この素晴らしい世界に問題児がやって来るそうですよ?   作:暁紅

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問題児は魔王幹部と出会う

 

 

先日のキャベツ戦闘により皆ある程度レベルが上がり、新たなモンスターであるゾンビメイカーと呼ばれる者を討伐するために、丘の辺境にある共同墓地に来ている。

 

ゾンビメイカーとは、ゾンビを操り自らは質のいい死体に乗り移る、いわゆる親に働かせ自分は家に引きこもるニートの様なやつだ。

 

やはり初心者でも簡単に倒せるとの事なので、防具をキャベツに壊されたダクネスも入るのでそのクエストにした。

 

十六夜はあまり行く気は無かったのだが、知識に存在しないゾンビメイカーと言うのを見てみたくなり一緒に同行している。

 

「エロいなそれ」

「なっ!そんな真顔で言うな!」

「カズマもそう思うだろ?」

「確かに」

「くぅぅぅ」

 

今のダクネスの服装はまさに童貞殺しの何とやら状態だ。いつもは鎧で抑えられていた胸が、今ではその枷を失い衣類をはち切れんばかりに膨らませている。

 

流石に真顔で言われるのは恥ずかしいのか、両手で胸を抑える。両手で抑えると余計にその胸の形が歪に変化し、余計にいやらしい視線をぶつけられる。まぁ、ダクネスとしては逆に息を上げて喜んでいるのだが......

 

 

「こっちはな...」

「ヤハハハハ」

「おい何でこっちを見て憐れ身の視線を送った?喧嘩なら買いますよ」

「「いや全然胸がねぇなぁ何て、全然まったく思ってないぞ」」

「よしやろうか戦争だ!」

 

 

めぐみんは一生懸命杖を振るが、十六夜は全て回避して杖を奪う。

杖を返してもらおうとするが、カズマが追い打ちをかけるようにパンツを『スティール』する。

 

そんな遊んでる4人を見てアクアは、これなら報酬独り占めねと意気揚々としていた。

 

 

その墓地に着くと明らかに先程より温度が下がっている。さらに怪しい雰囲気が出ており、警戒度を上げる。

 

辺りをしっかりと確認しながら進むと、索敵スキルにかかった数が多すぎる。

 

「十六夜何かおかしくないか?」

「確かにな...まぁあいつが原因かッ!」

 

十六夜は地面を砕くほど踏みしめ、第三宇宙速度で墓地の真ん中にいる者に近づく。

急いで十六夜を追いかけるとアクアが「リッチー」と叫んだ。

 

リッチーとは魔道を極めてるために、人間を辞め永遠の命を手にした者だ。

その力はかなり強大で、決してこのような駆け出し冒険者のいる街にいていい存在ではない。

 

「離れなさい十六夜!『ターンアン』」

「おい。ちょっと待て」

「うぎゃァ!」

 

十六夜はアクアの髪を思いっきり引っ張った。

 

「抜ける抜ける!お願い離して十六夜さん!」

「なら少し待て」

「はい!待ちます待ちますから!」

 

アクアの髪を離すと、自分の髪が残っているか触りまくる。流石のカズマでもえげつないと言わざるを得ない。

 

落ち着いてその人物と話すと色々わかってきた。

 

彼女の名前はウィズ。

このアクセルの街で店を営んでいて、この墓地には金でしか動かないプリーストの代わりに浄化しているとの事だ。

 

「なるほどな......アクア女神だろ自称、何とかならないのか?」

「何とかならなくは無いけど...」

「なら決まりだな。帰るか...ふぁぁ」

 

十六夜の眠気も確かに分かる。

既にかなりいい時間だ。

なのでここはアクアに任せ皆帰宅する。

 

この時は気づいていなかったが、クエストは失敗し報酬は手に入らなかった。

 

 

 

 

今ギルドではとある噂で盛り上がっている。

それは、このアクセルの街のちょっと言った先にある古城を、魔王幹部が占拠しているとの事だった。

 

普通に考えてこんな所に来るはずがないのだが、ここにはそんな事を気にしない問題児達がいる。

 

「面白そうだな...おい、中二ロリ行くぞ」

「また、中二ロリと言いましたね!ですが今はその事はいいです...確かに面白そうですね」

「ならば、私も連れていけ。魔王幹部に囚われ...グヘヘへへ」

「いい度胸ね!この女神である私がいる所に来るなんて」

 

 

 

何でこんなパーティ何だろうか......ため息を吐きながらどうにか説得して、古城に近づかないようにしてもらった。

 

 

その日から数日経つとキャベツの報酬も支払われ、それぞれが己のために好きに使う。

 

ダクネスは壊れた鎧の代わりに新たな鎧を。

めぐみんは新たな杖を。

 

そんな中カズマは......

 

「お願いします!お金を貸してください!カズマ様!」

「はっ!誠意が足んねぇぞ!もっとだもっと!」

 

アクアに土下座をさせ周りから引かれていた。

 

そもそもこれは飲み代の借金があり、キャベツと思っていた物が全てレタスで全く金にならず、そんな中カズマはその幸運をフルに使い全て上質なキャベツを当て小金持ちとなった。

 

その事を聞いたアクアが女神の尊厳?なにそれ?おいしいの?と言わんばかりに土下座をして、お金を借りようとしていた。

 

「あと少しなの!お願いします!馬小屋の暗がりでゴソゴソ動いているの黙りますから!」

「おい黙れ!分かったからお金なんていくらでも払うから、それ以上喋るなァ!!」

 

朝からカズマの叫び声が木霊した。

 

 

改めてクエストを選ぼうとしたら、クエストボード1面やばい物ばかりだった。

 

全てが全て高難度クエストばかりで、とても駆け出しの俺たちではいけるような物では無かった。

 

四人は何でも良いから行こうとするが、どうにか留まらせ今回はそこで解散した。

 

 

ちゃんとしたクエストが出るまでは、首都から凄腕冒険者が来るまでは無理なようだ。

 

 

 

 

「そうだな...あれなんかどうだ?」

「廃城ですか......良いですね。それでは始めましょうか!」

 

めぐみんは新たに新調した杖を構え詠唱始め、世界最強の爆裂魔法を放つ。

十六夜はその威力に頷き、早くあの城にいる奴が出てこないかと待ち望む。

 

それからもそれは日課となり、カズマとアクアは工事現場で働き、ダクネスは実家に筋トレに戻っている。

 

なので止めるためのカズマがいなく、好き勝手していた。

 

「『エクスプロージョン』ッ!」

 

強大な魔力を込められた一撃は的確に廃城を直撃し、その衝撃と音は遅れてこちらに響いてくる。

 

伝わってから数秒間顎に手を当て思考して、今回の爆裂魔法の採点をした。

 

「86点だな。前回より格段に良くなった」

「くっ、まだ90点にはいかないんですか...」

「ヤハハハハ!俺から90点引き出すなんて無謀だぜ」

「絶対に取ってやる!」

 

それからも毎日爆裂魔法を続けた。

雨の日でも、曇の日でも、雨上がりで地面がぬかるんでいようとも。

 

そして遂にその時は来た。

 

 

『緊急!緊急!全冒険者の方は直ちに武装し、正門前に集まってください』

 

デュラハン

アイルランドに伝わる首のない男の姿をした妖精。女性の姿もしていると言われている。

 

一部では「首なし騎士」と呼ばれていて「死を予言する存在」または「死神」の様な存在とも言われている。

日本ではこちらの方が有名だ。

 

何故こんな話をしたのかと言うと、狙っている獲物がこのデュラハンだからだ。

 

「まままま、毎日毎日毎日っっ!!おお、俺の城に、馬鹿みたいに爆裂魔法を打ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿は、誰だァァァ!!」

 

十六夜の予定通り魔王幹部であるデュラハンは、かなりのお怒りなようだ。

 

 

 

 


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