ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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そろそろキャラ紹介を投稿した方がいいかな…。


第37話〝甲板戦〟

 テゾーロはウォーターセブンから出航し、シャボンディ諸島を目指していた。

 乗っている船は、海賊達が増えたのにもかかわらず武装していないテゾーロ財団の母船。つい最近名前を決めて「オーロ・コンメルチャンテ号」となった。

 ちなみに訳してみると、イタリア語で「黄金の商人」という意味になる――はずである。

「シャボンディまでどのくらいだっけ……」

 大きく欠伸をしながら、甲板でのんびりとするパーカー姿のテゾーロ。

 その時だった。

「理事長!! 海賊です!!」

「ん? ああ、そう」

「ああそう、じゃなくて……!」

「おれがやる。皆は避難していろ」

 海賊の襲撃。

 元々海賊を呼び寄せ狩るための船であるオーロ・コンメルチャンテ号――そろそろ大砲や銃火器の装備を整えた方がいいかもしれない。せめて戦列艦並みの武装だろう。

「……ああ、あれか?」

 前方に現れる船。

 海賊旗を掲げており、サイズとしてはガレオン船ぐらい。まずまずの規模の海賊団のようだ。

「そんじゃ、運動するとしますかね……」

 袖をまくり、ゴキゴキと首の骨を鳴らす。

 久しぶりの戦闘……相手が海賊なら、手加減無用だ。

「理事長、援護しますか?」

「いや、別にいいさ。アレくらいなら一人でどうにかする」

 そう言い、テゾーロは黄金を生み出す。

 それは球体状になり、光り輝く黄金の砲弾になった。

「よし……金玉ができた」

『金玉言うなァ!!!』

 テゾーロの危ない言葉に突っ込む一同。

 テゾーロが生みだした黄金の砲弾は、通常の砲弾よりも幾分小さい。だが質量は通常の砲弾以上だろう。

「〝黄金砲撃(ゴオン・ボンバルダメント)〟!!!」

 テゾーロは思いっきり黄金の砲弾を海賊船めがけて投げ飛ばした。

 それは見事に直撃し、轟音と共にマストをへし折った。

「……まずは第一段階」

(んなアホな!!)

 テゾーロの攻撃を間近で見て唖然とする一同。

 念の為、もう一度言う。テゾーロが生み出した黄金の砲弾は、通常の砲弾よりも幾分小さいが質量は通常の砲弾以上である。

「次は…遠距離操作!」

 テゾーロはニヤリと笑みを浮かべ、右手の拳を握り締める。

 すると、バチバチと火花が散り――

『ぎゃあああああ!!!』

 突如、海賊船から断末魔の叫びが響いた。

 海賊船を見ると、黄金の触手のような何かが暴れ回って海賊達を薙ぎ倒しているではないか。

「ハハハハ!! 聞いたかさっきの悲鳴!! イッツ・ア・エンターテインメント!!」

「理事長…アレは一体…!?」

「ゴルゴルの能力の応用だ。さっき海賊船に直撃した砲弾の黄金で攻撃しているのさ……悪魔の実の能力は使い方次第で一国の軍隊にも勝る力となるからな」

 その話を聞き、テゾーロが先程言った「まずは第一段階」の意味を理解する社員。

 敵船にあまり近寄らず、かつ確実に全滅できる手段ならば最適だろう。ただ、あの黄金の砲弾を片手で投げたのは納得できないが…。

「さて、これで片が付いた。全速力でシャボンディへ向かうぞ」

 その時だった。

「!」

「おおおおおお!!」

 突如テゾーロの頭上に、大太刀を手に携えた少年が現れた。

 白シャツと黒ズボンの上に黒いロングコートを着用した彼は、鋭い眼差しでテゾーロを睨みつけていた。

「お前か…あの船を沈めたのは」

「……いかにも。あまりにも邪魔だったのでね」

 そう返答した直後、殺気を放ちながら少年は斬りかかった。

 しかしテゾーロは生ける伝説達(レイリーとギャバン)に師事して覇気や戦闘法を学んだ身。少年が勝つのは困難だろう。

「――剣の勝負を望むか?」

 テゾーロはすぐさま黄金の刀を生み出し、少年の一太刀を受け止めた。

 金属音が響き、火花が散る。

「能力者か……!」

「いい太刀筋だ。だがまだ甘いな」

「理事長!!」

「お前らは下がれ。この少年はおれが相手をする」

 少年は船の欄干(らんかん)を利用して高く飛び上がった。

 そして空中で一回転を決め、唐竹割りを放った。

(こいつ……!)

 テゾーロは少年の攻撃を受け止めて察した。見事な剣捌きである少年の剣術は、明らかに殺し合いに特化している(・・・・・・・・・・・)のだ。

 テゾーロ自身、時間があればレイリーからも剣術を教わっていた。少年はそんな自分と互角に渡り合える技量だったのだ。これを褒めずにはいられない。

「中々やるじゃないか、もっと踊ってみてくれないか?」

 テゾーロは少年の底力が知りたくなり、不敵な笑みを浮かべて挑発した。

「っ……ナメるな!!」

 案の定挑発に乗った少年は、そのまま斬り合いに持ち込んだ。

 少年が手にした大太刀の刀身が黒く染まり始め、テゾーロに迫る。少年はどうやら覇気使いのようだ。

 しかしテゾーロも覇気使い。黄金の刀に覇気を纏わせ、武装硬化させる。

 

 ドォン!!

 

 互いの刃が覇気を纏って激突して衝撃が走り、黒く染まった刃が相手の身を斬らんと押し合う。

 しかし体格上テゾーロの方が少年を上回ってる上、素の身体能力も高い。力一杯に押して少年を弾いた。

 少年は受け身を取って上手く着地し、斬撃を放った。

「おいおい、甲板であまり暴れたら傷つくじゃないか……」

 ――おれが言うとブーメランか。

 不敵な笑みでそう呟くテゾーロ。

 すると黄金の刀が融けだして、テゾーロの右手を手甲状の形に覆った。

「〝黄金爆(ゴオン・ボンバ)〟!!」

 迫る斬撃目掛け、黄金の拳をぶつける。

 黄金色の光が()ぜ、斬撃を相殺した。

(今だっ!!)

 少年はその隙を見逃さなかった。先程の斬撃は、テゾーロに隙を与えるための陽動なのだ。

 少年はテゾーロに肉薄し、斬り伏せようとするが…。

「甘い!!」

 テゾーロは右手の手甲状の黄金を少年の前に突き出す。

 すると右手の黄金はバチバチと火花を散らし、瞬く間に融けて無数の触手のようなモノになって少年に絡みついた。

「ぐっ!?」

 超硬度の黄金でできた触手に拘束される少年。

 いくら剣術でテゾーロと互角に渡り合えても、これは抜け出せない。黄金の束縛から自力で脱出できるのは、せいぜい白ひげやカイドウ、ガープのような怪物級の猛者達だろう。

「!? 欄干が……!?」

 ふと少年は、欄干が融けていつの間にか槍と化して自分の胸に突きつけられていることに気がついた。

 テゾーロは黄金を操る……自分で生み出した黄金だけでなく純粋な黄金も触りさえすれば(・・・・・・・)意のままに操れるのだ。

「フフフ……少年、戦う場を間違えたな。この黄金の船――オーロ・コンメルチャンテ号でなければ、おれにも勝てただろう。おれはこの船での戦闘は無敵なんだよ」

 勝ち誇った笑みで少年を見るテゾーロ。

「落ち着いたところで挨拶といこう。おれはテゾーロ財団理事長のギルド・テゾーロだ」

「ギルド・テゾーロ……そうか、政府の……!!」

「厳密に言うと、おれは政府の人間じゃない……政府とパイプがある商人だ」

 テゾーロは少年が落ち着きを取り戻したのを確認し、黄金による束縛を解く。

 槍と化していた欄干の一部は元に戻り、無数の黄金の触手は液体状に融けて球体状になる。

「少年、名は?」

「……ハヤト。賞金稼ぎをやってる」

「賞金稼ぎか…奇遇だな、おれも元賞金稼ぎだ。 だがおれは海賊じゃないぞ、なぜおれに襲い掛かった?」

 少年・ハヤトに問いかけるテゾーロ。

 すると彼はこう答えた。

「あんたがおれの獲物を横取りしたからだ。その金玉ぶん投げたせいでシノギがパーになったんだ……でも斬りかかったことには悪かったと思ってる」

「えっ……?」

『理事長……』

 驚愕の理由。

 何とテゾーロがフルボッコにした海賊はハヤトが狩ろうとしていた海賊で、狩ろうとした矢先にテゾーロがやらかしちゃったようだ。

(……えっと……これはおれが悪いのか……?)

 何ともいえない空気が漂う甲板。

 その状況を打破したのは、ハヤトだった。

「……テゾーロ、あんたに頼みがある」

「?」

「おれをあんたの所で働かせてくれ。あんたと一緒にいれば、俺はもっと強い連中に会えそうだ。用心棒くらいにはなれる」

 ハヤトが申し出たのは、財団への就職だった。

 そういえば、テゾーロ財団は丁度人材の募集に勤しんでいた。それに先程の戦闘で見せた実力を加味すれば、彼はテゾーロ財団において強力な戦力ともなりうる。

 これはまたとないチャンスだ。テゾーロはニヤリと笑みを浮かべ、ハヤトを見た。

「……それは就職希望ととっていいんだな?」

「ああ…もしおれにできる仕事があるなら何でもやる」

 テゾーロ、思わぬ形で人材をGET(ゲット)する。




yonkouさんのオリキャラを採用しました。
yonkouさん、ありがとうございます。

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