12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります   作:ないしのかみ

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思いついたわ

<3>

 真珠が届きました。幸いにして私は上手く菅原様ルートへ分岐出来たみたいです。でも受け身ではいけません。私は実家の史料を取り揃えるとゾルザル殿下の叛乱に備えます。私もですが、両親も死んで貰っては困りますからね。

「テュエリ伯爵領で動員可能な軍はこの程度。竜騎兵は水準以上だけど歩兵の数が圧倒的に足りないわね」

 私はネックレスの箱を包んでいた包み紙で鶴を折りながら嘆息します。王都脱出のルート選定は棲んでいます。問題はその後です。

 我が領地は山岳で農地に乏しく、林業と鉱工業で収入を補ってる土地柄。いい騎竜の産地として知られてるから騎竜部隊が多いけど、後は精鋭の山岳歩兵。山地では役立たずの騎馬部隊は皆無(戦力にならぬ伝令と荷駄隊は居ますけど)。大体が守備中心の軍備で規模もせいぜい千人。攻撃に回ると見劣りは否めません。

「うちの山岳兵、ヘリコプターでもあれば強いんだけど」

 無い物ねだりなのは分かってますけどね。

 高い所平気だし、ザイルを使って断崖絶壁に挑めるから。単座が基本の騎竜にもっとキャパがあれば、落下傘を開発して空の新兵もどきも可能なんだろうけど…。あれ?

 折り紙を解く。そして別の形を折り上げてつぅと投げる。

「これか」

 両親に無理を言って人材を集めて貰い、私は早速、思いついた計画を実行に移しました。カーゼル公爵にも根回しを行い、万が一に備えて兵力を動かせる様に進言します。

 

「菅原様。日本とは帝国にとって未知なる軍事強国なのです」

 無論、菅原様の籠絡も忘れません。いざとなれば翡翠宮へ立て籠もる命綱ですからね。それに顔立ちは好みですし、物腰も柔らか。及第点は与えられます。

 前世の私から見れば同僚で後輩です。

 でも、あたしは個人関係の記憶が薄いんですよね。例えば名前とか、両親とか家族とかの関係が思い出せない。何故なのだろう。

 

<ここで解説>

 かなり設定にオリジナル入ってます。テュエリ領の設定は言及されてないので、日本で言えば木曽みたいな山岳地帯とでっち上げさせて貰いました。

 名馬ならぬ名竜の産地で、領内は険しい山地を飛び回る騎竜部隊と山岳歩兵部隊中心の警備隊が治安維持しています。金食い虫なので規模は少数精鋭。山賊退治や遭難救出に特化してます。

 だからテュエリ伯軍は山や森に立て籠もると強いんですが、平地でのローマ式軍団戦には全く向きません。治安維持部隊ですからね。

 悪役令嬢は何か思いついた様子です。

 菅原の方は「菅原様」連呼で、妻になろうと売り込んでいる所。




仮に官僚系といえども、貴族ならば自領を有して治安維持用の私軍を持ってる筈と考えてます。

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