真剣で私に恋しなさい・微勘違い   作:勘違い練習者

4 / 6

 一週間ちょっと振りに見てみたらお気に入りが倍に増えてました
 ちょっとビビりつつ、こんな感じでいいのかなー?と戦々恐々な思いで投稿です
 
 お気に入り、評価、感想有難うございます!





春樹君はもういっぱいいっぱいです

 

「はわわわわ・・・!」

「(なにこの可愛い生き物?)」

 

 なんだか目の前で顔を真っ赤にしてわたわたしてる川神一子さんを見て、思わず抱いてしまった感想。そのまま勢いでお持ち帰りしそうな程に、この子は可愛らしかった。元気いっぱいっていう感じも良いけど、こういうのも大変よろしい。花丸上げちゃいます。持ってけドロボー

 というかこの子、さっきまで薙刀振り回して突進してきてたはずなのに、何でその子に俺は抱き着かれてたんでしょうか?何でそうなったかのプロセスが1ミリもわかりんせん。唯一はっきりと思い出せるのは・・・走馬灯のように流れ込んで来たじいちゃんの知り合いの1人の、滅茶苦茶礼儀作法に厳しい人の言葉

 

『礼に始まり、礼に終わる。これは勿論武道に限らず、何事も礼儀を疎かにしている様では、立派な人間にはなれないというのが私の持論だ。特にお前の祖父はそれが顕著だった。全く、少しはきちんとすればいいものを・・・ゴホンッ。なので、お前にはそんな風にならない様に私が直々に基本からみっちり叩き込んでやる。有り難く思え』

 

 そこからスパルタなんて生温い指導が入って、今では殆ど無意識で完璧な礼が出来るくらいにまでなった。最高角度は驚異の180°。最早礼のレベルじゃない。使う場面がある?

 嗚呼、じいちゃんがちゃんと礼儀作法が出来る人だったらあんな目に合わなかったのにな・・・いや、そうなると逆に「お前の祖父は礼儀正しかったからお前もそうなるようにみっちり叩き込んでやる」とか言いそう。めっちゃ言いそうで(そうろう)

 なんかあの人の事思い出したらちょっと悲しい気持ちになった。これを挽回する為には、目の前の川神さんを眺めてほっこりしなきゃですわ

 

「えっと、ねッ!別にそういうつもりがあった訳じゃなくって・・・あっ、べ、別にあなたの事がイヤって訳でもなくって、そういうのにはもっと時間が必要で・・・それになんだか懐かしい匂いが、って何を言ってるのアタシッ!?」

「(・・・・・・・・・。)]

 

 ・・・・・・っと、危ない危ない、軽く意識が飛びかけた。なんて凶悪な可愛さなんだ。もう君世界を狙えるよ

 

『ワァァァァァァァッッ!!』

 

 ほら、あなたの可愛さに外野に集まった人が歓声上げてるよ。アイドル並の人気ですな

 というかいつの間にこんなに外野集まってたの?もうさっきから訳の分かんない事ばっかりだなぁ・・・あれかな、まぁた記憶がどっかに行っちゃってるのか?春樹君記憶飛び過ぎぃ!もー、この年でそんなんじゃ困っちゃうぞ☆

 と言うか今更に気づいたけどなんか自分、刀持ってるんですけどー。カターナ、イズ、ジャパニーズ、Seoul!ってね

 刀と言えば、じいちゃんの知り合いの中に自称侍の人がいたっけなぁ・・・じいちゃんの知り合いがやって来る度に恒例となったVRゲームでも、あの人刀得物にして普通に秘剣燕返し撃ってきたし。物凄い衝撃と共にHPが9割削られたのは色んな意味でも衝撃的だった。咄嗟に防御の魔法とか発動してそれだから真剣でチート。あんたはどこのNOUMINだよ、って何度心の中でツッコんだか。きっと幻獣種のTHU☆BA☆MEさんにも遭遇してるはず。春樹君はそう思います

 そしてじいちゃんの知り合いって皆ゲーム強すぎだよねー。未だに一度も勝てた事ないんだよねー。一応あのVRのゲーム歴はこっちが圧倒的に上なんだけどなぁ(遠い目

 

 まぁあのVRゲームは、技とかは本人の性格や資質、趣味なんかに影響されて発生する仕様だからね。例えば侍厨・狂だったらいとも簡単に秘剣だろが雅突だろうと何でも御座れらしい。反対に自分は運用テストの関係で色々やったから手数が多いけど、何か一つに対して思い入れが狂気的にまで強くないから大体がそこそこで、器用貧乏な感じ。まぁ、練度──近い表現で言うと確固たるイメージ──を上げていけばいずれはどうにかなるけど、じいちゃんやじいちゃんの知り合いみたいに達人レベルのチート軍勢を相手にするなら同じ土俵では力負けする。よく出来てるんだかどうか分かんないゲームだよね、ホント

 

 閑話休題

 

 ふぅ、大分話が逸れた。で、何の話してたんだっけ?(すっ呆け

 

「───りゃからそういふいひりゃにゃいのにょよ!」

 

 ・・・もう呂律も回っていないのか、舌足らずで何を言ってるのか分かんないけど、この子が俺を萌え殺しにかかっているって事は分かった。一☆撃☆必☆殺☆!きあいのハチマキがなかったら終わってたぜ(吐血

 取りあえず、これ以上はなんだか可愛そうだったのでポンポンと軽く頭を撫でておいた

 

「へぅっ!?」

 

 おー、メッチャサラサラやわぁ。いつまでも撫でとうなるなぁ、これは。名残惜しいけどあんまりしてるとファンにリンチされそうだから程々に、っと。なんかさっきから物凄い殺気みたいなのを感じるし。さっきと殺気・・・別に意図した訳じゃないよ?

 

「あっ・・・」

 

 んでもって、この刀一体どうしたものか・・・というか本物じゃないよね?ちょっと刃に指を添えてみる・・・おぉ、斬れなかった。結構鋭く見えたけど、もしかしたら特別なレプリカかなんかかも。良い趣味してまんなぁ、一振りちょっと貰えんかね?

 ここでちょっとテンションの上がった春樹君は、折角だから「ぼくのかんがえたかっこいいのうとう」をやってみる事にした。いつもなら絶対やらないだろうけど、そこら辺色々あり過ぎて判断力が若干麻痺してたと後に思った

 さて、危なくない様に川神さんからちょっと離れてっと・・・刀を斜めに一閃。ヒュンッ、という風斬り音が気持ちいい

 切っ先を下から上へ、手の中でクルンと柄を回して持ち手側の鞘に・・・って鞘ないんだった。仕方ないのでベルトの隙間に差し込む。うん、大体完璧。動作は少ないけど、だから良い。あと単純にこれ以上多くすると、失敗する可能性が飛躍的に高まるからなんだけど。ゲームの中とは違うしねー

 

 ・・・あれ?なんか一気に周りが静かになったんだけど・・・あっ、もしかして川神さんの可愛さに皆昇天しちゃってる感じかな?きっと、きあいのハチマキを装備してなかったんだなー・・・はっきり分かんだね。見れば鉄心さんも頭が痛そうに考え事をしてる。多分、自分の愛孫の人気に喜ぶべきか危機感を覚えるべきなのか悩んでるんだろうなぁ。ウチのじいちゃんも母さんに対してそんな感じだったらしいし

 女の子を持つ家庭はそこんとこ大変だよねー、等と心の中で深く頷いてると、突然ピリッとした痛みが走り、反射的にそこを押えようと─────

 

 バシンッ!!

 

 ─────したらなんか物凄い音と共に手に何か当たりました。例えるなら、素手で剛速球のボールを受け止めたみたいな感じ?いや、実際やったら手が死ぬだろうけど

 視線を横に向けるとそこには・・・

 

「ほぅ、私の拳をこうも容易く止めるとはな。ますます面白いぞ、お前」

 

──Sorry, who is this please?(すみません、どちら様ですか?)

 

 反射的に出かかった言葉を何とか飲み込む。驚く事に、いつの間にか自分の向かって左隣に見知らぬ美少女さんがいた。流れるような艶やかな黒髪、血の様に紅い瞳、街を歩けば誰もが振り返る美貌とプロポーション。そして自分の手の中に収まっている拳の主である美少女さんが、そんじょそこらの猛獣珍獣も逃げ出すくらい獰猛な笑みを浮かべていた

 美少女にそんな表情で至近距離で見詰められると・・・春樹君困っちゃいます、真剣で(真顔

 ど、どうしよう。ただでさえ女子の人と対面するだけでも自分にとっては一苦労も二苦労もあるのに、さらにグレード上げて来るとか・・・それなんて虐め?

 

「これモモッ!何をやっとるんじゃッ!」

「アイタッ!?」

 

 非常に困っていた所に鉄心さんがやって来て、モモと呼ばれた美少女さんの頭に手刀を落とした。なんかすごい鈍い音がしたけど大丈b・・・じゃなさそうだ。しゃがみ込んで滅茶苦茶痛がってる。けど直ぐに起き上がって、鉄心さんに食って掛かる。ちょっと涙目なのはご愛敬

 

「いきなり何すんだよじじいッ!!」

「喝ッ!!喧しいわ!いきなり殴りかかる奴があるか!しかも人が考え事をしている内に・・・ッ!!お主はワシを破産させる気かッ!!」

「なんの話だよ!?」

 

 なんだか今度は目の前で親子喧嘩・・・じゃないな。えっと、話の内容から祖父と孫って関係だろうからこういう場合はなんて言うんだろ?簡単に言い争いでいっか。を、おっぱじめた2人に自分は完全に置いてけぼり。もう自分の処理限界のリミットを超えました。春樹君は考える事を放棄します

 

 ワーギャー騒ぐ2人から視線を少し上に向ける。きっと今の自分は遠い目をしてるんだろうなぁ

 

 ・・・嗚呼、今日も空が青いや

 

──ひゅぅぅぅぅぅぅぅうううううううう!!

 

 ん?何の音d─────

 

 

 ゴッチンッ☆

 

 

 

 ● ○ ● ○ ●

 

 

 

○○中学→高校1組の仲良しルーム◇freedom

 

 

"紗埜春樹"がログインしました

 

●紗埜春樹

:保健室で謎の美少女と2人きりな状況。至急応援求む!

 

●永久なる疾風の貴公子

:おいおい、いきなりどうした。とうとう頭やられたか?

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:お前もこちら側の仲間入りか。歓迎しよう、盛大にな

 

●目指せ鮎40cm

:これって所謂ネタスレ?いや、スレじゃないけど

 

●畳屋の後継者

:辛い事でもあったか?俺で良ければ相談に乗るぞ

 

●永久なる疾風の貴公子

:やだ、●畳屋の後継者イケメン・・・

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:イケメンは滅ぶべし

 

●目指せ鮎40cm

:大体分かってたけど、貴公子(笑)と漆黒(失笑)は黙っときなさい

 

●永久なる疾風の貴公子

:ひでぇ

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:解せぬ

 

●畳屋の後継者

:それで?一体何があったんだ?話してみろ

 

●目指せ鮎40センチ

:今日からもう学校だったよね?もう話せる人出来た?

 

●永久なる疾風の貴公子

:●畳屋の後継者おとんやん(笑)そして●目指せ鮎40センチはおかん(笑)

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:激しく同意

 

●紗埜春樹

:いや、色々あって一番最初の状況になったんだけど、ホントにどうすればいい?

 

●永久なる疾風の貴公子

:まだネタ引っ張りますか

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:おいおい・・・まだその話続くんかい

 

●畳屋の後継者

:お前がこんな嘘を吐くと思えん。何がどうなってそうなったのか非常に聞きたい所だが、今はそんな時間はなさそうだな

 

●目指せ鮎40cm

:だね。春樹って女の子と話すの苦手だし、それが知らない人なら尚更。かなり急を要する案件みたい。春樹、その相手の子は今どういう状況?

 

●畳屋の後継者

:同じクラスなのか他のクラスか。もしくはお前の昔の知り合いか?

 

●目指せ鮎40cm

:というか保健室って言ってたけど、もしかして春樹どこか怪我した!?大丈夫!?

 

●畳屋の後継者

:落ち着け鮎。お前がそんなんじゃ春樹の動揺が酷くなるぞ。というか春樹、反応がないがまた何かあったのか?

 

●紗埜春樹

:いや、ごめん。ちょっと2人の反応に泣きそうになった・・・ありがとう。あと怪我とかは特にしてないから大丈夫

 

●畳屋の後継者

:なに、気にするな。さて、鮎は少し間が必要だろうから、今お前がどういう状況なのか軽くでいいから説明してもらえるか?

 

●紗埜春樹

:分かった。えっと、気が付いたら保健室で寝てて、起きたらベットの脇に見知らぬ女子がいた

 その子は眠ってて自分の膝を枕にしてる感じに突っ伏してる状態。保険医の先生もいない状況

 どうしたらいいの??

 

●畳屋の後継者

:ふむ、その眠っている美少女は同じクラスの者か?もしそうなら委員長か、保健委員の様な者ではないか?それでなにかあって運ばれたお前の目が覚めるまで傍にいた、という感じではないのか?そうなら失礼のないように起こすのが良いと俺は思う

 

●紗埜春樹

:・・・ちょっとわかんないです。同じクラスの人、なのかなぁ?

 

●畳屋の後継者

:転校初日だからまだクラスの者を把握していないだけじゃないか?

 

●紗埜春樹

:うーん、そうだとしても顔はともかく、髪の色が特徴的過ぎていたら流石に気づいたと思うんだよね。もう真っ新な雪みたいな白だからさ

 

●畳屋の後継者

:成程。それなら自己紹介で緊張していた春樹でも流石に気づく、か

 

●紗埜春樹

:そうそ─

 

●紗埜春樹

:何でその事知ってるの!?

 

●畳屋の後継者

:いや、お前の事だからそうだろうと。あと自己紹介の練習を何度もしたり、本番では視野を暈したりしたんじゃないか?

 

●紗埜春樹

:Σ(゚Д゚)

 

●目指せ鮎40cm

:ふふっ、春は変わらないね(´ω`*)

 こっちに来た時もそんな感じだったよね

 

●畳屋の後継者

:懐いたらこうして普通に話せるようになったが、それまでかなり時間がかかったしな。ある意味野生の動物みたいなやつだった

 

●紗埜春樹

:あ、あれは・・・忘れて?

 

●目指せ鮎40cm

:ムリ♪

 

●畳屋の後継者

:無理だな

 

●紗埜春樹

:2人ともいじわるだー!

 

●永久なる疾風の貴公子

:おーい、春樹&春樹パパママ。空気読んで黙ってたけど今はほっこりタイムしてる場合じゃないと思うぞー

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:現状は何も好転していない

 

●畳屋の後継者

:あ

 

●目指せ鮎40cm

:あ

 

●紗埜春樹

:あ

 

●永久なる疾風の貴公子

:ったく、お二人さんは春樹の事となると周りが見えなくなるんだからな

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:弁解の余地なし。そして人の事は言えない

 

●永久なる疾風の貴公子

:おい、こっちに飛び火させる気?フレンドリーファイアマジ勘弁

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:よいではないかーバリバリ

 

●永久なる疾風の貴公子

:やめろー!

 

●紗埜春樹

:ど、どうしよう!なんか起きちゃいそうなんだけど!?

 

●目指せ鮎40cm

:落ち着いて春。焦ってると変に怪しまれちゃうよ!

 

●永久なる疾風の貴公子

:眠っている美少女にキスしようとしたと思われるんですね分かります

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:えっちぃのはいけないと思います

 

●畳屋の後継者

:茶化すなお前等。春樹、鮎の言った様に焦るな。とにかく一度落ち着いてその者が起きたらゆっくり話すんだ

 

●紗埜春樹

:りゅうかい!

 

●紗埜春樹

:了解!

 

 "紗埜春樹"が退室しました。

 

●永久なる疾風の貴公子

:ダメだこりゃ

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:やっちまったな

 

●目指せ鮎40cm

:春・・・

 

●畳屋の後継者

:・・・。まぁ、なんとかなるだろう

 

●永久なる疾風の貴公子

:希望的観測だけどな。だけど俺はあいつを信じてるぜ!( ´∀` )b

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:フラグが建ちました(笑)

 

●目指せ鮎40cm

:2人とも後でお説教ね♪

 

●永久なる疾風の貴公子

:ふぁ!?

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:ナゼニィ!?

 

●畳屋の後継者

:ほどほどにな(苦笑

 

 "●畳屋の後継者"が退室しました。

 

●永久なる疾風の貴公子

:止めてない!せめてフォローしていってぇッ!?

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:お、俺は知らねぇぞ!全部貴公子ってやつが悪いんだ!

 

●永久なる疾風の貴公子

:てめぇ!裏切者ぉ!!

 

●目指せ鮎40cm

:あ、逃げたら倍だからね?<●><●>

 

 "●目指せ鮎40cm"が退室しました。

 

●永久なる疾風の貴公子

:・・・目が笑ってなかったな

 

●左手に宿りし漆黒の覇者

:・・・逝く時は、一緒です

 

●永久なる疾風の貴公子

:・・・嬉しくねー( ゚Д゚)ウボァー

 

 

 ● ○ ● ○ ● 

 

 

 白を基調とした保健室。消毒液のアルコール臭がする室内には、見知らぬ少女の寝息だけが木霊している様で・・・・・実は自分の心臓の動悸が響いてないか戦々恐々です。

 

 目が覚めたら?何故か保健室のベットの上で?えぇー、何でーとか。うあー頭イタイーとか。あれー、膝の上になんか柔らかいものが当たってるなー、等と思ってたらそこには見知らぬ美少女がいて

 これなんて夢やねんと思いつつ、ついその子の頭を撫でてたらふにゃふにゃ寝言言うから、なにこの可愛い生き物は、って戦慄しつつも撫でる手は止まらなかった

 そんでもって撫でてる感触もさることながら、それ以外も素晴らしいと感心しつつ、段々眠気が覚めて来て現実だと察し、あれ?これバレたらヤバイんじゃね?と血の気が引いて、ようやく事態を理解した春樹君でした。

 小学校と中学の通信簿で先生のコメント欄に「よく考え事をしているのか、少しぼーっとしがちな所があるので、もう少しハキハキ行動していきましょう」って書かれるくらいだね。全く褒められる様な事じゃないけど。結局治らなかったんだし

 

 というかもうね、さっきからバックンバックンって擬音がピッタリなくらいに心臓が煩く鳴ってるんだけど。今朝の自己紹介なんて目じゃないくらいだ。こんなにドキドキしたのは、子供の頃に母さんへサプライズ誕生日を仕掛けた時以来じゃない?まぁ、あれは別の意味でもドキドキする結果になったけど・・・教訓としては、ウチの母さん(小動物さん)にサプライズなんてしたら真剣で命の危機。思えばその時からだったかな?子供ながらにAEDの使い方マスターしたのは(遠い目

 

「ぅ、うぅん・・・」

 

 よし、現実逃避はこのくらいで。謎の美少女Bさん(仮称)が本格的に目を覚ましそうだ。まずは落ち着け。折角同郷の友等からアドバイスを貰ったんだ。それを無駄にしない様に、言われた通り焦らずにゆっくりと話す事を心掛ける事。そして怪しまれない様に。これ以上入学初日にやらかさない様に。慎重に、慎重に・・・

 

 そんな風に自分を落ち着かせていると謎の美少女Bさんがゆっくりと目を開いた。まだ朧気な瞳と、保護欲を掻き立てられるその無垢な容姿で、まるで眠りから覚めた妖精の様だと比喩されるだろう

 けれど、語彙力云々があまりよろしくない自分的にはもっと単純に、その真っ白な肌と髪に映える深紅の瞳も相まって・・・

 

「・・・兎?」

 

 思わず自然と言葉が出てしまう程、自分の印象的にピッタリだった。やだ、これ以上可愛くなってどうするの?もしかして俺をメロメロにさせる気ですか?もう既にメロメロですがそれは・・・ってイカンイカン!顔が緩んで危うく変態認定されちゃう所だった!セーフ?アウト?ヨヨイノヨイ!?

 

 内心混乱所の騒ぎじゃなくなっている春樹。しかしそれは自分だけではない事を、そんな彼が知る由もなかった

 

「~~~~っ!」

 

 あ、なんかウサギちゃんがprprゲフンゲフン、じゃなくってプルプルしてる。ここで寒いの?なんて思う程自分も馬鹿じゃないさ。アレだろう?やっぱり変質者っぽい顔しちゃってたんでしょ?となればあなたがこれから取るであろう行動も大体想像がつく

 

1:悲鳴を上げる

 

2:ビンタ

 

3:泣く

 

4:ALL

 

 どれをとっても自分の人生が終わるのは置いといて、まずはこの子のケアだ。と言っても、その原因が出来る事なんて高が知れてる

 

1:斬首

 

2:切腹

 

3:謝罪

 

4:ALL♪

 

 んじゃぁ4番で。よし、3番から順繰りに1番までやっていきますか。日本人の謝罪と言ったら、やっぱり伝家の宝刀、土下座ですよね。そうと決まれば早速地べたに────と思ったら視界が白に覆われ、体に衝撃と甘い匂いが。そして体に密着する形容しがたい柔らかさ。長い時間を要して、自分が抱き着かれている事を理解した。いや、理解しようとしたっていう方が正確かな。だってもう意味不明なんだもん(白目)

 取り敢えず、今の気持ちを一言で表現するなら・・・

 

 

 "むにゅぅ・・・!"

 

 

 ──我が人生に、一片の悔いなしッ!!(キリッ

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。