ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~ 作:悪魔さん
今月中は書き直しを行いますので、ご了承ください。
港近くの酒場。
ここではある海賊団がどんちゃん騒ぎしながら酒を呷って楽しんでいた。
海賊団の名は、赤髪海賊団――後に〝新世界〟の海を統べる海の皇帝達「四皇」の一角となる大海賊〝赤髪のシャンクス〟が率いる海賊団だ。
「あ~美味い! 船で飲むのも美味いが、酒場で飲むのも最高だ!!」
「もうそのへんにしといたらどうだ? 飲みすぎは体に毒だぞ」
「バーロー! せっかくの貸し切りなんだ、全部飲み干すぐらいパーッといこうぜ!!」
黒いマントを羽織って麦わら帽子を被った男が、煙草を咥えた黒髪の男の肩に手を回す。
この麦わら帽子を被っている男こそがシャンクスであり、煙草を咥えているのがシャンクスの右腕である副船長のベン・ベックマンだ。
シャンクスの言う通り、店には人がほとんどいない為、赤髪海賊団の事実上の貸し切り。ゆえに、酒場の酒は全て赤髪海賊団が独占している状態だ。
「お頭ー!! ベンの言う通りだぜー?」
「二日酔いになっても知らねェぞー!!」
「あんだとォ!? 今度はしくらねェから心配すんな!!」
一海賊団の船長とあろうものが二日酔いで苦しんだという事を暴露されながらも、陽気に受け流して酒を呷るシャンクス。
船員達も爆笑しながら、ジョッキの中の酒を飲み干す。
その時だった。
「ありゃあ、赤髪海賊団の船だねェ~……」
「こんな所に来てたのか……」
「――っ!」
ふと聞こえた、外の会話。
それを耳にしたシャンクスは表情を変え、飲みかけのジョッキをテーブルに置き、剣を手にしていつでも抜刀できるよう柄を握った。
それを見た幹部のラッキー・ルウは肉に食らいつきながら訊いた。
「お頭ァ、どうしたんだ?」
「気をつけろ……外に〝黄猿〟と〝青キジ〟がいる」
『!!!』
シャンクスの言葉に、警戒しだすルウ達。
海軍本部の将校の中でも圧倒的な存在感と実力を有するクザンとボルサリーノが酒場の外にいる事を察知し、船員達は目の色を変えて各々得物を手にする。
だが……。
「――だが、おれ達はこっちよりも重要な仕事があるからな。そっちが優先だな」
「今回は任務が任務だからねェ~……フォード一人だけじゃあ寂しいだろうから、部下と共に御用になってもらうよォ~……!」
クザンとボルサリーノは、海兵達を連れてその場を後に街中へと入っていった。
*
一方の地下闘技場では、テゾーロ達が大暴れしていた。
「フンッ!」
番傘から薙刀へと切り替えたテゾーロは、フォードに迫る。
刀身は〝武装色〟の覇気を纏っているからか、黒く光っている。
「っ……だが、この程度では通用せんぞ若造!」
フォードは〝見聞色〟の覇気を駆使してテゾーロの攻撃を捌く。
「……さすがに一筋縄では行かねェようで」
「言っただろう、貴様ごときに阻まれてたまるかと」
「違いねェ。だが、総力戦となればこちらに分がある」
「何――」
「あちらを見ればわかる」
テゾーロが指差す方向に目を配るフォード。
「なっ……!!」
フォードは、その光景に言葉を無くした。
スライス達4人が自分の部下とその場にいた悪党共を次々に倒しているのだ。
人数と武器の数では、フォードの部下達と悪党共が圧倒的に勝っていた。しかし4人は、その圧倒的な物量の差を個々の力量で全て捻じ伏せていたのだ。
まずは、スライス。黒く硬化させた両腕で刀剣の刃を叩き割り、脇腹に回し蹴りを炸裂させ鳩尾や顔面に拳打を叩き込む。力任せの喧嘩殺法だが、一撃一撃が凶器を用いた攻撃よりも重く鋭いため、戦闘慣れした悪党達は悉く倒されていく。
次に地下闘技場最強の剣士であるタタラと、テゾーロ財団に属する
そして、テゾーロの部下となった〝
「何だあいつら、人間か!?」
「つ、強ェ……!!」
フォードの手下達も、4人の戦闘力に驚愕し怯える。
この地下闘技場は違法なモノ…万が一に備えて常に強固な警備体制を命じられている。
彼らに油断は無い。だが、4人の桁外れの実力の前に次々に倒されていく。
「――ええい、役立たず共が……!」
フォードは次々に倒されていく部下達に対し、冷たい言葉を吐く。
「よそ見してていいんですか、な!」
テゾーロは薙刀を振るい、フィールドを豪快に抉った。
しかしそれをギリギリで躱したフォードは、右腕を黒く染めて震えるオーラを纏わせてテゾーロに迫った。
「これで終わらせてやろう、ギルド・テゾーロ!!」
戦いの終局を目指して、駆け出すフォード。
テゾーロは咄嗟に薙刀を融かして分厚い壁に変化させてそれを防ごうとしたが、フォードの拳はテゾーロの黄金の壁を砕き割り、鳩尾にヒットした。
ドォン!!
衝撃波と〝武装色〟の覇気を纏った、強烈な一撃が炸裂する。
生ける伝説と修行して肉体を鍛え上げたテゾーロとて、それを完璧に防ぐことはできない。黄金の壁のおかげで多少は威力を殺せたが、フォードの打撃と衝撃波が体内を貫通して吐血する。
(勝った!!)
己の勝利を確信したフォード。
だが……テゾーロは耐えきった。
「なっ……!?」
テゾーロは右腕に黄金を纏わせた。
黄金はテゾーロがよく使う技〝
テゾーロは血を流しつつも、右腕を豪快に振るった。
「〝
テゾーロ渾身の一撃が、フォードの腹に減り込んだ。
次の瞬間――
ドガアァァァン!!
テゾーロの黄金の拳が、爆発を起こした。
炎が爆ぜ、爆風と衝撃がフォードに直撃し、彼を観客席まで吹き飛ばした。
体力を消耗した状態で大技を敢行し、その場にいた全員が息を呑んだ。
「うっ……」
テゾーロは反動でバランスを崩したように、仰向けに倒れた。
息を荒くする彼の顔は血と汗に塗れ、フォードとの
「……テゾーロが……」
「……や、やった……?」
「テゾーロが、フォードをやりやがった!!」
スライスが叫んだ後、空気の爆ぜるような歓呼の声が沸き上がる。
ついに悪漢アルベルト・フォードをテゾーロが倒した。
黄金の力をモロに食らったフォードはそのまま失神し、動くこともできないでいた。
(これで……全てが……!)
タタラは額の目から、涙を流した。
――ようやく、悪漢の支配が終わり解放される。
その想いで、胸がいっぱいになる。
「――ハハ……ザマァ」
テゾーロは満身創痍の状態ながらも、清々しい笑みを浮かべるのだった。