ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~   作:悪魔さん

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文章を一部変更しました。
ご了承ください。


第11話〝はじめの第一歩〟

 翌日。

 テゾーロの最後の仕上げが終わった頃だろうと、トム達は廃船島へ向かっていた。

「さて、どういう出来かのう」

「テゾーロの仕上げ、楽しみだわ♪」

 すると、廃船島の奥の方でキラキラと輝く何かが。

 それを見て、トム達は唖然とした。

「こりゃあ、たまげた……!!」

「すごいわ……」

「き、昨日はこんなんじゃなかったぞ!?」

「すげェ……金ピカだ!!」

 そこには、キラキラと輝く黄金の船と甲板で伸びているテゾーロが。

 マストや船室、甲板も黄金色であり、海賊達なら喉から手が出る程欲しいであろう。

「お~い、生きとるか?」

「……死んではいないです」

 テゾーロは疲れ切った顔で笑みを浮かべる。

「これがお前さんの能力か……恐れ入ったわい」

「おれは〝ゴルゴルの実〟の能力者……黄金を生み出し操ることができるんです。まァ、これぐらいでどうにかなるでしょう……」

 〝ゴルゴルの実〟の能力で生み出された黄金でコーティングされた船の甲板や内装の装飾は、テゾーロの能力で自由に行使できる。使い方次第では「船が人間を襲う」ような感じになり不用心に侵入した不届き者を仕留めることが可能だ。

 マストやヤード、ロープ、舵、舵輪も全て黄金でコーティングされており、敵に砲撃されたとしてもそう易々と傷はつかないだろう。その上、金は化学的腐食――通常の酸やアルカリ――に対して非常に強い耐性を持つ。〝偉大なる航路(このうみ)〟の異常な海域にも適応できるだろう。

 これにより、一応テゾーロの理想通りの「敵を誘き寄せ確実に仕留める」船が出来上がったという訳だ。

 ただし、ゴルゴルの実の能力はテゾーロ自身の意思でいつでも操れるが、その反面海水に触れると黄金に悪魔の実の支配が及ばなくなり操れなくなってしまう。よってこの船の船底はただの黄金なのである。

 もっとも、船底をコーティングするだけでも船の強度は十分に上がるので何の問題もない。

「ステラ……準備をしよう。出航して早速買い物だ」

「テゾーロ……そろそろなの?」

「そうさ、これからおれ達は海へ出る……このウォーターセブンから、全てが始まるんだ」

 テゾーロの頭の中には、すでに別の計画が浮かんである。

 このウォーターセブンの周辺にある島……サン・ファルド、セント・ポプラ、プッチから手当たり次第買占めウォーターセブンへと流すのが第一の計画だが、実はテゾーロはある町に注目している。

 町の名は、モックタウン――かつて栄華を極めた黄金都市「シャンドラ」が存在した春島・ジャヤにある町だ。モックタウンは「嘲りの町」とも呼ばれてもいて、海賊達の落とす金によって成り立つ海軍が放置する程の無法地帯だ。

 もしこの町の治安を善くし、様々な島から訪れる人々で賑わう町に変えたらどうなるだろうか。海軍が放置している無法地帯を改善化させれば、政府からも評価され何らかの形でコンタクトも取れることが期待される。

(それに、レイリーにも会いたいよな)

 テゾーロはギャバンの下で〝武装色〟の覇気の習得に励んでいるが、神からの特典で〝覇王色〟を扱えるようになっている。また、〝見聞色〟の覇気もマスターして万が一にも四皇や王下七武海、新世界の大物海賊と戦うハメになっても生き残れるように強くなってなければならない。

 やるべきことはたくさんあるが、全ては世界を変える革命の為である。

「成程……黄金の船として海を漂えば、放っといても海賊達が寄ってくる。そして乗り込んだところを〝ゴルゴルの実〟の能力で仕留める、といった感じか」

「ギャバンさん」

 斧を携えたギャバンが、テゾーロに近づく。

「実に合理的じゃねェか。海賊達の欲望を逆手にとった、ネズミ捕りだ」

 むやみやたらに敵船に乗り込むのは危険を伴い、下手すれば船を奪われてしまう。ならば、敵を自分のホームグラウンドに誘き寄せ一網打尽にした方が被害は最小限に済み効率もいい。

 それを見据えたテゾーロの仕上げには、さすがのギャバンも感心する。

「黄金の船である以上、砲撃で沈めるという勿体無いマネはしない……海賊達は必ず近づいて制圧しようと乗り込むはずです」

 その時、トムが何かを携えてテゾーロの元へ駆けつけた。

「いやはや、これを渡すのを忘れとったわい」

「これは……!」

 トムが渡したのは、ウォーターセブン周辺の海域を記した海図だった。

「処女航海で迷子じゃ、話にならんじゃろ?」

「確かに」

 そう苦笑いしながら海図を受け取るテゾーロ。

「処女航海が成功することを祈るぞ!!」

「心配せずとも、この町を〝偉大なる航路(グランドライン)〟屈指の(みやこ)にさせてみるさ」

 テゾーロはトム達にそう告げ、船に乗る。 

 そして船を縛っていたロープを全て外し、錨を上げる。

(さァて、いっちょ稼ぐとしますか!!)

 たった3人――正社員2名と非正規雇用1名――で始まった、テゾーロ財団の貿易。

 これが全ての始まりであり、テゾーロを世界一の男へと成り上がる第一歩でもあった。


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