12歳の悪役幼女に転生しましたが、菅原様を籠絡して助かります   作:ないしのかみ

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第12話です。
元版のストックが尽きて、ここからは新作になります。


停滞

<12>

 翡翠宮の対峙は続いています。

 日本の政治状況は混迷を極め、未だ有効な対策が出るに至っていません。

 「自衛隊の本格派遣は…やはり」

 菅原様が苦虫を噛み潰してます。日本側も機密漏洩に心血を注いでいますが、それでも外務省職員と自衛隊員達との会話から、ある程度の情報は漏れ伝わってきます。

 国会が紛糾して身動きが取れないのです。

 曰く「一週間も籠城出来たではないか」

 曰く「向こうも大使館を強攻する様な策には出まい」

 曰く「バスーン刑務所を落とさなくとも、充分講和派議員は確保出来る」

 曰く「戦争反対」

 曰く「異世界から撤兵を!」等。

 野党からすれば、現在の翡翠宮の苦境なんて内閣を攻撃する材料に過ぎないんでしょうね。首相に対して無駄な質問とか、口撃を繰り返して国会を空転させています。

 多分、『帝国軍の攻撃で、翡翠宮の邦人に死者が出ればいい』とも考えてますね。特地へ自衛隊を派遣した内閣を攻撃する絶好の材料になりますから。

 野党にとって、外務省職員や自衛隊員は『忌むべき日本政府の手先』で、守るべき国民の仲間には入ってませんからね。

 

 翡翠宮のシェリーです。

「ふん。何度、尋ねても同じさ。あたいは答えを出す気は無いよ」

 チチ、娼婦上がりの翼人の態度は相変わらずでした。「初めて」の意味を尋ねても答えてくれません。

「では、違和感があるのは…何故でしょう」

 これは原作に対しての話です。パズルに例えるとあるべきパーツが食い違っている。キャラ名が微妙に違ったり、見知らぬ人物が出てきたり。

 それを説明し終わるとチチは「ゲームを何処までやってるんだい?」と、ベン回しの要領で、煙管をくるくる回しながら尋ねます。

「ファンディスク3までです」

 煙管の回転が止まりました。片手で煙管の羅宇(らう)をしごきながら、火皿へ刻み煙草を詰めて行きます。

「違和感はそれだね。元々の原作じゃ、あんた(シェリー)はただの脇役。でもゲーム化されてからはPC(プレイヤーキャラ)として使える様になった」

 おもむろにマッチを擦って点火。煙草って苦手で吸いませんけど、前世がスモーカーだったから耐性はあります。

「この時点であんたに関する記述や、裏設定みたいなのが後付けで膨大に作られた。ここまではいいかい?」

 私は頷く。原作では単なる脇役で、悪役的な性格も矯正されずに死んでいる。

「だけど…」

 そこへ、バタバタと駆け込んでくるのは菅原様。

「シェリー、用意しろ。やっと自衛隊が動く!」

「ええっ」

 停滞していた事態が動き始めました。

 

<ここで解説>

 本作の国会や政治家はフィクションです。

 その描写等、現実の如何なる団体とは無関係です。

 と、一応書いておこう(笑)。




 定期更新に努めて参りましたが、以後は更新は不定期になります。
 お楽しみにされている方に申し訳ありません。
 しかし、なるべく一日1話更新に努める予定ではあります。

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