。
「妹みたいなもんかな?」
「本気でそう思ってる?」
「あ、あぁ・・・。」
「なら、俺がアタックしてもいいよな?もしうまくいって俺がダイヤちゃんと付き合うことになっても何の問題もないってことだよな?」
「あ、あぁ、ダイヤが振り向いてくれたらいいんじゃない?」
「よ~し!!なら俺本気でがんがって見ようかなぁ!!」
ダイヤと智也が付き合う・・・・なぜだろう、想像してみると胸が苦しくなる・・・。小さいころからダイヤを知っていてかわいい妹だから?嫁にやる父親のような心境?・・・いやどれも違う気がする。ならなぜ?俺はダイヤのことを一体どう思っているのだろうか・・・・?
ダイヤ、俺は君を・・・・・・・・・・・・・・・・・・
恋のライバル出現によりダイヤへの自分の気持ちを考え始めた悠君。自覚するまであとひと押し・・・そのひと押しは一体誰がしてくれるんでしょうね?w