メイキングもとても楽しみです♪
~ダイヤside~
東京でのあの出来事から早くも3日が経ちました。
この3日間、鞠莉さんは大事をとって学校を休んでいました。それはまだ私達の今後の事で答えの出ないままいた私と果南さんにとって答えを出す為の時間に猶予ができた事になります。ですが、いつまでもこのままではいられるわけもなく、この問いにいずれは答えを出さなくてはいけません。
そして昨日までの2日間、私と果南さんは放課後に部室でお互い何か話すわけでも、なんとなく次の曲の歌詞を書いたりと、ただ習慣として部室に向かい、なんとなく時間だけが過ぎ、下校時刻になったから帰るという生活をしていました。それは今日も同じなんだと思っていました。ですが、そうはならなかったのです。
この2日間同様、部室で放課後を過ごしていると急に部室のドアが開かれました。私と果南さんがドアの方を向くとそこにはなんと鞠莉さんがいたのです。
「Ciao☆」
「え、鞠莉!?」
「鞠莉さんこんな時間にどうしたんですの!?」
「いや~家に居ても暇でさぁ、足の痛みも大分ひいたし二人はどうしてるのかなぁ、って思って・・・。」
鞠莉さんの突然の訪問に私と果南さんは動揺してしまいました。まだ答えも出ておらず、イベントの事もあり鞠莉さんにどんな顔をして接すればいいのか分からず、今までどおりに接する自信がありませんでした。
「そ・そうなんだ・・・・。」
「うん☆あ、これ次の曲の歌詞?」
「え?えぇ・・・。そ・そんな事よりも鞠莉さん。いくら痛みがひいたとはいえ、まだ安静にしていなくていいんですの?」
「大丈夫、大丈夫☆これくらいどうってことないって☆逆に家で大人しくしているだけの方が具合悪くなっちゃいそうだよ。」
「ならいいのですが・・・。たかが捻挫とはいえ、きちんと治さないと癖になると言いますし、あまり無理はしないでくださいね?」
「ありがと☆それはそうと、二人はもう大丈夫なの?」
「大丈夫・・・とは?」「・・・」
「この間のイベントの事だよ!!」
さっきまでへらへらと笑っていた鞠莉さんが突然真剣な顔をして私と果南さんが今は触れたくない事を真っ向からぶつけてきました。それは、まだもう少し時間があると答えを先延ばしにしてきた私達にとって、嫌でも答えを出さないといけなくなってしまった事にもなります。
「その事なんだけど・・・鞠莉。一つ聞いてもいいかな?」
「なに?」
「先生から聞いたんだけど留学の話が来てるって本当?」
「え?いきなり度どうしたの?今はそんな話・・・」
「いいから答えて。」
「・・・本当よ。でも断ったよ。」
「どうして?」
「そんなの当然じゃない。私はね、二人の夢を応援したいの☆それに今回はこんなことになっちゃたけど、こんなことに負けてられないじゃない?だから絶対にリベンジしないとワタシの気がおさまらないのよね☆だから留学なんてしてる場合じゃないの☆」
「そう・・・」
そう言った鞠莉さんに手にはどこから取り出したのか分かりませんが、あのイベントで来た着た衣装が握られていました。
そんな鞠莉さんの話を聞いた果南さんは何かを決意したような、でもどこか寂しげな顔で私の方を見てきました。
その顔を見た私はすべてを察しました。きっと果南さんはスクールアイドルを、Aqoursをここで終わりにする事を選んだのだと・・・・。おそらく決め手となったのは先ほどの鞠莉さんが果南さんの質問に出した答え。そこには私達の為や、あんな事をされて悔しいからといったものはあっても、一言も『自分が好きだから』といった言葉がなかった。自分が好きでやりたいのであったら私達にそれを止める権利はないでしょう。でもそうでなく私達の為だけにやっていて、私達のせいで鞠莉さんの将来を奪ってしまうくらいならここで辞めよう、そういうことなのだと思います。
「あのね鞠莉・・・・・。わたしスクールアイドルを辞めようと思うの・・・・」
私の予想は当たっていました。
「え?今何て・・・?」
「だから、スクールアイドル、辞めようと思うの・・・」
「なんで!?まだ引きずってるの?東京で歌えなかったくらいで・・・」
「鞠莉、留学の話来てるんでしょ?行くべきだよ・・・。」
「どうして?冗談はやめて!それにさっきも言ったでしょ?その話は断ったって・・・。ダイヤもなんか言ってよ!!」
「ッ・・・・・・」
「ダイヤ・・・・?」
「ダイヤも同じ意見。もう続けても意味がない・・・」
「果南!!ダイヤ!!」
鞠莉さんは手にしていた衣装を私達に見せるように突き出してきました。
「・・・・・」
「・・・終わりにしよう・・・・。」
最後にそう言った果南さんは鞠莉さんに背を向け部室を後にしました。私はどうする事も出来ず果南さんの後を追うように鞠莉さんを置いて部室を後にしました。
部室からは鞠莉さんが声を押し殺してなく声が微かに聞こえてきましたが、私は何もできませんでした。今すぐ戻って鞠莉さんに私もスクールアイドルを続けたいと言いたい。でも果南さんの気持ちも痛いほど分かるゆえに何もできませんでした。
そして学校をでてしばらく果南さんの後を追いましたが、少ししたしたところで無言で歩き続けていた果南さんが立ち止まりました。
「ごめんね・・・。」
こちらを振り返って果南さんが一言、謝罪の言葉をつぶやきました。
「いえ・・・。果南さんが決めたことです。お気になさらないでください。」
「だけど、わたし勝手にダイヤも同じって言っちゃったし・・・。」
「それは・・・。確かに私はスクールアイドルを続けたいとも思っていました。」
「本当にごめんね・・・。」
果南さんは目に大粒の涙を浮かべて俯いてしまいました。
「ですが、果南さんの気持ちも分かります・・・。それに、そのスクールアイドルも果南さんと鞠莉さんがいなければなんの意味もありません。」
「だけど・・・。」
「先ほども言ったように、果南さんの気持ちも分かります。私も鞠莉さんの事はこのままでいいのか、あれからずっと考えていました。鞠莉さんは昔から私達を優先するところがありましたから・・・・。」
「うん・・・・。それはわたしも分かっていたんだけど、鞠莉がそれでいいならいいかなって・・・。でも先生に留学の話が来てるって言われて、自分がどれだけ鞠莉に甘えていたか気付かされたんだ・・・」
「果南さん・・・!」
私は今にも泣き崩れそうな果南さんをそっと抱き締めました。すると果南さんは泣きながらすべてを吐き出すように泣きながら自分の気持ちを言葉にしました。
「わたしだって本当は鞠莉とダイヤと一緒にスクールアイドルを続けたかった!!でもわたし達のわがままのせいで鞠莉から将来を奪うのは凄く嫌なの!!このまま鞠莉がわたし達を優先して後悔するところは見たくないんだ!!」
果南さんはそのまま暫く子供のようにワンワンと泣いていました。
私はそんな果南さんを抱きしめながら頭を撫でていました。私も一緒に泣きたかったのですが、ここで私まで泣いてしまったら、果南さんを責めてしまっている事になるような気がして泣く事ができませんでした。
それから暫く果南さんは泣き続けていましたが、泣きつかれたのか私に抱きついたまま寝てしまいました。私はそのまま果南さんを抱いたまま果南さんが起きるのを待っていましたが、30分もしないうちに目を覚ましました。
「あ、あれ?わたし寝ちゃったってた!?ご、ごめんダイヤ!!」
「いえ、お気になさらないでください。それよりも少しは落ち着けましたか?」
「うん・・・少しは・・・。」
そう言った果南さんは照れ臭そうに頬をかきながら立ち上がり、私に手を差し伸べてくださいました。
「ありがとうございます。」
「本当にごめんにダイヤ・・・。わたしが勝手にいろんな事決めたりして迷惑かけて。」
「いいえ、果南さん自分が正しいと思う事をしたのですから・・・ですから気にしないでください・・」
「うん・・・・ありがと。」
そして私達はこの場で別れ、私は果南さんの背中を見送ってから悠さんの元へと向かいました。
果南さんは決して間違った事はしていない。でも、何かほかにできる事はなかったのか、私達は正しいと思っていても本当は間違っているのではないのか?と言った考えがグルグルと廻り、何よりこれですべてが終わってしまったという事実が辛くて、自然と足が向いたのでした・・・。
~ダイヤside END~
いかがでしたでしょうか?
更新がとても空いてしまいすみません。
資格試験の勉強の為まったく話を書けませんでした(汗)
これからまた書いていきますのでよろしくお願いします。