12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります   作:ないしのかみ

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第14話目です。


不時着

<14>

 

 撃墜と言うのでしょうか。或いは墜落?

 呼び方はとにかく、私達の搭乗機は不時着してしまいました。

 離陸直後にコクピットに飛び込んできた巨大な棍棒は、パイロットを即死させてしまったのです。操縦系統もおかしくなってしまった模様で、副操縦士の方が必死に操作して、どうにかヘリを軟着陸させたのです。

「ええと…貴女は」

「習志野三尉です」

 そう答える副操縦士の方は女性でした。菅原様は動かなくなったパイロットの肩を揺すり続けている彼女に、残酷ですがこう促します。

「習志野さん。残念だがパイロットはもう駄目だ。早めにここを離れた方がいい」

 と菅原様。

 帝都の中に墜落してしまった私達は、ここから帝都外に脱出せねばなりません。

「でも、このまま遺体を残して行くのは…」

 心情的には判りますね。

「あたいらには運ぶ手段がないよ。残念だけどね」

 そう答えるチチは機内にある物を物色しています。非常食や飲料なんかの、これからの逃避行で役に立ちそうな品物ですね。

「こいつも持って行くか」

 大きめの拳銃みたいのを発見して翼人はホルスターごと身に付けました。ついでに「パイロットの拳銃も持って行きな」と菅原様にも指示します。

「本当は非戦闘員が武装するのは拙いんだが…」との呟き。でも、敢えてその提案を拒否しません。抜き取った拳銃をズボンのベルトへねじ込みます。

 習志野三尉も覚悟を決めたらしく、同僚の認識票(ドッグタグと言うそうです)を回収して、ヘリを離れます。

 

 お久しぶり、悪役幼女のシェリーです。

 只今、何とか城壁を超えて帝都郊外を歩いています。警戒網を抜けるまでは紆余曲折ありましたが、翼人が加わっているのが幸いして、空路で何とか脱出出来ました。

 チチに言わせると「あたいの体力じゃ、運べるのは一人が限界」なのだそうですが、闇夜を利用して何往復かし、どうにか無事に帝都から脱出です。

 但し、自衛隊本隊が待機している門ではなく、別方向に出てしまった為にひたすら足を酷使して、味方との合流を目指してる最中なのです。

「アルヌス方面の街道に出られれば…」

「そりゃ無茶だろ。自衛隊の作戦時間はとっくに終わってる。既に撤収してしまってるだろうから、下手すりゃ帝国軍が出張ってる可能性も」

 歩いてる間にも、方針を巡って議論が重ねられていますね。

「シェリーは何か意見はないですか?」

 菅原様の問いかけに、あたしは足の痛みを我慢しながら考えます。

「ええと…」

 確かに自衛隊の作戦時間終了はとっくに過ぎてます。確か18時半でしたよね。

 今は夜中の2時過ぎです。私達の為、ギリギリまで待ってくれたとは思いますが、時間を延長して待ってくれてると考えるのは、どう考えても希望的観測ですね。

 と、急に身体が持ち上がりました。驚いて確かめると菅原様が私を横抱き。いわゆるお姫様だっこしてくれているではありませんか。

「済まない。シェリーの事に気を遣う配慮に欠けていた」

 確かにあたしの足は悲鳴を上げていました。ろくに運動もしないお嬢様の足です。ここまでの強行軍に血豆や靴ずれが出来ていたのでした。

「菅原様…」

 顔を赤らめてしまいますね。この気持ち、どうしたのでしょうか?

 

<ここで解説>

 チチが手に取ったのは9mm機関拳銃です。

 マイクロUZIもどきと評される珍品ですが、これを現実自衛隊がヘリの機内装備品にしているのかは定かではありません。

 でも、弾をばらまけるだけ、同じ様な射程のSIGよりは頼りになるかと。

 




エロエロンナ物語の最新話は2月18日に投稿予定。

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