ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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ついにドレスローザ編!!
原作に沿いつつも盛り上げていこうと思います。


ドレスローザ編
第171話〝電撃訪問〟


 その日、テゾーロは心底嬉しそうな顔で新聞を読んでいた。

「スルルルルル……テゾーロ様、どうしたのですか?」

「ああ……〝麦わらの一味〟が復活したんだ。私の前で大見得切ったあの子が、二年の沈黙を破って動き出した」

 テゾーロはタナカさんに新聞を差し出す。

 一面には、〝新世界の怪物〟が最も期待を寄せる〝麦わらのルフィ〟とその仲間達が、更なるチカラを得て完全復活したという趣旨の見出しが載っている。モルガンズの意思もあるのか、新聞の三分の一がルフィ達に関する話題だ。

「……〝最悪の世代〟の代表格の一人として名を上げてるルーキー海賊……彼も大きな器と力の持ち主のようで」

「王の器であるのは間違いない」

 断言するテゾーロに、タナカさんは「随分高く買っておられるのですね」と驚いた。

 

 白ひげ海賊団と海軍の頂上戦争以降、世界は大きく動いた。

 四皇の一角が崩れ、新たに〝黒ひげ〟マーシャル・D・ティーチが白ひげの後釜に座り、悪魔の実の能力者からその能力を奪う「能力者狩り」をしながら勢力を拡大している。〝不死鳥マルコ〟が率いる白ひげ海賊団の残党達と双方多くの援軍を含んだ「落とし前戦争」で勝利してからは、白ひげ海賊団のナワバリのことごとくを奪っているという。

 かつてシャボンディ諸島に集結し「11人の超新星」と呼ばれた若き海賊達は、〝最悪の世代〟と呼ばれて世間や海軍からは恐れられる一方、現在では四皇に敗北した者や傘下に降った者が多い。特に勢力図をかき乱しているユースタス・キッドはシャンクスの逆鱗に触れて惨敗し、トラファルガー・ローは王下七武海入りを果たしている。

 王下七武海もまた、面子が入れ替わった。ローだけでなく新たに道化のバギーが〝千両道化〟の異名で加盟し、さらに強さだけで言えば若き日の白ひげを彷彿させる「()()〝白ひげJr.〟」のエドワード・ウィーブルが加盟した。ウィーブルに関しては眉唾物だが、実力は黄猿をもってして「海賊として圧倒的に強い」と言わしめているので、十分な脅威となり得るだろう。

 海軍も大きく変わった。赤犬ことサカズキが元帥に就任すると、世界徴兵で新たに〝藤虎〟イッショウと〝緑牛〟アラマキが特任され、その実力を遺憾なく発揮している。一方の〝青キジ〟クザンは恩師ゼファーの呼びかけに応じて海軍大将を辞め、()()()()()()の海兵で構成した機密特殊部隊「SWORD(ソード)」を設立し、海軍公認の遊撃隊の最高幹部として活躍の場を広げている。

 

 そんな激動の中、再活動した麦わらの一味。大きくうねる群雄割拠の海賊界と、より強力になった正義の軍隊を相手にどう立ち回れるのか、実に楽しみだ。

「実に楽しみだ」

 そう呟いた時だった。

 開けていた窓枠にニュース・クーが新聞を届けた。

どうやら号外のようで、見出しにはルフィとローの手配書の写真が載っていた。

(トラファルガー・ローとの海賊同盟……!! やはりローはそれを選んだか)

 それは、王下七武海のローが麦わらの一味と同盟を結んだという内容。

 通常、七武海と他の海賊の関係では、七武海の下に付く、すなわち傘下入りとなれば恩赦としての措置がなされる。ジンベエが七武海加盟の際にアーロンがインペルダウンから釈放されたという例もあり、麦わらの一味がハートの海賊団の配下になればルフィ達にも恩赦がつくのだ。

 そうではなく記事通りの同盟ならば、協定違反として七武海の称号剥奪を余儀なくされる。ましてや同盟相手が世界政府を散々振り回してきた麦わらの一味となれば尚更だ。もっとも、手を組むならルフィをと勧めたのはテゾーロ自身だが。

 いずれにしろ、二人が手を組んだということは、すでにパンクハザードは――

(動くなら今しかない!!)

 二人が同盟を組んだのは、ドレスローザにある人造悪魔の実「SMILE」の工場の破壊で、それを皮切りに四皇〝百獣のカイドウ〟の首を取ることだ。

 そしてドレスローザは、新世界の闇を仕切る七武海のドフラミンゴが統治する国。テゾーロにとって、ドフラミンゴは世界に革命をもたらすためには排除しなければならない敵でもある。

 ――叩くなら、今しかない。

「思い立ったが吉日だ」

「?」

「ドレスローザに訪問する! 準備を整えるぞ」

「ええ~~~~~!?」

 

 

           *

 

 

 翌日、新世界のとある海。

 麦わらの一味の帆船「サウザンド・サニー号」の甲板で、同盟を組んだローは麦わらの一味全員に作戦内容を話した。

「同盟組んで「四皇」を倒す!?」

「「四皇」か!! いいなそれ」

「よくねェよ!!」

 ゾロが海の皇帝との争いに興味を示す中、ウソップはローが率いるハートの海賊団が信用できないと異議を唱える。

 だが、当のルフィは「ウチとトラ男の海賊団で同盟を組んだぞ!! 仲良くやろう!!」と嬉しそうにローの肩を叩く始末。ウソップは反対者の人数を確認するが、ブルックの「反対したらどうにかなるんですか?」

とサンジの「どうせルフィが決めたんだろ」の二言で反対決議は幕を閉じた。

「忠告しとくが、お前の思う「同盟」とルフィの考える「同盟」はたぶん少しズレてるぞ! 気ィつけろ……!」

「…………」

 サンジはローにだけ聞こえる小さな声でルフィの「同盟感覚」の違いを忠告する。

 ちなみにローにとってこの忠告は二度目である。

「だからルフィが誘拐誘拐ってガラにもねェこと言ってたのか……この変な羊捕まえて料理してくれと言われても、さすがにおれも困るところだった………」

 サンジはチョッパーが治療中のパンクハザードのマッドサイエンティストであるシーザー・クラウンを指差しながら言うと、今まで大人しかったのシーザーが突如声を張り上げ喋り出した──

「てめェらの愚かさを知り゛……!! 死゛ぬ゛が゛いい!!!」

 自分の立場を忘れて粋がるシーザー。

 当然の如く、サンジにボコられるのだった……。

「おい!! サンジ!! 今治療中なのに!! 終わってからやれよっ!!」

「終わったらいいのか……」

 パンクハザードにて子供達に非道な人体実験をしていたことがバレたからか、普段は温厚なチョッパーもシーザー限定に冷たい態度であった。

 するとローは、パンクハザードで麦わらの一味にシーザーの誘拐を頼んだこと、そして自分が島内にある「SAD」という薬品を作る装置を壊したことについての説明を始めた。

「〝新世界〟にいる大海賊達は大概海のどこかに〝ナワバリ〟を持ち、無数の部下達を率いて巨大な犯罪シンジケートの様に君臨している。とにかく今までとは規模が違う!! 一海賊団で挑んでも船長の顔すら拝めやしない……!!」

『……!』

「──だが、あくまで裏社会。海軍に目を付けられねェ様に必要な取り引きは闇の中で行われる……!! その中で最も信頼と力を持っている男がドフラミンゴだ。闇の名は〝ジョーカー〟、奴にとって最も巨大な取り引き相手は四皇〝百獣のカイドウ〟だ」

「んな!!」

「…………!!!」

 それを聞き、パンクハザードで訳あって出会い同行することとなったワノ国の侍〝狐火の錦えもん〟と、人造悪魔の実を食べた子供・モモの助は絶句した。

「どうした?」

「いや…!! 何でもござらん…!! 続けてくれっ!!」

「おれ達が狙うのは四皇カイドウの首だ……!!! ──つまり、こいつの戦力をいかに減らす事が出来るかが鍵!! カイドウは今、ジョーカーから大量の果実を買い込んでいる。人造の動物系悪魔の実「SMILE」だ」

 ローの言葉に瞳を輝かせるルフィ。

 彼曰く、人造なだけに相応のリスクがあるようだが、すでにカイドウ率いる百獣海賊団には500人を超える能力者がいるという。

 ウソップだけでなくチョッパーやナミも反対するが、ローは「もう能力者が増えることはない」と笑った。

 というのも、人造悪魔の実の元を作ってたのは他ならないシーザーだからだ。世界最大の頭脳を持つベガパンクの発見した〝血統因子〟を応用して作成していたのだ。

「ジョーカーはもう詰んでる。あとはドレスローザのどこかにある「SMILE」製造工場を潰せばいい」

「成程、だが敵は取引のプロなんだろ?」

 二年前とは色んな意味で変わった船大工・フランキーの言葉に、ローは「油断できないのは変わらねェ」と肯定した。

 が、直後に新聞を差し出して悪い笑みを浮かべた。

「今日の号外だ、見てみろ」

 シーザーを含めた全員が新聞を見る。

 その見出しには、驚愕の内容が書かれていた。

 

 ――ギルド・テゾーロ氏、ドレスローザに電撃訪問!

 

「テ、テテ、テゾーロォ!?」

 目が飛び出る勢いで驚くシーザー。

 天竜人に匹敵する権力者が、突如としてドレスローザへの訪問を決め、グラン・テゾーロを出港したというのだ。

「ついに〝新世界の怪物〟が動いた……!! おれ達には追い風が吹いている!」

「というと?」

「テゾーロ屋もドフラミンゴを潰そうと機を伺っていた。だから事前に奴の根城に乗り込んで同盟を申し出た……そしたらお前らと組む方がいいと言われたがな」

「あの成金野郎、正気か!?」

 世界政府の重要人物が王下七武海の一角を崩しに行くと聞かされ、シーザーは思わず叫んだ。

「テゾーロ屋がおれ達の後ろ盾となれば、ドフラミンゴの失脚すら可能だ! 立場の都合上、カイドウの件は触れられないだろうが、それでも巨大な力を動かせる!」

「それは確かにな……」

「最初はカイドウとドフラミンゴをぶつけるつもりだったが、おれもドフラミンゴには個人的な因縁もある身だ……予定を変更し、テゾーロ屋と手を組んで直接叩く」

「その方がいいな。ルフィは策を張り巡らすよりも正面からぶっ飛ばしに行く方が向いてる」

 サンジの一言に一同はうんうんと頷いた。

 ルフィは常に正面突破するからだ……。

「その上で、おれはテゾーロ屋から奴の秘密についても聞かされた。正直耳を疑ったが、共有しねェといけねェ」

「ドフラミンゴの秘密?」

「ああ……まず先に言う。奴は()()()()だ!!!」

『――ええ~~~~~~っ!?』

 ローの爆弾発言に、一味は震撼したのだった。




ドレスローザ編では、ゴールデンテゾーロとピーカのビッグサイズなバトルを予定しています。(笑)

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