真剣で私に恋しなさい・微勘違い   作:勘違い練習者

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 予定より少し遅れました。そして相変わらずの文才の無さです
 石田君の台詞がちょっとわからんとです(;^ω^)
 これからキャラが増えて来ると、台詞とか配置とか大変そう(小並感


東西交流戦決着だってさ

 

「ぐぁっ!?」

「ッ、島!」

「・・・(・・・もうやだぁ)」

 

 天神館の生徒達を振り切って、人気のない所までやって来たまでは良かった。けれど、連絡しようと思ったら、携帯を入れていたポケットに穴が開いていたでござる。あれまだ買ってもらってからそんなに日が経ってなかったのになぁ・・・ぐすん

 

「ぐっ・・・あの体制で、それがしの槍を躱し・・・カウンターを加えるとは・・・御、大将、この者危険です」

 

 何だがかなり吃驚している様子のえらい老け顔の人。言っちゃぁ悪いけど、同い年どころか同じ学生か疑うレベルのおっさん顔。正直何でここに教師がいるの?って一瞬思っちゃった

 そしてそれは違うんです。確かに項垂れてた所にいきなり現れてこっちもビックリして、飛び跳ねた拍子にさっきまでいた所に槍が突き刺さって、さらにビックリして足を伸ばしたら偶然当たっちゃっただけなんですホント真剣でごめんなさい顎大丈夫ですか?いや、立てなさそうな所を見るに大丈夫じゃなさそう、脳震盪かな?(現実逃避

 

「だが、俺の出世街道に転がる小石共は蹴散らすのみ!」

「御、大将・・・いけません、その技は・・・!」

 

 おじさん顔の人が何やら止めようとしたのを尻目に、もう一人のラノベの主人公っぽい感じの音對象(おんたいしょう)君が腰に携えた日本刀を抜刀する。夜を優しく照らす月光を浴びてキラリと光る鋭い刃。やだぁ、やる気満々?(ガクブル

 

 しかもそれだけに留まらず、何やら気合を入れている様子・・・って、えぇッ!?

 

「奥義! 光龍覚醒!」

 

 アイエェェェ!?まさかのスーパーサ○ヤ人ッ!?スーパーサ○ヤ人ナンデェッ!?

 

 目の前にいた人が黒髪から逆立った輝く金髪になり、溢れだす金色のオーラ。どこからどう見てもスーパーサ○ヤ人じゃないですか!

 目をまん丸にして驚いてる自分を見て、愉快だとばかりに高笑いをするスーパーサ○ヤ人になった音對象君

 

「恐れ慄いたか、東の蛮族よ!なにせ寿命を削る程の大技、この状態の俺に勝てる者など川神百代くらいのものだろう。ハハハハハッ!」

 

 ・・・そういう設定だったかな?いや、あれって確かクリリンが目の前で殺されてその怒りで目覚めた感じだから怒りに呼応して発動するんじゃ?いや、確かに島さんがやられた(事故)から当たらずと雖も遠からずなのか?でも、別に寿命とかを削る感じじゃなかった気が。じゃないとその後の超スーパ野菜バーゲンセールに影響があるだろうし・・・日本刀(模擬刀)持ってるし、アレンジとかオマージュ的な?

 

 いや、それ以上にどういう大仕掛けか知らないけどさぁ・・・やるならもっと注目を浴びれる場所でやりなさいよッ!

 

 心からの叫びだった。だってここ見せる人2人しかいないんだよ!?なんか色々勿体ないよ!折角テレビ局とかも来てんだからそっちでしようよ!そこまでの完成度なんだから、最後まで拘って絵面とかも考えてやんなさいなッ!!

 

 あ~、なんか段々もやもやして来たんじゃぁ。今すぐこの胸の内を彼にぶちまけたい。いや、自分でもこういうのは理不尽っていうのは分かってるけど、なんか抑えが効かないんだよね・・・例えるなら、プラモだねこれは。プラモも素組が悪いって訳じゃない。寧ろ最初の頃は素組でも十分満足出来ていた。だけどいつからか、飾ってあるプラモをもっと綺麗にしたい、カッコよくしたいという欲求が生まれたお蔭で、楽しみが何倍にもなったというのは否定できない

 

 閑話休題

 

 まぁ簡単に言うなれば目の前の音對象君は、つや消し・ゲート処理のやすり掛け・墨入れまでしているのに、御座なりのシールで済ませ、本棚の隙間に立て掛けている状態。皆さんはこれを許せるだろうか?少なくとも私はむず痒くてしょうがない。さらに田舎にいる私の友人の1人ならば問答無用で説教が始まるレベルだ。あれは怖かったなぁ・・・

 

 閑話休題

 

 だけど初対面の人に長々と文句を言うのは流石に憚られたので、せめてこれだけはと思って簡潔に言ってやったんだ、「(こんな場所でやるなんて)阿保か(折角の出来栄えなんだからもっと目立つ所で)、一から出直して来い」って

 

『・・・・・・』

 

 空気が死んだね。気のせいじゃないならピシッって罅が入る音が聞こえたくらいに。遅れてあっ、と思っても既に後の血祭り。一度出た言葉はもう戻せません(白目

 一拍遅れて額に青筋立てる超サイヤ人君を見て、完全にやっちまったわー、とばかりに目元に手の甲を当てて天を仰ぐ。自分の阿保さ加減に軽く絶望。いくら何でもはしょり過ぎでしょ、これじゃぁ普通に罵倒じゃんか。もう溜息まで出ちゃうレベル

 

「き、貴様ぁぁぁッ!!!」

 

 超サイヤ人君が視線だけで人を殺っちゃいそうな眼力と共に、上段の構えを取る。Heーy、スタァァァップッ!暴力反対デース!話し合いで解決しようよ・・・ってよく考えたら今合戦中じゃん。つまりある意味合法的?寧ろ敵側だから称賛されるレベル?マジかよ(戦慄

 

 自分達がいる所は工場地帯のどっかのエアポケットになっている所。後ろは壁、右も壁、左も壁、前にはスーパーサイヤ人。もう完全に\(^o^)/オワタ 状態やん。何この圧倒的絶望感

 あと怒りに呼応してなのか、さっきから目を開けるのも辛いくらい眩しいんですけど。すべてが、黄金に染まる・・・なんて言ってる場合じゃねぇんだって!いい加減にしんさいッ!(憤怒

 

「・・・ここまで屈辱を受けたのはお前が初めてだ。東の蛮族の中でも、貴様はとっびっきりの阿呆(あほう)の様だ。故に貴様は、我が全力を持って消し去ってくれるわッ!!」

 

 なんか決め台詞っぽいんだけど、眩しすぎて決め顔とか全然分からんのんじゃ。ごめんね?グラサン持って来てなくって。にしてもこんだけの明かり、一体どんな照明装置を使ってるんだか・・・もしかしてその辺に電源コードとかないかな?工場地帯だからコンセントとか結構ありそうだし(偏見

 取り敢えず、眩しいのを何とかしてから誤解を解こうっと。誠心誠意説明すれば何とかなるでしょ、多分、きっと、maybeー。人生後ろ向きより前向きに生きて行こうぜーってね

 

「はぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 それに姿は見えないけど、なんかため技撃ってきそうだからもうちょっと時間に余裕もありそうだし。というかさっきからバチバチって音聞こえるけど、もしかして超サイヤ人2になったんだろか?正直、こんな状況じゃなかったらちょっと見てみたかったです

 

「(さて、気を取り直してメガネメガネ・・・じゃなくってコードはっと・・・)」

 

 手探りならぬ、足探りで軽く地面を探ってみるも、それっぽいものは中々見当たらない。うーん、どないしよ。いくらチャージとはいえ、もう残された時間はないと言っていい。何をしてくるか分かんないけど、こんだけの仕掛けをするくらいだし結構ヤバイかもしれない

 まず模擬刀とはいえ、用意した本人である鉄心さんが当たったら無茶苦茶痛いと言う日本刀。そしてさっきから聞こえて来るバチバチっていう音から電気系、スタンガンとか。それを合わせると、スタンガン刀の完成だ。痛いし、バチバチだし、視界の効かない上に逃げ場もないとかそれなんてムリゲーなの?やべー、真剣でどないしよ

 

 ・・・・・そう言えば今って合戦中なんだっけ

 

 思わず頭を抱えているとふと、そんな事を思い出した。合戦という事は戦い、つまり向こうが攻撃して来る様にこっちも攻撃出来るっていう事な訳で・・・別に攻撃しちゃぁいけないっていう訳じゃないんだよね?

 まるで天命を得たように、そんな結論に至った。至極当たり前な事だけど、ついさっきまで綺麗に自分の頭からすっぽ抜けていた。アハ体験ってこんな感じかも

 

「征くぞ、軟弱な東の愚者。この俺の逆鱗を乗せた一撃────」

 

 そうと決まれば話は早い。姿は見えないけど、幸い今の声で分からなくなったいる方向が分かった。最初の構えから太刀筋も大体分かる。腰には得物もある。あとは度胸ってね!

 それに流石に1人も倒せてないなんて言ったら、優しい冬馬達はともかく同じクラスの人から咎められるかもしれない。止めて!消しゴムとか投げつけないで!ってなりそう(小並感

 どうせ逃げられないんだし、元々逃げる気もない。背水の陣的なあれでやるっきゃないって訳だ

 

「───喰らうがいいッ!!」

 

 さぁ来いやぁッ!!

 

 

 ○ ● ○ ● ○

 

 

 眩い黄金の輝きの中、その光の主──天神館大将石田は、己が逆鱗に触れた愚者を眼光鋭く見据える

 とはいえこの光の中では流石に本人も視界が効かないので、この空間に溢れている自身の気をソナー代わりに、感知しているので実際には姿は見えてはいないが

 

──愚劣さの対価、その身をもって贖え・・・!

 

 かつてない程の激情により、極限まで高めに高め、溜めた力。今の自分はまさに無敵。武神だろうか、世界最強だろうが関係ない。そう思わせる程の圧倒的力から来る、絶対的な自信

 

 しかし、それは他者から見れば大きな慢心。その慢心こそが、この勝敗を大きく左右する事になるのだった

 

 上段の構えから地面を揺らす程の踏み込み、溜めに溜めた力を一気に解き放った神速の如き振り下ろしは、神羅万象全てを斬り裂く一刀。使用しているのが模擬刀であってもその威力は危険極まりなく、並の者ならば病院送りでは済まない

 

 轟音と閃光。闇夜を斬り裂き、工場地帯全体まで届くであろう一撃は、誰の目にも測れぬまま。勝敗は刹那の如き一瞬の交差の内についた

 

 衝撃波と風圧によって吹き飛ばされた島は、地面を転がり壁面に激しく叩き付けられるも、歯を食い縛って決して意識は失わなかった。やがて視力が回復し、巻き上がった砂埃が晴れる

 

 遠く離れた視線の先、そこには勝者と敗者がいた

 勝者は威風堂々と、それでいて見惚れる程凛とした佇まいで、静かにそこに存在していた

 対しては敗者は敗北に項垂れる様に顔を俯かせ、奇しくも島の様に壁面にめり込んでいた

 

 けれどその両者は島の想像していた姿と同じで、まるっきり違っていた。それはただ一つ・・・

 

「お、御大将が、敗れた・・・!?」

 

 項垂れるは天神館大将、石田。島が絶対の信頼と忠義を尽くすその人が今、彼の目前でピクリとも動かずに沈黙している

 信じられない光景に唖然とする中、轟く勝敗終了の合図。遅れて上がる川神側からの勝鬨

 

「・・・敵ながら、見事」

 

 名も知らぬ彼の者に称賛の言葉を残し、島は意識を手放した

 

 こうして、東西交流戦は川神学園側の勝利で幕を閉じたのだった

 

 

 ○ ● ○ ● ○

 

 

 東西交流戦の勝敗が決まった同時刻、戦場となった工場地帯の上空にはテレビ局以外のヘリが一機飛んでいた

 その中には操縦者を含めた数人のメイドと、1人の少女が乗っており、つい先ほどまである戦闘が行われていた場所を見下ろしていた視線を戻して、一息吐く

 

「・・・見えましたか?ステイシー」

「あぁ、これのお蔭で何とかな」

 

 そう言ってひらひらと先程まで掛けていたサングラスを揺らす

 

 彼女達はあの一瞬の勝負を確かに見た。上段からの振り下ろしに対し、(春樹)は納刀状態の鞘の先端の部分である【(こじり)】と呼ばれる部位で受けた。普通なら鞘諸共刀身が砕けるだけでなく、使い手もやられていた

 けれどそれを片足を浮かした状態で受けた為、その威力を利用して回転する事で得物へのダメージを最小限に留めるだけでなく、その回転による遠心力の力も加えた抜刀術を撃ち込んだというのが、あの一瞬に起こった出来事。それを視界の効かないあの黄金の中で、気も使わず技量だけでやってのけた

 そして技量もさることながら、度胸、最後のあの佇まい・・・

 

「ったく・・・なんつーロックな奴だよ、久しぶりに鳥肌が立ったぜッ!」

 

 興奮した面持ちで同僚にそう語るステイシーと呼ばれたメイドは、グイグイと詰め寄って来て、はっきり言って暑苦しいし、鬱陶しい

 

「分かりましたから少し落ち着いてください」

「おいおい、李。それを言う相手なら他にもいるだろう?」

 

 そう言って目配せをする先を辿って、李と呼ばれたメイドは小さく溜息を漏らした

 

「・・・・・・」

 

 未だ下から目を逸らさず、体から闘気(とうき)ならぬ刀気(とうき)が漏れ出ているこの中で唯一、制服に身を包んだ少女。鞘に収まった刀がカタカタと小刻みに震えて、まるで今にも飛び出しそうなのを押えている様に見える

 

「はい・・・はい、分かりました」

「なんだって?」

「帰投するように、との事です」

「ま、そうなるよなー。よーし、さっさと帰るぞー」

 

 操縦者のメイド達にそう伝えるとヘリは方向を変え、工場地帯からゆっくりと離れていく

 少女は最後まで、小さくなっていく彼から目を離さなかった

 

 

 ○ ● ○ ● ○

 

 

 ・・・ん?あれ?

 

 さっきまで滅茶苦茶眩しくて煩かったのが嘘の様に、元に戻っていた。・・・いや、やっぱ前言撤回。なんか凄い事になっちゃってるわ

 軽く辺りを見渡してみると、そこらじゅうがボロボロ。所々壁は抉れ、パイプやら何やらは砕けて破片が散らばってる。そして何より、自分の立ってる場所が

 真剣で一体何があったし?災害並の惨状じゃん。音對象君か?これ全部音對象がやったのかッ!?

 

 音對象君の過激すぎる行いに心の底からビビる。こんな事仕出かす輩がウチのじいちゃんの他にいたとは・・・世界は広いなぁ(遠い目

 というかその音對象君はどこ行ったんだろう?姿が見当たらないんだけど・・・超サイヤ人2見たかったんだけどなぁ

 

 注)真後ろの壁にめり込んでいます。

 

 ちょっぴり残念がっている自分だったけど、合戦終了の合図が聞こえた

 あ、終わったんだ。んー、じゃぁ帰ろっと。走り回ってちょっと疲れたからなぁ。手に持っていた得物を収め、さっさとその場を離れる事に

 そう言えば何かが当たった気がしたんだけど・・・気のせいかね?

 

「っとっとっと・・・」

 

 何もない場所で軽くよろけてこけそうになる。なんだか微妙に気持ち悪いかも。若干酔ったみたいな感じがする。体調崩しかけてるのかもなぁ・・・早く帰って、薬飲んで寝よっと

 

 ちなみに途中、救護活動をしている人に場所を教えてもらって、無事帰る事が出来ました

 

 

 


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