その輝く君に永遠を誓う   作:ヨーソローはやて

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第9話 ~私はあの時から・・・~

 あの騒動から一週間がたった。この一週間ダイヤとの関わりを願掛けがごとく一切断ち編曲作業に没頭して先ほどやっと勇さんからOKがでた。これでやっとダイヤに告白する準備ができた。ただ、今ダイヤには連絡がつかないので約束通りマリーに連絡をしたところだ。

 しかしこの一週間おかしなことばかり起こった。編曲作業に没頭したとは言ったものの外にも出ず誰とも会わずというわけではなく、家で作業をしているとマリーと果南それにルビィまで入れ替わりで3日間ほど押しかけてきてはなぜか昔のダイヤとの思い出を根掘り葉掘り聞かれたのだ。最初は恥ずかしいし、作業したいしで軽く流していたのだがあまりにもしつこいく聞かれたので話せば満足だろうと思い色々話したのだが、聞き終えると満足して帰るのだが三人とも決まって帰り際に何か企んでるような含みのある笑顔で帰って行った。俺、思い出を話したことによってもしかして何か弱みでもにぎられたのか!?・・・いや、でも俺の失敗談的な物は話してないからそれはないか?なら一体何なんだろうか?

 

ピンポ~ン

 

 俺がボーっとそんなことを考えているとインターホンが鳴った。たぶんマリーかな?そろそろ来てもいい時間だし。

 

「はいは~い・・・」

 

どんどんどんっ!!!

 

 寝不足で動くのもおっくうでのそのそ玄関へ向っていたら凄い勢いでドアをノックされた。そこまで待たせていないと思うんだけど?マリーって待てない性格なのか?

 

「そんなにドアをたたかなくても聞こえてるよっ!!近所迷惑だからあんまりうる・・さ・・・・ってマリーどうしたんだ!?」

 

 俺は少しイライラしながらドアを開けるとそこには予想通りマリーがいた。ただしいつもみたいに無駄に明るく『シャイニー☆』なんて言ってるマリーではなく、凄く焦っているような不安な表情のマリーがいた。しかも汗だくで、いくら5月になったからといってこんなに汗をかくほど暑くはないしどうしたというのだろうか?

 

「・イ・が・・・・」

 

「へ?なんだって??」

 

「ダイヤが事故にあったの!!」

 

「はへぇ?」

 

 俺はいきなりマリーの口から出てきたとんでもない発言に一瞬脳の理解が追い付かず間抜けな声を出してしまった。

 

「だから、ダイヤが車に轢かれたのよ!!買い物の帰りにわき見運転していた車に轢かれたってさっきルビィから連絡があったのよ!!」

 

「なんだって!!それでダイヤはどうなったんだ!?怪我はの具合は!?意識はちゃんとあるのか!?病院はどこだ!?」

 

「分からないわ・・・ただ、沼津の総合病院に運ばれたって・・・きゃ!!」

 

 マリーから運ばれた病院の名前を聞いたマリーを押しのけて弾かれるように走り出していた。なんだってダイヤが事故にあわなきゃならないんだ!!まだ謝ることも想いを伝えることだって出来てないのに!!これでもしダイヤに何かあったら運転していたやつを絶対に許さないからな!!

 俺のアパートから総合病院まで走って15分ほどの距離にある。俺は人生で一番早く走れたんじゃないかと思うほど早く総合病院に着いた。ロビーに入った俺はそのまま受付の方に駆け寄りダイヤの安否を確認した。すると・・・

 

「すみません!!先ほど事故で運ばれてきた黒澤ダイヤの知人ですが、ダイヤは無事なんでしょうか!?」

 

「はい?黒澤ダイヤさんですか?えっと・・・そのような方は運びこまれていませんが・・・?ここ数日事故で運び込まれた方もいませんし、これから運び込まれてくる連絡もありませんが・・・」

 

「へ??」

 

 あ・あれ?どうなってんだ?だってマリーは確かにここだって・・・。沼津の総合病院はここしかないし・・・え?

 

「あのぉ、もしかして蒼谷悠さんでしょうか?」

 

「え?あ・あぁ、はいそうですが?」

 

「俺が訳も分からず混乱していると先ほどまで奥で事務作業をしていた年配の女性が俺の名前を呼んできた。俺はこの人知らないんだけど、なんでこの人は俺の名前を知ってるんだ?お袋の知り合い・・・ではないと思うんだけど・・・。

 

「あぁ、急にごめんなさいねぇ。いきなり知らない人に名前を呼ばれたらびっくりするわよねぇ。えぇっと、ある人から、もし蒼谷悠って男性が黒澤ダイヤって人を訪ねてきたらこれを渡してほしいって、頼まれていてね。」

 

 年配の女性はそう言うと俺に一通の可愛らしい封筒に入った手紙を渡してきた。宛名は俺の名前が入っていたが、封筒のどこにも差出人の名前はなかった。

 

「これは?」

 

「さぁ?中身までは分からないわ。ただ、渡してほしいと言われただけだから・・・。」

 

「一体誰にですか?」

 

「それも分からないわ。そもそも頼まれたのは私じゃないのよ。頼まれたと思う人は今日は休みだし、どんな子かも分からないわ。」

 

「そうですか・・・。」

 

 俺は「ありがとうございます。」と一礼をして病院の外に出た。一体この手紙の差出人は誰だろう?なんかダイヤの字に似ているような・・・・。俺は取り合えず病院前にあるベンチに腰掛けて封筒の中を見てみることにした。封筒の中からはこれまた可愛らしいデザインの便箋が数枚入っていた。

 

『悠さんへ

突然のお手紙でさぞ驚かれたことと思います。まずは驚かせてしまったことをお詫び申し上げます。今回このようなお手紙差し出したのには訳があります。それは自分自の身気持ちとこれから先どうしたいのか、それが分からなくなり今までの自分を見つめ直し今の自分の気持ちとこれからの事を考えるために筆をとりました。

 悠さんは覚えていらっしゃるでしょうか?私がまだ小学1年生のころ、それは寒い冬の夜の事でした。私は風邪をこじらせてしまい40度の熱を出してしまったのですが、その日はお父様もお母様もご近所の方のお通夜で外出しており大人が誰もいなく意識がもうろうとしている私を夜も遅くバスもない中、自転車の後ろに乗せてこの総合病院まで2時間もかけて連れてきてくださいました。そんな悠さんがとても頼もしく思えたことをよく覚えています。』

 

 そう言えばそんなこともあったなぁ・・・。あの後親父とお袋にこっぴどく怒られたっけ・・・。いくら暖かい格好をさせたからって物凄い寒い日だったから下手したら命にかかわってかもしれないから当然と言えば当然なんだけどさ。当時の俺はとにかくダイヤを助けなきゃ、俺がダイヤを守るんだってそれしか頭になかったんだよなぁ・・・。今にして思えば近所の人に助けを求めるとか、救急車を呼ぶとか他にも手はあったんだけどなぁ・・・。しかしダイヤはよくそんな前の事覚えてたなぁ・・・。

 

『この頃からでしょうか?それまで輪郭のはっきりとしない想いが形をなしてきたのは・・・。私はこのときから

 

 

続きはこちらで受け取ってください→』

 

「はい!?」

 

 俺は思わずベンチからずり落ちてしまった。なにこれ!?この続きを読むためにはこの地図の場所に行けと!?しかもこの地図に書かれてる場所って子供の頃よく行った駄菓子屋の場所じゃね?とにかく、どうやらダイヤが事故にあったてのは嘘で、この手紙を読ませるためにここまで誘導させられたみたいだな。おそらくマリーと果南の差し金だろうなぁ・・・。もしかしたらこれはマリーと果南が俺にくれた仲直りと気持ちを伝えるラストチャンスなんだと思う。なんとなくだけど、このチャンスを逃したらダイヤが俺から離れていってしまう、そんな気がする。・・・ならやることは一つだよな。

 

「よしっ!!この場所に行ってみるか!!」

 

 俺は気合を入れるとバス停へと走り出した。1秒でも早くこの場所にたどりつくために。そしてバスに乗り内浦へ向かう途中、マリーと果南、それとルビィにダイヤの件で確認のメールを入れたのだが予想通りというか案の定連絡が帰ってくることはなかった。そうこうしているうちに目的のバス停に到着したのでバスを降り駄菓子屋に向かった。

 

 

 

「懐かしいなぁ・・・何年ぶりだろ?久々に来たけど全然変わってないなぁ・・・。」

 

「おや?そこにいるのは悠ちゃんかい?久しぶりだね~。」

 

「え?あぁ!!おばちゃん久しぶり!!よく覚えてたね俺の事!」

 

「ここに遊びに来る子たちはみんなわたしの子供や孫みたいなもんだ覚えていて当然だよ。」

 

「そっか♪あ、それはそうとおばちゃん、俺宛になんか預かってたりする?」

 

「おぉ、そうだったそうだった・・・ほれ、これだろ?」

 

「やっぱり・・・。ありがとう♪あと、無駄だとは思うけど、これ誰に渡されたの?」

 

「それは秘密だよ。でもまぁ、頑張んなさい。これは私からのおごりだよ。これでも食べながらそこの椅子でゆっくりその手紙でも読みな。」

 

 そう言うとおばちゃんは昔俺が気に入って買っていた駄菓子とジュースをおごってくれた。おばちゃんの記憶力すげぇな!!・・・あ、久々に食べるとやっぱりうまいなこれ♪

 それはそうと、手紙の続き続き・・・えぇっと・・・

 

『私はあの時から悠さんの事を・・・・いえ、やはり恥ずかしいので今ここに書くのはやめておきますね。』

 

 やめんのかいっ!!ここまでひっぱておいて!?焦らすのうまいねダイヤさん・・・・。

 

『それはそうと、悠さんはここで私にとって大切な宝物を下さいました。子供のころ私がここで見ていたおもちゃの指輪の事を覚えていらっしゃいますか?当時私は駄菓子屋さんに来たことなくて、そのことを話したら悠さんが連れて来てくださいました。その時初めてみるたくさんの駄菓子と水鉄砲などのおもちゃに目を輝かせていました。その一角にとてもキラキラとした女の子向けのおもちゃの指輪やネックレスなどがありそのその中の一つの指輪に心を奪われていました。とてもキラキラした私の名前の同じダイヤのような石が着いていた指輪でした。当時の私はまだ必要ないからとお小遣いもなく欲しくても買えなくてただ眺めることしかできなかったのですが、そんな悠さんは私の視線に気づいて、悠さんだって当時はそんなにお小遣いがないなか無理をしてその指輪を買ってくださいました。それからあの指輪を毎日はめては宝物入れに入れて大切にしていました。もちろん今でも宝物入れに大切にしまってあります。あの時の悠さんはどんな気持ちであの指輪を買ってくれたんでしょうか?もしあの時妹として意外にほんのわずかでも一人の女の子として見ていてくれていたのならとても嬉しく思います。いつか悠さんに本物の

 

 

続きはこちらで。』

 

 あ、やっぱり続くんだ。しかしよくこんなことまで覚えてたなぁ。俺は言われるまで忘れてたぞ・・・。でもなんか今でも大切にしてくれてるんだと思うと凄くうれしいな。さて、今度はどこだろう?この地図の場所は・・・

 

 俺はこの後近くの浜辺や俺とダイヤが通っていた小学校、近所の公園や今は貸しだしている俺の実家などダイヤとの思い出がある場所を数か所回り、その度ダイヤからの思い出がつづられた手紙を読んだ。こうして見ると覚えていることもあれば、俺が覚えていないような何気ない言動もダイヤにとってはとても大切な思い出になっていて、どれだけダイヤが俺の事を想い続けていてくれたのか痛いほどよくわかった。疎遠になってしまった6年間だっておそらくずっと俺の事を一途に思い続けていてくれたんだろうなぁ・・・。なんだかそう思うとなおのこと今すぐダイヤに会いに行きたくなってきた。あって抱きしめたい。そんな衝動に駆られてしまう。

 でも、それはこの手紙の示すすべての場所を回ってからでないとな。そして今持っている手紙の示した場所は、淡島神社へ向かう階段の途中にある展望スペースだった。俺はそこへ向かうため今この長い階段を上っている最中だった。あちこち回っていたせいであたりは赤く染まり始めていた。

 そして、ここでの思い出は俺もよく覚えている。ダイヤはここからの夕焼けの景色が好きでよく落ち込んだりするとここにきては海を眺めていてた。その度よく遅くなってはおばさん達が心配して俺に連絡が来ては俺がここまで迎えに来ていたのだ。そう考えるとおそらくこの場所が最後のような気がする。泣かせてしまったダイヤを迎えに行く場所としてここほどおあつらえ向きな場所はないだろう。たぶんこの階段の先には彼女が待っているはず・・・。俺が今逢いたくて逢いたくてたまらない愛しい彼女が・・・。

 俺が展望スペースまで階段を登りき夕日の差し込む展望スペースへと向かうとそこには一人の女の子海を眺めて黄昏ていた。ほらね、やっぱり居た・・・。俺がここに来た事に気付いた女の子はこちらに振り返った。しかしその振り返った女の子を見て俺は戸惑うことになってしまうのだった・・・。




いかがだったでしょうか?これが自分の頭の限界でした・・・。

次回は悠君に告白を頑張ってもらおうと思います。
しかしなぜ悠君は最後戸惑ったのでしょうねww

では、宜しければ次回も読んでやってください。

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