その輝く君に永遠を誓う   作:ヨーソローはやて

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第30話 ~涙のクリスマス~

~ダイヤSide~

 

 本日は12月24日。世間一般ではクリスマス・イヴと言う事もあり、世の恋人達はクリスマスデートデートやお洒落なディナーなど、色々な楽しみ方をするのでしょう。かく言う私もその中の一人、のはずだったのですが・・・今の私はとてもじゃありませんが楽しむ事が出来そうにありませんでした。

 

「昨日の事が気になって、まったく眠る事ができませんでしたわ・・・」

 

 楽しむ事が出来そうにないのは今日が楽しみで眠れず寝不足だから・・・と言うわけでなく、昨日街で悠さんと果南さんのデートを目撃してしまったからです。

 

「おはよう、お姉ちゃん。」

 

「あ、おはようございます、ルビィ・・・」

 

「お・お姉ちゃんっ!?」

 

 私が顔を洗って眠気を飛ばしていると、起きてきたルビィが私の顔を見て凄く驚いていました。

 

「どうかしましたか?」

 

「どうしたもこうしたも・・・、酷い顔だよ?お姉ちゃん!!」

 

「酷い顔・・・そうですわよね・・・こんな顔だから悠さんの気持ちは・・・。」

 

「あわわ、お、お姉ちゃん、そう言う意味じゃないから!!隈が凄い事になってるだけだからっ!!お姉ちゃんは凄く美人だから!!」

 

「そんなとって付けたように言われましても・・・」

 

(だ・ダメだ・・・。昨日の事でお姉ちゃん卑屈になってる・・・どうにかしないと・・・)

 

「あ、お姉ちゃん今日は何時に待ち合わせなの?」

 

「え?16時ですけど・・・でも行くの辞めようかと・・・」

 

「もぉ何言ってるのお姉ちゃん!!」

 

 珍しくルビィが怒っているようですが、なぜでしょう?そもそも昨日のあの光景を見てしまったのにどのような顔で悠さんにお会いしたらいいのか分かりませんわ・・・。

 

「きっと悠さんは、本当は今日私と逢うよりも果南さんと逢われる方がいいんだと思いますし・・・。」

 

「お姉ちゃんっ!!」

 

「は・はい!!な・なんですかルビィ?」

 

「そんなにウジウジしてるなんてお姉ちゃんらしくないよ!!」

 

「そう言われましても・・・。」

 

「お姉ちゃん、ここはルビィに任せてくれない?」

 

「はい?」

 

 いつものルビィと違い、なぜか凄くやる気のルビィに気押され私はルビィのされるがままになり、気がつけば悠さんとの待ち合わせ時間になっていました。

 

~ダイヤSide END~

 

 

 時刻は午後4時を回ったところ。俺は今沼津の駅前でダイヤを待っていた。今日はクリスマス・イブ!!クリスマス・イブと言えば恋人達にとっては一大イベントだ。言ってしまえばクリスマスデートをするだけなのに、普段ダイヤとデートする時もそんなに服や髪形なんかにはこだわらない俺だが、今日はあまりつける事のない整髪料や香水、最近はやりのかっこいい服などでおめかしをしているのだから自分でも不思議だ。

 

「ダイヤ遅いなぁ。あれかな?俺の為に一生懸命お洒落でもしてくれてるのかなぁ?なぁんて」

 

「お・お待たせしました・・・悠さん・・・」

 

「お、メリクリ♪ダイ・・・・・・ヤ」

 

「悠さん?どうかしましたか?私どこかおかしいですか?」

 

「へ!?あ、いや・・あの・・・その・・・」

 

「やはり私にこういった格好は似合わないですよね・・・・」

 

「あ、いや、そ・そんなことはないぞ!!うん、似合ってると思うぞ、うん///」

 

「そうですか?なら・・・いいのですが・・・」

 

 待ち合わせ場所に現れたダイヤを見て俺は激しく動揺してしまった。なぜなら今日のダイヤはいつも以上に凄く可愛くて、とても綺麗だったからだ。

 ダイヤの艶があり凄く綺麗なあのストレートロングの黒髪が、いわゆる『ゆるふわ』な感じで巻かれており、普段はナチュラルメイクだけだが、今日はきつくなり過ぎなよう気を付けながらもしっかりとメイクされている。それだけでも新たな一面にドキドキしてしまうのに、赤色のAラインのニットワンピに黒色のアウターという上品な服装も相まって、どこか幼さの残っていた今までとは違い、大人の女性そのものだった。

 

「さ・さて、もうすぐバスも来るしそろそろ行くか!」

 

「は・はい・・・」

 

 俺はそんなダイヤにドキドキし過ぎて、まともに顔を見ることも話すこともできず、赤面した顔を隠すように足早にバス停へ向かい、丁度止まっていたバスに逃げるように乗った。

 ダイヤと会話のないままバスで揺られること約20分、目的地へ到着した。たった20分だけだが隣に座るダイヤを横目で盗み見ながら、口から心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどドキドキして少しやつれた気分だ。

 

「ここは?」

 

「まぁ、ありきたりだとは思うけどやっぱりクリスマスデートと言えばイルミネーションかなって思ってさ♪」

 

「そうですか・・・」

 

「本当はもっと有名なところとかに連れって言ってやりたかったんだけど、どこも遠くてなぁ・・・」

 

「そうですわね・・・。」

 

 あ・あれ?なんかダイヤの反応が悪い様な気がするけど・・・どうしたんだろ?

 

「大丈夫か?ダイヤ。どこか具合でも悪いのか?」

 

「いえ、別にそんな事はありませんわ・・・。どうしてですか?」

 

「いや、なんか元気がない様な気がしてさ。それともあれか?この場所気に入らなかった?」

 

「いえ・・・。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

 ただ、どうしたんだろう?やっぱり何か気に入らなかったのだろうか?それとも今日の恰好をちゃんと褒める事が出来なかったからふてくされてるのかなぁ?

 

「ただ、本当は悠さんはここに別に人と来たかったのではないかとおもいまして・・・・」

 

「・・・えっと・・・それはどういう意味でしょうか?」

 

「言葉通りですわ。本当は私なんかよりもここに一緒に来たかった方がいるのではないですか?」

 

 待て待て待てっ!!ダイヤは何を言ってるんだ?俺がダイヤ以外の誰とここに来るって言うんだ?

 

「何言ってるんだダイヤ?今日はどこかおかしいぞ?って、なんで泣いてるんだダイヤ!?」

 

 俯いたダイヤの目からはポロポロと涙が落ちていた。本当にどうしたんだろう?

 

「だ・だって、悠さんが・・・うぅ・・・浮気・・をして・・・」

 

「はぁ!?俺が浮気!?ちょ、何でそんな話が出て来るんだ!?」

 

 正直この展開は予想してなかった。てか出来る人がいたら是非お目にかかりたい。てか、本当になんでダイヤは俺が浮気をしていると思ってるんだ?ほぼ毎日のように電話やらメールやらして、2・3日に1回は一緒に居るのになんでそんな発想が出て来るんだ?全く身に覚えもないけど、何か疑われるような行動をとったか俺?

 

「か・果南さんと楽しそうにして・・・」

 

「へ?果南?なんでここで果南の名前が出て来るんだ?」

 

「なんでって・・・だって昨日果南さんと楽しそうにお買い物をしたりケーキを食べたりしてたじゃないですか・・・」

 

「昨日・・・あぁ!!あれか!?あれは誤解なんだ!!・・・てか、あれ見てたのか!?」

 

「そんな事は今はどうでもいいですわ!!何が誤解だと言うのですか!?あんなに果南さんと楽しそうにしていたではありませんか!!」

 

「本当に誤解なんだって!」

 

「なら、仮に昨日のあれが誤解だったとして、駅で逢った時も、バスの中でもなにも言ってくれなかったのは何でですか!?私に興味が無くなったからではないのですか!?」

 

 なんと、昨日のサプライズプレゼントを買っているところを見られてしまったとは・・・。しかもそれが原因であらぬ誤解を生んでしまい、騒然と言えば当然だが照れて何も言えなかった事が更なる誤解を生むとは・・・。どうにかしてちゃんと誤解を解かないと!!でないと折角のクリスマスデートが台無しになってしまう!!それにそろそろ周りの目が厳しくなってきているし・・・。

 

「そんなことないって!!今でもダイヤの事が一番大好きだぞ!!」

 

「信じられませんわ!!今日のデートの為にと、落ち込んでる私の為にルビィが頑張って髪もお化粧も服選びだって私が元気になれるようにと、こんなに可愛くしてくれたのに悠さんは何も言ってくれなかったではありませんか!!」

 

 ルビィ・・・GJ!!!ってそんなこと言ってる場合じゃないな。こんな大勢の注目が集まる中、今さら面と向かって今日の恰好を褒めるのは物凄く恥ずかしいけど背に腹は代えられないし、本当はもっと後で渡すつもりだったけど、この誤解を解くためにもプレゼントを見せて誤解だと分かってもらおう!!

 

「ごめんダイヤ。まさかお前が昨日のあの現場を見てショックを受けていた事も、今日の事でそこまで落ち込んでいる事も気付いてやれなった。本当にごめん。謝りついでに誤解を解かせてもらえないかな?」

 

「この期に及んで何を言うつもりですか?」

 

「今日逢った時もバスの中でも何も言えなかったのは、ただでさえダイヤは可愛いのに、今日のダイヤはさらに凄く綺麗になってて緊張しすぎて上手くしゃべれなかったからなんだ///」

 

「な?////」

 

「それに昨日の事だって、ダイヤへのクリスマスプレゼントを探している最中にたまたま果南に会ったから、果南にプレゼント選びのアドバイスを貰っていただけで・・・・」

 

「でも、果南さんとケーキを食べていたではありませんか!!」

 

「それだって、プレゼント選びを手伝ってもらったお礼をしただけで・・・」

 

「ですが・・・」

 

「そんなに信じられないなら、ほら。」

 

「これ・・・は?」

 

「ダイヤへのクリスマスプレゼントだよ///ダイヤに似合う物を探すの凄く苦労したんだからな///」

 

 俺は鞄の中に大切にしまった置いたプレゼントの箱からネックレスを取り出し、ダイヤの首に着けてやった。

 

「うん、良く似合う♪」

 

「これはあの時の・・・」

 

 ダイヤは手のひらにネックレスを乗せてそれがなんなのかを確認すると、目を見開きポロポロとまた涙を流していた。俺はそんなダイヤを抱きしめて髪をそっと撫でてやった。

 

「少しは俺の話を信じてくれたか?」

 

「でも・・・」

 

「なんなら、果南に確認してくれてもいい。果南さえ信じられないってんなら、俺の携帯を今すぐ見てくれてもかまわないし、それでも足りないのなら、俺の傍から片時も離れなければいい。俺はダイヤにだったら束縛されても全然構わないぞ♪」

 

「馬鹿なこと言わないでください・・・。でも、本当に信じてもいいんですね?」

 

「おう♪信じていいし、信じてほしい。これから先もダイヤを裏切るような事は絶対にしないよ♪」

 

「分かりました。悠さんを信じます♪」

 

「ありがとうダイヤ♪」

 

 どうにか信じてくれたダイヤからは今日初めての笑顔を見る事が出来た。

 

「でも、まだ少し不安です・・・」

 

「ならどうしたらいい?」

 

「悠さんの口からちゃんと気持ちを聞きたいです・・・」

 

「お安い御用だ♪・・・・大好きだよ、ダイヤ♪」

 

「それだけですか?」

 

「えぇ!?」

 

「やっぱり悠さんの気持ちはそんなものだったのですね・・・」

 

「まったく・・・。意外にダイヤって甘えん坊だよなぁ・・・。」

 

 普段割としっかりしているのに、時々ポンコツになったり甘えてきたり、本当にダイヤは可愛いなぁ♪

 

「意外とってなんですか!?」

 

「愛してるよダイヤ♪」

 

「/////////////」

 

「ダイヤはどう?」

 

「//////わ・私だって、悠さんの事その///」

 

「ん?」

 

「あ・あ・あぁ・・・愛していますわ!!・・・・んっ・・・///」

 

 顔を真っ赤にしながら、今度は嬉しくて泣いているダイヤがあまりにも可愛くて、俺は思わずキスをしていた。すると周りから大きな拍手と歓声が聞こえてきた。

 しまった!!ダイヤの誤解を解くのに集中するあまり、周りにたくさん人がいる事を忘れていた!!何という失態・・・恥ずか死んでしまう!!

 

「な////」

 

「やってしまった////」

 

「し・失礼しました~~~~~/////////////」

 

 俺とダイヤはあまりの恥ずかしさから周りの人たちに見送られながら、逃げるように俺の部屋まで帰ってきた。落ち着くまで少しかかったが、何とか落ち着いた俺達は、お腹もすいたので夜景の綺麗なレストランへ・・・と言いたいところだけど、流石にそんなところはいいお値段するので、近くのファミレスに行き、あらかじめ用意してあったクリスマスケーキを家に帰って来てから2人で食べた。その後は暫くのんびり2人でテレビを見て凄したのだが、横でダイヤが可愛い寝息を立てて眠ってしまっていた。

 暫くしても起きる気配が無く、揺らしても起きないのでルビィに連絡を入れると、ダイヤは昨日の事がショックで一睡もしていなかったらしいと教えてくれた。そして、おばさんから公認でお泊りの許可が下り(後ろの方でおじさんが騒いでいたけど聞こえなかった事にしよう。)、ダイヤはお泊りすることとなった。まぁ、ダイヤが寝てしまったので、そういった事は何もなかったが、いろんな意味で思い出に残ることとなった俺とダイヤの初めてのクリスマス・イヴは終わっていったのだった。

 

 これは余談だが、クリスマス・イヴの日に大衆の中イルミネーションをバックに、泣きながら愛を叫びキスをしてイチャつくバカップルがいたと、沼津周辺のカップル達の間ではちょっとした噂になっていたそうな・・・。本当に恥ずか死ぬ!!

 そして俺とダイヤが見に行ったイルミネーション会場では、翌年から『ここで愛を伝えあい、キスをしたカップルは幸せになれる』と言うジンクスが出来上がったそうな・・・。勘弁してくれ~~~!!!




いかがだったでしょうか?
少しでも楽しんでもらえたら幸いです。

次はダイヤちゃんのお誕生日のお話を書こうと思っています。
今回の事で一層絆が深まった2人が書けたらと思います。

ではまた次回も、宜しければ読んでやってください♪

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