パズドラ×デイズ   作:燐火月

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戦について各々が思うこと

一同が階段を駆け下りた、その先に待っていたのは。

 

「でかい……」

「……鳥?」

「セルクルです。ご覧になるのは初めてですか?」

エースとシンクがそろって首をひねると、ミルヒオーレに問われる。

 

「えっと……はい。二人は?」

頷いたシンクが、今度はエースとタマゾーに話を振る。

 

「俺も初めてです」

「ミルヒオーレひめさま、せるくるが、いどうしゅだんたま?」

エースとタマゾーも始めて見たので、そう言えば。

 

「はい。セルクルたちはとっても頼りになるんですよ」

「うーん、龍喚士やってると移動手段がドラゴンだから、なんか珍しく感じるかも……」

ミルヒオーレはそういって真っ白いセルクルを撫で、エースはそれを見つつ、ぼそっと呟いた。

 

「ドラゴンが移動手段って、さっきの大きいドラゴンがそうなの?」

そしてそれを聞いたシンクが、そう問いかければ。

 

「ちゃんとドラゴンフライト……移動手段専用の、ドラゴンたちが居るんです。さっきのドラゴン……大灼熱・クレナイゴウカミは、緊急で龍喚<リリース>しただけなんです」

「ドラゴンが移動手段なんて、凄いですねぇ」

ミルヒオーレが驚いたように、そう言ったそんな折、ぱぱん、と何かが破裂するような音が響いた。

詳しく言えば、花火が破裂するような、そんな音。

 

「いけない、もう始まっちゃってる!! 勇者様、エースさん、タマゾーさん、乗ってください!!」

そういうと、ひらり、とミルヒオーレはセルクルの背に跨った。

エースとシンクは顔を見合わせる。

一応乗れなくもないが、セルクルは女の子のミルヒオーレはともかく、男二人を乗せて、重くないのだろうか、と思ってしまったからである。

 

「えっと、じゃあ……シンクさんが乗ってください。俺とタマゾーはドラゴンに乗っていきますので」

「うん、分かったよ」

頷いたシンクが、ミルヒオーレの後ろに乗ったのを確認し、エースは黄色のエッグドロップを、D-ギアにセットして。

 

「トルネードホーリードラゴン、龍喚<リリース>!!」

高らかにそう言った。

今度現れたのは、白と緑のドラゴン…トルネードホーリードラゴン。

 

「違うドラゴン?!」

「今度は白と緑のドラゴンさんですね……。エースさん、大丈夫ですか?」

「トルネードホーリードラゴン、頼めるか?」

『オォン!!』

任せろ、という風に、トルネードホーリードラゴンは、ひとつ吼え、エースの前で膝を折る。

その背中に乗せてもらい、タマゾーはトルネードホーリードラゴンの頭に落ち着く。

 

「準備OKです!!」

「分かりました。それではハーラン、行きますよ!!」

セルクル…ハーランは、ミルヒオーレの言葉に立ち上がって走り出し、トルネードホーリードラゴンもその横に平行してついていった。

 

そして、ミルヒオーレから現在の状況やいろいろなことを聞いた後、理解したのは『隣国ガレットと戦の最中にあること』。

そして、その『戦』を、見晴らせる高台について、それぞれハーランとトルネードホーリードラゴンの背から降り、『戦』を見た三人はというと。

 

「……これが、戦?」

「なんていうか……」

「たたかい、ってかんじじゃないたま……」

シンクの言葉にハテナが付くことに、エースとタマゾーは、同意していた。

 

「はい。皆さん『戦』を見るのは初めてですか?」

なんというか、想像とかなり違う、安全そうなアスレチックな競技のような『戦』が、繰り広げられていた。

怪我の代わりになにか丸っこい生き物に変化しているし、そうなった怪我人(?)は即座に回収されている。

というかぶっちゃけていいのなら、危険なことはなさそうだ、と思えた。

 

「あの、ミルヒオーレ姫様。……これ人が死んでしまったり、怪我したりとかはあるんですか?」

それでも気になるので、エースが代表して問いかければ。

 

「とんでもない!!」

ミルヒオーレに、ものすごく否定された。

 

「『戦』は大陸全土にしかれたルールに則って、正々堂々と行うものなんです。もちろん、国と国との交渉の一手段でありますから熱くなってしまうことも時にはありますが……フロニャルドの戦は、国民が健康的に運動や競争を楽しむための行事でもあるんです」

エースは自分達で言うところの、『龍喚士バトル』のようなものだろうか、と結論付けて。

 

「……敗戦が続いて、我々ビスコッティの国民や騎士たちは、寂しい思いをしています。……何より、お城まで攻められたら、ずっと頑張ってきたみなさんはしょんぼりしてしまいます」

「しょんぼり?」

タマゾーがそのフレーズを繰り返せば、ミルヒオーレはこくり、と頷く。

 

「はい。しょんぼりです」

「えっと、姫様?」

そこで、シンクがそう言って片手を挙げて、一同の視線を集める。

 

「はい?」

「僕はこの国の勇者?」

『そういえばシンクさんの言う『勇者』って何だろう』とエースは思ったが、後で聞くことにした。

空気を読んで、タマゾーも黙っている。

 

「はい。私たちが見つけて、私が迷うことなくこの方と決めた、この国の勇者様です!!」

はっきりと、ミルヒオーレは力強く肯定した。

 

「じゃあ、姫様の召喚に応じて、皆をしょんぼりさせないように、勇者シンク、頑張ります!!」

そして、ミルヒオーレの言葉に、そう返したシンクの言葉に。

 

「ありがとうございます!!」

ミルヒオーレが耳と尻尾をぱたぱた動かしながら、笑顔で嬉しそうにそう言った。

 

「それでは、急いで城に戻りましょう!! エースさんとタマゾーさんも、またついてきてください。ハーラン!!」

「トルネードホーリードラゴン、また頼めるか?」

『オォンッ!!』

ミルヒオーレとシンクはハーランに、エースとタマゾーはトルネードホーリードラゴンに声をかけて、空へと飛び出した。


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