その輝く君に永遠を誓う   作:ヨーソローはやて

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第36話 ~小さくても需要はあるさ~

 俺達の今後を大きく変える出会いが人知れずあった頃、俺は高級スイーツバイキング(4人分)を奢らされ心で密かに泣いていた。マジで明日からの生活費どうしよう・・・。まぁ、今回はルビィ達の入学祝だもんな。それに俺も悪かったし(?)、昼飯でも抜いて耐えよう・・・。

 とにもかくにも、バイキングを出た俺達はマルちゃんの家に寄って帰るとルビィが言うので、ルビィとマルちゃんをマルちゃんの家に送り届けてきたところだ。しかしマルちゃんの家がお寺さんだったとは・・・。まぁあの純粋さを思えばなんとなく納得できるけど、最初家の場所を言われた時は思わず聞き返してしまった。

 まぁ、そんなわけで今はダイヤと二人きりなわけだけど、さっきからダイヤは黙ったままなので物凄く気まずい・・・。一応スイーツを食べてる時にルビィ達にも協力してもらい誤解は解いたのだが、いまいち機嫌が戻りきっていなかった。学校から帰ってきたときに既になにか悩んでいたみたいだし、それも要因の一つだろうけど、どうしたものやら・・・。

 

「なぁ、ダイヤ?」

 

「なんですか?『お・兄・様』」

 

 このままでは俺の精神が持たないので、とりあえず車を邪魔にならないところに停めてダイヤとちゃんと話す事にした俺はダイヤに話しかけると笑顔で返事をしてくれたが、目が笑っていない・・・。ダイヤさん、凄く怖いです・・・。

 

「うぐぅ・・・だ・だからあれは誤解だって説明したろ?」

 

「すみません、冗談ですわ・・・」

 

「まぁいいけどさ・・・。それで、ダイヤは何を悩んでるんだ?」

 

「え!?」

 

「いや、え!?じゃなくて、何をそんなに悩んでるんだって聞いてるんだけど・・・。」

 

 そんなに俺がダイヤの心境を読んだ事が意外だったのか?確かに俺は鈍いかも知れんがそれはそれで失礼な話だ。付き合いだしてかなりたつし、子供のころから考えたらかなりの時間を一緒に過ごしてるんだからそれなりには分かるぞ?

 

「べ・別になにも悩んでなんかいませんわよ?」

 

 そう言うとダイヤは口元のホクロを掻いた。これは子供の頃からのダイヤの癖だ。昔からウソをついたり何かを誤魔化そうとすると必ずこの癖をやっていた。まぁ、本人は自分にそんな癖がある事を気付いていないみたいだけど。

 

「嘘はよくないぞ~?」

 

「う・嘘なんてついてませんわよ?」

 

 ほら、またホクロを掻いてる。分かりやすいなぁ~♪

 

「いや、バレバレだぞ?ウソをつく時の癖が出てるし♪」

 

「え!?そんな癖なんかありませんわよ!?」

 

「これがあるんだなぁ~♪」

 

「そ・それは一体何なんですの!?」

 

「それは教えられないなぁ~♪まぁ、そんなことよりもだ・・・。」

 

「そんなことって・・・」

 

「何に悩んでるんだかは分からないけど、隠せないんだから俺に言ってみな?誰かに相談したら答えが見つかるかもしてないし♪」

 

「ですが・・・」

 

「俺はダイヤの彼氏だぞ!、悩みがあるならダイヤと一緒に悩みたいんだ♪それに、ダイヤには笑顔でいてほしいしな♪」

 

「悠さん///。・・・わかりました。実は・・・」

 

 ダイヤは今日学校であった事を話してくれた。

 その内容は、スクールアイドルを始めたいと言う下級生が来たということだった。ただ、部の設立申請に必要な人数が足りていないということだった。これだけ聞いたら悩む要素なんて1つもない気もするけど、ダイヤの事だ、またいろいろ難しく考えてるんだろうなぁ。真面目なのはいいけど、少しでいいから肩の力抜けばいいものを、マリーと同じで1人で抱え込むんだから困ったものだ。こんな時は彼氏の俺がちゃんと助けてやらないとね♪

 

「それで、ダイヤは何をそんなに悩んでるんだ?話を聞く限りダイヤが悩む必要が無いと思うんだけど?」

 

「悩み、と言うより、自分の小ささにショックを受けていたと言うか・・・」

 

「小さい・・・」

 

 俺は思わずダイヤの胸へと視線を落としてしまった。まぁ確かにダイヤは大きい方ではないが、決して悩むほど小さくはないと思うが・・・。まぁ、果南なんかと一緒にいたらコンプレックスにもなるのは仕方ないけど・・・。

 

「へ?・・・ちょ!?どこを見てるんですの!?」

 

 俺の視線に気付いたダイヤは両腕で胸を隠すような体制をとって俺を睨んできた。

 

「そんなに気にするなって♪ダイヤは決して小さくないぞ!!そりゃ最近の子は発育がいいとは言うが、気にすることないって♪俺はダイヤくらいの大きさが好きだぞ♪」

 

「な・・な・にを・・い・・・・」

 

「それによく言うだろ?大きさよりも形だって。他の人と比べた事はないから分からないけど、ダイヤのは綺麗な形してると思うぞ?ダイヤの事を隅々までよく知る俺が言うんだから間違いないって♪」

 

 俺が決め顔でダイヤを慰めると、ダイヤは俯き顔を真っ赤にさせながらプルプルと小刻みに震えていた。

 

「ん?どうしたダイヤ?」

 

ギューーーーーーーーーーーッ!!

 

「いだだだだだ!!!!」

 

「ぶっぶーー!!ですわっ!!いきなり何を言ってるんですの!?いつ、誰が、胸の話をしたと言うんです!?」

 

「痛い痛いっ!!悪かった俺が悪かったから!!だからそんなに耳引っ張らないでくれ~!!」

 

 俺はダイヤに左耳を思いっきり引っ張られ涙目になってしまった。しかも耳元で叫ばれて耳がキーンッってする・・・。

 

「大体、話の内容を勘違いした上に、さらっと他の人よりも私の胸が小さいと言いましたわよね?失礼にもほどがありますわよ!!」

 

「言ってない言ってない!!ただ単に最近の子は大きい子が多いと言っただけで・・・」

 

「言ってるも同然ですわ!!ま・まぁ、形が綺麗と言ってくださったのは嬉しかったですが///」

 

 あ、それは嬉しかったんだ♪

 

「こほんっ///そ・それにっ!私の事を隅々まで知ってると言ういい方は破廉恥ですわっ////!!まぁ、その、確かにその通りでもありますが、こんなところで言わなくても・・・//////」

 

 こんなところって・・・。車の中で2人きりで誰も聞いていないのに顔を真っ赤にして照れちゃって、本当にダイヤは可愛いなぁ~♪

 

「なら、どこでならいいんだ?♪」

 

「っ!?//////////」

 

 ダイヤは更に顔を赤くしてまた耳を引っ張られた。少しからかい過ぎたかな?いかんな、ダイヤが可愛過ぎてついついからかい過ぎてしまう。

 

「ごめんごめん!!もう言わないから離してください!!」

 

「まったく!!」

 

「お~、いて~・・・」

 

「自業自得ですわ!人が真面目に相談していると言うのに・・・。」

 

「だから悪かったって。俺だって真面目にダイヤが胸の事で悩んでるんだと思ってだなぁ・・・」

 

「もう胸の話はいいですから!!」

 

「お・おう。えっと、それで?ダイヤは何が小さいとショックを受けていたんだ??」

 

「急に話を戻しますわね・・・まぁいいですけど・・・」

 

 ダイヤは小さくため息をつくと俺に改めて向き直り話を始めてくれた。

 

「小さいと言うのは、私の器と言うか、心の事です。・・・決して私の胸の話ではないですわよ!!」

 

 無意識にまた視線がまたダイヤの胸の方に行ってしまったようで、ダイヤに釘を刺されてしまった。気をつけないと今度は両耳引っ張られるやもしれん・・・。

 

「分かってるって!!」

 

「・・・その下級生の事を『羨ましい』と思ってしまったんです。以前も別の下級生がスクールアイドル部を作りたいと来た事があったんです。まぁ、その時はただ単に流行っているから思い出作りにやってみたい、という軽い気持ちが見え見えで、ラブライブを目指すとかそう言ったのはなかったので、人数が足りないことなどを言ったら簡単に諦めていました。」

 

「でも、今日の子は違ったのか?」

 

「はい。本気でラブライブを目指そうとしていました。『人数が足りないなら集めてまた来る』と真直ぐな目で言われました。その純粋さがあまりのも眩しく、思わず嫉妬してしまい『それでも認めない』と言ってしまったんです・・・。」

 

「嫉妬?」

 

「えぇ・・・。私にはもう叶える事の出来ない夢なので・・・。」

 

「そんなことないだろ?」

 

「いえ、もう叶えられませんわ・・・。だって果南さんと鞠莉さんがここにいないんですもの・・・」

 

「ダイヤ・・・。」

 

「仮に今、鞠莉さんが帰ってきたとしても、おそらく果南さんはもう一度スクールアイドルをやらないと思いますし・・・。」

 

 仮に・・・ね。マリーが帰ってくると知っている身としては教えてやりたくなるが、こうなると問題は果南と言うことになるのか?マリーはあの調子だから、またダイヤと果南をスクールアイドルに誘うだろうし、ダイヤは3人でまたやれるなら、と言ったところか・・・。

 

「なんで果南はやらないんだ?」

 

「果南さんは、サバサバ見えて結構頑固なんです。一度鞠莉さんを突き放した以上、よほどの事が無ければその考えを変える事はないでしょう。ましてや自分達のせいで鞠莉さんの将来を奪いかけていたと、自分を責めているのですから尚更です。」

 

「なるほどねぇ・・・。ちなみにダイヤはどうなんだ?」

 

「どう、とは?」

 

「だから、もし、マリーが帰ってきたらまたスクールアイドルをやりたいと思うのかってこと。ちなみに果南がどうのこうのってのは無しにしてだぞ?」

 

「そうですね・・・やはり、やりたい、と言うのが正直なところですが、それでも私も、もうスクールアイドルをやる事はないでしょう。」

 

「なぜ?」

 

「私は果南さんにも鞠莉さんにも何もできなかった。自分の気持ちを伝える事すら出来ませんでした・・・。その結果、だれも笑顔でそれぞれの道に進む事が出来なかったんです。そんな私にもう、あのステージに立つ資格なんてありませんわ・・・。」

 

「資格って・・・。そんなの関係ないだろ?そもそもあの時は、ああするしかなかったんだし・・・。」

 

「そうかもしれません・・・。ですがこれは私のケジメみたいなものですので・・・。」

 

 相変わらず固いなぁ・・・。流石は硬度10。世界一固い鉱石の名は伊達じゃないな・・・。まぁ、ダイヤはツンデレなところがあるし、これ以上何か言っても意固地になるだけか・・・。暫くは事の成り行きを見守るとしますか。場合によってはダイヤに怒られることを覚悟で色々裏で動けばいいか。

 

「そっか。まぁ、ダイヤがそう言うなら・・・。でも何かあったらちゃんと言ってこいよ?」

 

「はい。」

 

 この日はこのままダイヤを家に送って別れた。

 さぁて、今後どうなることやら・・・。とりあえず放っておいても色々勝手に動くマリーにでも連絡しておくか。派手に動いてくれるやつがいれば隠れて何かやるには丁度いいしな♪




いかがだったでしょうか?

今回はダイヤちゃんの葛藤を自分なりに書いてみました♪

今後の悠君の暗躍にこうご期待をww

ではまた宜しければ読んでやってください♪

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