縦横の時間軸の奇跡   作:八幡主義

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比企谷八幡④

昨日強制的に入部させられた部活こと、奉仕部(あの雰囲気の中、雪ノ下に改めて聞くと簡単に教えてくれた)だが、俺も早くB級に上がりたいし、上層部も俺という戦力を遊ばせたくないから、週二回の奉仕活動で手を打ってくれた。

今日はその部活動がないから、ボーダー本部に来ている。今のポイントは一色から巻き上げた・・・いや貰った500ポイントで既に3260だ。これは今日で740ポイントゲットしてB級に昇格か?・・・油断はいかんな。もしかしたら今までの奴らが弱すぎただけかもしれんからな。

 

「ハチ、今日は部活じゃないのか?」

 

「あ、お兄ちゃん」

 

ブースに行く途中で、姉貴に声を掛けられた。その隣に小町もいて、俺たちは歩きながら話をする。

 

「ああ、早くB級になりたいから週二回にしてもらった。それよりこんなところで家族が揃うとはな」

 

「そんなに珍しい事ではないだろ。私と小町はよく一緒に行動する。宿題の事とか、受験の事とかでな」

 

「あぁ、姉貴が付いてりゃ安心だ。てか小町はどこに行きたいんだ」

 

「ふっふっふっふっふっ、よくぞ聞いてくれました」

 

「ふぉっふぉっ的なノリで笑うな、バカそうなのがより一層バカそうに見える」

 

「話の腰を折らないで!・・・小町が目指している高校は、総武高校でーす!!」

 

「・・・まぁ、予想通りだな。ボーダーと提携している高校の方が防衛任務がやりやすいからな」

 

「そんな陳腐なリアクションは求めていません!!・・・もう、お姉ちゃんとお兄ちゃんの母校に行こうって言うのに。あ、今の小町的にポイント高い!」

 

「はいはい、高い高い」

 

そんなくだらない話をしていると、C級が数多存在しているブースに到着した。

 

「そう言えば、ポイントはどれくらい取れたのだ?ハチの事だから2000はいってると思うが」

 

「あ、それ小町も気になる!小町的には1900かな?」

 

「君たちはどれだけ俺の評価が低いんですかね」

 

そう言いながら俺は手の甲にあるポイントの表示を見せた。

 

「「・・・3260!?」」

 

「ふっ」

 

姉妹は二人そろって驚いた声音を発した。

 

「すごいね、お兄ちゃん!!こんな短い時間でもう3000になっているなんて!!」

 

「そうだろ、今日で俺はB級になるつもりだ」

 

「・・・・・」

 

妹は褒めたたえてくれたが、姉は何かを考えているようだった。

 

「どうした、姉貴?」

 

「・・・いや、私が前に言っていた長距離スコーピオンや、弧月との耐久力対決をしたのだろう?」

 

「ああ、した。それに俺だけしかできないスコーピオンの技も作り出したぜ」

 

「それは何よりだが・・・ハチはどこまで自分のスコーピオンが伸びるとか広げれるのかとかしたのか?」

 

「・・・そういえばしていないな。でも必要最低限にしてても良いんじゃないのか?そんな無駄にスコーピオンを伸ばしても使い道がないし」

 

「可能性の話だよ。それに鎧とか、巨大な剣とか、色々な可能性があることを自覚しておいた方が良いぞ」

 

「姉貴に言われなくてもそうしているつもりだ。でも、そういう事をしているとB級に上がるタイミングを逃してしまうからあんまり遊び感覚にしたくないんだよな」

 

「それなら問題ないだろ。3000も稼げていたら六月から行われるランク戦には十分に間に合う。ま、それはハチがチームを組んでやっていくのなら、の話だけど」

 

・・・そうか、俺はチームの事を考えていなかったな。確か戦闘員一人とオペレーター一名でチームは結成できるんだっけな。誰か適当な人はいないのかねー・・・目の前にいたな。

 

「・・・姉貴は今、ソロなんだよな?」

 

「!ああ、そうだぞ。それに私はオペレーターもできるぞ。そして今、この瞬間だけ誰かのチームに入っても良いと思っている」

 

なるほど。姉貴は俺を誘わせようとしているのか・・・

 

「俺がB級になったら俺に付いて来てください」

 

「うむ、潔くて何よりだ」

 

よく考えたら、この機を逃せばソロのB級のまま終わりそうだった。

 

「えぇ!!?小町だけ仲間はずれじゃん!!」

 

「それは仕方ないだろ。それに俺のチームの戦闘員は俺だけで十分だ。スコーピオン一つですべての距離をカバーできるんだからな」

 

「えぇー」

 

「まぁ、さっきの限界がどこまでとかをやってくるわ」

 

俺がブースに入ろうとするが、俺の肩を誰かに掴まれた。

 

「ちょっと待て。どうせなら私がその実験に付き合おう」

 

「・・・正隊員と訓練生ってランク戦できるのか?」

 

「ポイントの変動は起きないが、やるだけならできるぞ」

 

「あ、面白そうだから小町もやる!」

 

「・・・・・正隊員の方が訓練生よりやり応えはあるか。じゃあ、お願いするわ。てか姉貴と小町のポイントっていくらくらいなんだ?」

 

「私は弧月とバイパーが16000台だ」

 

「小町は全部の狙撃手用トリガーが10000くらいだよ」

 

「・・・あ、そうですか・・・勝てる気がしねぇ」

 

そうして、俺の訓練に二人が手伝ってくれる形となった。

 

 

 

「まさかあそこまで届くとは思わなかったぞ。それになんだあのデカいのは、規格外にもほどがあるだろう」

 

「・・・まさかスナイパーの小町が、アタッカーのお兄ちゃんと長距離で戦って、引き分けなんて」

 

「最初の方は負けてたけどな」

 

姉貴と小町でそれぞれランク戦をして、姉貴には6-4で俺が負け、小町には5-5で引き分けになった。手を抜いてくれていたと思うが、抜きすぎだろう。ちなみに、それぞれ六回と五回負けた後、四回と五回勝った。

回を重ねるにつれて相手の動きや、それに対応できるようになったが、そんなに早くできるわけないから手を抜いていてくれていたんだろう。

 

「あら?八幡くんじゃない」

 

三人でロビーで話していると、聞き覚えのある声が俺に向けられた。

 

「え・・・り、涼子さん」

 

やっぱり女の人の名前を呼ぶのは抵抗があるな。それに涼子さん以外に人がいるしな。

 

「あ、やっほー」

 

「陽乃と涼子の知り合いなの?」

 

涼子さんの他に、雪ノ下さんに、知らない女の人が二人いた。

 

「四人が一緒とは、どういう了見だ?傍から見たら女々しいぞ?」

 

「全員がここに用があるって事だったから一緒に来たのよ。それよりここに狛枝くんっていない?」

 

ストレートのロングヘアの女性がそう答えた。・・・狛枝って苗字のやつが俺の他にいたんだな。

 

「私は八幡くんに用事があるのだけど・・・」

 

「美香子と一緒に面白そうなことがあるかどうか見るついでに、ランク戦をしようと思ったんだー」

 

「最近はあまりないのよねー、面白いことが。いっそのことテロでも起こってくれないかしら?」

 

・・・・・あぁ、涼子さんだけだな、まともな回答をしたのは。あとの二人は関わりたくねぇ。

 

「彼は誰なのかしら?真弓」

 

「こいつは私の弟だよ、望。こう見えても優秀なのだぞ」

 

「へぇ、彼が真弓の言っていた弟さんなのね。だけど、貴方のお墨付きだとは言え、家族だから少し色眼鏡で見たんじゃないの?」

 

「失礼な。私は少しも色眼鏡を掛けてはいない。それにそういうことをしないことは望が一番知っているだろう?」

 

「えぇ、真弓とはこの中で一番仲が古いものね」

 

「そうい事だよ。ついでに言えば、私の弟はスコーピオン一つで私に四回勝ったぞ」

 

「「「「!?」」」」

 

その言葉で四人が驚いた表情をしているが、手を抜いてもらったんだからそんなに驚くことじゃないだろう。

そんな俺の表情を察してかどうかは分からないが、姉貴はすぐにフォローを入れた。

 

「ハチ、私は戦う相手に敬意を表しているから手を抜いたりなど一切しないぞ」

 

「や、敬意を表すとかじゃなくて、俺の実験なんだから少しは手を抜いてくれても良かっただろう」

 

「それをすればハチのためにはならないだろう」

 

「そりゃ、そうだけど・・・」

 

「ちょっと、待って。その話詳しく教えて」

 

話を真剣に聞いていた涼子さんが割り込んで話の説明を要求してきた。俺たちは別に隠すつもりはないから、適当に教えた。

 

「・・・・・もしかしたら八幡くんのサイドエフェクトが分かるかもしれないわ」

 

「比企谷くんはサイドエフェクトを持っていたの?」

 

考え込んでいた涼子さんがそんなことを言ってくれたからこちらはビックリするしかない。ついでにロングヘアの人も反応した。

俺は期待のまなざしで見ていたら、涼子さんが俺の目の前まで来た。

 

「また、ごめんね」

 

そう言うと彼女は、あの療養所の時みたく俺の身体の匂いを嗅ぎ始めた。

 

「えぇー、またですか」

 

「スンスン・・・ん・・・お姉さんにまた匂いを嗅がれるのは嫌?」

 

俺のためにやってくれているからここは否定しないと。

 

「いえ、全く全然」

 

「そう、良かったわ」

 

「・・・!」

 

不覚にも彼女の笑顔は少しキュンとした。ま、女の人がこんなに近くにいて緊張しているドキドキと勘違いしているだけだと思うけど。

前の時は三分くらいだったが、今回は数十秒くらいで事を終えた。

 

「・・・ふぅ、ごちそうさま」

 

「おい、変態。うちの弟を汚すな」

 

「失礼しちゃうわ。これはれっきとした診察なのだから」

 

「ならその嬉しそうな顔を止めろ」

 

この人は毎回笑顔だけど、何がそんなに良いのだろうか。

 

「それじゃあ、今回分かったことを教えるわね。私のサイドエフェクトはサイドエフェクトの有無を判別できるけど、それ以外にもどのランクの物かって匂いを嗅ぎ分けられるの。そして彼の場合は少し前に使用していたサイドエフェクトが一番濃い匂いがしたわ」

 

「・・・なるほど。だから匂いの判別に時間がかからなかったわけか」

 

「もしかしてもっと嗅いでいて欲しかった、八幡くん?」

 

「いえ・・・それより分かったことは?」

 

「じらさなくてもきちんと教えるわ。貴方のサイドエフェクトは、前回間違っていたのだけれど、五つあるわ。そしてその内の匂いが濃かったのは二つ」

 

「へぇ、比企谷君のサイドエフェクトって五つあるんだ!!!」

 

それを聞いて、そこにいた雪ノ下さんが、ここにいるみんなに向かって聞こえるように大きな声でその事実を言った。当然こんな目立つような集団がそんなことを言ったら、周りも騒然とするだろう。

 

「陽乃、次に弟に迷惑な行動を取ろうとしたら容赦しないぞ?」

 

「・・・もー、真弓はブラコンなんだから」

 

横にいた姉貴がそれを制して雪ノ下さんを諫めた。

 

「話を戻すわよ。ずっと考えていたの。真似をするとか、そういう風なものはどこが発達すればなるのか、と。そして思いついたの、ミラーニューロンが発達していればすぐに真似をすることは可能だって」

 

「・・・ミラーニュートン?」

 

「小町、バカだと思われるからやめなさい。ミラーニューロンってのは通称ものまね細胞とも呼ばれている。人の動きを真似をして技術を身につけたり、他人の気持ちに共感することができるのはミラーニューロンがあるからだと言われるやつだ」

 

小町がニュートンとか馬鹿な事を言うから俺が事細かく説明してやった。ま、これでも小町は分からないと思うがな。

 

「八幡くんに全部言われちゃったけど、要はそういう事よ。これならすぐに真似できたのも納得できるわ。それに信じられないなら八幡くんの脳をスキャンすれば分かることだわ」

 

ふむ、そうなのか。・・・・・分かったからって何か変わるとかではないと思うんだが・・・

 

「ハチ、知らなくて使っているのと、知っていて使っているのでは力の出方は違うぞ。これからは意識してやってみろ」

 

「・・・分かったよ」

 

「・・・・・」

 

姉貴は毎度俺の考えが読めるんだが、これは何かの力が作用しているのか?それともただ俺が顔に出やすいだけか?

そんな中、涼子さんは姉貴の事を見てずっと黙っているが、次は何を考えているんだ?

 

「・・・んっ!涼子、私の事を見ていないで早く次のサイドエフェクトを言え」

 

「あ!ごめんなさいね。・・・そして私は次の事も思ったの、人の真似をしても、それは自分の許容量を超えていないものしかできないって。でも真似をするにつれて自分の望む形に進化しているなら話は別だと思うの」

 

「進化?」

 

「そう。自分の許容量に限界がなければいくらでも真似できるわ。それにさっき二人と戦った時の話を聞いた時にピンと来たわ、真弓の正確な攻撃を理解し、数多の攻撃に目を慣らすことができたならその後勝つことも可能だって。真弓は後半につれて手を抜いたって事はないんでしょう?」

 

「当たり前だ。むしろ攻撃の手を強めながら行った」

 

「これらの事から、八幡くんの二つのサイドエフェクトの名称は『強化神経細胞』と『強化進化』となるはずよ」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

・・・なんかすごいことを聞いた気がする。いや、俺の事だか。周りもこのことを聞いて沈黙が続いている。

だが、そんな時に、ボリボリと何かを食いながらこちらに向かってくる音がロビーに鳴り響く。

 

「あれ?みんなどうしたの?」

 

一斉にその場の全員が声の方に顔を向けると、そこには俺の命の恩人であるサングラスを首にぶら下げている男がいた。

 

「・・・迅くんか。いつもの暗躍は良いのか?」

 

姉貴が一番最初に反応したが・・・暗躍は良いのか、とか面と向かって言う言葉ではないだろう。

 

「大丈夫ですよ、比企谷さん。ここに来たのも暗躍の一部ですから」

 

「ほぉ、なら誰かに用があるのか?」

 

「そういうことです」

 

そう言うと、迅と呼ばれた人は俺の方を向いた。そして俺の近くに来た。

 

「はじめまして、狛枝八幡くん。あの時ぶり」

 

「狛枝?」

 

やべぇ、この人ここでその名前を呼ぶのか!そこにいる自己紹介をいまだに受けていないお姉さんが反応しちゃっているよ。

 

「ちょっと借りてきますよ。ついて来てくれ」

 

迅さんはここで話すつもりがないらしく、俺に付いてくるように言ってきた。俺はこの場を乗り切る好機だと思い抵抗せずに後ろについて行きロビーを後にした。

 

 

 

「改めてはじめまして。おれは実力派エリートの迅悠一だ」

 

!この人が姉貴の言っていた未来視の人か。

 

「・・・何か用があるんですよね?そうじゃなければ、あの場面から抜け出したりしませんよね」

 

「お、勘が鋭いね。じゃあ本題に入るけど、その前に俺のサイドエフェクトの話は聞いてる?」

 

「はい、未来予知って聞きましたけど」

 

「そう、俺は一度見た人の未来が見えるんだ。・・・それより近々起こる大規模侵攻について知ってる?」

 

「・・・・・え、大規模侵攻が起こるんですか?」

 

「その様子じゃ聞いていないようだな。近いうちに必ず起こる、おれのサイドエフェクトがそう言っている。そして本題はここからだ」

 

まじかよ、そんなの姉貴からも聞いていないぞ。・・・いや、俺はまだC級だからって事か?それならありえるかも。

 

「今回の大規模侵攻は、君が居なければ、ほぼ高い確率でこちらが最悪の形に終わる」

 

「!・・・なんで訓練生の自分がキーになっているんですか?」

 

「それはまだ分からないけど、君がボーダーに入る前は最悪の未来しか見えていなかった。けど今おれが見ている未来は最悪とそうじゃないのが五分五分になっている。できれば逃げるだけじゃなくて、敵を多く引き付けてくれていると助かる」

 

「・・・訓練生に言う言葉じゃないですね」

 

「無茶と思うかもしれないが、君は絶対にしてくれる。おれのサイドエフェクトがそう言っている」

 

「・・・・・まぁ、善処します。貴方には助けてもらった借りがあるんで」

 

入隊してから即ボーダー壊滅とか笑えないからな・・・・・ま、市民を守るという名目で、姉貴と小町を守りますか。

それに今の俺は負ける気がしねぇ。




次回から大規模侵攻です。
誤字・脱字、感想、アドバイス等待っています。

現在公開できる資料

比企谷八幡
ポジション:アタッカー(なお、この資料はC級当時のものである)
トリオン:156
攻撃:9
防御・支援:7
機動:7
技術:10
射程:8
指揮:2
特殊戦術:7
TOTAL206
SIDE EFFECT 強化神経細胞・強化進化・????・????・????

一色いろは
ポジション:シューター
年齢:16歳    誕生日:4月16日
身長:159cm   血液型:B型
星座:はやぶさ座 職業:高校生
好きなもの:お菓子作り、自分磨き、買い物
トリオン:6
攻撃:5
防御・援護:6
機動:4
技術:6
射程:3
指揮:3
特殊戦術:2
TOTAL35

雪ノ下隊(区別しようと検討しているがいまだに実現していない)
・雪ノ下雪乃(隊長)SH
・桐崎千棘AT・・・原作「ニセコイ」より
・由比ヶ浜結衣AT
・涅ネムOP・・・原作「BLEACH]より

葉山隊
・葉山隼人(隊長)AR
・三浦優美子GU
・戸部翔SN
・海老名姫奈OP

相模隊
・相模南(隊長)GU
・折本かおりAT
・戦刃むくろAR・・・原作「ダンガンロンパ」より
・江ノ島盾子OP・・・原作「ダンガンロンパ」より

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