縦横の時間軸の奇跡 作:八幡主義
雪ノ下陽乃という人から自己紹介を受けたが、正直俺にとってはどうでもいい。妹の隊長というだけで、それ以外接点を持たないし、持つつもりもない。
「・・・はぁ、どうも」
「それで、何をしていたんだ?」
「私と小町ちゃんが一秒を切ったていう期待の新人を見に行こうをしたら、道すがらにそこで寝ている玲ちゃんが苦しそうにしているのと、玲ちゃんについているくまちゃんを発見したからここに連れて来たの。そしたらそのあとちょっとして真弓が知らない男の子と来たから、彼氏か!?と思って盗み聞きしていたの!」
失礼だと思ったが、ベットで寝ている人とやらを見た。今は規則的な寝息をしているから安心なんだろう。ベットのそばにはくまちゃんと呼ばれる黒の短髪の人がこちらを怪訝そうに見ていた。
「そうか。それは良くやったが、後者の話はどう考えても行儀がよろしくないだろう」
「でも気になったんだから仕方がないじゃん」
「どこが仕方がないんだ」
雪ノ下さんと姉貴はさっきの口調からして、やっぱり結構仲がいい間柄なんだな。ていうかこの空間には俺しか男がいないから居づらいんだが。
「それより・・・」
雪ノ下さんが話を区切ったと思えば、俺に視線を向けてきた。
「サイドエフェクトが四つって凄いね!」
彼女は俺に近づいてきて俺の顔に笑顔で顔を近づけてくる。普通ならばドキドキしている場面だろうが、生憎俺だからドキドキしないし、むしろ鬱陶しいと思っているまである。
「比企谷家はみんなすごいね!小町ちゃんも真弓も、比企谷くんも全員がサイドエフェクトを持っているなんて!」
「小町も?」
ちょっとしたことで驚いた俺は小町の方を向くと、指をVの形にしていて自慢しているように見えた。
「まぁ、一番すごいのは君なんだけどね」
「は?」
俺より小町の方がすごいだろ、自分の力で頑張っているんだから。俺なんてまねているだけだし、これがサイドエフェクトだと分かっていない不完全な存在だ。
「トリオン兵が他の人を見向きもせずに君に一直線。それに加えて素人で一秒台を切る。もう一人の方は例外だから置いとくとしても、君が恵まれすぎているのことは自覚しておいた方が良いよ?」
「・・・・・」
恵まれている、か。それは俺の過去がそれのお陰で不幸になったってことか?ならこんな才能は無かった方が良かったな。そうすりゃ、じいちゃんやばあちゃんは死ななかったのかもしれないのに。
「陽乃にしては珍しく良いことを言うな」
「珍しくじゃないよー・・・それで!」
「?」
「B級に上がったら、私の部隊に来ない?そうすれば力の使い方も教えてあげるし、存分に暴れられるよ!」
「・・・・・」
「陽乃!私の弟に手を出すな」
「えぇー!真弓は本当にブラコンだなー!それじゃあ怖い人にこれ以上怒られる前に私は帰るね!小町ちゃん行くよ」
「はーい。じゃあね、お兄ちゃん、お姉ちゃん!!」
嵐のような人が過ぎていったな。あれとは二度と関わりたくない。疲れるし、面倒だし。
すると、姉貴は心配そうな顔をしてこちらに話し掛けてきた。
「ハチ、あいつには・・・」
「姉貴。俺が面倒な人のところに行くと思う?」
姉貴の友達だが、俺は素直な気持ちを伝える。
「!・・・そうだな。ハチには無用な事だったな」
その後、改めてみか・・・涼子さんに挨拶をして部屋を出た。
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地形踏破訓練2位(空閑遊真を真似ていたため、2位となったが満点)
隠密行動訓練1位(真似をする必要がないくらい幸運であったため、敵に出くわさず一直線にゴールに向かえた)
探知追跡訓練2位(ありえないくらい敵が遠くに出現した不運があったが、満点の許容には入った)
対近界民戦闘訓練・記録0.4秒(以前慣れていなかったため、今回は上手くいった)
訓練が一通り終わり、俺の手の甲の数字は1100となっていた。
「これじゃあ、すぐにB級に上がるのは無理だな」
単純計算しても四ヶ月以上掛かる。なんでこんなに訓練をしないといけないんだ。訓練は所詮訓練。実践にて培われるものの方が多いだろうに。
「まぁ、文句を言ってもどうなるわけじゃないんだ。・・・最終作戦のランク戦だな」
俺はC級ランク戦ロビーに到着した。訓練以外に、C級同士でポイントを奪い合えるんだと、姉貴に今日の朝聞いた。生憎姉貴は今日防衛任務があるらしく俺について行けないと言っていた。
正隊員とはできないが、それに近いポイントを持っている奴がいるからそいつを狙えと姉貴が言っていた。
対人戦はどうせ避けては通れない道だ。目指すはA級、狙うは個人総合一位。やるならそこまでしないとな。
「・・・301が空いてるな」
数字が並んでいる壁を見て、空いているブースを探す。いろいろ空いているが、適当に選んだ301のところに入る。
「・・・うーん」
ブースの中にはパネルと簡易ベットがある。そして今はパネルを見て相手を探している。パネルには今参加している隊員の武器とポイントが載っている。その相手の場所を押せば対戦できるというが、迷う。・・・ていうか1000を切っている奴はどんだけポイントを取られたんだよ。
「・・・おっ、弧月で2980。こいつにしようか」
俺はこのポイントで相手がどれくらいの強さか見るために、ここら辺のポイントのやつにした。パネルをタッチして転送される準備をする。
「さて、始めますか」
転送された場所は住宅街だった。そして相手が目の前に立っていた。そいつは俺を見て獲物が釣れたようなニヤニヤした顔をしていた。いかにも普通の奴だな。
「悪いけど、大人しくやられてくれる?ポイントが高い相手に挑むのはビギナーがしがちだけど、ここはそう甘くないんだよねー」
「・・・」
相手は完全に俺をなめているからチャンスだし、こんないちいち人を見下す奴に負けるわけにはいかないんでね。
「・・・はぁ、これだからビギナーは・・・返答がないってことは大人しく死んでくれるのか、な!!」
こいつの事は名前も知らないから、仮にAとしよう。Aは俺に向かって走りながら弧月を振りかざしてきた。俺はスコーピオンで弧月と同じリーチの剣を作り、応対する。
それを見てAは鼻で笑った。
「弧月の方が耐久値が強いんだよ!!勉強になったな!!ビギナー!!」
おもいっきり振りかざしてくる弧月をスコーピオンで捌いていく。
普通ならばこいつの言う通り、確かに弧月の方が耐久力は高い。スコーピオンはその分、重量がほぼゼロだから素早く攻撃することが出来る。だからこうやって弧月と打ち合う事は、素人では無謀だろう。
「・・・ふっ!!」
俺は弧月を折るつもりでスコーピオンを振った。
「はっ」
Aはそれを余裕で防げると言わんばかりの顔をして、弧月で受けてたった。
その瞬間、俺は姉貴の言葉を思い出した。
『案外、ハチはアタッカーでもいけると思うぞ』
『は?前にアタッカーはトリオンのコストパフォーマンスって言ってたし、だから俺のトリオンの使い方は無駄だって』
『それはボーダーの常識範囲で言っただけだ。基本的にトリガーは、トリオン量で威力や硬度が変わる。つまりハチのトリオンでスコーピオンを使えば、長距離を狙って伸ばすことができる。それに弧月を壊すことだって・・・』
「なっ!!!?」
俺のスコーピオンの剣がAの弧月の刃に勝ち、弧月を真っ二つにした。俺はその隙を見逃さず、相手の首を飛ばした。
『可能だろう』
相手は緊急脱出して消えていった。あの負けることを信じていなく、でも負けてしまって驚いている顔は気分が良いな。
そして俺も、もとのブースに戻っていった。
「・・・3000手前があの程度とは拍子抜けだ」
俺が強すぎるのかもしれないが、俺が真似をした空閑という奴より動きが鈍すぎる。
俺は落胆したが、姉貴の言葉を思い出すことで新たな戦い方を模索した。
「・・・スコーピオンは伸ばせば伸ばすほど強度が低くなる。そして刃の長さも制限されている。だが、俺の場合はどこまで伸びるか分からんな」
姉貴に見せてもらった影浦先輩の鞭のようなスコーピオンの使い方は理解している。実践でしたことはないが。そしてスコーピオン二つを合わせて刃のリーチを増やす「マンティス」という技は一つでも事足りるんじゃないのか?
「・・・ポイント稼ぎついでに試していくか」
次は中距離であるガンナーかシューターに狙いを定めて選定する。
「・・・・・おっ、アステロイドで3340か。いい具合に上位だ」
さっきのAよりはポイントが上だからやり応えはあるかも。それに何気に中距離相手は初めてだ。
パネルから相手をタッチする。そして転移が始まる。
転移した場所はビルが多い街並みであった。
俺の眼前にはアサルトライフル型の銃を持っている女がいた。中距離との戦いは距離を詰めればどうという事はない。だが、それでは実験にならない。この距離で・・・いや、スナイパーくらいの距離で攻撃できれば申し分ないだろ。
またして名前が分からないから、B子としよう。B子は俺が武器を出さないのを好機と思ったのか、的確に撃ってきた。俺はそれをスコーピオンを出して弾を反らして横に避けていき、ビルの陰に隠れる。
「・・・・・ふー、上に行くか」
今の俺は真似する相手がいないし、俺の想像で成功させなければならない。
ビルとビルの間を地形踏破訓練で学んだとおりにしながら頂上に登る。相手は俺がアタッカーと知っているから、もしかしたら待ちの一手を選ぶかもしれない。現に今は追撃されていない。
アタッカーはオプショントリガーがない限りゼロ距離でなければ攻撃できない。それが共通認識だ。
「・・・・・」
イメージするのは影浦先輩が使っていた伸縮する素早いスコーピオンの距離が長い版だ。やる事は変わらないんだ。できるに決まっている。
俺は自分が出来ると思い込ませ、イメージを加速させる。
「・・・よし」
この間に相手は移動していたため、ビルとビルを飛び移動した。そして物陰に隠れているが俺にはバレバレなB子を発見する。この間合いはスナイパーのそれだ。
「シっ!!」
スコーピオンをイメージ通りに、長距離の相手に刃を向ける。
俺が腕を振るった斬撃上はビルやらなんやらいろいろなものが切れていた。
「!!!!????」
「よし!!」
そして相手の狙っていた場所は首だが、胴体を真っ二つという形で緊急脱出させてしまった。うーむ、相手だけを斬るつもりが、建物まで斬ってしまったのはイメージが足りない証拠だな。でも長距離でも俺のリーチだと確認できたのはデカい。
色々な技や、俺のトリオンで何ができるのか試していたら、いつの間にか大分時間が経っていて手の甲の数字は2760となっていた。点数が高い奴ばっかり狙っていたからこんなものか。
「・・・ん?」
そろそろ止めようか思った矢先に、相手側から対戦の申し込みが来た。見るとハウンドで3850だった。もう少しで正隊員のポイントだな。俺でそれを埋めようってか?はっ!!逆に搾り取ってやる。
転送が始まった。
再び住宅街に転送された。住宅街の率高くね?俺に対する相手は年下の女の子だった。
「よろしくお願いしまーす!」
「・・・」
なんというか・・・あざといな。最後の相手がこんな面倒な女とは。
「あれー?聞こえてますかー?」
疲労と相手にしたくないダルけさで素早くスコーピオンで相手の首を飛ばした。これまでの戦いで狙いだけを攻撃できるようになったし、距離感も完璧だ。
もとのブースに戻った俺は背伸びをする。
「ん・・・はぁ、帰る・・・?」
俺が帰ろうとしたが、再び通知が来た。しかもさっきと同じ相手じゃん。
「・・・後の面倒より、先の苦労・・・これだな」
この試合はポイントを稼ぐだけで、自分の手の内を見せないようにする試合だ。後々手札として切れないからな。
・二回目
「さっきはひどいじゃないですかーー!」
わざとらしく頬を膨らましている女が俺の目の前にいるが、これを攻撃すればまた挑まれるだろうなー。・・・いやそれで良いじゃないか。
俺はスコーピオンで彼女の胴体を真っ二つにした。
・三回目
「私だって怒る時は怒りますよ?」
マジ切れトーンがいきなり来たから思わず、緊急脱出させてしまった。
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・九回目
「ぐすっ・・・話を聞いてください・・・うぅ」
話を聞かずに緊急脱出させていたら女の子を泣かせてしまった。まぁ相手もここまで回数を重ねて話を聞いてもらおうとしているから意地だよな。
「・・・悪いな。でもここは戦闘する場所だから。話をする場所じゃないから」
「うぅ・・・でも・・・話くらいは聞いてくれてもいいじゃないですか?」
「それならブースから出てから話したら良いじゃないのか?」
「そんなの味気ないじゃないですかー?」
「訓練をする場所で何を求めているんだ・・・それに味気とかいらないでしょ」
「何も分かっていませんねー。そういうところでもアレンジしたいんですよ」
「・・・あ、そう」
俺はこの手の相手の話に無理に逆らうべきではないと感じた。意味が分からんからな。
「自己紹介をしますね!私は一色いろはです!総武高校の一年生です」
「・・・狛枝八幡だ。てか先輩?ボーダーではお前の方が先輩だろ」
「そんな些細な事良いじゃないですかー?それに先輩は何年生ですか?」
「・・・総武高校の二年だ」
「わぁ、同じ高校だったんですね!それにやっぱり先輩じゃないですか!」
ボーダー隊員はなるべく同じ高校に通った方が良いから、そんなに珍しい事ではないと思うんだが・・・とか言うと、分かってないとか言われるから内に秘めておこう。
「そうだな・・・それより俺はもう帰りたいんだ。さっさと終わらすぞ」
「えぇ!!それじゃあ、私がめちゃくちゃにされただけじゃないですか!?」
「知らん。それは挑んできたお前が悪い」
「ぶぅ、先輩の意地悪」
「さあ構えろ・・・と言っても俺には関係ないけど」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
俺はスコーピオンをうつ準備をする。一色は慌ててキューブ状のハウンド出す。
弾丸を飛ばすタイプのシューターだったのか。それまで一色が何かをする前に倒してたから知らなかった。
しかし俺は構わずさっきと同じように一色の首を飛ばす。
「せ、先輩のバカー!!」
そう叫びながら彼女はベイルアウトしていった。
「・・・さてと、噛みつかれる前に帰るか」
ブースに戻った俺はすぐさまブースから出て、帰路へとついた。
誤字・脱字、感想、アドバイスなど待っています。
現在公開できる資料
御門涼子
年齢:19歳 誕生日:9月9日
身長:171cm 血液型:O型
星座:おおかみ座 職業:ボーダー養護室長
好きなもの:コーヒー、医療研究、良い匂いの人
雪ノ下隊
・雪ノ下陽乃(隊長)SH
・五月田根美香子GU・・・原作「そらのおとしもの」より
・比企谷小町SN
・城廻めぐりOP