12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります   作:ないしのかみ

12 / 23
第13話です。


翡翠宮脱出

<13>

 自衛隊は原作よりも派手に動けませんでした。

 落下傘部隊は投入取りやめ。

 バスーン監獄の襲撃は中止。

 唯一、翡翠宮救出のみが作戦内容との事です。

 

 シェリーです。遂に自衛隊による救出作戦が開始されました。

「ヘリボーン主体だね」

 チチが空を見上げています。周囲はローター音がバタバタバタと煩いです。

 地上部隊を投入せず、大型輸送ヘリを強行着陸させて人員を空輸するのが骨子みたいです。当然、敵阻止の為に武装ヘリも伴っていますね。

 朝霞一尉達も今までの鬱憤を晴らすかの様に、発砲制限を解除しています。最後まで留まって、残して行く装備を破棄するのだそうです。

 軽装甲機動車、ヘリに吊して持って行く暇がありませんからね。勿体ないですが。

 ぱんっ、ぱんっと乾いた音。

 銃声って遠くから耳にすると迫力無いんですね。ずぎゅーんとか、どきゅーんとかの音を期待してましたのに。

「よしっ、副大臣達がテイクオフ」

「次、シェリー。おいで」

 菅原様に抱きつきます。あたしの乗るヘリは直前に飛んでいったのと比べると、だいぶ小型ですね。UH1でしたっけ?

「CH47じゃないのか」

「あれは二機だけですよ。残りはイロコイで我慢して下さい」

 菅原様が尋ねると、大袈裟に肩をすくめてパイロットが答えます。

 大型輸送ヘリは薔薇騎士団輸送用で既に満杯だそうです。本当はもっと投入したかったのだそうですが、用意が出来なかったらしいですね。

「上手く行きそうだねぇ」

 状況を眺めて口にするチチですが、パイロットの「禁煙だ」に対して、慌てて煙草を消しています。

 ヘリは上昇を開始しました。

 外を見ると脱出を阻止しようとする掃除夫達も必死ですが、政治委員が声を張り上げるだけで腰が引けてしまっています。士気が低くて助かりますね。

 しかし、埒があかないと見たのか、敵は遂に切り札。ジャイアントオーガーを前線へ投入してきたのです。

「菅原様っ!」

 凄い衝撃。オーガーの投げた棍棒が私のヘリに直撃したのです。

 直後、軽装甲機動車から曳光弾が連射され、ミシン目の様な跡がジャイアントオーガーの身体に穿たれました。でも、威力が弱いのか倒れません。

 咆哮を上げる怪物をかすめて、あたし達のヘリはよたよたと飛んで行ったのでした。

 

<ここで解説>

 ジャイアントオーガーに対して5.56mm弾は威力不足。鎧は貫通可能でしょうけど、分厚い皮膚と筋肉に止められてしまいます。

 もし、LAVの車載武器がミニミではなく、12.7mmのM2キャリバーであったら結果は違っていたでしょう。

 




 規模縮小の上、脱出作戦。
 日本本国の方も大規模侵攻が出来ない為ですが、原作ほど帝国軍の動員体制が不十分な為、これでも行けると判断した様子。
 シェリーの工作も働いてますね。
 
 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。