縦横の時間軸の奇跡 作:八幡主義
ボーダーという組織があることで、奉仕部部員が変則しています。
誤字・脱字、感想、アドバイス等を待っています。
俺は一応高校に通っている。三門市にある進学校である総武高校。ここにはボーダー隊員が数多在学している。俺が所属しているクラスは2-F組だ。
前まではバイトばかりでクラスの親睦会とか意味のないものには参加していなかったし、もちろんのこと部活なんてしていない。
でもバイトばかりしている俺でも学年順位は一位だ。全国模試でも一位を取ったこと以外ない。素行は誰が見ても悪い所はない。授業中はくだらない授業内容を淡々と聞き続け、欠席・遅刻など一切ない。
そんな俺が今、職員室の一角に呼び出されている。
「比企谷、なぜ君が呼ばれたか分かるかね?」
2-F組の担任であるアラサー教師こと平塚静によって呼び出されていた。
「いえ、まったく」
「・・・・・これのことだよ」
平塚先生は俺の前にとある見覚えのある紙を取り出して突きつけてきた。題名には『高校生活を振り返って』と書いてある。
「これが何なのかはわかるだろう?」
「これは自分が前に提出したレポートですよね。それがどうしましたか?」
「どうしましたかじゃない。この内容はなんだ?『バイトのことしか思い返せませんでした。授業も低能な事ばかりしているので退屈で仕方がなかったです』だと」
「正直でいいじゃないですか。友達とかと遊びましたって書いたって自分の素行を知っている貴女なら嘘だと気が付くでしょう?それにそんなことは予想できますから」
「はぁ、君の目は死んだ魚のようだ」
「そりゃどうも。キラキラしていて表だけを見ているよりかはマシですから」
「・・・君に夢はあるのか?」
「夢なんて必要なんですか?それに今生きていることで精いっぱいなので考えたことがありません。でも頭空っぽなら夢は詰め込めそうですね」
「・・・次から次へと」
先生はあきれながらため息をつく。
「確か君は部活をしていなかったよな?」
「はい。記した通りです」
「それに最近ボーダーに入ったばかりだったな」
「そうですけど・・・この質問になんの意味があるんですか?」
何か不穏だな。もしかしたら先生がボーダー関係者とかだったりして・・・
「・・・そういえば、この学校では公表していなかったな。私は一応ボーダーに所属している教師兼臨時ボーダー隊員だ」
・・・最近、驚いた記憶がないな。なんか前もって知っていたような、そんな感じがするんだよな・・・勘とか?
「はぁ、そうですか」
「反応がつまらんな。もっと顔が引きつるとかあってもいいんじゃないのか?」
先生は何を期待していたのかは容易に想像できるが、そのつまらなそうな顔は腹が立つ。
「別に驚くほどのものではなかったので・・・それより知っていますか?先の謎のネイバー侵攻の件」
「ああ、一人の男が呼び寄せたというあれか。しかしなぜC級の君が・・・」
「あれ、自分がその男ですよ」
「・・・・・はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!????」
先生は職員室全体に聞こえるくらいの音量で叫んだ。・・・やべぇ、他の先生がこっちを見てる。恥ずかしくないのかな、この先生は?
「あ、あの死傷者がゼロなのに大規模な侵攻だった事件がか?」
「そう言ってるじゃないですか。それよりボーダーの人に知らされてないんですか?」
あんなに大規模だったのにある意味首謀者の俺を知らせていないんだな。気づかいか?
「・・・ああ、私もあの場に居合わせていたが、詳細については言及してはいけないと上の人から全隊員に通達されたんだ。知っているものもいるが、それは直接君の顔を見たものだけであろう」
・・・・・あれ?これって、俺言っちゃいけなかったやつなのか?
「心配しなくとも、箝口令がしかれている以上、私から他者に喋るつもりはないよ、安心したまえ」
「酔っぱらって喋らないでくださいよ」
「ぐっ、それは明確にうなずけない・・・というかなぜ比企谷が私が飲むと知っているんだ?」
また、これだ。何か最近しているようで、本当は知らないことが頭に浮かび上がってきているんだよな。なんでだろう。とりあえずここは適当にごまかしておく。
「・・・タバコを吸っているので何となくそう思ったんですが・・・当たってましたか?」
「・・・ああ、当たってるよ・・・そう言えば最近、婚活でそのことに触れられて逃げられたなー」
なんかやばい部分を引き出してしまった。・・・こういう時、普段の俺ならスルーするが、そうした場合この人なら愚痴に付き合えとか言いそうだ。授業中にもそんな話をしだしたこともあったし。
・・・フォローしたらしたで、このルートに行きそうなのも俺の気のせいか?話題転換が一番いいルートに思えてきた。
「先生は俺に何か用事があるんじゃないんですか?ないのならボーダー本部に行ってポイントを溜めたいのですが」
「ああ、すまない。少し付いてきたまえ」
先生は咳払いをした後、ついてこいと指示を出した。ついて行っても面倒な気がするが、それに歯向かった場合の方が面倒な気がしたから素直について行く。
先生に連れられて来た場所は、いつもの学び舎とは少し離れたところだった。
「雪ノ下、入るぞ」
先生はノックもせずに扉を開けて入っていった。気配で察知したところ、中には先生の他に三人いる。一人はロングの黒髪で美人の類に入るであろう女生徒がいた。あとの二人はここからでは確認できない。
「先生、ノックをしてください」
「おお、すまんな」
「それで後ろのぬぼーっとしている彼は?」
「彼は入部希望者だ」
「は?そんなこと一言も言っていませんよ」
「これは強制だ。君は少し人との交流を持つべきだと思うが?」
「・・・そんなもの姉と一緒にいたら嫌でも交流すると思うんですが。先生も知っているでしょう?二年前に卒業した比企谷真弓という人を」
「・・・ああ彼女か・・・まさか」
「そのまさかですよ。その人は自分の姉貴です。あの人は必要だと思うものは力ずくでもしようとしますが、意味のないものはしません。姉貴はしようとしないので持つべきではないと思います」
姉貴の有能さを知っている先生ならば、俺の更生が無駄な事は分かってくれるはずだ。まぁそもそも俺には更生なんて必要ないけど・・・・・・・・・・・?俺は何を思っているんだ?なんで俺は更生という言葉を使っているんだ?先生が言っていたのは環境の改善だけじゃないか?
「彼女が姉なのか・・・それなら心配いらないのか?」
「失礼ですが、彼は姉に左右されるような人ならば直さないと自立できないと思いますが?」
「はっ!!姉の背中を追い続けてここにいる奴が何を言っているんだ?」
「っ!!!???」
俺の言葉に雪ノ下と呼ばれた女は目を見開いて驚いている。
・・・まただ。なんでこんなにすらすらと言葉が出てくるんだ?それに俺はこいつの事を全く知らないはずなのに姉がいるなんて知っているんだ?・・・あの侵攻事件からこういう事が多いな・・・なにかの・・・まさかな。
「ちょっと!!いきなり何を言うんだし・・・って、ヒッキー!?」
「何ですか?人がティータイムをしている時に・・・せ、先輩!?」
俺と雪ノ下が嫌悪な雰囲気になりそうなときに、俺の角度じゃ見えていなかった二人が突っかかりながら姿を現した。まぁその後に俺を知っているような言葉を発した。あとの奴は最近会ったばかりの面倒な奴だ。
「なんだ、由比ヶ浜は同じクラスだからともかく、一色も比企谷を知っているのか?」
・・・こんなビッチ、クラスにいたっけ?・・・だめだ。俺はクラスメイトのことなんて一切覚えていないから思い出そうとしても無駄だった。
「比企谷?誰ですか、それ?そちらの先輩は狛枝っていう苗字じゃないいんですか?」
「・・・悪いな、一色。知らない人には素性を知られたくなかったから」
「なんですかそれ!?そのくらい教えてくれても良いじゃないですか!?」
「・・・・・いや、面倒だし」
「何が面倒なんですか!?」
「はいはい、そういうところですよ」
「いろはちゃんってヒッキーと知り合いなの?」
雪ノ下についていた名前の知らない誰かが疑問に思っていたことを口にしてきた。
「聞いてくださいよ、結衣先輩!!あと少しのポイントでB級に成れたのに、この人のせいでポイントが一気に500も取られたんですよ!!」
「えぇ!!いろはちゃんまだC級だったの?てっきりもう成ってたと思ってた・・・てかヒッキーひどくない!!?」
「勘違いするな。俺が故意にしたわけじゃない。こいつが勝手に挑んできたから、俺が受けてそういう結果になったんだよ」
「・・・こい?恋?」
「故意っていうのわざとっていう意味だ。さすがに分かるよな?」
「あ、当たり前だし!そんなことわかってるし!!」
こいつは身体もゆるそうだが、頭もゆるそうだな。
「ゴッホン!!」
俺と二人が話しているところに、平塚先生が無理やり会話を終了させる咳払いをした。
「兎に角、この部活に入りたまえ。そして奉仕活動を命ずる」
「えぇ・・・!入るのは良いとしても」
部活動を阻止するために、俺は俺の危険要素を挙げることにした。幸い、俺にはとっておきの切り札があるからな。
「何だ?」
「部活動中に、先の事件が起こるかもしれませんよ?」
俺は姉貴から、もっとも優秀な逸材にして、もっとも危険な要素だと言われた。重要視されているところがネイバーでもこっちでも一緒だから仕方がないことだけど。それに部活動は放課後だからボーダー隊員が少なくなっている時間帯だろう。
しかし、俺の予想はことごとく論破された。
「そこは問題ない。私がいるし、雪ノ下と由比ヶ浜はボーダーのB級上位だから対処できるだろう。それに何かアドバイスをもらえるかもしれないぞ?」
「・・・そっすか。それなら安心っすね」
「部活動に励みたまえ」
俺の返答を聞いた平塚先生は、満足した顔で教室から退室していった。残ったのは暗い顔をした雪ノ下と俺の方を見ている由比ヶ浜と呼ばれている女と一色だけだ。
「・・・・・座れば?」
暗い顔を元に戻した雪ノ下が冷たい声音で俺にそう促してきた。
「あ、ああ」
俺はコミュ障さながらな返答をして、後ろに大量に積まれている椅子や机から椅子を一脚取り出して雪ノ下から結構離れている場所に陣取る。
そこからは少しの沈黙が支配するが、唐突にそれを破壊するものが声を出した。
「貴方が依頼者なのだから、自己紹介くらいしたらどう?」
相も変わらず、冷たい態度でこちらも風邪を引きそうですよ。
「・・・2-F、比企谷八幡。こちらは自己紹介をしたぞ?そっちの名前を聞きたいんだが?」
「あら、私の事を知らないの?」
「・・・?有名なのか?生憎俺は他人に興味はないからな」
「それは重症ね。人に興味がなくて、よく生きてこられたわね。私って自分で言うのもなんだけど、美人よね?」
「まぁ、一般人の感性からしたらそうなんじゃね?」
「そして学年で2位の成績だから、目立っても仕方がないと思うの」
「そうだな。そんな自慢気に言うくらいだから、そんくらい高くないとな。でも俺が1位だから、ここで1位とか言ったらびっくりだわ」
「・・・は?」
俺に対しての冷たい態度が、俺の一言で、理解していないような唖然とした顔を見せてくれた。
「も、もう一度言ってもらっても構わないかしら?」
「だから、これまでの中高の試験は、学年総合、各科目どちらも一位しか取ったことがないぞって言った」
ここぞとばかりの反撃に出る。さっきまでは俺の容姿を見て劣っていると決めつけていた下郎な輩を成敗するためにな。
「もしかしてご存じなかった?この学年一位しか取ってこなかったこの比企谷八幡を。2位が有名なのに1位が有名じゃないのは可笑しい」
「-っ!!調子に乗らないでくれる?たかだか1位を取ったくらいで・・・」
「2位を自慢していたのはどこの誰だったかな?」
雪ノ下が撃沈したことだし、他の面々と自己紹介はしておくか。部活動はするって約束だし。名前の知らない人を部活仲間と呼ぶなら別だけど。
ていうか俺の知らないやつは一人だけだからさっさと終わらせよう。
「・・・えー・・・誰だっけ?」
由比ヶ浜というのは覚えているが、こう言った方が自己紹介をしやすいだろう、たぶん。そもそも由比ヶ浜というのも合っているか分からないからこう言った。
「は!?まじありえないし!!人の名前くらいちゃんと覚えとくし!!私は同じクラスの由比ヶ浜結衣!!今度そんな事聞いたら許さないから!!」
ほら、こんな感じで感情的になってくれる相手がいるから・・・・・逆に「思い出したら?」とか言われたら俺はそいつの事を名無しの顔見知りと心の中で思っていないといけない。
「・・・善処する」
「・・・?」
ああ、このアホの子は扱いやすいから安心した。分からないような単語を並べれば考えてくれるからな。
考え込んでいるアホは置いといて、俺は先日会ったばかりの後輩に目を向ける。
「こうやってまた会えるなんて運命ですね!先輩!」
「はいはい、そうだな」
「これも平塚先生に感謝しないとですね!」
「・・・っ!?」
・・・この子は、こんな恐ろしいことを素で言っている・・・だと?
「お前、それを平塚先生に言わない方がいいぞ?」
「何でですか?」
「運命の相手を求めている相手に運命の出会いをしたとか言ったら流血ものだぞ?・・・それにお前は平塚先生の伝説を知らないのか?」
「伝説?」
あぁ、あの伝説は語り継がれていないのか。
「・・・あれは俺が一年の時の話か。二人のカップルが平塚先生のところを訪れたのが始まりだった。そのカップルは平塚先生にこう言ったそうだ、『婚姻届はいつ出せば良いですかね?』と。この時、平塚先生の脳内には、嫉妬と憎悪、それに焦りが溢れ出たであろう。その時はまだ事なきを得たが、次の日から平塚先生の地獄の裁きが始まったんだ」
「さ、裁き?」
「そうだ。ターゲットをカップルに絞った完全なる嫌がらせにして嫉妬の炎を燃やした事件がな」
「あぁー、それ私も知ってる。私のまわりじゃ特に何も起こらなかったけど、ほとんどのカップルが分かれたっていう話でしょ?」
「・・・えっ?」
「まず、カップルがこそこそとしている不純異性交遊を片っ端から発見して学校側に伝えたり、カップルの一方が二股とかしていたら、もう片方に伝えて関係を崩したりした。そして平塚先生の前でいちゃいちゃするカップルはいなくなったとさ・・・ま、平塚先生もやりすぎだと上から言われたらしいけど、その時の彼女の顔は輝いていたらしい」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
いつまにか復活していた雪ノ下も、由比ヶ浜も、一色も俺の話を聞いた後は、なんとも言えない雰囲気となり、重い空気がこの教室に漂った。
そして完全下校を知らせるチャイムが鳴り響いた。
「・・・その、帰りましょうか」
「そうだな。・・・悪いな。こんな話をして」
「・・・いえ、改めて平塚先生のきけ・・・おそろ・・・危うさを知れたのだから」
こういう雰囲気になりさえすれば、その後の態度は誰でも、しおらしくなることを知れて良かったな。こういう風に雪ノ下といがみ合った態度で別れずに済んだからな。・・・でも二度とこの雰囲気にはしたくないな。
俺は一つ学んだ。
現在公開できる資料
雪ノ下陽乃
ポジション:シューター
年齢:19歳 誕生日:7月7日
身長:165cm 血液型:B型
星座:つるぎ座 職業:大学生
好きなもの:妹、親友、おもちゃ、読書、旅行
トリオン:16
攻撃:9
防御・援護:10
機動:5
技術:9
射程:7
指揮:8
特殊戦術:5
TOTAL69