巨人の世界で(笑)   作:トッシー

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次章までの出来事です。
短くてスイマセン。


幕間

人類が初めて巨人に勝利した。

此度の戦いにおいて巨人の犠牲になった者は百名を下回った。

その歴史的快挙に人々に歓喜した。

そしてトロスト地区内に閉じ込めた巨人の掃討作戦が、急遽駆けつけてきた調査兵団と駐屯兵団工兵部と共に行われた。

残った巨人は10体にも満たず瞬く間に殲滅されていった。

捕獲された2体の巨人を除いて。

 

 

 

 

作戦終了後、オレ達は調査兵団に身柄を拘束された。

気を失ったエレンはミカサ達と引き離され手錠を掛けられ馬に乗せられる。

抵抗する素振りを見せなかったオレも同様に手錠を掛けられた。

リヴァイ隊長を気絶させてどうしていいか分からず呆けている間にガチャリとやられてた。

 

「貴様っ!よくもリヴァイ隊長をっ!」

 

組み伏せられそうになる。

強引にリヴァイ隊長を引き離してオレの頭を押さえつけて地面に押し付けようとする。

 

「…っ、な、私の剣が…」

 

しかしオレの身体はびくともしない。

それどころか持っていた剣が一瞬でオレの手の中に収まっているのを見て驚愕する。

 

「まぁ落ち着けよ。隊長さんも気絶してるだけだ。怪我はない」

 

剣を奪い取ったオレは努めて友好的な顔を向けるが、失敗だったらしい。

更に凄まじい怒気と敵意を向けてきた。

まともに話が出来る状況じゃないなこれは…。

 

「ミカサ、アルミン。悪いけどオレ、バックレるよ。事情はお前らが話しておいてくれ」

 

「え、ちょ、ちょっとリクッ!?」

 

オレは呼び止めるアルミンに軽く会釈すると手錠を引き千切った。

調査兵団の面々が驚いたように後ずさった。

奪い取った剣を地面に突き立てる。そして。

 

「したらな!」

 

「待てっ」

 

オレは持ち前の脚力で立体機動装置顔負けの跳躍を見せると屋根伝いに自宅へ目指して飛び去っていった。

 

 

 

それからオレは開拓地には戻らずにウロウロしていた。

調査兵団を撒いてから丸一日が経過していた。

壁の外に出て適当に野生の鹿を狩り、食料を調達する。

巨人に邪魔されるが獲物を抱えて即座に逃げた。

当然巨人は追いかけてくるがオレの足には追いつけない。

 

 

オレはウォール・ローゼ内の自宅に帰って来ていた。

開拓民に与えられたボロい民家。相変わらず汚い。

幸いなことに巨人によって破壊されていない。

オレは手早く着替えを済ませると捕ってきた獲物を処理した。

 

 

 

 

「どうにも調子が良いんだよな…」

 

その日の夜オレは食事を済ませた後、身体の調子を確かめていた。

本当にすこぶる調子が良い。

ゴウッ!!シュビビビビッ!!!ドウッ!!!!

今まで以上に拳は奔り、蹴りによって突風が巻き起こる。

身体が今まで以上に動く。

これは間違いなく…。

 

「オレ強くなってる」

 

修行時代にも何度か巨人と戦った。

しかしそれは自分の実力を確かめる為と巨人の恐ろしさを認識する為。

積極的に戦おうとはせずに、数度しか戦っていない。

実際に殺した巨人もたったの数体だった筈だ。

しかし今回の作戦でオレは間違いなく100体以上の巨人を殺した。

休む間もなく戦い続けてきた。

体力の配分を考え、常に気を張りながら、そして仲間を護りながら。

その経験は確実にオレの血肉となっていた。

相変わらず巨人は怖いが、少しはマシになったのかもしれない。

今までの人生で一番長い一日だったように思える。

オレは心地良い疲労感を感じながら眠りについた。

 

 

 

次の日の朝、オレは日課の修行を始めていた。

いつもの農地で体力作り兼仕事の農作業を終える。

配達仕事は巨人襲来の影響か入っていない。

オレは代わりに壁外周を軽く10週すると気の制御に入る。

やはり調子が良い。

以前よりも体内のエネルギーが強く感じられる。

試しに気弾を放つ。

そして気弾に意識を向けて集中、気弾はオレの思う様に宙を舞う。

繰気弾、成功してしまったww

それなら次はと新しい技に挑戦する。

 

「……はああああっ」

 

オレは手を翳して気を収束る。

イメージするのはカミソリの様な鋭い切れ味。

薄く、更に薄くと気の形状を円盤状に変化させていく。

気の形状を変化させるだけでは目標は切り裂けない。

オレは徐々に気の円盤を回転させていくが、この制御がかなり難しい。

クリリンは天才だと思う。

この調子だとまだまだ実戦には使えないようだ。

巨人との戦いでレベルップした今ならと思ったのだが…。

どうやらまだまだ実力不足のようだ。

 

「気円斬、出来れば巨人戦が更に楽になると思ったんだが…」

 

気円斬が出来れば巨人にわざわざ近づかなくても良くなる。

それに繰気弾の制御が加われば一度で何度でも利用できるようになる。

しかし事はそう上手く行かなかった。

 

「あーあ、上手くいくと思ったんだけどなぁ」

 

オレはその場にゴロンと横になった。

人の気配が近づいてくる。数は6か…。

馬の蹄の音から人数は3人だろう。

パカラ、パカラと足音は近づいてきてそして。

 

「報告通りだ。ここにいたなリク・クリムゾン」

 

身体を起こす。

そこにいたのは調査兵団。昨日のリヴァイ隊長もいる。

そして人を引き付ける様な雰囲気を出す壮年の男。

 

「私は調査兵団第13代団長、エルヴィン・スミスだ。会えて光栄だ。リク・クリムゾン」

 

まさか調査兵団のトップが来るとは思わなかった。

オレの背中に冷や汗が流れた。

 

 

 

 

オレはエルヴィン団長を家へ招き入れると向い合って座った。

団長の直ぐ後ろではリヴァイと見慣れない男兵士が無表情で立っている。

恐らくエルヴィン団長の護衛なのだろう。

エルヴィン団長はオレが立ち去ってからの事を話してくれた。

先ずエレンは矢張り拘束、幽閉されたらしい。

そして未だ意識は戻っていないとの事だ。

エレンの巨人化能力について問われたが、原作知識以上の事を知らないし、知っているという事実も不自然なので首を傾げておいた。

そしてエルヴィンの本題は、やはりオレの査問会への出頭命令だった。

 

「君にはエレン・イェーガー同様、巨人疑惑が掛かっている。無論、私は君にそんな疑惑はない。だが君が疑惑を解きたいなら、どうか出頭して欲しい」

 

「何なら手足でも叩き落として引きずって行ってやろうか」

 

リヴァイがオレを威圧しながら剣に手を掛ける。

 

「あぁ?誰が、誰の手足を叩き落とすって?」

 

正直コイツの如何にも不良っぽい目つきと態度は苦手だ。

しかし巨人でもないコイツに怖気づく意味は無いし、いい加減腹が立つ。

オレは負けじとリヴァイを睨み返す。

 

「待てリヴァイ、リクと呼んでもいいか?君も落ち着いて欲しい」

 

「あぁ、別に構わない」

 

「…ちっ」

 

どうやらオレに無力化されたのが気に喰わないのだろう。

根に持ちやすいタイプなのか。リヴァイは小さく舌打ちすると後ろにある壁に凭れ掛かった。

 

「それからもう一つ、これが私自身の本命なのだが…、リク・クリムゾン…。君を調査兵団に迎え入れたい。どうか我らと共に戦って欲しい」

 

やはりそうなったか。

巨人に支配されたこの世界。戦える人材は貴重だ。

しかも兵士は万年人手不足。

特にオレの様に何の武装も無しに巨人と正面きって戦える人間は前代未聞だ。

 

「件のエレン・イェーガーも査問会が首尾よく終われば、調査兵団に加えるつもりだ」

 

「そうか…」

 

「驚かないのか」

 

「予想してたし」

 

エレンが危険な存在である事は誰が見ても明らかだ。

エレン自身にその気がなくとも声を高らかにして自分は人類の味方だと叫んでも、そして身内であるミカサ達がエレンを信じようとも他の人間はそうはいかない。

例えエレンが人類の勝利に貢献していたとしても、人類はそれ以上に巨人に対する恐怖が強く根付いているからだ。

しかし人類は巨人に対してあまりにも無知過ぎた。

そして巨人に対してあまりにも非力だった。

だからこそエレンの存在は巨人に対して切り札になりうるし、巨人の秘密に迫る為の道標にも成りうるのだ。

そう簡単に処分してしまうのは浅慮だ。

 

「そうか…どうやら君も理解しているようだな」

 

オレの答えにエルヴィン団長も満足そうに同意した。

 

「…で?結局オマエはどうする気だ?」

 

リヴァイが再び口を開いた。

壁に持たれたまま真っ直ぐオレの目を睨めつける。

 

「そうだな…」

 

答えはもう決まっていた。

しかしオレは自分の命が最優先だ。

こいつらの命令に従う気は無い。

 

「一緒に戦うのは構わないが…」

 

「何か問題があるのか?」

 

「オレは生産者だ。人一倍その義務を果たしてきた自信がある」

 

「何が言いてえ」

 

「つまりオレは国のために心臓を捧げる気がないと言ってるんだ」

 

「何だと?貴様っ!」

 

ここで初めて今まで無言だった兵士が口を開いた。

エルヴィン団長が兵士を制する。

 

「君は一度は兵士を志して訓練兵団に入ったと聞いてるが」

 

「よく調べてるな。だったら分かるだろ?追い出されたオレは兵士じゃない」

 

「しかし念願の兵士になるチャンスが来たんだぞ」

 

「いや別に兵士になりたかったのは立体機動を習得したかったから。唯それだけの理由だ」

 

巨人から逃げ延び生き残るために。

たったそれだけの為にオレは兵士を志したのだ。

 

「な、何だそれはっ!巫山戯るなっ!」

 

オレの本心を聞いて兵士が激怒した。

 

「付け加えるなら必死で修行したのも保身のためだ」

 

「貴様っ、それだけの力を持ちながら…」

 

「そっちこそ偉そうに言ってるけどな、お前が普段食ってる穀物の半分以上はオレが作ったものだって事をこの機会に覚えとけ」

 

「な、何だと…」

 

これは紛れもない事実だ。

広大な開拓地だが、亀仙流の修行を初めて1年程くらいからオレの開拓スピードは他の開拓民の十数倍の速さになっていた。

しかも雑な仕事はしていなかった。

雑草や小石や岩は勿論綺麗に取り払い、より美しい畑を心掛けていた。

その仕事を兼ねた修業は凄まじい速さとより正確な突きを繰り出す為の鍛錬となった。

当然足腰もより強く鍛えられる。

年々、オレの農地開拓スピードは劇的に上がっていき、最終的には仕事を他の人間から任される、もとい押し付けられる様になったのだ。

 

「……止せ。彼の言ってることは事実だ」

「化け物め」

 

エルヴィン団長とリヴァイは疲れたように溜息を付いた。

リヴァンの毒舌が相変わらず痛い。

オレの事は既に事細かに調査済みなのだろう。

そこまで呆れなくても良いと思う。

 

「それで兵士にはなりたくない。しかし共に戦うのは構わない。つまりそれは」

 

「あぁ。傭兵という形でオレを雇うのはどうだ?そうだな…、巨人の討伐数および巨人に喰われそうになった兵士の救出数によって報酬が支払われるというのは」

 

「歩合制か。良いだろう」

 

「交渉成立だな。それでもう一つの…、査問会とやらは何時だ?」

 

「エレン訓練兵が目覚めれば直ぐにでも」

 

「そうかい。じゃあその時になったら呼んでくれ」

 

「なに?どういうことだ?君にも来て欲しいのだが」

 

「嫌だよ。団体行動は苦手だ。それに修行の続きもしたいし」

 

「……良いだろう。君の働きに期待している」

 

エルヴィン団長は軽く会釈すると部下達を伴って去っていった。

それにしてもリヴァイは終始オレを睨んでいたな…。

 

「疲れた…」

 

主に精神的に。

オレは修行を再会する為に再び外に出た。

次の巨人戦までに出来れば気円斬を習得しておきたい。

そして最終的には気円斬と繰気弾の複合技を使いこなせる様になりたいな。

オレは目標を作ると、その場に腰を下ろして坐禅を組んだ。

瞑想によって心を無に、雲の様に心静かに…。

時が刻まれ流れる中、オレは次第に瞑想に入っていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

おまけ

 

リク・クリムゾンのステータス更新されました。

 

リク・クリムゾンLV5

流派【亀】

【HP】120

【BE】100

【BP】215

 

必殺技

 

衝撃波……消費BE:5

エネルギー弾……消費BE:8

連続エネルギー弾……消費BE:18

かめはめ波……消費BE:20

繰気弾……消費BE:25

 

以上のステータスは本編では余り関係ありませんww

 

 

 

 




更新が遅くなって申し訳ない。
ウィルスバスターをインストールしようとしたらなんかいきなりSystem CAREA ntiVirusとかいう偽・ウィルスバスターを強制インストールされまして…。
皆さんもお気をつけて…。

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