「専業主夫になりたい」とか言う奴はバカだ……男はやっぱり黙って仕事をする。これに限るだろ……しかし、ほんの数日前までの俺は「あ~、働きたくねぇ、やっぱ専業主夫になりてぇな」だってよ……過去の俺、ぶち殺すぞ。いやマジで……
なんで、こんな話をしているかと言うと、これには事情ってものがある。
俺がね?「専業主夫になりてぇ」って言ったらねぇちゃんが何て言ったと思う?「じゃあ、私が一生懸命働くね?」……ここまでは良いよね。これだけだったら超喜んじゃうよ。しかし、続きがある。それが、この台詞……「その代わり八幡は一生私のペットね」だってよ……そして、現在。
陽乃「ねぇ、八幡」
八幡「……なに?」
陽乃「八幡ってさ、高校生なのに小さくなっちゃったじゃん?」
八幡「うん。そだね、あんたのせいでな」
陽乃「それでね?」
八幡「おい、俺の皮肉を華麗にスルーすんな」
陽乃「この漫画に似てるじゃん?だから、やろうよ」
八幡「あっ、なに?完全にスルーする感じ?もういいよ、諦めてっから……で?漫画に似てる?……あぁ、工藤さんの所の新一くんの事ね……え?何やんの?」
陽乃「これ舐めて?ほら、あの台詞言って、ペロッ……青酸カリ!?ってやつ」
八幡「え?何?死ねって言いたいの?やだよ。あんた頭おかしいよ」
ガチャ
ママのん「どうかしましたか、八幡くん?」
八幡「母ちゃん、ねぇちゃんが死ねって言うんだよぉ」
陽乃「言ってないよ!この漫画の真似をしようって言っただけじゃん!」
ママのん「………では、お母さんは蘭さんの役をやります」
八幡「え?何?舐めないといけない感じ?」
陽乃「お母さん図々しいにも程があるよ!私が蘭ちゃん役だよ!」
ママのん「死体役は誰にしますか?葉山くんですか?」
八幡「ショタ王以来の出番なのに可哀想過ぎんだろ」
陽乃「ねぇ、私が蘭ちゃん役だよ?分かってる、お母さん?」
ママのん「犯人は………あの……えっと、誰でしたっけ?」
八幡「あっ、この感じ父ちゃんだわ。死体役も可哀想だけど、犯人役も可哀想だなぁ……しかし、何よりも可哀想なのは俺だよね?ねぇちゃんに死ねって言われてんだよ?しかも、なに言っても全スルーだし」
葉山「……あっ、あのぉ……1分以内に来なかったら泣かしちゃうぞ?って言われたので来てはみたんですけど……これから何をやるんですか?」
八幡「聞かされてねぇのかよ……」
陽乃「隼人」
葉山「なんだい?陽乃さん」
陽乃「死んで?」
八幡「おい、説明が雑すぎんだろ!葉山ぁ!訴えてもいいぞ!」
葉山「え?え?」
八幡「ほらぁ!超戸惑ってんじゃん」
陽乃「あぁ!もう、鈍いな……今からお父さんにこれを飲まされるから死んで?って意味!」
葉山「あぁ!そう言うことか、分かったよ」ハハッ
八幡「嘘だろ!?分かっちゃったの?」
ママのん「陽乃さん!大変です!あの人が……」
陽乃「お、お父さんに何かあったの!?」
ママのん「まだ、人を殺めたくないって出演を拒否されました」
八幡「懸命な判断だわな……」
ママのん「次、帰ってきたらタコ殴りにします」
八幡「おっと、被疑者役から被害者役にまさかのジョブチェンジ」
葉山「陽乃さん、僕はまだ死ななくても良いのかい?」
八幡「お前は何でやる気マックスなんだよ」
陽乃「あぁ、隼人まだ居たんだ?」
八幡「ひでぇ」
葉山「帰っても良いのかい?」
陽乃「早く帰って……臭いから」
八幡「俺が葉山だったら首吊っちゃうな」
葉山「じゃあ、失礼するよ…………死なずに済んだ……良かったよ。うぅ……」
八幡「気丈に振る舞ってただけか……あいつ、すげぇな」
ママのん「飽きました。一緒に遊びましょう!ね?八幡くん」
陽乃「私も一緒に遊ぶ~」
八幡「……取り敢えず助かったぁ……ふぅ」