ストックが切れたのでww
「やったぞ!もう周りに巨人はいない!」
「本当かよっ!俺達だけでローゼに入った巨人を全滅させたのかっ!」
「それも納得だよ。これだけの巨人の死骸を見れば…」
「ははっ、ざまあみやがれってんだ!」
トロスト地区中央。
殆どの家屋は戦闘により倒壊しており、瓦礫の山とかしている。
そして瓦礫の山の下には、無数の巨人の死骸が敷き詰められていた。
死骸と言っても巨人の原型は全く残っていない。
その巨体の殆どは蒸発して溶け、その残りカスの様なものだ。
それでもかなりの量だ。それだけ多くの巨人が死んだのだ。
「安心するのはまだ早い。作戦は終わってないんだぞ。最後まで気を緩めるな」
「へっ、あんな巨人モドキの作戦なんて知るかよ。それよりアンタさえいれば…ひっ」
「黙れ。しゃべるな」
オレの怒気を孕んだ言葉に兵士は怯えて後ずさった。
確かに近くに巨人の気配は感じられない。
遠くにまだ多くの巨人がいるが、この進行速度ならまだ余裕が有るだろう。
少なくともローゼ内の巨人は殆ど狩り尽くしたようだ。
エレンが心配だ。
「そうだな。取り敢えずの安全は確保できた。念の為オレはエレンの様子を見てくる」
周囲に巨人は居ないがエレン達の近くには、まだ巨人が残っている様だし。
「なっ、アンタが行っちまえば…」
「心配するな。様子を見てくるだけだ」
「あ、ああ…。早く戻ってくれよ」
そう期待されても困るんだが…。
なんかヤバイ雰囲気だ。
兵士達は、もしかしなくてもオレの力に依存し始めている。
ハッキリ言って迷惑だ。唯でさえ巨人は超怖いのに…。
本当は攻撃の際「はああああっ!」なんて叫びたくない。
実は「助けてドラえも~ん」とか「ママーッ!」とか叫びたいのだ。
人を率いてなんて間違いなくオレのキャラじゃない。
屋根から屋根へ跳躍。
二軒、三軒と一気に飛ばして目的地へと急ぐ。
気配で分かるが本当に巨人は居ない。
遠くから此方へと向かってきているのは分かるが、まだ時間がかかるだろう。
それにどうやら手練と交戦しているようだ。
巨人共の気が一つ、また一つと消えていくのを感じる。
「へぇ…、誰か知らないけどやるじゃん」
正直人間の気配の判別などオレには出来ない。
気の大きさは皆同じ様なものだ。
恐らく最強クラスの兵士も新兵も気の大きさは余り変わらないだろう。
「問題は慣れだよな。きっと…」
暫く走っていると巨人化したエレンが周囲の被害も無視して暴れまわっていた。
ミカサがエレンに組み付いて必死に呼びかけている。
すごい勇気だ。いや愛情か。正直羨ましい…。巨人になってもリア充かい。
しかし、我を忘れたエレンはその剛拳をミカサへと向ける。
随行していた兵士が叫ぶ。
「避けろっ!ミカサッ!!」
オレがエレンとミカサの間に割り込んだのは、ほぼ同時だった。
「っ!?」
エレンの拳はオレの肘、エルボーブロックによって砕け散った。
「赤い狼煙が上がって心配して来てみれば…」
「リクッ!?どうしてっ!?」
「心配するな。中央から向こうにかけて、あらかた片付けた。後は」
この周辺にいる巨人だけだ。
約10メートル級の巨人が6体。3メートル級が1体。
穴から入り込んでくる。全く次から次へと…。
涎を垂らしながら此方へと向かってくる。
「エレンはお前とアルミンに任せる。さっさと正気に戻せ。さもないと最悪オレが大岩で穴を塞ぐ。そうなったらエレンは利用価値無しとされて処分されるかもしれんぞ」
オレの言葉にミカサとアルミンの表情が固まった。
ミカサに至っては凄まじい殺意をオレに向けてくる。
「嫌なら何とかしろ。オレだってエレンを死なせるような結果にはしたくない」
オレはエレンに足払いをかけると、敵巨人へと突進した。
怖いので巨人の顔、目は合わせないように。
あのニタついた嗤い顔は本気で見たくない。
正直、特殊な巨人よりも普通の巨人の方が生理的に嫌だ。
そして奇行種はそれ以上に悍ましいと感じる。
「死にさらせっ」
正面の巨人は腹に飛び蹴りを受けて吹っ飛ぶ。
その巨体がくの字に曲がり後ろの巨人に激突する。
グシャリッ!
オレは巨人の眼球に拳を減り込ませると、気弾を放ち頭部を吹き飛ばす。
同時にオレはもう一体の巨人の背後に回りこみ手刀一閃、そして後方に飛ぶ。
うなじごと首を削ぎ落とされた巨人達は一気に腐敗して息絶える。
「す、凄い…」
「一瞬で巨人を2体も…」
「人間ってあんなに強くなれるの…」
「さぁ、残りの巨人も片すぞっ!お前らついて来いっ」
巨人超怖いから是非オレの側にいて下さい。
片時も離れずついてきて下さい。
手を握っていて下さい。どうかお願いします。
などという本音を押し隠し、オレは垂れてきそうな鼻水を啜って地を蹴った。
「わ、分かったっ!」
「わ、私だってっ!」
オレの戦果に触発されたのか兵士達はオレに続く。
後で名前でも聞いてみようか。自己紹介上手くできるかな。
「そっちのチビは任せたっ!」
オレは小型巨人を投げ飛ばすと更に入り込んでくる15メートル級へと肉薄する。
掌に気の奔流が奔り、一気に収束される。
「おりゃあっ!!」
気弾を放たずにそのまま巨人のうなじを掬うように叩きつける。
巨人のうなじはスプーンで削られたように消滅して崩れ落ちた。
「こいつは使える」
一回分の気弾の消費で最利用可能。
オレは未だ掌の中で輝く光球を見て小さくガッツした。
更に近づいてきた巨人の顔面に叩きこむ。
グシャリと巨人の顔面は気弾によって消滅、更にうなじに到達。また一匹仕留める。
正直気持ち悪いけど後のことを考えると、この戦いは良い実戦経験になる。
後ろを見ると、ミカサとエレンのうなじに剣を突き立てたアルミンがエレンを必死に説得している。
エレンは、既に暴れるのを止めて沈黙している。
どうやら意識が戻ってきたらしい。
エレンを見ていると長身の女兵士が声を掛けてきた。
「なぁ、アンタ…」
「ん、どうした?」
「アンタさえいれば、あの出来損ないの人間兵器様は要らないんじゃ?」
「こい、リコ!」
指揮官のイアンが咎めるように叫ぶ。
「イアン、作戦は失敗よ!もしコイツが駆けつけなければ、もっと多くの兵士が死んでたわ!もう20人以上が巨人に喰われてるのよ!?」
「そうだとして、俺達に出来ることはアイツの為に命を投げ打つことだけだ」
「何故だ!?根拠なんてなにもないじゃない!」
「悲惨だが我らに出来ることは巨人共の餌になることだけだ。当然だが報われるとは限らない。しかし…」
イアンはオレをじっと見つめた。
「確かにリクは強い。しかしそれは我らの力=ではない。今の我らにとってエレンは唯一巨人の秘密に迫る存在なのだ!」
そういう事だ。
いくら強力な力も持っていても所詮は個人。
そして組織で行動する軍の強さには成らない。
そして目の前の超人は決して、兵士として軍に組み込まれるのを由としないだろう。
「…、分かったよ。こうなったらとことんまでやってやろうじゃない!」
女兵士は髪をグシャグシャと掻いて、刃を交換した。
そしてオレを見て言った。
「正直わたしはアンタが怖い。でも同じくらい心強い。もう暫く付き合って欲しい」
「…ああ」
そしてオレは続々と侵入してくる巨人に向かって飛ぶ。
15メートル級の巨人がちょうど穴を通って入ってくるのが見える。
オレは一瞬でその巨人の下に潜り込むと顎を蹴りあげた。
ズンッ!
巨人の頭部が破壊された壁穴の天井に減り込んだ。
「そ、そうか!巨人で穴を…」
「いや、油断するな」
巨人によって出来た足止めも一瞬だった。
続々と入り込もうとする巨人によって15メートル級の頭部がもげた。
足の下から3メートル級、首のない巨体を押しながら7メートル級が、次々と侵入してきた。
「やっぱりダメか」
兵士達の顔が恐怖に歪む。
唯でさえ厄介な巨人。それが大群となって押し寄せるのだ。
全ての兵士が自分の死が明確にイメージ出来る。
巨人に捕まり生きながら喰われていくという最悪の最後を。
しかし希望は失われていなかった。
「…エレン」
視線を移した先にあったのは宙に浮く大岩だった。
いやエレンが、その膂力で大岩を持ち上げていたのだった。
アルミンが息を切らせながらも叫ぶ。
「エレンが自分に勝ったんだっ!!あの穴までエレンを援護すれば、僕達の勝利だっ!」
「総員っ、聞いたな!エレンを我らの命に変えても守るぞっ!!!」
「任せろっ!」
オレは逸早く飛び出す。
向かってくる巨人の肩に乗る。そして髪を掴み地面に叩きつける。
この殺し方、結構気に入った。
気持ち悪い巨人の顔面を潰せるからな。
オレはそのまま巨人の顔を地面に擦りつけながら舞空術で前進する。
その先にはまだまだ多くの巨人がコチラに向かってやって来ていた。
行け…っ!行け…っ!行け……、エレンッ!!!
「いっけえええええええっ!!!エレンーーーッ!!!!!」
全員が一丸となって巨人に立つ向かう中、エレンは遂に大岩を目的地まで運び切った。
そして遂に…っ!!
―ドォォォオオオンッ!!!!―
エレンの運んだ大岩によって壁は隙間なく塞がれたのであった。
「オ、ウオオオオオオオオッ!!」
勝利の咆哮、同時に作戦成功を伝える黄色の煙弾が発射された。
「じ、人類の……、勝利だ」
涙を流す兵士、喜びを全身で表現する兵士。
しかし戦いはまだ終わらない。
「まだ巨人は残ってるぞっ!」
オレの言葉に兵士達は気を取り直す。
街に入り込んだ巨人を全て掃討してこそ真の勝利となるのだ。
残った巨人は既にたったの5体だけだ。
オレは速攻でケリを付けるべく巨人達のど真ん中に飛び込んだ。
巨人達はオレを喰らおうと手を、口を突き出してくる。
同時にオレは上空へと跳躍した。
真下では互いの顔をぶつけあう巨人の間抜け面が見えた。
オレは両掌を合わせて全身の気を一気に最大まで高める。
全身の筋肉が膨れ上がり道着の袖を破る。
高めた気を掌一点に凝縮する。
初めて使うので緊張する。
「かぁ~めぇ~はぁ~めぇ~……」
これが亀仙流奥義っ!!!
「はああああああああああああっ!!!!」
かめはめ波だっ!!!
一点に収束した気の奔流は圧倒的な光線となって真下へ伸びた。
そして巨人達を飲み込む。
ズドオオオオオオオオオンッ!!!
結果は言うまでもなかった。
それほどの手応えを感じた。
土煙が舞う中で巨人共の気配が消えていく。
そして土煙は晴れ、巨人は高温の蒸気を上げて地面に溶けていった。
「す、すげえ…」
撃った自分が一番驚いてる。まさかここまでの威力とは…っ!
巨人の屍の下は大きなクレーターが出来ていた。
一歩間違えば味方まで巻き込んでいたかもしれない。
それに一気に体力を消耗してしまった。
戦力的にも体力的にも簡単に使っていいものじゃないな。
オレはエレンの方を見る。
どうやらまだ人間には戻れていないようだ。
「…あれは…、ヤバイッ!?」
ワイヤーがエレンの肩に突き刺さった。
あれは立体機動装置のワイヤーフックだ。
ギュインと何者かが剣を振りかざしながらワイヤーを伝って巨人エレンのうなじへと迫る。
「……がっ!?」
間一髪だった。
謎の兵士の凶刃がエレンのうなじを削ぎ落とす瞬間、オレはその兵士の頭を巨人エレンの肩部分に叩きつけて阻止した。
同時に剣をはたき落とす。
「な、何者だっ!?」
「そりゃこっちの台詞だ」
「よ、止せっ!その人は…」
そこで背中のエンブレムが目に入った。
自由の翼…。
「人類最強…、リヴァイ隊長」
組み伏せられて不機嫌な表情の男の顔を見てアルミンが顔を青くした。
「おい、取り敢えず手を離せ…そうすれば半殺しで許してやる」
リヴァイ達長は組み伏せられながらもオレの目を睨みつけた。
ギシギシとオレの拘束から逃れようとしているのが分かる。
「あー、全然動かねぇ…、なんだテメエは」
ガラ悪っ。それに目つき怖っ!なにこの人。
どこぞのチンピラ警察二十五時ですかっ!?
手を離した瞬間、何をされるか分かったものじゃない。
だってあれだもの。今直ぐオレを殺っちゃう感じだもの。
ここはアレだ。オレの心の平穏なためにもどうにかしなければ。
「ええっと、取り敢えず…」
「あぁ?」
ドンッ!
「っ!?」
「お、おいいいいっ!?何やってんだリクッ!?」
「ゴメン。あまりにも怖かったからつい気絶させちまった」
手刀一閃。
綺麗に延髄に決まりました。有難うございます。
周りを見るとリヴァイ隊長の部下らしき人が殺気を撒き散らしながら剣に手を掛けてます。
だって仕方ないじゃん。
巨人戦を終えたばかりでテンション上がってたし。
初めて撃った『かめはめ波』の威力に興奮冷めてないしっ!
マジでどないしましょ…。
続く?
おまけ
亀仙流奥義かめはめ波
取り敢えず元祖バージョンです。
但し亀仙人のじいちゃんみたくムキムキのマッチョに成りません。
気を最大まで高めて放つ最高奥義。
巨人との連戦でリクは気づかない内にレベルアップしています。
巨人戦終了しました。
同時にリヴァイ登場です。
ちょいと喧嘩腰になりました。