縦横の時間軸の奇跡   作:八幡主義

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この侵攻をそんなに書くつもりはないので、この回で終わらせて一気にボーダー入隊までもっていきます。
時期は五月くらいに設定しています。空閑は四月くらいに来たという設定改変しています。
感想やアドバイスを楽しみに待ってます!


比企谷八幡②

「大丈夫か?そこの死んだ目をしているやつ」

 

全く、俺はどれだけの不幸を味わえば気が済むんだ。俺は絶望したぞ。

町中で化け物に遭遇すれば、死の瞬間を邪魔される。これを不幸と言わずなんと言うだろうな。

 

「・・・反応なしか。無理もない。こんな化け物に囲まれていたら気が気じゃないだろ」

 

俺が不幸を心の中で嘆いているのを、やつは呆然としていると勘違いしたらしい。

ふざけんな。せっかくのチャンスを邪魔しやがって。

 

「こんな隣町でトリオン兵が出るとか尋常じゃないな」

 

「まったくだ。・・・だが、その原因はそこにいるやつに聞いた方が良いようだ」

 

サングラスに次いで、アゴヒゲがはえている男と、無駄に迫力がある身長の低い男の子が現れた。

おそらくあれはボーダー隊員だろう。サングラスの肩にマークがあるから間違いない。という事はこの化け物たちはネイバーか。

 

「!」

 

ボーダーが登場したが、今度は二体のネイバーが相変わらず俺に近づこうと突進してきた。

しかし、またしても邪魔が入る。どこからともなく撃たれた二つの銃弾?によってネイバーの活動を強制終了させられていた。

・・・これはむやみやたらに死にに行こうとしたら、逆に俺が押さえつけられて、結果、絶対に死ねないからここは大人しくしていた方が正解だろう。

俺は事が済むのを待つべく、その場から動かないようにした。

 

「こんなところに現れるって事はラッドの可能性もあるが、この数じゃありえないし、この前一掃したばかりだから、一番の理由は狙われているこいつだよな」

 

俺の近くにヒゲと同じ黒のロングコートを着ているクリーム色の髪をした男がこの状況を判断しながら来た。

 

「なんか思い当たることでもある?」

 

そいつは俺に対してフランクに話し掛けてきた。・・・あれだな。こいつはリア充の仲間に分類される生き物だな。俺だったら見ず知らずの人に話し掛けるとかできないし。

てか、そんな理由俺が知るわけないだろ。あんたらの方がこいつらに詳しいだろ。

 

「・・・いや、知らない・・・っす」

 

やべぇ、コミュ障という事がばれる。

 

「そうだよなー。わりぃな、変なことを聞いて」

 

・・・スルーされてホッとしている俺がいることはまちがっていないだろ。むしろ拾われた方が赤面ものだ。

 

「おっ、次のやつが来たな」

 

クリーム髪の男が言うように、再び多数のネイバーが襲い掛かってきた。てか、まだ増え続けているし、早く終わってほしいからボーダーのやつらを心の中で応援しとこ。

 

「アステロイド」

 

男はそう言いながら両手のひらからキューブ状の光るものを出し、いくつもの小さいキューブに分割させ直線状にそれを飛ばしてネイバーを倒していく。

そして次々とボーダーのやつらが来るが、それに応じるかのようにネイバーも数を増やしてきている。

 

十分くらい経ったが、一向にネイバーが減る気配は素人目からも感じられなかった。

 

「弾バカ!!全然減らねえぞ!!」

 

「そんな事言う前にさっさとやれ!槍バカ!!」

 

ボーダーも、そんな状況にイラついている。現に攻撃が雑になっているように見えるからだ。

 

「これはいつまで続く?迅」

 

「悪いな風間さん。今のところ酷い未来は見えていないが、収まる未来も見えていないなんだ。おそらく誰かが行動を起こさない限り・・・」

 

「・・・!」

 

小さいのとサングラスの会話を盗み聞きして、この事態を収拾すべきなのは俺だと感じた。なんせこの台風の目は俺なんだからな。それに、ちょうどネイバーの行動パターンを解析したところだ。

 

「・・・どう逃げるか、だな・・・俺のまいた種だ」

 

俺があと片づけをしないとな。

ネイバーは最初の見た大型と、途中から出てきた硬そうなブレードを持った自動車程度の大きさの二種類だ。デカい奴は動きが遅いからこの際気にせずいこう。あとはブレードのやつだ。

ま、こんだけいれば俺を助けてくれるボーダーの人がいるかもしれない。いや、むしろ助けなくても良い。これは命を懸けようが、結局は俺の思い通りになるからどちらでもいいが。

そうと決まれば、俺がただ死にに行くと思われないように隙を狙う。

 

「・・・・・」

 

俺のまわりは戦場と化しているが、今の俺はそれさえ気にならない。周りをよく観察しろ・・・そんな簡単に見つけられるとは思わないけど。

柄にもなく幸運を求めてみようか。人生の中であんだけの不幸があったんだ。道を開けてくれる幸運くらいくれても良いんじゃないのか?

俺の人生は不公平だからこんなこと思っても仕方ないけど。

 

「・・・!?」

 

俺が諦めかけたとき、俺が見ている方向にネイバーも黒い何かもないぽっかりと開いている空間を見つけた。

 

「・・・今日はやけについてるな」

 

俺は少しだけ口角を上げながら、己が鍛え上げた身体を駆使して走り出す。

 

「おい!!あぶねえぞ!!」

 

さっきのクリーム髪の男が叫んでくるが、俺はそれを聞いている場合ではない。いつ、この幸運が不幸に変わるかもわからないから俺は走る。

 

「!・・・やっぱり俺が中心か」

 

俺が走ることによって、多数のネイバーがさっきまで目指していた場所を変えてこちらに向かってくる。

それを確認してもどうしようもないが、幸運()はまだ続いているんだ。進むしか次に進めない。

 

「・・・くそっ!」

 

だがその幸運は長くは続かなかった。俺の恐れていたブレードのやつが俺の前に立ちふさがった。

・・・・・いや、一匹だ。まだついてる。このネイバーの武器は俊敏さとブレードだ。攻撃範囲とか広くなさそうだから俺の幸運がまだあれば、俺がよける方向はきっと無事なはずだ!!たぶん!!

ネイバーが攻撃態勢に入った瞬間、左足に力を入れる。

そして、ブレードが動いたと思ったときに、右に飛ぶ。すると、思った通り左に敵の攻撃が炸裂した。

 

「うおぉ、あれはそんなに受けれねえな」

 

幸運なことに、ネイバーはブレードが突き刺さってその場に動けずにいた。

 

「こわいほどに幸運が働いてるな」

 

自分の幸運に感心しているが俺は足を止めない。だが・・・・・そもそもどこに行けば良いんだよ!!逃げたって俺を追ってくるんなら意味ねえだろ!

 

「こっちに来てくれ!!」

 

悩んでいると、TVでボーダーの顔として出ていた・・・確か嵐山准だったか。それが後ろに隊員を引き連れて俺を誘導してくれている。

それに俺は大人しく従いそちらに向かう。

 

「すまないが話は移動しながらしよう」

 

「大丈夫です」

 

俺がそこに向かうと嵐山さんの他にも・・・誰だか忘れたけど、女一人に、男二人がいた。

俺たちは・・・この方角は三門市か。どうやら再び戻らないといけないらしいな。

 

「おれの名前は嵐山准。君の名前は?」

 

「ひ・・・狛枝八幡です」

 

小町のこととか頭によぎったせいで、じいちゃんの姓を名乗ってしまった。

 

「そうか、狛枝くんか。ケガとかしてないか?」

 

「あ、はい。運が良かったんでケガとかしてないです」

 

「・・・あそこからジッとしていたら無用な避難とかしなくて済んだのに」

 

俺より年下であろう女が俺に小言らしい文句を言ってきた。

 

「あなたのした事はもしかしたら他の人にも被害が及ぶものだったんですよ?そのことを自覚してください」

 

そして今度は直接説教をしてくれた。・・・正論かもしれないが、ここで引けるわけないだろ。それに俺にも言いたいことはある。

 

「そんなことを俺に言われても困るな」

 

「何ですって?」

 

「ネイバーの事はボーダーの役目なのに、なんで俺に説教が来るんだよ。それにそっちの不手際が原因じゃないのか?」

 

「!!そんなことあるわけ・・・」

 

「どうだか。そもそも一般人の俺が襲われている時点で不手際は確定だけどな」

 

俺の不幸が五分くらいこの事件に関与しているが、口論の相手にわざわざ弱点を見せるほど愚かじゃないから黙っておこう。

 

「二人ともそこら辺にしておいて・・・トリオン兵がまた来るよ」

 

冷静そうな二人の男のうちの一人が空を見上げて言う。あのネイバーのことってトリオン兵って言うんだな。

俺もつられて見てみると、黒い何かが割と近くで出現している。

 

「木虎は狛枝くんを守りながら先に行ってくれ」

 

「分かりました。さあついてきて」

 

「・・・了解っす」

 

俺を守ってくれるんだからここは大人しく従って木虎とか呼ばれているこの人についていく。

 

「私から離れないでください」

 

「大丈夫だし、一般人を置き去りにできないだろ?」

 

「当たり前です。しかしあなたを既に一般人とは言い難いですね」

 

「・・・そうだな」

 

俺が台風の目というのは、周知の通りになっているらしいな。俺を放っておけばまたこの事態が起こるかもしれないからな。

 

____________________________________

 

 

俺たちがしばらく走っていても、ネイバーとの接触は確認されていない。ボーダーのやつらがやってくれているのか?

 

「あなたはあれを見て怖いとは思わないのですか?」

 

「あ?」

 

無言が続いていたが、木虎が気を利かせてくれたのか俺に質問してきた。

 

 

「本来一般人ならばあそこから動けないか、だれかれ構わず逃げているはずですが、あなたはそうしなかった。無駄に肝が据わっているというか・・・」

 

「なぜ今そんなことを聞く?」

 

「・・・・・あなたがこの場から生きて帰れるとしたら・・・」

 

「そこは無事を保証しろよ」

 

「それは私も最善を尽くします。でも、もしものことがあるかもしれないので絶対は保証できません」

 

「・・・えらくリアリストだな」

 

「理想を口にしても仕方ないので・・・無事に帰れたとして、あなたは間違いなくボーダーに保護されます。そして今後狙われるかもしれないことから入隊を勧められると思います。この大規模侵攻と大差ない戦闘を見て、隊員として、もしくはエンジニアなどの、ネイバーから脅威を感じながら生きていけるのか、と聞いてみました」

 

「・・・」

 

なるほど、こいつは俺の事を心配してくれているわけか。いや、これからの話をして考えさせる時間を与えようとしているのか?

こいつの口調からして、この騒動は俺が三門市のボーダー本部に行くことで収まると考えていいだろ。それに俺が見る限り、ボーダーが総動員している気がするから負ける要素もない。

・・・・・ボーダーか。俺がボーダーに入るという考えはなかった。そも俺に才能があると思えないからな。せいぜい人の真似を得意とするだけだ。なんだっけな・・・ミラーニューロンだっけか?

 

「あなたがボーダーに入らないという選択肢はあるけど・・・」

 

「いや、答えは既に出ている」

 

「え?」

 

「それは━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」




現在公開できる資料

比企谷八幡

年齢:16歳     誕生日:8月8日
身長:178cm    血液型:A型
星座:ぺんぎん座  職業:高校生
好きなもの:姉、妹

トリオン:156

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