その輝く君に永遠を誓う   作:ヨーソローはやて

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かなり遅くなってしまったけど曜ちゃん誕生日おめでとう♪


第15話 ~これが精一杯でした~

 あのドタバタの初デートから約一週間経った。付き合う前から俺の部屋の片づけなど手伝ってくれていたダイヤは今まで通り俺の世話のために通ってくれている。そんな中、うちに来る時は次の曲の打ち合わせをして過ごした。俺としてはもう少し恋人らしい時間の過ごし方をしたいとは思うけど、Aqoursの知名度を上げるためにはやはりコンスタントに曲を発表しないといけないし、何よりダイヤがとても楽しそうにしているので今は仕方ないなと我慢している。そして先ほどダイヤから曲が出来たと連絡があったので今ダイヤがこちらに楽譜を持って向かっていた。

 

ピンポ~ン♪

 

「は~い」

 

「悠さんお待たせしました♪」

 

 玄関を開けるとそこにはニコニコ顔のダイヤがいた。

 

「思ったより早かったな?」

 

「えぇ♪早く悠さんに逢いたかったですし、前回よりいい曲ができた気がして舞い上がってしまい走ってきてしまいました。」

 

 よく見るとダイヤの顔は上気しておりうっすらと汗をかいていた。うっすらと赤くなっている顔って不思議と色気があり、しかも、今日は白のブラウスを着ているせいで、汗のせいでうっすらと下着が透けて見えてしますので、色々我慢している俺にとって理性を押さえるのは一苦労だった。俺はダイヤを部屋に上げるとすぐに洗いたてのタオルをダイヤに渡したが、最初はなぜタオルを渡されたのか分かっていなかったダイヤだが自分が汗をかいていると気付くと恥ずかしそうに脱衣所に逃げて行った。まったく無防備と言うかなんというか・・・あんな可愛いしぐさをされては俺の細い糸で繋がっている理性はすぐに切れてしまう・・・。

 

「た・タオルありがとうございました。浮かれていてあんなに汗をかいているのに気付きませんでした///お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ありません////」

 

「へ?い・いや別にそんなことないぞ?むしろ色っぽくてドキドキしたというか・・・って!!何言ってんだ俺!?」

 

「/////本当にドキドキしてくださったのですか?」

 

「お・おう!」

 

 俺とダイヤは少し見つめあうとダイヤが目をそっと閉じた。こ、これはもしや、してもいい、ということだろうか!?本当にいいのか?この状況でダメってことはないよな?しかし・・・でもでも、据え膳食わねばなんとやらというし・・・・。

 なんて悩んでいた俺だがダイヤをよく見ると顔を真っ赤にして小刻みに震えていた。きっとダイヤは恥ずかしいのを我慢して勇気を振り絞って俺との関係を進展させようとしてくれてるんだろう。俺ってば本当に情けない・・・。俺の方が男で年上だしリードしていかなきゃいけないのに、告白の時もそう、デートに誘うのだって誰かに後押しいてもらわないと何か理由をつけて自分の意気地のなさを誤魔化してなかなか前に進めないんだから情けない以外の言葉が見つからない。でも、ダイヤがここまでしてくれてるんだ、ここで逃げたら男じゃないよな!?

 

「い・いいんだな?」

 

「//////」

 

 俺は一応ダイヤに確認をとると、ダイヤは無言だったが俺はそれを了承と取り、ダイヤの肩に手を置きそっと唇を近づけていく。

 

「っ////////」

 

ピンポ~ン♪

 

「のわぁ!?」

 

「!?////」

 

 だがしかし、あと1センチくらいというところでインターホンがなった。くそ~いいところだったのに誰だよ!!

 

「はーい?」

 

「シャイニー☆ダイヤから曲ができたから今からユウのところに行くって聞いたから差し入れ持ってきたわよ☆・・・・って、頭抱えてどうかしたの?」

 

 またこいつか!!俺は何度このシャイニー娘に邪魔されたらいいんだ?てかなんで毎度毎度タイミング良く邪魔するんだろうか?あれか?どこからか覗いてるんじゃないだろうな?

 

「い、いや、何でもない・・・・」

 

「そう?あ、ダイヤ~、シャイニー☆って、ダイヤも顔真っ赤にしてどうしたの?」

 

「いえ、なんでもありませんわ・・・・////」

 

「そう?あ!!もしかしてお邪魔だったかしら?☆」

 

「っ!?///////」

 

「で、なにしに来たんだマリー?」

 

 ダイヤがからかわれてテンパっているので助け船を出す。まぁ俺もかなり恥ずかしいけど今日はストッパーである果南は居ないみたいだし俺が何とかこいつを止めないと・・・。

 

「え?さっきも言ったでしょ?差し入れを持ってきたって☆」

 

 そういうとマリーはプリンの入った箱を開けて見せた。ちなみにプリンはダイヤの好物だ。

 

「そっか。ありがとう♪それじゃまたな。」

 

 俺はそう言うとトビラを閉めた・・・が、マリーがすかさず足を挟み込みそれを阻止した。

 

「ちょ!?なんで閉めようとするのよ!?」

 

「何でも何も、差し入れを持ってきただけなんだろ?今から編曲するところだからまた今度な?」

 

「イヤよ!!どんな曲なのか聞きたくてわざわざこんなところまで来たのに!!」

 

「こんなところで悪かったな!!だいたい、お前は俺らの応援をしているのか邪魔をしているのかどっちなんだ!?」

 

「何の事だかよくわからないけど、応援してるわよ?だから曲を聞かせなさいよ!!」

 

 とまぁ、こんな感じで噛み合ってるような噛み合ってないような問答をしているとダメージから回復したダイヤが俺とマリーを近所迷惑だからと止めに入ったので仕方なくマリーを部屋まで上げることになった。

 叫んでいたら喉が渇いたので三人分の麦茶を用意して席に着くとマリーにさっきの問答の続きを投げかけた。

 

「で、なんでわざわざ編曲もしてない曲を聞きにうちまで来たんだ?」

 

「あ、お構いなく☆あ、でも私紅茶がいいなぁ☆紅茶はないのかしら?喉が渇いたから早く欲しいなぁ☆」

 

「鞠莉さん言ってることが滅茶苦茶ですわよ!!それとちゃんと話を聞きなさい!!」

 

「It’sJoke☆」

 

「お前なぁ・・・・」

 

「別にたいしたことじゃいいんだけど、衣装のいいイメージがわかなくて、曲を聞いて考えようとしただけよ?」

 

「本当にそれだけですの?」

 

「もぉ!ダイヤまでさっきから何なの?果南もここに来る時誘ったら『馬に蹴られてくないからいいよ』とかいってたし。なんでここに来る事が馬にkickされることになるのか分からないけど・・・・」

 

「それはですね・・・」

 

「ダイヤダイヤ、それを自分たちで言うのは凄く恥ずかしいから・・・」

 

 果南さんその心づかいは大変ありがたいのですが、出来ればマリーをちゃんと止めてほしかった・・・・。ダイヤはダイヤで律義に説明しようとするし・・・・てか、ダイヤの話からするとマリーは結構頭いいはずなのになんでこんな言葉を知らないんだろうか?あれか?そこは『流石はダイヤの友達。類友だな』と納得しといたほうがいいのだろうか?

 

「と・とにかく事情は分かりました。ですが、それならそうと、ここに来る前に連絡の一つでも入れるべきだったんじゃないんですか?」

 

「連絡なら入れたよ?でもダイヤもユウも連絡付かないんだもん!!」

 

 俺とダイヤはマリーが連絡を入れたと言うのでお互いスマホの着信を確認してみるとマリーから確かに着信が何度か入っていた。その時間俺はダイヤが来るから部屋を片していて気付かなかったんだと思う。ダイヤはおそらくバスに乗った時に電源でも切っていてそのまま忘れていたのだろう。しかし、マリーには日を改めると言う選択肢はないのだろうか?普通連絡がつかなければ忙しいとか用事があるのだろうと、よほどの緊急の用でもない限り、折り返しの連絡を待ったり日を改めると思うんだけど・・・。まぁ、良くも悪くもこれが小原鞠莉なんだろうなぁ。

 

「ね?連絡してたでしょ?」

 

「そのようで・・・」

 

「申し訳ありません・・・」

 

「別にいいけどね☆それより曲聞かせて☆」

 

「わかった、わかった。今パソコンにデーター打ち込むから少し待っていてくれ。」

 

 マリーの催促に俺は観念して少し待つように言った。ダイヤが持ってきてくれた楽譜をパソコンの専用ソフトに打ち込まないと聞く事が出来ないからな。まぁ、俺がギターを引くというのも手ではあるが、楽譜を見てすぐ引けるほど上手くもないし仕方ない。

 それからしばらくしてパソコンにデータを打ち込み終わったのだが、打ち込み終わるまでが大変だった。何せマリーはじっと待ってる事が苦手なようで、最初はダイヤと今日あった他愛もない話をしていたのだが、しばらくしてあろうことか俺の部屋の家探しを始めたのだ。おかげで隠していたトレジャーがもう少しで見つかりそうになりあわや大参事、となるところだった・・・。大人しく待っていてくれたらそんなに時間がかからないのに、いらん時間を費やしてしまった・・・。

 

「へぇ、ずいぶん可愛らしい曲調ね☆これぞIdol!って感じかしら☆流石はダイヤね☆」

 

「いえ、それほどでも////でも、ありがとうございます♪」

 

「確かに、この歌詞によく合うな♪前回の曲とはまた違った可愛らしさが出ていていいと思うよ♪」

 

「本当ですか!?今回は少し自信があったのでとても嬉しいですわ♪」

 

「よし、ならダイヤのためにもきっちりとこの曲を完成させるからな♪」

 

「ワタシも可愛い衣装作るから待っててね☆」

 

「はい♪」

 

 曲を聞き終えたマリーはいくつか衣装の案が浮かんだと言って帰っていた。まるで風のように自由なやつだな・・・・。

 俺はと言うとダイヤと編曲をどうしたいかダイヤのイメージを聞いて編曲の構想を立てたところでいい時間になってしまったので、ダイヤの作ってくれて晩御飯を一緒に食べてダイヤを家まで送ることにした。ちなみに今日の献立は以前リクエストした魚の煮つけだった♪

 

「今日はお騒がせしてしまい申し訳ありません。」

 

「いいって♪別にダイヤが原因じゃないし、なんだかんだであの騒がしいのは嫌いじゃないから♪」

 

「それは鞠莉さんの事が気になるってことですか?」

 

「そんなんじゃないって!!」

 

「ムキになるところが怪しいですわ!!」

 

「えぇ!?」

 

「うふふ、冗談です♪」

 

 ダイヤが俺をからかっていると内浦方面のバスが到着した。

 

「悠さん今日はここまででいいですよ。」

 

「え?家まで送るぞ?」

 

「いえ、その今日はちょっと・・・」

 

「ん?どっかよって帰るのか?それなら付き合うけど?」

 

「そう言うわけではなくてですね・・・。」

 

 ダイヤはなんだかモジモジしながら歯切れの悪い返事をする。どうしたんだろ?俺なんかしたかな?

 しかしバス停でそんなやり取りをしていると出発の時間になり運転手のオジサンが乗るのかどうか尋ねてきた。ダイヤは慌てて「乗ります」とオジサンに伝えるとバスに乗り込もうとした。しかしダイヤはバスに乗りかけたがクルッと俺の方に振り向いたかと思うと次の瞬間俺の頬に温かく柔らかい感触がした。そう、ダイヤの唇の感触だった。あまりに突然の事に驚き固まっていると、顔を真っ赤にしたしたダイヤは俺に背を向けると、足早にバスに乗り込むとバスのドアが閉まりバスが発車していってしまった。そしてしばらくほおけていた俺だが、次第に思考回路が動き出し状況を理解するがそれでも信じられない出来事だ。

 

「え・・・・?え?えぇぇぇぇぇ!?」

 

 やっと声が出せた俺はあまりにも間抜けな声を出してしまった。だってあのダイヤが人目もはばからずキスをしてきたんだぞ!?(頬にだけど)と言うか、マリーの乱入以降、なんだかんだでこういった雰囲気にならなかったからまた今度と思っていただけにこの不意打ちの破壊力はでか過ぎる!!幸いなことに帰宅ラッシュの時間は過ぎていて周りにあまり人がいなかったが、それでも人目はあるのに・・・てか、本来ならこういうの男からするもんだよね?あれ?もしかして俺ってばここまで一切男らしさが出せてない!?なんてこった!!って、今はそんなこと考えてる場合じゃなかった!!

 俺は慌ててダイヤへ電話をかけたが、バスに乗ってるからかはたまた恥ずかしいからかは分からないがダイヤは電話に出てくれなかった。しかし、すぐにダイヤからメールが来た。俺はメールを開いて内容を確認するとこう書かれていた。

 

『勇気を出してみましたが、私にはこれが精一杯でした/////』

 

 と、この短い文だけだったが、ダイヤがどれほど頑張ってくれてくれたかがよくわかった。まだ付き合って2週間ほどだが、よく考えてみたら初デートはおまけ付きだったし、その後もメールやで電話はよくするようになったが、付き合う前とほとんど変わらない生活をしてたんだ。特にダイヤは俺への片思いが長かったから、表には出さなくても恋人らしい事が何もないのが不安だったんだろうなぁ・・・・。なのにやっと進展がありそうな雰囲気になったのにマリーの乱入があり先延ばしになってしまったからダイヤが勇気を振り絞ってくれたんだろう。もっと俺がしっかりとしてダイヤを不安にさせないようにしないとな。

 俺はダイヤに『ありがとう。次は俺がちゃんとするから。』と返信をして頬に残る感触の余韻に浸りながら家路に着いた。

 

 

 そんな幸せな時とは裏腹に、この時の俺達はこの日常の歯車が狂い始めた事をまだ知るすべがなかったのだった・・・・。

 

 

~~鞠莉side~~

 

 今日はダイヤには悪いことしちゃったなぁ。帰って来てから果南に曲の感想を連絡したら『二人の時間を邪魔しちゃだめだよ』って怒られちゃった・・・。でもまぁその甲斐あっていいIdeaは浮かんだけどね☆やっぱりInspirationは大事よねぇ~☆

 

コンコン

 

「は~い?」

 

「鞠莉、パパだけど少しいいかい?」

 

 ワタシが次のライブの衣装のデザインをしていたらパパがノックしてきた。いつも忙しい人だからこんな時間にワタシの部屋に来るなんて珍しいなぁ。

 

「大丈夫よ~。」

 

「お楽しみの最中に申し訳ないね。」

 

「気にしないで☆それでこんな時間にどうしたの?」

 

「実は鞠莉に留学の話が来ているんだ」

 

「え?留学!?」

 

「そうなんだ。先方さんが鞠莉の学力を見てぜひ来てほしいと言ってくれていてね。パパとしても将来的にはパパの事業を鞠莉に継いでほしいと思っているから、向こうで頑張ってみないか?」

 

「ん~、とても魅力的な話だけどゴメンナサイ。今はワタシやりたい事があるの。モチロン、パパの後を継ぎたくないってわけじゃないし、今留学して勉強に集中した方がいい事も分かるんだけど、それでも今のワタシには将来の事より今が大事なの。」

 

「そうか・・・。急にすまなかったね。でも、もう少し考えてみてくれないか?向こうはいつでも構わないと言ってくれているから、気が変わったらいつでもパパに言ってくれればいいから。」

 

 パパはおやすみと言って少し寂しそうな顔をして部屋から出て行った。パパには悪いことしちゃったかな?ワタシの事を想って言ってくれていたんだしね・・・。でもごめんねパパ。今は将来の事よりダイヤと果南それにユウと一緒にどこまでいけるか、自分達だけで何ができるのかそれが知りたいの。だから今はごめんなさい・・・・。

 

「さてと、次の衣装のデザインを完成させなくっちゃね☆」

 

 

 この時のワタシは本当はもう時間がない事を薄々気付いていたのかもしれない。でもそんな未来はワタシの望むものじゃないと気付かないふりをしていたのかもしれない。でもそれがいけなかった・・・・。そのことにワタシが気付いた時にはもうどうにもならなくなってからだった・・・・。もしもあの時私が素直に自分の気持ちをぶつける事が出来ていたならもしかして・・・・・・・

 

~~鞠莉side END~~




いかがだったでしょうか?

前回あまりイチャラブさせられなかったのでリベンジしてみましたw
唐突すぎでしたかね?まぁいいかw
少しでもダイヤ様を可愛いと思っていただけたら幸いです♪

では宜しければ次も読んでやってください♪

ほたるいるか さん感想ありがとうございました♪

お気に入り登録してくださった皆様もありがとうございます♪

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