この素晴らしい世界に問題児がやって来るそうですよ? 作:暁紅
細かな戦闘シーンがむずかしい
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爆裂魔法の言葉に街のみんなは一斉にめぐみんの方を向くと、めぐみんはすぐ隣にいた魔法使いの少女に視線を移す。
それに釣られ全員ともその少女を見る。
「ええええ!違、違います。爆裂魔法なんて使え無いですよ」
軽く責任転嫁が行わていた時に、突然デュラハンのいた場所で爆発が起こる。
その爆発で舞っている土煙が数秒して消えると、十六夜の拳を剣で逸らし衝撃を受け地面に流しているデュラハンがいた。
「いいなおい!」
「こんなの聞いてないぞ!」
「おらおらおら!もっと行くぞ!」
1回後に飛び離れたかと思うと改めて地面を砕いて加速し、デュラハンの懐に入ると拳を何発も打ち放つ。
その一撃一撃は爆裂魔法の3分の2程度の威力はあるが、それを全て剣で逸らしている。
ジャブが効かないと分かると、そのまま回し蹴りを鎧の脇腹部分に当てる。
すると、デュラハンは数メートル吹き飛び土煙を上げる。
十六夜としては今の一撃は数十メートルは吹き飛ばすはずだったのだが、デュラハンは咄嗟に飛ばされる方に飛び威力を軽減させていた。
普通の人間ならば第三宇宙速度に匹敵する程の回し蹴りを、見て躱すなど出来ない。
デュラハンは生前は紳士な?騎士だった。
なので数々の戦闘経験があり、その経験則からかってに後ろに飛んだのだ。
その結果として助かったのだから、騎士様生活様々と言った所だろう。
十六夜はそんな相手にワクワクしていた。
久しぶりすぎるこの高揚感。
相手の技量は自分と同じかもしれない。
異世界にまで来たかいがあった。
その嬉しさから自然と頬が釣り上がる。
だが、いささかおかしい事がある。
「久しぶりだと......そんなはずは...」
何故か分からないが『久しぶり』そう思ったのだ。
しかし記憶にはそんな経験はない。
だが身体は久しぶりだと言っている。
おかしい何かがおかしい。
その事を考えたせいで完全に敵の事を忘れていた。自分と同等に近い力を持っている者を。
「考え事とは余裕だな!」
「しまっ」
突然横に現れたデュラハンは、頭を既に上空に放っており、両手で剣を掴み思いっきり振っていた。
十六夜の身体は上部で、同じパーティのダクネス以上はある。そのためかすり傷程度ですんだが、衝撃は別だ。
切られた衝撃で吹き飛び、地面を何回もバウンドして数十メートル程飛ばされてどうにか止まる。
「お返しだ人間よ」
身の丈ほどある大剣の先を地面にぶっ刺し、十六夜の吹き飛んだ方を見つめる。
「だったら準備運動はそのぐらいで良いよなぁ!」
「こい!!」
数十メートル吹き飛んだのにも関わらず、特に大きな怪我もない様子でデュラハンに飛びかかり、それに答えるように大剣を両手持ちに変え振りかざす。
2人の拳と剣がぶつかり合う度に2人を中心にして地面が割れていく。
その数はすでに30は超えている。
集まってきた冒険者は2人の激突の衝撃に飛ばされないように、大きな岩陰や何かに捕まって耐えている。
「ダクネス、アレはどっちが凄いんだ?」
「アレとは十六夜が異常なのか?それともデュラハンの方が弱いのか?という事か?」
「そうだ」
カズマの疑問も最もだろう。
なにせこんな惨状を起こしている十六夜は、女神から
逆にデュラハンの方が弱いのであればまだ、希望はあるのだが.........こんな惨状を起こしている時点で有り得ない。
数秒顎に手を当て考えると、「私の観点ではだが」と伝え答える。
「十六夜も異常でデュラハンの方も異常なのだろうな。確かに魔王幹部が達は強いと聞いていたが、1振りで山を削る程の事が出来るのに弱いわけもないだろう。それに対抗できている十六夜も充分異常だ」
「そうか...」
その事を聞いて恐ろしい事を考えてしまう。
もし十六夜がいなかったら、自分達がどうなっていたかだ。
この街にいるのは皆駆け出しの冒険者だ。
そのメンツで戦えば最悪全滅、良くて壊滅となるだろう。
その事をがえた瞬間十六夜のありがたみがよく理解出来た。
なので今後バレないように財布から金を盗むのを辞めようと誓った(無論バレてます)
「勝てるのか?」
「分からないが今は見守るしか出来ないな」
ダクネスは自分の不甲斐なさに葉を噛み締めて、十六夜の勝利をエリスに願っていた。
2人のぶつかり合いは既に数分にも及んでいた。十六夜の一撃は重くもしまともに受ければ、たちまち負けは決まる。
なので基本は防御の姿勢で隙があれば攻撃と言ったスタンスを取っている。
その防御テクニックは凄まじいく、流石の十六夜も下を巻いていた。
しかし突然攻撃の手を止めると、一旦離れデュラハンを見つめる。
それにたいしデュラハンは落ちてくる頭をキャッチして、見つめ返す。
「気に入らねぇな...あぁ、大いに気に入らねぇ」
「何がだ?」
「この一撃がアレを倒せるって言うその目が気に入らねぇ!絶対の自信があるのか哀れみの目で俺を見る.....それが気に入らねぇ!!」
「そうか......それは失礼した。人間は死に向かっていく生き物だからな、その気になれば殺せてしまう。だからこのスキルはお前だけには使わないと、決めたのだが......お前がその気ならやってやろう」
デュラハンは人差し指を十六夜に向けとあるスキルを使う。
人間が真に平等に与えられているのは死だ。
世界を救う英雄であっても最後は死ぬ。
世界を支配する覇王であっても最後は死ぬ。
その死を乗り越えた者こそが真の人外だ。
このデュラハンもその1人で、さらに死を操ることが出来る。そのスキルを解除出来るものは片手で数えることが出来るほどしかいない。
なのでデュラハンは強者と認めた者は力で屈服させるために、死のスキルだけは使わない。
だが十六夜はそれを望んだのだ。
一応元は騎士。
相手の覚悟を踏みにじる事など決してしない。
心から残念に思いながら死のスキルを発動させる。
「汝に死の宣告を...お前は数秒後に死ぬ」
右手に黒い魔力をため十六夜に放つ。
それに反応しカズマ達は駆け寄るが遅すぎた。
魔力は十六夜の心臓目掛けて飛んでいき
「はっしゃらくせェ!!」
全力のかかと落としで破壊した。
「「「「え?」」」」
その場にいた全員は呆けた表情になる。
スキルを蹴り砕いた?ありえないありえない。きっと幻覚だと目をこすって改めて見るが、やはり踵を地面に叩きつけていた。
てかそもそもさっきの話の流れ的に、何か無条件で受ける的な感じに...
「ヤハハハハ!誰も受けるなんて言ってないぜ」
「ふはははは!流石だな人間名前は何だ?」
「逆廻十六夜様だ!覚えておけェ!」
「私は魔王軍幹部のベルディアだ!!」
2人は先程よりもさらに早く、威力を上げてぶつかり合う。
今度は戻るのが間に合わず数名が犠牲者となり空を舞う。
2人の戦闘はさらに加熱さを増す。
十六夜はベルディアの斬撃を紙一重で避けていき、大ぶりの一撃を躱した瞬間拳を腹部に入れようとするが、すぐに身体を捻り避ける。
その身体を捻った状態から戻す反動を使って、剣を水平に振る。
それを膝を瞬時に折り曲げ、頭が地面に付くぐらいまで曲げて躱すと、その剣を一回転させて十六夜を一刀両断する勢いで振り下ろす。
それを避けることは叶わず、拳で剣を弾いて距離を取る。
この攻防時間にしてわずか10秒。
まさに異常な光景だ。
「はぁ...はぁ......まだいけるな幹部様よ!」
「当たり前だ。だが、今度こそ仕留めてみせる」
十六夜は珍しく息を切らしながら、右手を握りしめる力を上げ本気の一撃を叩き込む用意をする。
ベルディアは剣を天に掲げ、西洋剣特有の『叩き切る』特性を生かした攻撃の体制をとる。
2人の間には風が草木を揺らす音しか流れない。
それを見ている冒険者は、唾を飲んで見つめる。
そしてその時はきた。
風で流された葉っぱが2人の間に落ちた瞬間、2人は地面を砕いて突進する。
2人の開いた距離は5メートル。
だったが、本気の踏み込みで2人は2秒で完全に間合いに入る。
「「うぉぉぉおぉぉおぉおお!」」
十六夜とベルディアが攻撃をする瞬間は全く同時で重なり、ベルディアがそこから数十メートルバウンドどしながら吹き飛び、十六夜はアクセルの街の壁に突っ込みその壁を崩落させる。
冒険者はどちらが先に立ち上がるか、両方を交互に見ながら待っていると、ベルディアが立ち上がり、それに釣られて十六夜も立ち上がる。
「ヤハハハハ!今度こそ終わりにしてやるよ!」
十六夜は奥の手である、光を右手に集め始める。
その一撃は世界を破壊する程の威力はある。
なので当たれば絶対に勝てる。そんな奥の手を放とうとするが、ベルディアが両手を上げ降参のポーズをとる。
「私の負けだ...もう勝てんよ」
「何諦めてんだよ。ここからが面白いところだろ!」
「無理だな」
そう言いながら数センチしか刀身が残っていない、身の丈程あるはずの剣を見せる。
その剣はさっきの衝撃で遂に折れてしまったのだ。
逆によくここまで耐えたと言った方がいいだろう。
さらに言えば十六夜と拮抗できたいたのも、この剣のお陰だった。
ベルディアとて体術は不得意ではない、がメインは剣術。その剣術でどうにか十六夜について行けていたのだ。
簡単に言うならば、十六夜が100だとしたらベルディアは下は50そこに剣術50足して100にして釣り合っていたが、その剣術が使えなくなり元の50のみこれではどう頑張っても勝てない。
それを見て十六夜は残念そうな表情になると「そうか」と呟いてベルディアに向けて歩く。
「そこのアークプリーストよ。お前なら私を浄化出来るな...やってくれ」
「いいのかしら?」
「もちろんだ。成仏する前にこんな闘いが出来て、嬉しいものだ」
その言葉を聞きベルディアの下に大きな魔法陣を描く。
アクアは最後に遺言だけ聞くと言うと、ベルディアの近くに来ていた十六夜に向けて話す。
「落胆するなよ。この世界は広い。それに今のお前では魔王には勝てんよ」
「だったらあの世で合わせてやるよ」
「そうか...楽しみにしているよ逆廻十六夜」
「あぁ楽しみに待っとけよベルディア」
アクアは2人の会話が終るとその魔法陣を起動させ『セイクリッド・ターンアンデット』を使用する。
悪しき者を浄化する光が大量に放たれ、それに包まれベルディアは浄化されていった。
ベルディアが消えて辺りを見渡し本当に浄化された事が分かった、瞬間全員で勝利の叫び声を上げる。
『いよっしゃぁぁ!!』
その日アクセルの街に新たな伝説が作られた。
後日破壊した壁の修理費が全てがカズマの元に行き、カズマ達が泣き叫ぶ事になる。