12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります   作:ないしのかみ

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第19話目です。


闖入者

<19>

 

 目の前に現れた黒髪の気が強そうな女の子。

 レミー・マルタン。

 確か従姉妹です。ええと…そう、昔、帝都で行われたピニャ殿下主催の園遊会で、私にこれ見よがしに真珠のネックレスを自慢していた。

 確か、あの時はまだ、私があたしになる前のシェリー・テュエリだった筈です。「貴女の家の方が格下よ」や「田舎者」とか、散々酷い言葉を並べて、このレミー嬢を当時のシェリーは苛めていたんでしたっけ?

 他人を見下す、本当に嫌な我が儘娘でしたからね。

 だから、あの園遊会で真珠のネックレスを自慢されて、物凄く悔しかったんですよね。自分より格下の女が、これ見よがしに自慢していると。

 そこへ、突然、あたしが降臨してしまった。

「ちょっと、聞いてるの!」

 その怒声に、はっとなって意識を戻します。

 済みません。貴女が何を言ってたのか、全然耳に入っていませんでした。

 

 こんにちはシェリーです。

 執務室に突然現れた闖入者は私の従姉妹でした。

 今までに掴んだ情報から、現在、マルタン家の一家はバスーン刑務所送りになってた筈ですね。原作、つまり『GATE』(げて)では、かの一族は描写は園遊会のそれだけで、その場限り、名前すらないモブでした。

 ゲーム版。つまりゲーム化された作者公認の二次創作で、シェリー主役ルートにてレミー・マルタンなる名が付けられ、シェリーに苛められる被害者その1に昇格したのです。

 ちなみにシェリーが悪役令嬢プレイをひた走れば、このレミーの他、カミュやコアントローなんかの今まで苛めてきた女の子達に復讐され、悪所で死ぬのがバッドエンド。

 ゲームではマルタン家の両親らもバスーン刑務所送りになりますが、自衛隊の解放作戦で無事に脱出を果たしていますね。

 しかし…。

「何であんたが死んでないのよ」

「良く分からないけど、何か逆恨みをしている様な…。ねぇ、お嬢ちゃん」

 困惑気味の習志野三尉は取りなそうとしています。

 でも、レミーはそれを無視して叫びまくります。

「なんであたしの両親が解放されないのよ。変だわ、おかしいわ。どうなってるのよ!」

 ええと、反応が変じゃないですか。レミーさん。

「自衛隊がバスーン監獄を、攻略してないせいだろ」

 と声を掛けたのは、いつの間に執務室に入ったのかチチです。

「そんなの変よ。変よ。あたしはフラグ通りの行動をしたのに、何でこいつがのうのうと生きて、しかもテュエリ夫妻まで無事なのよっ!」

 ついに「こいつ」呼ばわりですか。しかし、自分は確信しました。私はチチに『もしかして』と視線で問います。チチも視線で『是』と返してきます。

 ああ、このレミーも転生者なんだ。

 

<ここで解説>

 レミー・マルタンの名もお酒から。

 カミュとかコアントローも同様。

 レミーが黒髪の女の子って設定は、アニメ版『ゲート』の園遊会描写からです。

 

 




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 読んで下さった皆様、ありがとうございます。

 オリジナルファンタジー『エロエロンナ物語』の方も、どうぞ宜しく。

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