~ダイヤ side~
「さてと・・・入学式の準備も終わりましたし、後は式が始まるのを待つだけですわね。」
あの出来事以降、生徒会に入った私は去年の秋から生徒会長になりました。そして今入学式の準備や、新入生への挨拶文の確認などを終え一段落ついたところです。
生徒会室の窓からは校門のところで入学生への部活動の勧誘が行われていました。年々生徒数が減っているためか新入部員獲得に各部活動はあの手この手でアピールをしているようでした。そんな中、校門をくぐるルビィが見えたので、ルビィのところへ向かおうと窓から目を話すと、
『ピギャ~~~~~~~~~~~!!!!お・お・お・お・お姉ちゃ~~~~ん!!』
と、ルビィが私を泣きながら呼ぶ声が聞こえてきました。驚いて窓からルビィを探すと、何人かの生徒に囲まれているようでした。
「またあの子は!!」
おそらく人見知りから叫んだんのでしょう。傍にはルビィの友人の花丸さんがいるようなので大丈夫だとは思いますが、本当に困った事があっては、と思い急いで校門へ向かうと、そこにルビィ達の姿はなく、代わりに2年生の2人と、この2人が配っていただあろうチラシが落ちていました。そのチラシを拾い上げて見るとそこには『輝け!スクールアイドル部(仮)大募集!!』と書かれていました。
「あなたですの?このチラシを配っていたのは?」
「「え?」」
「いつ何時、スクールアイドル部なるものがこの浦の星女学院にできたのです?」
私がチラシを配っていた2人をみると、そこには、みかん色の髪の2年生とベージュ色の髪の2年生の2人がいました。ベージュ色の髪の生徒の方は私を見ると誰だかわかったのか怯えた表情をしましたが、みかん色の髪の生徒の方は私が誰だかわかっていないようでした。
「あなたも1年生?」
「千歌ちゃん違うよ!その人は新入生じゃなくて3年生・・・。しかも生徒会長だよ。」
「うそっ!?・・・生徒・・・会長・・・?」
この千歌さんと呼ばれていた方、去年の生徒会選挙の時以降、何度か壇上に上がっているのに私の事が分からないとは・・・。それに帯の色を見ればどの学年かわかるでしょうに・・・。
それはそうと、今は許可なく部活動の勧誘をしていた事を注意しなくてはなりませんわね。
「とりあえず、今すぐ生徒会室に来ていただけますか?」
「え”!?」
「きちんと話を行かないといけませんので。」
「でも・・・」
「い・い・ですわね!!」
「・・・はい。」
ブツブツ文句を言う千歌さんと呼ばれていた2年生を連れ生徒会室に移動し、詳しく事情を聞くと、この春休みにスクールアイドル部を立ち上げようと思い立ったらしく、生徒会に部の設立の許可どころか申請もしないまま勝手に部員集めていたと言う事でした。
「悪気はなかったんです。ただ皆勧誘していたんで、ついでと言うか・・焦ったと言うか・・・」
「部員は何人いるんですの?ここには一人しか書かれていませんけど・・・。」
先ほど渡された部活動の設立申請用紙には『2-A 高海 千歌』と千歌さんの名前だけが書かれていました。
「今のところ1人です。」
「部の申請には最低5人は必要というのは知っていますわよね?」
「だから勧誘してたんじゃないですか♪」
ドンッ!!
「ひゃ!?」
「・・・あいった~~~。」
「ふふふっ」
私はきちんとルールを守っていない事を注意していると言うのにこの千歌さんは悪びれもせず、むしろ、『なにあたりまえ事を?』的な態度に思わず苛立ってしまい、申請用紙をデスクに叩きつけてしまいました。デスクに叩きつけた手が痛く、私とした事が人前で醜態を晒してしまい、それを見た千歌さんが笑っていました。
「笑える立場ですのっ!?」
「すいません・・・。」
「とにかく。こんな不備だらけの申請書、受け取れませんわ。」
「えぇ~~~!?うぅ~~・・・じゃ・じゃぁ、5人集めてまた持ってきます!!」
千歌さんの後ろではベージュ色の髪の2年生が『戻ろう』と言っていましたが、聞こえていないのか千歌さんは私に怯まず、真直ぐ見つめ言い返してきました。
「別にかまいませんけど、例えそれでも承認はいたしかねますがね・・・。」
「どうしてです?」
「私が生徒会長で居る限り、スクールアイドル部は認めないからですっ!!」
「そ・そんなぁ~~~~~!!!!!」
「そう言うわけですから、諦めて帰りなさい。」
「でもっ!!」
「ち・千歌ちゃん!ここはいったん帰った方がいいって!!」
「曜ちゃん!?」
「し、失礼しました~!!」
千歌さんは引き下がろうとしませんでしたが、曜ちゃんと呼ばれていたベージュ色の髪の2年生に連れられて行きました。
時計を見るとあと少しで入学式の始まる時間で、私は慌てて体育館へと向かったのでした。
~ダイヤSide END~
俺は今、浦女の近くのコンビニの駐車場に車を停め、ダイヤ達を待っていた。
なぜダイヤ達を待っているかと言うと、我等が妹のルビィとルビィの友達もダイヤと同じ浦女に入学することになり、入学式の後俺とダイヤからルビィ達の入学祝をしようと言うことになったからだ。
ちなみに車は、俺の親父とお袋、じぃちゃんとばぁちゃん達からの成人祝いで買ってもらった物だ。別に俺がねだったわけではないが、親父もお袋も一人っ子な上に俺も一人っ子という事と、俺に初めて彼女が出来た事を知った大人達が大喜びして、デートに必要だろ、といって買ってくれた。
とは言え維持費は当然ながら俺が出すわけで、学生のバイト代では大きな車は維持するのがかなりしんどいので軽自動車だけどね。まぁ、ダイヤと出かけるだけだったら軽自動車で十分だし、行動範囲がめちゃくちゃ広がったからかなりありがたい。
~♪
車の中でスマホをいじりながら時間を潰しているとルビィから連絡があり、入学式が終わったと連絡が入ったので、近くのコンビニにいる事を伝え来てもらうことにした。
「お兄ちゃんお待たせ~♪」
「お、来たなルビィ♪高校入学おめでとう♪」
「えへへ、ありがとう♪」
「ず・ずら~・・・・」
俺がルビィの頭を撫でていると、ルビィの後ろの方で信じられない物を見た、と言うような表情をした女の子がいた。あの子がルビィの言っていた友達だと思うんだけどどうしたんだろう?
「ルビィ、あの子は?」
「あ、紹介するね♪この子はルビィの友達の国木田 花丸ちゃん。で、花丸ちゃん、この人がこの間お話した幼馴染のお兄ちゃんで、蒼谷 悠さんだよ。」
「よろしくな、国木田さん♪」
「・・・・」
「ん?」
国木田さんは俺の事を見ながらボーっとしていた。俺になんかついてるのかな?てゆうか、この娘も美人さんだなぁ・・・。ふわっと軽い感じの茶髪のロングヘアーで、ルビィよりも背は少し小さいかな?だけど、ルビィと違って出るところは出ていて・・・じゃなくて!!顔立ちはしっかりと整っていて、この子の周りだけどこかゆっくり時間が流れているような、不思議と落ち着ける空気を持った娘だ。
「花丸ちゃん?」
「ず・ずら!?」
「ん?ずら??」
「な、何でもないずら!!じゃなくて、なんでもないです・・・」
「本当に大丈夫か?」
「す・すみません!!ちょっと驚き過ぎて我を忘れてしまっていたずら・・・。」
「なににそんなに驚いたの花丸ちゃん?」
「いやぁ、話には聞いていたけど、ルビィちゃんが家族以外の人に・・・しかも男の人にこんなに心を許している光景が信じられなくて・・・」
なるほど。確かにルビィの事をちゃんと知っている人からしたらこの光景は驚愕かもしれないなぁ。俺も久し振りに会った時は物凄い叫び声をもらったしなぁ・・・。
「そ・そうかなぁ・・・。」
「うん。でもルビィちゃんを見ていたら蒼谷さんが凄くいい人と言う事が分かったずら♪」
「俺も国木田さんと話してみてルビィが心を許した理由がなんとなくわかった気がするよ♪国木田さんは凄く優しい娘なんだね♪」
「そ・そうですか?///」
「うん♪」
「あ・ありがとうございます///」
ほらね♪初対面なのにルビィが懐いてるからという理由だけで俺をいい人と言ったり、褒めたら照れたりするし、ルビィの事をちゃんと見ていてくれる凄く純粋で優しい娘だ。
「そ・そうだ!!マルの事はマルと呼んでほしいずら。国木田さんって呼ばれるのは少し苦手で・・・。」
「わかったよ♪なら、マルちゃんって呼ばせてもらおうかな♪いいかな?」
「はい♪」
「俺の事も蒼谷さんなんて堅苦しい呼び方じゃなくてもいいから♪」
「そうですか?なら・・・マルは『お兄さん』と呼ばせてもらうずら♪」
「っ!?・・・お・おう///」
「ダメ・・・ですか?」
「い・いや、ダメじゃないぞ全然!マルちゃんの呼びたいように呼んでもらって構わないから!」
「ありがとうございます♪」
「よかったね花丸ちゃん♪」
「ずら♪」
あぶなかった・・・。『お兄さん』と呼ばれて思わず『イイっ!!』と叫びそうになってしまた。全然そんなつもりはなかったが、もしや俺は妹萌えなのだろうか?思い返してみれば子供の頃はダイヤに『お兄様』なんて呼ばれていて、そんなダイヤを俺は滅茶苦茶可愛がっていたような・・・。それについ最近も『お兄ちゃん』と甘えて来るルビィを甘やかしていたらダイヤに甘過ぎと注意されたなぁ・・・。
今まで家族同然で黒澤姉妹とは兄弟同然に育ったから気付かなかったが、今日マルちゃんに『お兄さん』と呼ばれた事で『妹萌え』に気付くことになるとは・・・。とは言え、ダイヤやルビィ、マルちゃんのような可愛い女の子達から『お兄ちゃん』と言われて萌えない人はいないはずだ。うん、これは普通の事だ。・・・たぶん・・・・。
「でもなんでお兄さんなんだ?」
「マルは一人っ子だから兄弟と言う物にずっと憧れていたずら♪そこにルビィちゃんが『お兄ちゃん』と慕う優しそうな人が好きに呼んでいいと言ってくれたから、お兄さんに甘えちゃったずら♪」
「なるほど・・・なら、俺の事は本物のお兄ちゃんと思って困った事があったら頼ってきな♪なんてな♪」
「その時はよろしくずら♪」
「ね?お兄ちゃんなら大丈夫って言ったでしょ♪」
「ずら♪」
しまった、あんなに可愛く『甘えちゃった♪』なんて言われたからつい調子に乗ってしまった・・・。それにしても、ルビィが慕ってるからという理由だけで、初対面の男にこれだけ心を許してくるとは・・・マルちゃんの将来が心配だ・・・。陰ながら悪い男に引っ掛からないよう見守ってあげないと・・・。
「ずいぶんと賑やかですわね?何かいい事でもあったのですか?」
「あ、お姉ちゃん♪」
「おぉ、ダイヤお帰り~♪」
「お待たせいたしました。」
「生徒会の方はもういいの?」
「ダイヤさん。今日は誘っていただきありがとうずら♪」
「いえ、折角の晴れの日ですからこれくらい当然ですわ。」
俺がマルちゃんの将来を心配していると、生徒会の仕事を終えたダイヤが合流してきた。だけどなんだろう?一見普通なんだけど、少し元気が無い様な・・・?と言うより悩んでる?でもなんでだろ?ん~・・・後で聞いてみるか。
「それで?ルビィ達は何をそんなに盛り上がっていたんですか?」
「マルちゃんが兄弟に憧れてるって話したら、『俺の事は本物のお兄さんと思って呼んでくれて構わないから♪』って言ってくれてね、それでマルちゃんに良かったねって言ってたところなの♪」
「へ~・・・そうなんですか・・・。」
ちょ!?ルビィ色々とはしょり過ぎだし、話が混ざってるから!!それじゃ俺からお兄さんと呼んでくれと言ったみたいじゃないか!!ほら、ダイヤがジト目でこっち見てきてるし!!てか、その顔本当に怖いですよ~?ダイヤさ~ん・・・。
「ご、誤解だからな、ダイヤ。俺から望んでお兄さんと呼ばせてるわけじゃないからな?」
「やっぱり嫌だったんですか?」
「あ、別に嫌じゃないぞ?うん。マルちゃんにお兄さんと呼ばれる事は嬉しいぞ。・・・はっ!!」
俺がダイヤに言い訳をしようとしたら、涙目になってしまったマルちゃんをなだめると、タイヤのジト目がより一層厳しいものになっており、俺は冷や汗をダラダラとかいていた。
「良かったですわね?こんな可愛い妹が出来て・・・。」
「あ、いや、だからこれには訳がですね・・・。」
「良かったですわね2人とも。今日は『お兄さん』がどんなものでも奢ってくれるそうでわよ!!」
「え?どんなものでも!?なら普段は高くて行けないような高級スイーツバイキングなんかでもいいの?」
「もちろん♪」
「え?!あ・あのちょっと?」
「本当ずらか!?マルも一度はあのバイキングに行ってみたいと思っていたずら♪」
「あの~ですからね・・・って聞いてますか~?お~い?」
「さ、2人とも車に乗って♪時間もあまりありませんし早く行きましょ♪」
「「は~い♪」」
「だから・・・」
「こんな可愛い妹達のお願いですもの、当然問題ありませんわよね??お・に・い・さ・ん♪」
「うぐぅ・・・はい・・・問題ありません・・・」
ルビィ達を車に乗せたダイヤは俺に向き直ると、物凄くいい笑顔で(でも目は笑っていなかった・・・)同意を求めてきたので、俺はYESとしか言えなかった。でも、これだけは叫ばせてほしい・・・。
「だから誤解なんだってば~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
いかがだったでしょうか?
アニメの裏側と言った感じで、アニメでは描かれていなかった部分を考えるのはとても楽しいです♪
それにしても一年生組みのような妹が欲しかったw
まぁそれはさておき、気がつけばUAも25000を超えていて感謝感謝です♪拙い文章ですが少しでも楽しんでもらえたら幸いです♪
こんな感じですが、これからもまったり書いていきますので、よろしければ今後も読んでやってください♪